写真や映像、文字、オブジェクトなどさまざまなメディアで構成されたインスタレーション作品《避雷針と顛末》。澤田華はこの作品を再解釈し、『本』というメディアでの再展示・再構築を試みます。全4回に分けて送られる断片を集めて出来上がる本は、購入者だけの作品、あるいは展覧会として様々な鑑賞体験をもたらします。
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2020年夏に広島市現代美術館で開催された展覧会「夏のオープンラボ:澤田華 360°の迂回」で発表した作品、《避雷針と顛末》のアートブックです。全4回に分けて、ページ(内容物)をお送りします。
《避雷針と顛末》は、他人の会話の断片を書き留めたメモを起点に、写真や映像などさまざまなメディアを使いながら展開するインスタレーション作品です。
美術館の展示室で展示されたこの作品を、「本」というフォーマットの中で再展示し、元の作品を異なるメディアや物質に置き換えながら作品を起動させることを試みます。
■初回封入内容
文字が書かれたメモ(レーザープリント)、写真(インクジェット プリント)、インターネットで検索した物品の資料(レーザープリント)、iPhoneのペーパークラフト など
■2回目封入内容
ポスター、インターネットで検索した事物の資料(レーザープリント)、漢字の形のアクリル板 など
■3回目封入内容
インターネットで検索した事物の資料(レーザープリント)、話し声(URL)、写真(インクジェット プリント)など
■4回目封入内容
映像(URL)、映像の関連資料(レーザープリント)など
※制作の進行状況により変更になる可能性あり
撮影:花田ケンイチ
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「スタンダード」と同じく、《避雷針と顛末》のアートブックを4回に分けてお送りします。
「プレミアム」では、展示作品により近い素材やサイズで制作します。
ギャラリーでの展覧会ができなくなった中で、できることからやっていくのはすごく良いと思いました。
作家も今まで通りのやり方だけでは行き詰まったりすることもあるので、違うアプローチができる良い機会をもらったと思います。
枠組みが決まっている中で、どうやってやろうかと考えたのですが、私自身は封筒というサイズや、ポストに入れるという点よりは4回にわけて徐々に届くというところに着目しました。 一番最近の作品もそうですし、それまでにずっとつくっていたシリーズ「Gesture of Rally」(ラリーの身振り)もそうですが、ひとつ決めたものごとを色々と調べて検証していくという流れがあるので、インスタレーション形式で展示する時も、見ていくと徐々に明らかになっていくという流れで展示しています。なのでページによって順番がつくれる本の形式が合うのではないかと思いました。 そこで、作品を再解釈し、本という形式を借りて4回に分けて徐々に展示するというプランを考え始めました。それによって購入者の方にもひとつの物事への検証結果が段階的に届くというような。
《避雷針と顛末》という作品をベースにしたアートブックです。毎回、ページが少しずつ送られてきます。3ヶ月ごとに届くので、届いていない期間も、半強制的に本の中で謎とされていることを考え続けなければいけないというのも、このシステムと作品が合うところだなと思っています。
撮影:花田ケンイチ
2020年の夏に広島市現代美術館で個展をしました(「夏のオープンラボ:澤田華 360°の迂回」展)。 その展覧会の枠自体が「オープンラボ」という実験的な枠組みだったので、作品も最近ずっと作っていた「Gesture of Rally」というシリーズではなくて、少し違う作品にチャレンジしようと、新しい作品を作りました。 ただ、やっていることは同じで、いろんなメディアで調べていきます。そこで扱っているものは、今までの写真とは違っていて、人の会話を盗み聞きして断片的にメモしたものがもとになっています。 そこに書かれている言葉は会話として成立していないのですが、そのメモに出てくるフレーズも前から気になっていて、そのメモをどうにかできないかと思い、作品をつくってみることにしました。
そうですね。3~4年前にやり始めて、一度それを使って作品をつくったこともあります。それがプロトタイプ的なものとしてあって、その時つくった作品と「Gesture of Rally」を合体させたハイブリッド版が広島での作品です。 メモは今でもたまにしていて、最初は家の中で家族の会話を書いていたのですが、今は例えば喫茶店で大きな声で話している人の会話や、家にいる時に聞こえてくる家の外で大きな声で喋っている人の会話をメモしています。要するに、少し騒がしいなと思う時です。騒がしいのでそれほど聞きたいたいわけではないけれど、耳をふさぐとか場所を変えるとかではなくあえて向き合ってメモしてみようということでやり始めました。
残されたメモの言葉をインターネットで調べたり、Twitterで同じような会話をしている人を探してみたりしました。それと、会話のメモを何人かの人に渡して、歯抜けになっている会話、実際は歯抜けかどうかもわからないですが、その会話の間を想像してもらったり、そのメモが書かれた状況とか、どういう人が喋っていたとかを想像して書き足してもらうということをしてもらいました。 展覧会ではその文章を台本にして、役者さんに演じてもらい、それを動画で撮影しました。さらにその映像の音声を聞きながら、私がもう一度メモをとり直しました。その元となっている文章と全く同じものをもう一度、動画に合わせて書き直していきました。
記録写真を使っていないので記録集ではないです。広島では実際の空間に展示されているけれど、その作品がもし本という形式の中で成立するとしたらどういうふうに構成されるかを考えてつくっています。実際の展示では、「こう見てほしい」とか「こう歩いてほしい」といったような人の動線を考えるというのが、本だとやりやすいと感じています。 アートブックのミニ写真集(生写真)もつけることにしました。今回、ページ番号を入れていないのですが、そうすると重なり順がわからなくなるので、写真を見てわかるように。
スタンダードはサイズの制限があって少し苦労したので、プレミアムでは、本来このサイズ感がいいなというものをつくることができたらと考えています。素材も、スタンダードはレーザープリントとインクジェットプリントが中心ですが、もう少し紙の質などもこだわりたいと思っています。
麥生田兵吾さんの「めくれない」写真集というのは気になります。情報もあまりないので余計に。 1stの人と3rdの人とはスタンスが違うかもしれませんね。1stが出た時(2020年夏)の状況では、まず人とのコミュニケーションに焦点をあてる人が多かったのでは、と思っています。
藤永覚耶が2016年より取り組む「Transit」シリーズ作品は、丸太の片側にシルクスクリーンで刷ったイメージが、浸透圧と毛細管現象により木の内部を経て反対側に像として現れるものです。[m@p]では購入者の皆様とのやりとりにより最初のイメージを決定して制作した作品を制作し、お送りします。
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「m@pスタンダードプラン」では、《Transit》シリーズの小作品を購入者の協力のもと制作しお届けします。
近年、私は作品に引用するイメージに「映画」を用いています。なぜ映画なのかと問われるとすっきりと答えられないのですが、受動的に見る経験や鑑賞者にとって見たことがあるかもしれないという可能性が大事なように感じています。今回は自分ではなく購入者に選んでもらった映画から制作する《Transit - m@p ver. -》(仮)を通して、作品について考えてみることにしました。「イメージの可能性の範囲」を購入者と私で共有したいと思います。
このシリーズの制作過程では作品にならなかった多数の端材が出ます(木の性質など複雑な要素に影響を受けるため、複数の中から色や像のバランスをみて作品になるモノを選びます)。作品にならなかったものの中には色や細部が気に入り、廃棄できずにとってあるものがあります。制作活動を支援頂いたしるしにそのような作品のエッセンスを含んだ端材をお送りします。あえてこちらで用途は意図していませんが、”飾る”、”使う”など購入頂いた方が役割を与えてやって頂ければ幸いです。
スタンダードプランでは、4回の送付を通して、《Transit》シリーズの端材、紙に刷られたシルクスクリーン小作品、《Transit》シリーズ 実物小作品をお届けします。
*「映像」はスタンダードプランには封入されません。
■初回封入内容
・《 Transit 》 シリーズの端材 2点 (長辺150~250mm程度)
・映画に関する質問と返信用封筒
■2回目封入内容
・「《Transit - m@p ver. -》(仮)」 のエスキース(A4程度 / 紙にシルクスクリーン)
*最終的にお届けする作品のイメージとは限りません
■3回目封入内容
・「《Transit - m@p ver. -》(仮)」の端材
■4回目封入内容
・「《Transit - m@p ver. -》(仮)」 実物作品
(長辺100~150mm程度、厚み20~40mm程度 / インク、白樺(予定) / シルクスクリーン、毛細管現象)
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「m@pプレミアムプラン」では、《Transit》シリーズの作品を「実物と映像をセットにしたもの」で2点分お届けします。初回と2回目では《Transit 》シリーズから1点をお届けし、3回目と4回目では購入者の協力のもと制作した作品をお届けいたします。
近年、私は作品に引用するイメージに「映画」を用いています。なぜ映画なのかと問われるとすっきりと答えられないのですが、受動的に見る経験や鑑賞者にとって見たことがあるかもしれないという可能性が大事なように感じています。今回は自分ではなく購入者に選んでもらった映画から制作する《Transit - m@p ver. -》(仮)を通して、作品について考えてみることにしました。「イメージの可能性の範囲」を購入者と私で共有したいと思います。
《Transit》シリーズの制作過程では作品にならなかった多数の端材が出ます(木の性質など複雑な要素に影響を受けるため、複数の中から色や像のバランスをみて作品になるモノを選びます)。作品にならなかったものの中には色や細部が気に入り、廃棄できずにとってあるものがあります。制作活動を支援頂いたしるしに、そのような作品のエッセンスを含んだ端材もお送りします。あえてこちらで用途は意図していませんが、”飾る”、”使う”など購入頂いた方が役割を与えてやって頂ければ幸いです。
プレミアムプランでは、4回の送付を通して、《Transit》シリーズの端材、紙に刷られたシルクスクリーン小作品、《Transit》シリーズ 実物作品、インクが滲み出てくるプロセスを撮影・編集した映像作品をお届けします。
*「映像」はプレミアムプランのみの添付となり、作品サイズもスタンダードプランより大きくなります。
*プレミアムプランでは、《Transit 》シリーズから1点と購入者に選んでもらった映画から制作する《Transit - m@p ver. -》(仮)の両方を実物と映像のセットでお届けします。
■初回封入内容
・《Transit 》シリーズから1点の映像作品(5~10分程度)
・《Transit》シリーズの端材 複数点 (長辺150~250mm程度)
・映画に関する質問と返信用封筒
■2回目封入内容
・《Transit 》実物作品
(直径200~250mm程度 厚み20~40mm程度 / 素材・技法 インク、白樺 / シルクスクリーン、毛細管現象)
*初回にお届けする映像・端材にひもづく作品です
・「《Transit - m@p ver. -》(仮)」 のエスキース(A4程度 / 紙にシルクスクリーン)
*最終的にお届けする作品のイメージとは限りません
■3回目封入内容
・「《Transit - m@p ver. -》(仮)」映像作品:5分~10分程度
・「《Transit - m@p ver. -》(仮)」 の端材
■4回目封入内容
・「《Transit - m@p ver. -》(仮)」 実物作品
(長辺250~300mm程度、厚み20~40mm程度 / 素材・技法 インク、白樺(仮) / シルクスクリーン、毛細管現象)
2020年はコロナで中止になった展示もあり、また自身の環境の変化など、思うように制作と発表ができていませんでした。コロナで外との繋がりも希薄な感じが続いている中で声をかけて頂いたので、作品を通して何かしら繋がれる機会を嬉しく思いました。
ただ、プランとして最近に取り組んでいる「Transit」シリーズをと考えていましたが、この作品はすぐに思う材料を用意できないという面や、出来てみないと分からない部分があり、考えるのにちょっと悩みました。
4回のお届けを通して1作品と考えてやってみようと思いました。展覧会では展示空間での構成を考えていますが、[m@p]ではお届けする順番を意識して構成しました。
「Transit」シリーズは、木の片面にまずシルクスクリーンでイメージを刷り、そのインクが木の毛細管現象によって吸い上げられ、もう片面に現れてくるというものです。
用いるイメージは「どこかで見ているかもしれない」という可能性や「受動的に見る経験」を得られるものであることが大事なように思っていて、これまでもテレビ画面を撮影したものなどを用いてきましたが今回は「映画」と括ってやってみようと思いました。なので、購入者の方に映画に関する質問をして、それを元にやってみたいなと。また、「あの映画のこの部分かもしれない」といった可能性が生まれたら、購入者の方のイメージに対する親密さも生まれるんじゃないかとも思いました。また、この作品は特にプロセスも大事だと思っているので、そのプロセスも含めて展開してみようと考えました。
あと、「Transit」シリーズでは作品未満の端材がたくさん出ます。中には気に入っているものもあり、何か作品とは違う形で還元できないかなと考えてました。[m@p]プロジェクトは、作家への支援としても捉えられているので、その“印”としてお届けしようと思いました。
2016年頃までは綿布を支持体にした平面作品「Stain」シリーズを制作していました。これは最終的に、時間をかけて滲みを広げて像を作っていくような作り方になったのですが、その制作プロセスにある現象や時間といったものに強く魅力を感じていました。ただ、そこに起こる現象や、滲みでインクが動いていく時間に魅力を感じているのに、最終的な平面の形式だとそのプロセス部分が見えにくくなっている気がして、なんとかならないものかと悶々としていました。
そんな中で、気分転換にちょっとした家具や棚を作るのが好きなのですが、ある時に木のテーブルを制作していて、「木ってめっちゃ塗料吸うよな」って思ってホームセンターで小さな輪切りの端材をなんとなく買いました。木は水を吸い上げる導管が縦に走っていますよね。だから、今までの平面上でのインクの移動を、木なら“奥”へと向けてできるんじゃないかと、色々な種類のインクや木を使って1年くらい試行錯誤しました。
最初にホームセンターで買った端材の中で白樺が見込みがありそうで、ネットで白樺の輪切りを探しましたが、マイナーな樹種でしかも輪切りとなると全然ないんですよね。自分で作ろうにも、白樺はよほどの高地か北海道くらいでないと生えてませんし。そんな中、たまたま見つけた北海道の小さな木材屋さんが少し持っておられたので、そこの在庫を全部を購入しました。それで色々と実験できたのが大きかったです。
まずはどうしたらインクが吸い上げられ、どのようなイメージとして出るかというのを1年くらい試していましたね。
それまでの平面作品の支持体だった紙や布にも厚みがありますが、せいぜい1~2ミリで、それに比べると数センチという木の厚みは途方もないように思いました。だけど、うまくいかない中で木の中という見えない領域を魅力的にも感じてました。
それと並行して、杉やヒノキなど手に入りやすい木でも試しましたがうまくいかなかったです。桜や銀杏・椿など手に入った樹をとりあえず試して行きましたがダメでした。それに、同じ白樺でも福井で仕入れた木はあまりうまくいきませんでした。同じ樹種でも産地や乾燥過程など色々と影響しているようです。
最近になって、伐採から乾燥までをお願いできる北海道の木材店が見つかり、作品用に特別に作ってもらっています。また、伐採したてのものを送ってもらい、自分で材料作りもやっています。チェーンソーやカンナなど、いつの間にか木材加工の道具が充実してきました。(笑)
木は乾燥に時間がかかり、伐採できる時期も決まっていたりするので、先読みして仕込んでおかないといけないのがこの作品の難しいところです。
ある程度、これなら出るだろうという木で制作を行ないます。それでも個体差があってインクが通りにくいものや、反対側に出る像や色の出方にかなり違いがあります。あまりイメージが明瞭すぎても“それ”でしかないし、「受け手にとっての自由度」や「色や像のバランス」を主観的に見て作品になるかどうかを決めています。なので一発で作品になるということは稀で、いくつも制作して、その中から選ぶということになります。作品にはならないけど、色はとても気に入っているから残しておいたり、そういう作品未満のものがたくさんあります。今回はそういうものの中からカットした端材を、購入作品とあわせてお届けしようと思いました。
「Transit」シリーズでは、木の片面にまずシルクスクリーンという技法で、イメージを刷ります。これは元の画像を自分なりの方法で3色のドットに分解したもので、このイメージを紙に刷ったものを小作品として2回目にお届けします。ただこれは最終的にお届けするイメージとは限りませんが。
制作プロセスとしてイメージを選ぶ際のエスキースの役割もあるのですが、それ以上に見えていない部分、木の中で起こっていることを想像するきっかけにして欲しいなと思っています。
動画作品 参考イメージ
プレミアムは「木の実物作品」と、そのプロセスである「インクが滲み出てくる様子を撮影・編集した映像作品」がセットで2作品分が届きます。映像はプレミアムにしかつきません。
プレミアムでもお届けする順番は意識しました。まずはどのようなイメージか分からない真っ新な状態で映像をお届けし、その後に木の実物作品をお届けします。
また、スタンダード版より作品サイズも大きくなります。後半にお届けする作品は、スタンダード同様購入者の方への質問を元に制作します。
林 葵衣さんのプランはコロナ禍の状況で訴えるものがあるなと思いました。
あと、山岡さんの作品が結構好きなのですが、スタンダード版めちゃお買い得だなと思います。
谷本研、中村裕太による「タイルとホコラとツーリズム」はこれまでPARCでの展示機会にあわせて、京都市内のお地蔵さんを訪ね、仔馬とともに白川街道を滋賀に抜け、山へ、川へと旅を続けてきました。その旅は東アジア、沖縄にまで至り、これからも続きます。
[m@p]ではかつての風習にならい、みなさんの「代参」として彼らが「旅」に出ます。順次届く「道中安全祈願式の参加券」や「見送り式で使う小旗」などにより、願いを託した彼らの旅立ちを見送った後、最終回には土産としての「玉手箱」をお届けします。
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「タイルとホコラとツーリズム season9《ただいま!玉手箱》」
近世からの風習に、信仰を同じくする人たちがお金を積み立て、代表者が伊勢や富士へ参る〝講〟という仕組みがありました。今回、私たち2人は「m@p」という企画を〝講〟に見立て、皆さんから募ったお金で地方のホコラへ代参いたします。目標地は竜宮伝説の発祥で知られる岬、長崎鼻(鹿児島県指宿市)です。はやぶさ2がリュウグウから地球へカプセルを届けてくれたように、講中に参加してくださった皆様には、最終的に2人の旅の証明(=土産)として特製の〝玉手箱〟が送られます。あけてはならない玉手箱の中身は、旅が終わるまで分かりません。
スケジュール(案):
2021年
2月 初回お届け内容:漫画シート、証明書
5月 2回目お届け内容:「道中安全祈願式」参加券(6月に実施する「道中安全祈願式」にご参加いただけます)
8月 3回目お届け内容: 見送り用小旗(9月に鹿児島への出発する際の「見送り式」にご参加いただけます)
11月 4回目お届け内容:玉手箱
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谷本:もともと、僕は2020年にPARCで開催する予定だった個展が中止になった経緯があるのですが、[m@p]はその後に活動内容を変更したパルクの新しいプロジェクトだったので、ぜひ関わりたいなという思いがありました。ただ、関わり方としては「個人(谷本研)」か「タイルとホコラとツーリズム(谷本+中村)」の2択があった中で、今回は2人で参加することにしました。
中村:僕も[m@p]の話を聞いて面白さを感じていて、実際にお声がけいただいたのは2020年の秋ぐらいの頃だと思いますが、その段階では僕たちの準備も間に合わず遅れてしまいました。ただ、プランを考える上で思っていたのは、この[m@p]の構造に沿って、ただ単に作品を4回に分けて送るということでなく、そのシステムを自分たちの作品としてどのように消化していくことができるのか、ということでした。
これまでの僕たちの展示の在り方は、鑑賞者を自分たちの作品の中に取り込みながら展開していくものがありました。だから今回、郵便物というものを媒介に作家と購入者との関係性がある中で、その関係をただ送り手:受け手に固定したものとしてではなく、より共犯関係的なものに組み込んでいける方法って何だろうと考えたのがスタートです。その具体的な方法としてみなさんの代わりに僕らが行動に移す、旅をするというのがアイデアとして生まれてきました。
中村:今回は「玉手箱」というアイデアが最初に出てきたことが大きいです。本来、玉手箱は開けることができないので、僕ら自身もそこに何が入っているか分からないというのを前提に出来ますし。僕らのプロジェクトは、いつも初めから何か決まったものをつくっていくのではなく、実際に旅の道中に話したりする中で見つかっていくものなので。ただ、今回のハードルとしては、先にある程度の内容を言わないといけないという悩みがあったのですが、そこに「玉手箱」という未知の箱を提示し、それを含めて乗ってくれる人を募るというのがいいなと思っています。
谷本:あと、今回のプランを考えていた時期に、ちょうどJAXAのはやぶさ2号が、リュウグウという小惑星で採取した砂をカプセルに入れて地球へ帰還させたということがありました。それはおそらく成功しただろうと言われながらも、本当にそこに砂が入っているかどうかは、地球に帰ってきたカプセルを実際に開けてみないと分からないという構造があって。その関係性が面白いなと思っていました。
中村:そして、一番面白かったのは、実際にカプセルが日本に帰還した時に、JAXAの代表の方が「ただいま!はやぶさ2は帰ってきました」と言ったんですよね。「おかえり」じゃなくて「ただいま」という言い方をしてたんですね。その人ははやぶさ2ではないのに。なので、今回の僕たちのプロジェクトタイトルは『ただいま!玉手箱』となっています。パルクのバナーで使っている谷本さんの絵にも、よく見ていただくと飛んでるはやぶさ2が描かれています。[m@p]というのもおそらくアーティストから購入者の方への一つの贈り物ではあるけど、そのあとの在り方も含めて行ったり来たりであるとか、主客が反転したりもありそうですね。とはいえ、僕たちは今から宇宙に放たれようとしています。今回の目的(地)は竜宮伝説の発祥で知られる鹿児島県の岬・長崎鼻(鹿児島県指宿市)です。近くに砂風呂がある場所で、そこはもちろん竜宮と関わっています。とはいえ、僕たちはまだ出発もしてないのでどんな旅になるか分からないですし、玉手箱の中には何も入ってないということも有り得ますが、それ自体を楽しんでほしいです。
谷本:まぁ経緯としては、シーズン8(七条河原じゃり風流)で砂場を素材のひとつとして作品をつくっていて、そこから「今度、砂風呂にでも入ろうか」「指宿(いぶすき)へ行ってみたいね」なんて冗談を言っていた矢先に、はやぶさ2号のニュースがあったんです。そして、竜宮伝説って面白いよねと話していて、「あれ?待てよ」と気になって調べてみたら、竜宮伝説の発祥はいくつかあるんですけど、龍宮神社というのが鹿児島にあるということが分かり、鹿児島といえば…と確認したらまさに指宿にあったと。それらが結びついて、僕たちならではだと思うのですが、偶然の符合というのがすごく好きなので、「これは行くしかない!」となった流れがあります。
中村:種子島のロケット発射場も近いしね。笑
「ホコラ三十三所巡礼案内所」をイメージした会場では谷本《三十三所ミニホコラ》、中村《納涼盆棚観光》などを展示。関連イベントに「ホコラ三十三所巡礼ツアー」やトークセッション「信仰を観光する」を開催。
撮影:表恒匡
谷本:そのための小道具として、発送内容に「見送り用小旗」なども設定しています。まぁ、お見送りに来られなかった場合には、ただの布切れになってしまうのですが。購入者の方にはぜひお見送りに来てもらいたいですね。
中村:そうそう。
谷本:当初、お客さんは京都周辺の人くらいかな…となんとなくイメージしていたので、遠方の方にはご負担をおかけするかもしれませんが、ぜひ多くの人から見送られたいですね。
中村:参加者が増えた方が面白いですし。
谷本:それでこそ〝講〟だしね。
タイルとホコラにまつわる様々な資料や文献を集めた「ホコラテーク」が出現。イベントには「タイルとホコラ・ナイトツアー」やトークセッション「屋根裏談義」を開催。
撮影:表恒匡
中村:楽しめますよ。なんたって僕たちの話をずっと聞いていられます。ちょうど20万円分の接待をしますし、僕たちの旅も豊かになります。笑
『北白川こども風土記』に導かれ、ポニーとともに白川街道を歩き、道中に出会う石仏に花を手向けるキャラヴァンの記録を展示。「こどもと郷土 『北白川こども風土記』を読む2」や「山中町・重ね石を訪ねる路線バスツアー」を開催。
谷本:作品の内容は絶対に変わりますよね。
中村:僕たちは10歳離れた歳の差継承制ゆるやかユニットですが、単純に年上か年下か、でも全く違いますよね。
谷本:もしかしたら僕の代わりの候補になる人かも。
中村:僕が抜けて、谷本さんが組む、年上の方かも。
中村:もう、それなら3人で行ってください、という話ですけどね。
谷本:それは冗談としても、これまで以上に作品づくりにどうしたって関わってくるというところですよね。ある意味、パトロンでもあるけれど。僕らのやろうとしていることの面白みに投資できるという、そういう価値を出したいなと思っています。
中村:改めて今日話していて思ったのは、制作のプロセスを共有できるということだと思うんですよね。旅を共有しながら、もしくは介入しながら、一緒につくっていくことができる、それ自体も作品の中に取り込んでいくという在り方が見所かなと思います。
中村:造本ですね。10年目ぐらいでしょうか。代替わりもありですよね。僕が消えて、谷本さんが残って、新たに10歳ほど年上の人と旅してたりすれば面白いなとさっき思いました。笑
中村:最近、自分のやってるプロジェクトはだいたい連動させているんですが、THTだけは連動させないようにしていて、それがいいなと思っているんです。
谷本:分けてるってこと?
中村:そう。というか、連動しきらない感じ。個人的な関心とは、全然つながらないなって。笑。僕1人でやってるものじゃないから。
牛島が7年前から描きためたシリーズ作品《一枚物語》。
1枚の紙の上の絵と言葉の微妙なズレは、鑑賞者の想像を掻き立て、それぞれの物語が立ち上がるユニークな作品を、4回を通じて全11点もお届けします。初回には4月に刊行された『一枚物語』(192ページ、定価1760円)も同封。
- 現在はオンラインストアにて書籍『一枚物語』を取り扱っております。
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「一枚物語」は、2013年から取り組んでいる平面作品です。 絵と言葉で構成される作品ですが、作中の絵と言葉は、挿絵や吹き出しのテキストのようにお互いを説明し合わず、少しズレた関係にあります。 チグハグな絵と言葉の間にある文脈のようなものを、鑑賞者の想像により補うという物語のつくり方を試みた作品です。 2020年4月には、アリエスブックスから約200枚が収録された書籍「一枚物語」が出版されました。 「一枚物語」はタイトルの通り、1枚で完結する作品ですが、2020年から3枚組の作品「三枚物語」の制作を始めました。作品の試み自体は変わりませんが、3枚組にすることで、時間軸を入れることができ、表現の幅が広がったように感じています。
m@pプロジェクトでは、2回目から4回目に「三枚物語」をお届けします。 関連性を持った合計9枚組の作品(3枚×3回分)とも言えます。 時間軸の入った3枚組の作品に、3回(2回目、3回目、4回目)に分けて届くというこのプロセスが、作品や鑑賞体験にどのように作用するか、とても興味があります。
■初回封入内容
・書籍「1枚物語」(2020年4月刊行)
・m@pプロジェクトのために制作した「一枚物語」(210mm×148mm/クリームコットン紙に色ペン) 2枚
■2回目〜4回目封入内容
・各回「三枚物語」(210mm×148mm/クリームコットン紙に色ペン) 3枚 ※各回3枚、合計9枚
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「匿名の家」は、思い入れのあるモノや様々な地域からの拾得物などを、どのように保管すべきかについて考えた作品です。対象のモノのサイズにあわせたオーガンジーを刺繍糸で縫い、袋状にするものです。小さな歴史とも言うべき取るに足らない日常を、物質的に保管することを試みた作品です。
「記憶や思い出をユニークピースでありマルチプルだと考えている」と語る大﨑。
これまでに出会った人々を絵葉書サイズの紙に描き、それらが水に浸けられることでイメージが溶けていくシリーズ《untitled album photo》から3点と、それらを所収した作品集をお届けします。判然としないイメージは鑑賞者の記憶へとうつされ、あらたな記憶として変容していきます。
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僕は記憶や思い出について、ユニークピースでありマルチプルだと考えている。これらは個人にとって間違いなく唯一のものであるのだが、他者の記憶に触れることは、自分自身と繋がって転写していくようにも感じる。
今回、《untitled album photo》シリーズから、イメージが流れ出していく変容を写真作品としてお届けしようと思う。イメージサイズはKGサイズ、いわゆる葉書のサイズだ。描かれたイメージは、昨年アーティスト・イン・レジデンスで滞在したブエノスアイレスで出会った人々のアルバム写真から制作している。本当にこのコロナ禍で気軽に海を越えた旅ができなくなってしまった。レジデンスの滞在からもう一年以上経ってしまったが、この流れ出し変容するイメージは、薄れていく記憶なのか、それとも記憶がつながる変容の過程なのか。最後の本が届く頃には、誰もが遠い旅先から絵葉書が送れるような世界であることを僕は願う。
■初回封入内容
《untitled album photo (House, Car Green 1.)》
Cプリント
※イメージサイズ15.2×10.2cm シートサイズもしくは台紙サイズ21×29.7cm
■2回目封入内容
《untitled album photo (House, Car Green 2.)》
■3回目封入内容
《untitled album photo (House, Car Green 3.)》
■4回目封入内容
「untitled album photo」の作品集(120p、フルカラーを予定)
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近年取り組んでいる記憶や時間、過去/現在/未来について考える作品より、《日時計》と《untitled album photo》をお届けする。4回目には 《untitled album photo》の作品集(120p、フルカラーを予定)も同封。
■初回お届け内容
・《日時計》のシリーズより1点
■2回目・3回目
・《untitled album photo》のinstax(チェキ)作品より1点
■4回目
・《untitled album photo》のinstax(チェキ)作品より1点
・「untitled album photo」 の作品集(120p、フルカラーを予定)
山に登ったフィールドワークをもとに、チョークによる絵画などを制作してきた来田。
[m@p]では、初回に6月に縦走した八ヶ岳(長野・山梨)の経験をもと、2回目は8月の安達太良山・一切経山(福島)の経験をもとに制作したドローイングをお届けするが、その後はまだ【行先未定】。登ってみないと分からない「未知」が想像させる楽しさ、実際の経験を描かれたドローイングから楽しんでいただける。
- 現在はオンラインストアにて関連書籍として「アートブックセット」を取り扱っております。
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プロジェクトの一年という時間のなかで春夏秋冬それぞれの山に登り、フィールドワークを通じてそこで見つけたことを形にします。
移り変わる季節に意識を向けること、山頂から見える風景や自らの立ち位置を俯瞰的な地図に置き換えることなど、現場での経験や思考、そこから作品へ移行していくプロセスを表現できればと思っています。
具体的な封入物は登山地図をイメージしたドローイングとテキストや写真をまとめた旅のしおり(小冊子)になります。
行ってみないと登ってみないと何が見つかるかわからない、要は行き当たりばったりのプロジェクトになりますが、その過程を楽しんでいただきながら旅や自然の空気をほんの少しでも味わっていただけたら嬉しいです。
■初回封入内容
・Map Drawing 1点 【八ヶ岳(長野・山梨県/6月)】 (64.5×64.5cm・紙に鉛筆、コンテ)
今年の6月初旬に八ヶ岳を縦走した経験をもとに制作したドローイング。
■2回目封入内容
・Map Drawing 1点 【安達太良山・一切経山(福島県/8月)】
■3回目封入内容
・Map Drawing 1点 【行先未定】
■4回目封入内容
・Map Drawing 1点 【行先未定】
・旅のしおり (全4回を通して行程やテキスト、写真などでまとめたもの)
※Map Drawingはそれぞれ、折りたたんだ状態 約20×10cm、広げた状態 約60×60cm、ケント紙に鉛筆、コンテなど で制作予定。
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プレミアムプランではスタンダードプランとは異なり、購入者の方が希望する場所に赴いて、そこでのフィールドワークをもとに制作をおこない作品をお送りするといった内容になります。
山に限らず島や森など、普段なかなか行くことのできない僻地や前々から気になっていた場所のここが見たいなどをご相談のうえ指定していただき、Google mapなどでは決して知り得ない私自身の実際の体験を通じて作品化することを試みます。
ただ、あくまで日本国内の場所に限らせてもらいます。
先行きがなかなか読めない状況なので可能な範囲でということになりますが、なるべくご希望に添う形でプロジェクトを進めて行きます。
(2019年・145.5×145.5cm・キャンバスに黒板塗料、チョーク、コンテ) 展示風景(CLEAR GALLERY TOKYO / 東京)
Photo: Kohsuke Hayashi
お話しをいただいた時は正直「どうしたらいいやろ」とは思いました。ただ、そもそもコロナと関係なく、今年はリサーチで山に多く登りたいなと考えていたんですが、社会的に外出できない、移動できないということになってしまって。本来なら5月の残雪期に北アルプスで一つ登りたいところがあったのですが、そこには行けなかったり。ただ、「出るな」という状況になると、逆にものすごく「出たい」となってきて。[m@p]もどうしようかと考えていて、買ってくださった方とやりとりする方法も考えたんですが、この状況でどうやって作品つくったらいいのか自分でもわからないところがあったので、スタンダードは自分のやりたいことをやろうと思いました。とりあえず今自分がやりたいこと、それが作品になるかはわからないけれど、そのプロセスみたいなものをかたちにできたらいいかなと思って組み立てました。
ものすごく迷いました。ただ、去年の個展の時に物販で登山地図をイメージした折りたたみのドローイングをつくったんです。それは印刷したものだったんですけど、これをオリジナルの作品としてつくりたいと思っていたので、今回のプランに展開してみました。もともと小さいのをつくるのが苦手なので、正直A4サイズでというのは少し難しくて、どうしようかなとすごく悩みましたね。ただ、自分の身体感覚にあったサイズで、かつA4サイズに入れられるというものを考えました。
5月に北アルプスに行けなかったのは、外出自粛や交通機関での移動の問題もあったのですが、山小屋が閉まっていたからです。いつもテントを持っていくんですけど、山の上のテントを張れる場所はだいたい山小屋が管理していることが多く、7月頃まで山小屋自体が閉まっていたんです。だけど八ヶ岳はわりと早い段階から山小屋が開き出して、これならいける、ということで6月に行ってきました。めっちゃよかったです。それまで自粛生活だったので。
ほぼ1年ぶりですね。面白かったのは、もちろん途中の電車などは気をつけて行ったんですけど、いざ登り始めたら必死になって、汗だくでゼエゼエなりながら登ってたんです。で、八ヶ岳の稜線上にいくつか小屋があって、休憩に入ってジュースを買ったりするんですけど、そこで「コーラ飲もう」とグーっと飲んで、爽快な気分でガラガラッと山小屋に入った瞬間に、スタッフの人に「マスクしてください」と言われて。6月なので人も少ないですが、小屋自体は密になりやすいからマスクは絶対しなければいけないので当然なのですが。それまでの非日常感や、山という環境下にいる現実が、「あ、そうやった。あれ、マスクどこやったっけ?」と急にもうひとつの現実に戻された体験が面白かったですね。
そもそも時間のこととか移り変わる季節や風景とか、そういうことを今まで考えながら制作してきたので、1年という時間の中で、何かできることがないか考えて、4回の発送を季節で分けたプランを考えました。同じ山でも季節によって全然違いますし、同じ山に4回登るというわけではないんですが。風景や「今(その時)こういうことを考えていた」ということを留めるのは、後から振り返った時に、それ自体がアーカイブになるようなイメージです。
その時の状況ですかね。[m@p]とは関係なく、今までも山に限らないですが「次こういうのをつくりたい」とか「この場所のここが見たい」と考えて、事前にネットや本や資料で調べて、特定の場所を決めていたんですが、それでも行ってから発見すること、気づくことの方が多くて。なので、行き当たりばったりといえばそうですけど、行ってから初めて自分の身体が反応する部分などを意識したいと最近は思っています。なので[m@p]もあまり決めずに行った方が面白いかなと思っています。社会的にもこういう状況だし、今後に行きたいところに行けないかもしれないので。
2020年12月に福島で個展があるので、そのリサーチも兼ねて福島に行きました。福島の山はいくつか登ったことあったんですが、安達太良山は初めてでした。二本松という山形県の県境にあって、そんなに高い山ではないのですけど、前からずっと登りたかったんです。その時にカモシカに出会ったんですよ。最近は8月に熊がよく出るので、熊鈴をつけろというのは聞いていて、鈴をつけて一人で登ってたんですけど、下りの時にガサガサっと音がして、前に何かがバッと出てきたんです。はじめは「鹿かな?」と思ったんですけど、どうやら違う。向こうもびっくりして、ちょっと離れたんですが、振り返ってじーっと僕の方見てるんですよ。その先を少し行ったところに山小屋があって、スタッフの人に話したら「お客さんラッキーですよ。滅多に人の前に出てこないから」と言われました。
もののけ姫のシシガミ様みたいに。神々しさがありました。たぶん今までなら、出会ってテンションが上がってもそれを作品にとは考えなかったんですが、そういうところは柔軟になってきているかもしれないです。今どういうふうに作品を作ったらいいのか自分の中でわからないところがあって、正直に今考えてることとか感じていることをやるしかないんかなと。そこから何が見えてくるかを探るというか。
山に登った際には、映像を撮ったり、その場でスケッチしたり、言葉を書き留めたりと、いろいろなことをしているんですよ。その中から4回に分けて何かを送ろうと思います。これを購入者の方が面白いと思ってくれるかは不安ですが、実は前からやりたかったことです。これまでは自分が見たい場所とか風景とかを主体的に考えて作品に展開してきました。そうして僕が描いた山の風景は、見る人によって、異なるイメージや記憶、そこから生まれる物語があると思っているんですが、その振り幅を大きくしたいなというのがあるんです。そのために、絵画のスタート地点を僕の主体ではなくて、完全に他者の主体からはじめるという、その人の目に僕がなるということを前からしたかったんです。
現在ではGoogleマップでみたらどんな場所かはわかりますよね。でも実際に行ってみないとわからないこともある。絵画って写真と違って何ができるのか、ストリートビューとは違う体験はどこからくるのか、というのはずっとある問題ですね。話は少しずれるのですが、福島の個展でやろうとしているのは、安達太良山に関することなんです。高村光太郎の詩集『智恵子抄』の中で、光太郎の奥さんの智恵子が二本松出身で、精神を病み死ぬ直前に病院で「安達太良山(『智恵子抄』では阿多多羅山という記載)のほんと空がみたい」と、「東京には空がない」と言うんです。それって抽象的な話で、空ってどこから見た空なのかわからない。でもその詩を読む人が色々なことを思うように、わからないけれど、それを確かめにいく。想像でも足でも。そういった「わからないけれどそれを確かめにいく」という行為を作品にしようかなと考えています。
そうですね。行ったこともないし、多分行けないところに行って欲しい人もいるかもしれません。家の裏山も例えば樺太の手前のような遠いところでも、どちらもいいですね。いつもいいなと思うのは、その途中の道中なんです。往復の道中で、車や電車にのっている時の車窓がよくて、移動中にわりとハッと思いついたりとか考えまとまったりとかします。なので近くでも遠くても、そういう部分は大事にしたいなと思っています。特に、今は新幹線がガラガラだったりとか、こういう状況の中でしか見えてこない風景というのもあると思うので、それはちゃんと見ておきたいなと思います。
実はこれが一番やりたかったことです。本みたいなものは前から作りたいと思っていて。文章が上手かったりするわけではないんですけど、今だからこそ作っておくべきなんじゃないかなと思っていて。行く前に何を考えていたとか、こういうスケジュールで動こうとか、たとえば新幹線のチケットとか、途中までのロープウェーのチケットとか、そういうものを入れても面白いのではと思っています。
[m@p]のプランを考えるということは、今のこの状況の中でアーティストがどういう風にやっていくのかということを考えることと通じていると思っています。僕はもともとPARCで個展の予定があって、それがなくなって「どうしたらいいのだろう」と思いましたが、それも今に通じています。また、「作品をつくりたい、発表したい」という高いモチベーションやテンションもあるんですけど、そういう自分の中のアップダウンするのとは違うところで、[m@p]の1年間という時間が進行していくというのは面白いなと思っています。先ほどの福島の個展のプランの話は、3.11の時に福島に住んでいて、その時にもぼんやり頭の中にあったんですよ。でも僕はずっと住んできた訳じゃないし、そこまでの当事者意識を持つことができないと思ったので寝かしていたんです。ただ今回のコロナって日本のみならず全世界のことで、自分も当事者として他者との共感や共有もできる。その感覚って今だから鋭敏かもしれなくて、だったら今できるというか今やったら面白いことを試してみたい。智恵子が言っている「ほんとの空」も色々あるだろうし、そういうのが提示できたらなと思うんですよね。
歴史や伝承をリサーチする中で「物語」を産み出し、その登場人物の肖像やシーンを写真によって切り取る金サジは、2020年のコロナ禍の体験から物語を創作し、映像作家、ダンサー、音楽家などと一緒に映像作品《AMA〜ウィルスとおよぐ〜(仮)》を現在制作しています。[m@p]ではこの制作のプロセスに生まれた写真、音源、ラフスケッチ、言葉、エスキースなど、作品のタネでありカケラたちを封筒に入れてお届けします。
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映像作品「AMA〜ウィルスとおよぐ〜」のかけら
2020年のコロナ禍の体験から物語を創作しました。その物語を元に、映像作家、ダンサー、音楽家などと一緒に作品を制作するプロジェクト「AMAーウィルスとおよぐー(仮題)」を進めています。本編の完成は2020年末ごろを予定しています。本プロジェクトを進める中で生まれてきた作品の原石のかけらをお送りします。封筒の中に入っているのは、写真だけでなく、音源データ、ラフスケッチ、言葉などを予定しています。
■初回封入内容
写真(インクジェットプリント) シートサイズ:203×254mm
※2回目以降は、作中仕様の音源スケッチ、衣装の素材断片、スケッチ、映像リトルピース等お届け予定です。内容は、制作の進行状況により変更になる可能性があります。
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映像作品「AMA〜ウィルスとおよぐ〜」の写真作品 2020年のコロナ禍の体験から物語を創作しました。その物語を元に、映像作家、ダンサー、音楽家などと一緒に作品を制作するプロジェクト「AMAーウィルスとおよぐー(仮題)」を進めています。本編の完成は2020年末ごろを予定しています。 プレミアムには本プロジェクトの金サジの新作(額装)を全4回でお届けします。
体験を手がかりに、絵画作品を中心に制作する坂口と、パフォーマンスや映像作品に展開させる二木は、2019年より共同制作をはじめた。現在、長野と東京に離れて暮らす二人は、この状況の中で作品を制作するための実践『新しい生活様式』として、お互いの生活をメール、電話、手紙などで伝え合う定期連絡を始め、 文章、絵、映像、アイテムなどを交換し合っている。[m@p]ではこのやり取りの過程をまとめた冊子とともに、二人のやりとりに関するアイテムや作品をお送りする。
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今年3月から現在(2020年9月)まで、新型コロナウイルスの感染拡大によって世の中は大きく変化しています。
様々な企業では通勤からリモートワークに切り替え、飲食店では営業時間短縮、席の間に透明の仕切りが立てられたりなど人と人が密になる状況を避けるよう呼び掛けられています。マスクをつける生活が当たり前になり友人と顔を合わせて話すことも憚られる中で私たちは二人で作品を作ることを模索し、意外にもたくさんやり方があるのだと知りました。
元々東京を拠点にしていた坂口と二木でしたが、坂口は緊急事態宣言終了後、長野県木曽村へ移住。
東京を離れ新たな拠点で模索する坂口と引き続き東京で生活する二木。私たちはお互いの生活を伝え合うため定期連絡を始めました。 メール、電話、手紙などの伝達手段を用い、文章、絵、映像、作品に関連する日用品などを送り合います。
そして相手から送られたものを通して自分の生活を振り返り、その出来事に関連している事象や影響を作品という形にして相手に送り返します。それはまるで不定形のしりとりのように続いていきます。
相手と交換する膨大な情報の中で気になったものを拾い、それを頭の中に持ちながら次の日の予定を決めたり過ごしたりすることは普段の生活でも何気なく行っていることですが、今この状況の中でお互いの距離や生活の違いに着目し二人で行動を共有することは特別な体験であると感じます。
またこの作品を目にしてくださる方々も私たちと同じ世の中の流れを日々過ごしているのだと考えます。
長期間に渡って感染拡大を防ぐための行動をすることを『新しい生活様式』と呼びますが、私たちもこの環境の中で長期間に渡って作品を作るために実践していく事柄があります。それを私たちの『新しい生活様式』とします。
■初回封入内容
・2019年に開催したGalleryParcアートコンペティション『キャンプができたらいいな。』の展示記録集1冊(自主制作)
・『新しい生活様式-Summer-』(坂口・二木のやりとりをまとめたB5サイズのブック)1冊
・『新しい生活様式-Summer-』の内容に関連する文章、絵、映像、日用品ランダムに3点
※2回目以降は、『新しい生活様式-Autumn- 』、同--Winter-、-spring-と、それぞれ関連する文章、絵、映像、日用品等をお届け予定です。
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今年3月から現在(2020年9月)まで、新型コロナウイルスの感染拡大によって世の中は大きく変化しています。
様々な企業では通勤からリモートワークに切り替え、飲食店では営業時間短縮、席の間に透明の仕切りが立てられたりなど人と人が密になる状況を避けるよう呼び掛けられています。マスクをつける生活が当たり前になり友人と顔を合わせて話すことも憚られる中で私たちは二人で作品を作ることを模索し、意外にもたくさんやり方があるのだと知りました。
元々東京を拠点にしていた坂口と二木でしたが、坂口は緊急事態宣言後、長野県木曽村へ移住。
東京を離れ新たな拠点で模索する坂口と引き続き東京で生活する二木。私たちはお互いの生活を伝え合うため定期連絡を始めました。 メール、電話、手紙などの伝達手段を用い、文章、絵、映像、作品に関連する日用品などを送り合います。
そして相手から送られたものを通して自分の生活を振り返り、その出来事に関連している事象や影響を作品という形にして相手に送り返します。それはまるで不定形のしりとりのように続いていきます。
相手と交換する膨大な情報の中で気になったものを拾い、それを頭の中に持ちながら次の日の予定を決めたり過ごしたりすることは普段の生活でも何気なく行っていることですが、今この状況の中でお互いの距離や生活の違いに着目し二人で行動を共有することは特別な体験であると感じます。
またこの作品を目にしてくださる方々も私たちと同じ世の中の流れを日々過ごしているのだと考えます。
長期間に渡って感染拡大を防ぐための行動をすることを『新しい生活様式』と呼びますが、私たちもこの環境の中で長期間に渡って作品を作るために実践していく事柄があります。それを私たちの『新しい生活様式』とします。
プレミアムは、坂口・二木のやりとりをまとめたB5サイズのブックに掲載される作品3点以上(文章、絵、映像、日用品など)を展示キットとしてまとめてお送りします。購入者がブックの内容を通し、作品をインスタレーションとして組み立てることができます。初めての方でも取り組みやすいよう、インスタレーションに関する指示書を同封しております。自宅でインスタレーションを制作後、使用した作品は日常で使っていただけます。
■初回お届け内容
・『キャンプができたらいいな。』展示記録集一冊、『新しい生活様式-Summer-』(坂口・二木のやりとりをまとめたB5サイズのブック)一冊
・『新しい生活様式-Summer-』の内容に関連した文章、絵、映像、日用品などを組み合わせることでインスタレーションになる『新しい生活様式-Summer-』大型展示キット 1セット、指示書
キャンバスの上からではなく、自身が受けた時間や空間、歴史や暮らしなどの様々な制約・影響に意識を向け、「描くこと」から絵画を立ち上げてきた田中は、4月よりジャカルタでの生活をスタートさせました。未知なる国で徐々に知識や経験、そこでの暮らしを獲得している田中が描く絵画はどのようなものとなるでしょうか。毎回送られてくるドローイングやコラージュなどによるZINE形式の作品により、田中の進行形の現在をお楽しみください。
- 現在はオンラインストアにてZINE(初回分)を1点ずつ取り扱っております。
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私は大学卒業後からいままで京都で絵画の作家として活動してきましたが、この春からジャカルタでの生活がスタートしました。 こちらに到着した日がちょうど大規模社会制限の開始日であり、自分にとってもこの都市においても新しい日常が始まりました。 カルチャーショックとニューノーマルがごっちゃ混ぜの異空間において、まずは言葉を覚えたり、道を覚えたり、乗り物に乗れるようになったり、買い物ができるようになったりと、まるで人が発達していく過程を一つ一つ再確認していくようなプロセスの先に, もう一度結ばれる絵画はどのような風景を描くでしょうか?未知の姿に期待をはずませながら、まずは身の回りのコト、モノを一つずつ記していこうと思います。
[m@p]スタンダードでは日々の生活の中で気づいたこと、観察したものを現地で調達した道具や材料とともにテキストやドローイング、コラージュなどで構成されたハンドメイドのZINE形式にてインドネシアからみなさまにお送りしたいと考えています。 作品は印刷物やドローイング等が混在した「ユニークピース・マルチプル」となります。 また画材の購入やプリントにも一苦労する環境の中、zine制作のこぼれ話や現地レポートなども同時に動画配信できればと考えています。
■初回封入内容
インドネシアの生活の中で手に入れた紙、布、絵具、ドローイング等を組み合わせ、またテキスト等を添えて制作した手作りのZINEをお送りいたします。
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インドネシアに暮らしているとムスリム達のお祈りの習慣に新鮮な驚きを覚えます。 彼らがお祈りの時に使用する礼拝マット「サッジャーダ」には鮮やかなモスクの絵が施されてあり、 神聖な祈りの場所を用意しています。 布や絵が持つ包容力、そしてそれに重ねる人々の祈りは、 日本人の画家の私にとって「キャンバスに描く」という行為と 重なって見えます。 プレミアムでは インドネシアで手に入れたバティック等布素材と描画を組み合わせて、 エトランジェにとっての「祈りの場所」となる絵画を描いて一枚ずつお送りいたします。
参考サイズ :人が座れる程度の大きさ(約100×60cm)。素材は布にアクリル絵具等(予定)
郵送で作品を送るという形式を先に聞いていたので、インドネシアにいながら、できることは何かをずっと考えていて、それでZINEのことを思いつきました。私は今年の4月からインドネシアにいるのですが、コロナの影響の中でインドネシアでの生活が始まったという特殊な環境にいるので、こういう人は他にあまりいないだろうなと。ポストに届くという形式から、自分の制作・作品がどうというよりは、どちらかというと「ニュースレター」という意識で捉えてプランを考えていきました。ニュースでインドネシアの感染状況は伝わっているかもしれないけれどそれとは違うレベルで、こちらの雰囲気が伝わればと思いました。作家がこういう状態で現地にいて何ができるのか、例えば最初は画材屋さんもどこにあるかわからない状態でしたが、ちょっとずつ言葉を覚えて、市場で買い物ができるようになって、紙が買えて…というような、ものすごいマクロレベルのニュースレターみたいなもの。自己表現とかとは違う作品のあり⽅やものづくりを探すきっかけになれば良いと考えています。
現地で調達した布や紙といった材料でZINEをつくって送ります。1回目のZINEの表紙はインドネシア語の練習のためのドローイングです。インドネシア語の単語が覚えられないんです。もう歳なので。なので、文字のテンプレートの定規を買って、それでひとつずつ塗っていくと、さすがに覚えるかなと思って買ったんです。ただ書くだけじゃ忘れてしまうので、塗るという行為があると覚えるのではないかと思って。。四つ切り程度の⾊鮮やかな紙に⾊々な⼤きさの⽂字を配置して書きました。もう少し大きい紙に書いてそれをカットしています。ドローイングの上に、手書きで書いた文字があります。手書きで書いているものは何も見ずに、自分でもうすでに覚えた言葉で書いた文章なんです。下の層にあるのは、覚える時に定規で書いたもので、上の層にあるのはすでに自分のものになったインドネシア語です。そうやって言葉をどんどん自分のものにしていくために書いたものです。
セレモニーの時に巻きつける飾りなんだそうです。記念日に自転車にそれを巻きつけて街を走るという習慣があったりします。ZINEをまとめている紐も、日本にはあまりない色だなと思って買いました。表紙の裏は、ストリートアートを写真に撮って、それを描いてみました。もともと字を変形しているようですが、私にはわからないので、抽象画に見えるんですけど、かたちははっきりしているので、おそらく意図があって描いているんだと思います。
赤と白のドローイングです。インドネシアの国旗は「メラプティ」という赤と白の二色です。日本の日の丸と同じ二色ですが、日本だと国旗を飾るということが日常の中では少ないですが、インドネシア人はそこら中に国旗がいつも飾ってあって、いろんなものの色が赤と白でデザインされていたりします。8月17日の独立記念日の時には、みんな赤と白の衣装を着て、体中に赤と白のペイントをしたり、10時になったらモナスという独立記念塔に向かって敬礼をしてました。自分たちの国を愛しているし誇りに思っていて、街中が赤と白で溢れるんですよ。みんな屈託なくて、全身赤と白で。独立は75年前で、日本の終戦記念日と数日違うだけで戦後すぐにできた国ですが、日本が戦後辿ってきた歴史と、その時に生まれた国がこうも違うのかと不思議でした。同じ赤と白の国旗なのにここまで国に対する意識や感覚が違うということがなんなのか。そういうことを思って始めたドローイングで、その一部を切り取って入れ込みました。
なぜかわからないけど、その落書きが街中にいっぱいあるんですよ。いろんなところにいろんな人が描いているので何かわからないけれど描いてみました。ストリートアートの本場なのであらゆるところに落書きがあるのですが、これがいろんなところに描かれていて、上手い人も下手な人もいます。今回はそんな感じに私も便乗して描いてみました。
3枚目は中華街に行った時にお札やお香を置いていて、このお札もきれいなので何かと聞いたら「お祈りをする時に燃やすもの」らしいんですよ。お線香に近いのかもしれません。金箔が貼ってあるのも元からです。これには私は手を加えていません。人が亡くなった時は銀の札を使⽤するらしいです。こちらには中国の方が多くて、富裕層も多いですし、商売をされている人も多いので、インドネシアの中では中国人は経済力があると見なされています。 4枚目は気になったものを切り抜いて貼ったものです。インドネシア人のセンスがわかるような気がしませんか?屈託のなさというか。チョコレートのラベルも貼っているのですが、オランダの植民地だったので、オランダの香りが残るものも結構あって、喫茶店だったりクッキーとかパンの文化もあって、おそらくそのチョコレートもオランダ時代の流れだと思うんです。オランダの文化も残っているし、中華系の文化も入っているし、戦争の際は日本が入ってきたり、もともとのローカルな文化もある。インドネシアといってもものすごく大きい国なので、いろんな地方の人がいて元々の言葉は違うらしいんです。それを独立の際に統一したとのことですが、多文化、多様な層がある国です。寿司のキャラクターも貼り付けていますが、それは市場のかわいい紙が売っているコーナーのようなところで売られていた包装紙です。 5枚目はテキストなんですが、それをコピーするのが大変で。コピー屋さんに行ったんですけど、今コロナで全部ビニールでコピー機を囲っていて、自分でできなくて店員さんにお願いしないといけないんです。インドネシア語でなんとかコミュニケーションとりながらコピーしてもらったのですが、インドネシアはA4ではなくてフォリオ版という大きさでが主流で、微妙に縦に長いんです。はじめA4だと思っていたら少し長くて、途中であれと気づいて。それが結構カルチャーショック、初めに感じた異文化でしたね。 6枚目の折り紙はインドネシアで買った折り紙で、全10色で、それが全色なんですが、なぜ限られた10色でそれを選ぶのだろうというのが不思議です。黄土色などもないですし、蛍光色が3種類ぐらい入っているし。国の色彩感覚がよく表れているなと思うのですが、もしかしたら何も考えずにただ適当にそうしているだけかもしれません…。
インドネシアでも折り紙は⼈気のようです。また飾る⽂化も豊かに感じます。日本だとお葬式や開店祝いで花を出すけど、インドネシアではデコレーションされた看板を出すんです。そういったデコレーションが好きみたいで、先ほどの自転車に巻き付けたりする話もそうですが、デコレーションは日常的にみんな、美術好きとか好きじゃないにかかわらず、日常的に親しんでやっていますね。
このあたりに生えているモンステラの葉を描いています。日本のとは大きさと勢いが全然違うし、たくさんあるんで、散歩の時にとってきて型をとって、その型をあてて色を塗りました。こちらではそれだけで生えていることはあまりなく、大きい木に寄生しているように生えています。おそらく庭師の方が植え付けているのですが、木の下の方に、例えばランとかを植え付けたりして木全体が綺麗にみえるように手入れしているんです。この辺りが割と高級住宅街だから、庭師さんが入っているのだと思いますが。
セダップマラムという、よく市場で売っている花なんですが、夜になると香りがするんです。インドネシアではよく買って帰って家に飾っているんです。使っている紙も、日本では見ないグラデーションだなと思って買いました。
毎週金曜日の12時に男性はみんなお祈りに行くんです。その時に「サッジャータ」という布を持っていくんですが、この布がいろんな模様があって、鮮やかで。みんな自分の気に入ったものを持ってモスクに行って床に敷いて、モスクが描かれている部分に頭をつけてお祈りをするんです。お祈りする場所を絵1枚が、布1枚が与えているというのが面白いなと思いました。イリュージョンというか、私が絵画に求めているものとすごく近いなと思いました。だいたい60cm×100cmぐらいの大きさで、人が一人座れるぐらいの大きさ。そのぐらいの大きさで何か祈りの場所のようなものを描くことができたらと思っています。みんな肩にかけて、銭湯にいく人のような出で立ちで出かけていくんです。もともとバティックとか染物文化が盛んで、布に関しては色彩や柄がすごく豊かですね。今もコロナでみんなマスクしているんですけど、イスラム教徒なので女性はヒジャブを巻いているんですけど、それとマスクと服の色を合わせたりとか。着るものについてはたとえ貧しい人でもセンス良く着ている。プレミアムでは、インドネシアで手に入れた布素材と描画を組み合わせて、 誰かの「祈りの場」となるような作品をお送りします。
画材などは市場とか文房具屋とか、最近は画材屋も見つけて少しずつ開拓しています。価格も安くて。絵の具なんかも安いんですけど、日本のものとは色も形状も質も全然違う。インドネシアではストリートアートが盛んです。キャンバスの上に絵を描いて、ギャラリーとか美術館とかで発表するという、いわゆるハイカルチャーみたいなものがあまり根付いていなくて、それよりも道端の落書きとかコレクティヴハウスみたいなものが勢いがあるという印象です。
点としてはあって、現代美術館も1つだけあります。あとはジャパンファウンデーションやゲーテインスティテュートとかはあるのですが、シーンがあるかというと私もコロナで動き回れていないのでわからないのですが、作品を売って生きていくということはあまりないような気がします。アートフェアがあって一時的に人が集まってということはあるかもしれないけれど、人が恒常的にギャラリー巡りをするとかそういうことはないような気がしています。例えば京都だと歩いて回れますし、東京でも徒歩圏内にかたまっているということも多いですが、ジャカルタってどこに行くにも車移動で、そこに行こうと思ったら車で渋滞を乗り越えていって、また車で移動して、というのが日常生活すべてにおいてそうなので。ジャカルタについては⽇本のようなシーンはあまり感じられません。ストリートアートやコレクティヴハウスというもののほうがシーンとしては根付いているような気がしています。ストリートアートは隙あらば、という感じであったりします。郊外に行くとすごく鮮やかな、上手いものから下手なものまでいろんな絵や字が溢れています。
とはいえ、現在では美術や絵画が、西洋とは違う形でですが、すでにあった暮らしに紐づいていたりして。そのあたりの関係性のズレが面白いです。
そうですね。作業台が少しあるのでそこか、リビングの床にブルーシートを敷いて描くか、どちらかですね。しかも地下の部屋なので光は入らない。でもそれ以前に、そもそもアトリエで描いて、ギャラリーで発表するというのが何やったんかなというのも、こちらにきて半年ほど経ったので、そのことの特殊性みたいなものを感じるようになってきています。
自身の発話による唇の動きをキャンバスや壁に写しとる作品を制作している林。[m@p]では初回に発送する「How are you? 」を写しとった作品を手がかりに、購入者との間に往復書簡の要素を取り入れる。キャンバスの上に口紅の跡として残る、返答と応答による短いやりとりの軌跡からは、確かに相手の声が聞こえてくるようで、本プロジェクトは未知なるこれからの1年に渡り、互いの「音沙汰」を聞き合うコミュニケーションでもある。
Sound-trip letter |音沙汰
一人で家にいると、生身の人の声を聞くこともなければ自分が発声することもない。 自分の声がどのような音程、形、手ざわりであったか忘れてしまうと、とっさに声が出なくなる。 1年間のうち4回、短い声を届けます。 作品購入者は、その声へ返事をすることができます。 購入者の応答により作品に留める発話内容が変化します。 購入者との計8回の声の往復によって作品は分岐点を持つ事ができ、あらかじめ決められた発話とは異なる形へ変容していきます。 Round-trip letterとは、往復書簡という意味を持ちます。 ここでは音を交換する・音沙汰を知らせ合うという意味として、Sound-trip letter|音沙汰 と名付けています。
音沙汰を聞き合うことで、手紙の向こうにいるあなた、わたしの声を忘れないでいたい。
■初回封入内容
・タイトル《How are you? |調子はどうですか?》 (キャンバスに口紅、18×18cm、 2020年) 1点
・返信用封筒 1点
《How are you? |調子はどうですか?》については、[ ブラック × ホワイト ]、[ オリーブグリーン × ボルドー]、[ イエロー × レッド ]の中から、先着順でカラーをお選びいただけます。返信用封筒は、作品内容に関して返事を出していただけるものです。返信内容によって2回目以降の内容が変わる可能性があります。
■2回目封入内容
タイトル《Im ( ).|私は(現在の状態)です。》 キャンバスに口紅作品1点 返信用封筒1点
■3回目封入内容
タイトル《What can you see from there? |そこから何が見えますか?》 万華鏡のオブジェ1点 返信用封筒1点
■4回目封入内容
タイトル《I’m looking ( ) . 私は(発話時、見えたもの)を見ています。》 写真に口紅作品1点 返信用封筒1点
FAX用感熱紙ロールに口紅、サイズ可変、 2020年
販売価格:
Description of person|人物記述
訪れた土地で話されていたであろう言葉を調査し、再度壁面に唇拓で発話・転写するTime of dialogueシリーズを2017年から展開しています。
このシリーズは、自身が心に留まった言葉や聞き取った音を発話した唇の形でキャンバスや紙に転写し保存するphonationシリーズを制作する中で派生して出てきたものです。
m@pプレミアム企画3・4回目封入内容ではTime of dialogueシリーズで行ってきた“土地との対話“を人物(購入者)との対話”に置き換え、人物(購入者)の口ぐせや身ぶり、歴史などをオンライン・電話等で取材し、生まれた言葉、エピソードをピックアップ、一つの巻物(FAX用感熱紙ロール)に唇拓で記述します。
◼️1回目封入内容
《phonation -声明- 》 (FAX用感熱紙ロールに口紅、サイズ可変、 2020年)
・返信用封筒
「身体は心拍の影響、呼吸による喉と唇のふるえ、記憶の歪みなどから自分の意図通り完璧には動かせない。 これまで反復によるずれ、色彩の残像、音声の保存をテーマにした作品を制作してきた。 自分のものではないようにもどかしく思う見えない身体のふるまいと対話し、目に見える形を与え、提示している。」
※上記テキストを唇拓したFAX用感熱紙ロールが届きます。※作品を返送いただき、次回作品を続けて制作しお送りします。
◼️2回目封入内容
《phonation -statement- 》 (FAX用感熱紙ロールに口紅、サイズ可変、 2020年)
・返信用封筒
「A body is not controllable by one’s intentions because of ; heartbeat, throat and lips vibrated by breathing, and warped memories. The divergence in repetition, the afterimages of colors, and voice preservation, have been my main theme on artworks. Having conversations with body behaviors, as if it was someone else’s, gives visible shapes and a clear representation.」
※上記テキストを唇拓したFAX用感熱紙ロール作品が届きます。
※作品を返送いただき、次回作品を続けて制作しお送りします。
◼️3回目封入内容《Time of dialogue -○○- 》(FAX用紙に口紅、サイズ可変、 2020年)
・返信用封筒
購入者とオンライン・電話等で直接話をし、対話から出てきた内容をピックアップ・テキスト化し発話したFAX用感熱紙ロール作品が届きます。
※作品を返送いただき、次回作品を続けて制作しお送りします。
◼️4回目封入内容《Time of dialogue -○○- 》(FAX用紙に口紅、サイズ可変、 2020年)
購入者とオンライン・電話等で直接話をし、対話から出てきた内容をピックアップ・テキスト化し発話したFAX用感熱紙ロール作品が届きます。
(3・4回目封入内容に関しましては支持体を私有地壁面等に変更することが可能です。詳しくは下記を参照。)
※人物(購入者)にゆかりがあり、発話に適する私有地・支持体である場合、唇拓作品をFAX用感熱紙ロールではなく購入者が指定する場所へ転写・設置もできます。ご相談ください。(例:店舗の壁面・ショーウィンドウ・自宅の窓ガラスなど)
※私有地などへ転写・設置をご希望の場合、3回目の返信用封筒は同封されません。
※FAX用感熱紙ロールは人物取材のメモ帳として使用させていただき、最終的に購入者へお届けします。
最初にお話をいただいた時に「やります」と即答したのはいいんですけれど、1stグループの方々が思いつく限りのことをされていたので、ものすごく考えました。「ポストに作品を届ける」というコンセプトについては、私は文字を作品にしたりするので、手紙を書くという方法が一番自然かなと最初は思いました。ただ、一方通行で送るだけなのは面白くないなと考えて、往復書簡にしようと思ったんですけれど、お金払ってやってもらうべきことかと考えると違うなと思って。そこで、特に3月から6月にかけて自分の感じたことをまず入れ込めたらいいなと思いました。たまたま、5月頃に手紙を人に送ったり、手紙をもらうこともあったんですが、家から出られない時に手紙をもらうのは、それを読んで旅するような気持ちにもなるし、別の空間に連れて行ってくれるという気持ちがして、いいなと思ったんです。送る時も、例えば切手をどれにしようかなとか、ちょっと1枚絵を入れてみようかなとか、色々なことをたくさん考えながら送ることができますし。家から出られない時だけど「こういう景色見たよ」というものが1枚あるだけで、そこからの広がりが変わってくるのかなと。なにより相手のことを思いながら書いたり、つくったりが楽しいなというのがあって、それが今回の[m@p]のプランの元になっています。
「音沙汰をききあう」というタイトルをつけたんですけど、英語のタイトルが「Sound Trip Letter」といって、音を聴いて、手紙を読みながら旅をするようなやり取りができたらと考えました。こちらからの1通目は決まっていて、私が唇拓の作品(口紅を塗った唇を支持体に押しあて、言葉を発することでそのカタチを描く作品)により「調子はどうですか?」という投げかけをします。受け取った方は同封した返信用の封筒を使って、その投げかけに返事を書くこともできますし、その内容によって、私が送る2通目の作品を考えることができるというものです。お返事をタイトルに組み込んだり、応答を文字と作品に展開していきます。返事がない場合も考えてはいますが、返事によって想定から外れていくことができるのが面白いなと思っています。作品を送るだけではなく、私も返事を出してやりとりが1年間に渡ってできるので、一人でつくっているというのと違うし、「続けなければ」という気がするのがいいなと思っています。
私は一人暮らしなので、自粛期間、人と話す機会が減っていて、その中でコンビニなどに行ってお釣りをもらう時に「ありがとうございます」と発話すると、「あ、声が出ないわ」と思うこともあって。声の出し方を忘れている、と思ったんです。ボリュームや音程も、おかしくなったりして、不自由というか不器用なかんじになっていて。そんな長く続くことじゃないと思っていたけれど、「ずっとこの状態が続いたらどうしよう」と思っている中で、手紙でやり取りできることが救いというか、電話すればいいのですけれど、用事がないとしないですし、相手の時間を拘束してしまうということも気になるし。オンラインでのミーティングも苦手で、家の中が家じゃなくなる感じがして、だから手紙ぐらいの距離がちょうど良かったです。今後の状況がどのようなものになっても、ある程度継続していけますし。
すごく親しい友達も1シーズンに1回会えたら、という距離感の方が楽やったりするので。仕事とかで毎日会わないといけない関係だと、逆に距離を取るんですよね。あまり近づきすぎるとしんどいというのもあるし。1年に1回でも、いい話ができればそれで満足できると思います。
お返事がない場合は、2通目以降「私は元気です」とか、自分の状況を伝えるという感じになるかもしれません。もちろん、出来ればそこから外れていったほうがいいなと思いますが。ただ、2通目を出すときに自分が元気でなかったり、調子が悪いかもしれないので、結局は状況によって変わります。往復書簡は過去にやったことあるんですけど、会ったことない人とやり取りするのは初めてです。その人が触ったものが届くって、ドキドキするんですよね。zoomとかでもその人の部屋が見えたりとかするんですけど、それは全部がずっと「向こう」という感じがして。誰かが触れた物を送る・もらうと、その「向こう」が「こっち」に来る感じで。実際に空間というか、実感が繋がる感じがします。
スタンダードの「音沙汰」は一言のやり取りであったり、ある程度の自由度や距離感がありますが、プレミアムはより関係性が密になっていて、毎回やり取りをしあう交換日記のような感じです。最初の2通は私が作品をつくっていく上でのステートメントを日本語と英語で送るというもので考えています。それって私が今までやってきたことを濃縮して、言葉にして書きとめているものだから、送られた方も重いかもしれませんが、そういうものを送った時にどんな応答があるのだろうというのも気になります。3・4通目は購入者の方と実際に電話やオンラインで話して、その人のことを私にいっぱいインストールして、その人のことを唇拓で描く、つまり取材によりその人を記録に残すというやり方をします。2017年ぐらいから建物や土地を取材するという制作をしていて。たとえば名古屋のビルの一角で展示するということになった時にはそのビルがもともとどういう歴史だったり使われ方をしていたのかを取材して、そのビルで暮らしている人たちに話を聞いて、壁にその場所で響いていた声を再現(唇拓)するという作品を制作したりしました。その取材対象を人にしたバージョンをやってみようと、こういうプランを考えました。
手紙のやり取りというのはスタンダードと同じですが、一回のターンの重さが全然違うと思うので、ライトな方がいい人はスタンダードで、重いのが好きという方はプレミアムで、そういった区別もできると思います。プレミアムの方は送った物で最終的に展覧会が一つできるのではないかとも思います。このことは今後の自分の制作・展示にも応用できるだろうし、人を取材して言葉を作っていくということができると気づけたのは自分にとってプラスになりました。私のステートメントと、相手の方の特徴や言葉がリレーして、ひとつながりになっていく。これって交換日記も同じだと思っていて。ページは違うけれど、二人の人の記録が一つの本にまとまっているような。巻物に何かを書いてもらってもいいですし、もし買ってくれた人さえよかったら取材した時の印象や「こういう言葉を話した」ということを記述するのもいいなと思っていて、そのあたりは話し合えたらなと思っています。
観にいくのがもともと好きなのですが、コロナ以降、「観に行く」ということのハードルがあがって、その分、好きな作家や作品は何があっても絶対に観に行きたい、となっています。そういう意味では、そこが極端に分けられてしまったような気がしていて。それがいいのか悪いのかわからないですが、熱量みたいなものが変わったなというのがあります。展示する側としては、展示ができることは嬉しいんです。もちろんコロナの影響もあるので、それを考えた上で「展示しませんか」という話をもらえたらめっちゃ嬉しいんです。それで続けてきたし、続けていけるなというのがあるから。パフォーマンスもちゃんとお客さんとの距離を保った上でならできるということもありますし。疑問や不安はあるんですけれど、やはり嬉しいです。映像配信なども必要だったらやればいいと思います。
来田広大さんのプランのプレミアムが興味あります。「出かけられない人の代わりに来田さんが行ってきます」であるとか、「来田さんにあそこに行ってほしい」という構造が面白い。その人の身代わりになるというのもあるし、購入者の方が来田さんを対象に考えたりすることになるのが面白いと思います。それに、そういうアーティストの在り方ってあるんだとも思いました。田中奈津子さんも異国の香りを届けてもらえるというのがいいなと。ウェブにアップされた写真を見ていて、そこに写った布が現地の色だと感じて。それが日本の自分の家に届くというのが、旅行していないのに旅行した気分に慣れるのがいいなと。いずれも「現在」という状況下で、場所とか特性を活かしているのが面白いです。1st(7月)の時期では、コロナの真っ只中だけど、できることがこんなにあるんだ、という感じでしたが、2nd(9月)では、やり取りやコミュニケーションというの要素が含まれていて、この数ヶ月であっても、時期によって異なるのかなと。3rdも変わるんだろうなと思うと、それもまた楽しみです。
カラーフィールドペインティングを主として絵画制作を続ける平野は、これまで作品制作を繰り返す中で画面に現れてくる「あるカタチ(構図や図形)」をモチーフにした作品を展開させる。かつての行為や営みの中に生じた痕跡を取り出し、新たな時間と空間に接続してみせる今回のアプローチにより、平野の作品がどのように変化するかはまだわかりませんが、お届けする作品に鑑賞者がその時々の(生)を見出していだければ。
- 現在はオンラインストアにて各シリーズ1点ずつ取り扱っております。
販売価格:
絵具を塗り重ねることで、空間が現れ、近くにあることを遠ざけ、遠くにあることを近づけようとし
尊さや思いを馳せることを絵画作品で留めたいと制作をして来ました。
今回のスタンダードの作品では、制作を繰り返す中で、
現れてくる特定の図(構図や形)を取り出し描いたシリーズです。
それらは一つのレイヤーとも言えます。
行為から断片的に図を取り出し 新たに出会うことで、時間と空間を超えて蘇る記憶、
また、立ち現れるものは具体的で意味を持たない何らかの気付きかも知れません。
制作する事と、作品を鑑賞する事は、同じく作品から見つめ返され、 生を投げかけられることだと感じています。
今回の企画がその様な機会に成れたらと思います。
■初回封入内容
作品タイトル《Superposition》 (厚紙に油彩、240×140×1㎜ )
■2回目封入内容
作品タイトル《Fingertip》 (厚紙に油彩、240×140×1㎜ )
■3回目封入内容
作品タイトル《Two eyes》 (厚紙に油彩、240×140×1㎜ )
■4回目封入内容
作品タイトル《Distance》 (厚紙に油彩、240×140×1㎜ )
今回のために制作した作品、4シリーズを1点ずつ4回に渡りお届け致します。
同じ構図のイメージを10ロット制作しますので、全てがユニークピースとなります。 裏に、作品タイトル・サインあり。
販売価格:
継続して制作している「Twilight」の新作絵画作品を1点ずつ4回に渡りお届け致します。
裏に、作品タイトル・サインあり。
参考作品
作品タイトル《Twilight 2002》(木製パネルにキャンバス、膠、石膏、油彩、410×318×18㎜)
PARCらしいアイディアでどこもやっていないし、とても興味を持ちました。
日頃から展覧会と言うもの役割や在り方みたいなものを大切に思っているのだなと思いました。
サイズについては手に取りやすく、購入者として考えると暮らしに寄り添いやすくて良いなと思いました。
しかし、作り手としては4回に渡って作品をお届けすると言う内容だったので、正直どのようにしようか悩みました。手に取りやすい「商品」としての魅力も必要ですが、やはりPARCが考える、展覧会の在り方から派生した「未知のものに出会う」や、「商品」以上の作家として封じ込めるものをしなければならないなと。
これまで抽象的な表現で、体験した事や、対象を留める事を描き実現してきましたが、今回は絵具を塗り重ねて行く行為の中で、手先から芽生えた意識のようなものにアクセスするドローイングを4つのシリーズに納めました。ここでの意識とは「心の中」と言うより、描く事や絵具などの接触によって現れてくる、それらと一体になる身体技法という感じです。簡単に言えば偶然性を頼りに新しい視点を獲得する事です。今回のシリーズでは、設定したロット分を制作するにあたり、同じ構図を繰り返し制作しましたが、繰り返すことで単なる同じものの反復ではなく、差異の出現や形を断片的に持ちだすきっかけを生み、一回的な現象に強度を持たせることが出来ないかと思って制作しました。ですので、これまでの延長であり、新たなアプローチであると言えます。
厚紙は小さな作品を作るときに良く使っています。近年は、なるべく厚みが薄い支持体に描きたいと思い、油彩が耐えうる厚紙や木製パネルの中でも薄い厚み幅のものを使用してきました。厚紙は小さな作品を作るときに良く使っています。支持体を選ぶきっかけは感覚的なところからが多いですが、絵の持つイリュージョンと、あくまで絵なんだ、という両義性を持たせること、その軽さが作品に必要だったので厚紙を選んでいます。
2004年頃から主に風景画を描きはじめ、そこから継続した「見ること」を主旨としたしたシリーズです。ここでの「風景」とは「自然」であり、日常的に見る山や空、木々など自然物です。それらは、描き始めた当時の私にとって、制作場所から山や木々が近いこともあり身近で何気なく見つめられる対象でした。初期の頃は風景から視覚的な形を描いていましたが、徐々に形は無くなり一見すると一色の色面のみに見える作品を制作し発表するようになります。形が無くなった事は、「風景」を描こうと筆を走らせ対象を捉えようとした時、木の枝葉やその成り立ちを「描く」ことをすればするほど対象から遠ざかる感覚を得て形を捉えようとするにも、自身が持つ目を超えた身体を通して一体となる現象がどうしても捉えられておらず、「絵」として収めることでは敵わなかった事や、「風景」と向き合った時、自身のちっぽけさや、描ききることなど到底出来ないと感じたことが理由です。自分の見て感じた対象が安易に「絵」として出来上がってしまうことに抵抗を感じたとともに、表現することについてより考え始めたきっかけとなっています。
現在は「風景」を直接見に行ってスケッチすることも少なくなり、持つイメージを手放し絵具を塗り重ねる行為の中に、対話を作り、そのレイヤーが空間として立ち上がるような作品を制作しています。制作手順としては三原色を主に使用し、各色ごとに塗り重ねて行き、塗り重ねることで色が混ざり、層になることで色が影響し合う。その色調の中に、色の強弱が生まれ光を感じ、「色」や 「形」を視ることができる。その現象は、暗闇に視界が包まれたときに、眼が徐々に慣れていき 認識して行くことに似ており、「見る」ことを一方向からのプロセスではなく能動的に作りあげることが私にとって重要になりました。
作品タイトル「Twilight」は、夕刻の沈んだ時、木々や森、建物が影となり空の方が明るくなる時間帯、狭間にある時間帯を指します。その時間帯を良く描いていたことも由来の一つですし、Twilightの意味に「黄昏」という意味もあり、作品が黄昏時のように鑑賞者にとっても見つめられるものになればと思いました。
それらの素材を使う意図は、先の質問への回答と同じく、薄くて、平坦な支持体を作る上で必要です。木製パネルの上に麻布のキャンバスを貼り、膠と石膏を混ぜたものを塗り、平坦にするため研磨したものに描きます。塗り重ねて行く描き方なので、キャンバスの布目が気になり出しこの方法に至りました。作品仕上がりが気に入っており、現在はこの方法で描いています。例えるとしたら、白いTシャツを吟味するような・・・・、質感、リブの太さ、など着て肌に触れるものを選ぶような感覚に似ていて、他人から見たら気づかない事のような感じです。
芸術活動を続けて行こうと思った当初からあるものです。大学時代に教わった柏原えつとむ先生から「文化は作家が作ったものでは無い。作品の鑑賞者が繋いだもの。作家が歴史を繋げてきたなんて大間違い。」といったことをおっしゃっていたことが大学を卒業しても残っています。解釈は少しずれるかもしれませんが、作品には作者の意図以上に、制作の時間や眼差しみたいなものが痕跡として留まっていると考えます。それは絵具のこんもりとしたマチエルだけではない物でも。作品からそれらを感じた時、どこにも消化しきれないような、作品から語られたにもかかわらず、自分から出たような予感のようなもの。それは作家が制作中にも、完成作品を前にした鑑賞者にも、あるのかなと思っています。
むらたちひろさんの制作過程にフォーカスしたスタンダードプランがいいなと思いました。そこから舟というイメージでのプロダクトも詩的でここから新たに始まるストーリーを彷彿とさせます。
木版画家・ふるさかはるかは、自然の素材や現象、そこにある人や暮らしなどを眼差し、そこから版画を制作します。一片の木材のカタチや木目を観察しながら丁寧に版を彫り、採集した藍や土絵の具を用いた版画制作は、今度はその版木を木目に従って割り、そこに生まれた新たなカタチを受けて次の版へと繋がっていく。一片の木に森や自然を思い、そこに寄り添いながら手を動かすことで現れてくる木版画シリーズ《ソマの舟》から4つの作品をお届けします。
- 現在はオンラインストアにて版画作品、エッセイそれぞれ1点ずつ取り扱っております。
販売価格:
一片の木から、ソマ*の森、恐るべき自然を思い浮かべることは無謀だろうか。版木を彫っていると、その形や木目から木の育った環境を想像することがある。目が詰まって硬かったり、割れ目がねじれていたり、枝の切られた痕跡が彫り出されたり。一見捉えどころのない木片にも、それが経てきた物語を語る力がある。
一方、手仕事と山の暮らしについて取材したことを思い返せば、山の人は海を、海の人は山を語ることがある。自然のサインを深く読み取ることのできる人は、眼前にある物事の向こう側を見ることができるのだろう。
一片の木は、私たちと自然との継ぎ手となるべく、「向こう側」を示唆するために拾われたのかもしれない。木目に従って木を割り絵をなぞることから、自然と協調して生きることを確めたい。恐るべき自然はいつでもどこにでもあるということ。それをどことなくわかっているのにやり過ごし、生きる感覚を鈍くしてしまわないように。
*ソマ = 杣夫・きこり
■初回封入内容
《Leaving》
227x176mm, 木版, 土 藍 紙, 2020
※刷り具合は1点ごとに少しずつ異なります。
初回作品《Leaving》は、〈ソマの舟〉のショートエッセイ「禍と移動」を描いた木版画です。
■2回目封入内容
・藍と土の木版画(新作)「津軽のマタギと梨の木」について。《梨の木》(仮)
■3回目封入内容
・藍と土の木版画(新作)「白山と漁師」について。《常夜灯》(仮)
■4回目封入内容
・藍と土の木版画(新作)《火山》(仮)
・作品にまつわるショートエッセイ
※タイトルは変更することがあります。
※作品サイズは4回とも共通。市販の額「インチサイズ」に収まります。
販売価格:
シリーズ〈ことづての声〉では、津軽人びとの「自然から読み取るサイン」を示唆する何気ない言葉を取材し、その言葉と木のもつ自然の形とを協調させるように絵を描きました。絵の色には、作者が津軽で集めた土と、栽培した藍の葉から抽出した絵具を使用しています。
シリーズの中から津軽のマタギ(狩人)などのお話を描いた木版画 とドローイング、版木の4点を選びました。最終回には取材した言葉にまつわるテキストが添えられ、4回分の作品を並べれば小さな展覧会が完成します。木版画(2点)とドローイング(1点)は、作品に合わせて誂えた額装(写真参照)をしてお届けします。版木(1点)はいずれかの木版画の版木となります。
手工芸は大抵、それを使う環境に合わせて身近な天然素材で作られ、その土地の人と自然を関係付ける道具となる。北極圏に住むサーミの人びとの場合、古来遊牧してきたトナカイから取る毛皮は、時に-40度にもなる厳しい冬の寒さから身を守るための衣服となった。身近な自然の形を借りて作った道具で、その環境から身を守るのだ。そんな手工芸にまつわる会話をきっかけに、厳しい自然と共に生きる知恵をサーミや津軽の人びとから取材してきた。
(エッセイ「積層の器 ことづての声」より引用)
初回作品《夜営》は、津軽のマタギが熊を待つお話から着想を得た木版画です。
■初回お届け内容
・《夜営》
版画: 298x237mm, 木版, 土 藍 紙, 2018
額サイズ:314x252x28mm
※2回目以降の木版画と額はこちらと同じサイズになります。
※ドローイングはこちらよりも大きめ、版木は直径約100~140mm程度の予定です。
■2回目お届け内容
・藍と土の木版画(新作・額入)《ことづての始まり》(仮)
■3回目お届け内容
・ドローイング(新作・額入)《雪踏み》または《ことづての声》(仮)
■4回目お届け内容
・版木1点(箱入) 《夜営》または《ことづての始まり》(仮)
・テキスト
※タイトルは変更することがあります。
Gallery PARCがスペースとして6月末で一旦閉じるというのを知ってから、割とすぐに[m@p]というプロジェクトを開始するというアナウンスをみて、『次のアクションとして、このスピードで、こういうことを考えているんや』と思いました。また、プロジェクトの「ポストで未知と出会う」というコンセプトについては、木版画でも戦前に「創作版画誌」というものがあって、郵便を使ってポストで作品をやりとりするという歴史があったので、私も何かできそうと思っていて、[m@p]参加の打診をいただいた時は、水を得た魚ではないですが、すごくいい機会もらったと嬉しかったです。
2014年のPARCでの個展の後、2017年に国際芸術センター青森で展覧会やワークショップをしたのですが、その時に取材したことをもとに、それを反芻しながら作品構想をずっと練っていて、去年の暮れあたりからかたちになり始めていたんです。実は、それが固まってきたので、どこかで展覧会の話をしにPARCに行こうと思っていた矢先のコロナ、閉鎖だったんですが。いずれにせよ、青森でやってきたリサーチの断片みたいなものをアウトプットしたいと考え、助走していた部分があったので、[m@p]には取り組みやすかったです。スタンダードとプレミアムでできることも違うから、そこでリサーチしてきたことの違いを出したいなとも思いました。自分がやってきたことがもともと重層的で、いろいろ調べたり、想像したり。フィクションとノンフィクションを同時並行でやっている感覚があるので、それをスタンダードとプレミアムで分けて扱おうかなと思いました。
そうですね、すごく整理できたんです。一つひとつの絵は脈絡がなかったりするんですけど、時間軸も4回に分かれているということで、ひとつのシークエンスみたいなものがあると考えています。本を読み進めるようなページの展開としても捉えられるし、版画のレイヤーのようにも捉えられる。絵画はやはりレイヤーでつくっていくという点でも、仕組みと絵がフィットしやすかったというのがあるかもしれないです。私が作品を物質的側面でも扱っている作家だからそう思うのかもしれませんが。スタンダードは予算も限られているので材料費を絞らないといけないということもあり、今回はひとつの木を割っていくというコンセプトになっているのですが、材料を一つに限ってみるとか紙のサイズをA4に限ってみるとか、コンパクトにできることを考えてみました。
スタンダードでは、4回とも同じひとつの版木を使います。参考写真で出ているのは割る前の木ですが、次は割ったかたちと私が書いているエッセイと自分の考えをすりあわせて、絵を描いて、刷って、その次も割って…だから徐々に木が小さくなっていくんですけど、そこから一本の木が変化していく様を観察してもらえるような絵にしたいと思っています。
版画を売る時に「額どうしよう」と聞かれることも多いし、額装して売ることもありますが、角2の封筒で送ろうとするとシートになってしまうので、額をご自分で用意いただかないといけません。一番小さい「インチサイズ」という額があるので、その額でおさまりがいいサイズで考えました。ひとつ額を買ったら届くたびに入れ替えてもいいし、同じ額を4つ買って全部並べてもいいし。
一つひとつに対してエッセイを書こうと思っています。そのエッセイは2年前に書いたものもありますが、これまでに聞いたこと、面白いなと思ったことを短い文章でメモしておいて、それを並べて、この並びなら繋がるかなと断片的に聞いたことを文章化して、シークエンスとして並べていきます。最後にそのフィクションのような、私の妄想のようなショートエッセイをお届けします。私の制作は聞き書きした言葉とかを作品に起こしていくのですが、鑑賞の時に言葉があると絵が言葉の説明になっていると思われてしまうこともあったりして、絵を純粋に楽しめない。なので、絵と文章を見せるタイミングをずらして、テキストは未知のものとして一番最後に見せるということにしました。
私は版木を見せたり、絵具自体の素材を見せたりということもよくあるので、ドローイングから、木版画、版木があって、テキストがあるというような、ひとまとまりの空間として捉えてもらえるようなセットにしたいなと。額もつけて、すぐに展示してもらえるようにして。4回に分けて作品の過程をお見せしながら、ひとつの小さな展覧会というかたちで見ることができるパッケージにしてみました。プレミアムは自分が青森で足を使って聞いた話を交えたノンフィクションのようなエッセイを最後にお届けします。
藍を使うようになったのは青森に行ってからなんです。青森でこぎん刺しという刺繍の手工芸があるのですが、ベースになる麻の布を藍で染めたところにこぎんを刺していくんです。土絵の具では青い色がないので、自然のもので青ができないかなと思っていたところだったので、藍を絵の具にする方法を調べて、育てて、実験を繰り返して、青い絵の具をつくれるようになったんです。藍を使うようになってよかったと思ったのが土と違って植物なので、季節がすごくはっきりしていることです。今日も育てた藍の葉を採っていたんですが、おそらく気温としても最後じゃないかなと思って『今日やらなくては』と。そうすると農家のように、1年の制作にまつわるサイクルができそうだなと思っています。 9月半ばでほぼ収穫は終わりでしたが、来年の種をとるために少し残したり。そういう季節ごとのサイクルに関わりながら制作が進められるというのも、この年齢になるとちょうどいいなと。また、庭には桜の丸太がごろごろ転がっていたりするのですが、今年、北軽井沢で展示した時にチェーンソーの使い方を教えてもらったので、この秋は丸太をチェーンソーで切り続けるという作業をします。冬は刷るのに向いているので刷る、ということを考えています。
『なるほど、いいアイデア』と思ったのはヤマガミさんです。4回でやっていることの意味もわかるし、言葉からも想像できるなと。山岡さんのプレミアムも面白いと思います。そもそも[m@p]はアーティストが考えたことがフラットに並んでいますよね。買う人と提供する人もリスクや楽しみにおいてフラットですし。このラインナップの自由さ、フラットさが関西っぽいし、その自由さがちゃんと担保されているのがすごいと思います。私は大阪にいますが、このフラットな自由さ、ある種のカオスな感じが減っているなと思っていて。こういった「楽しいことやろう」というのも必要だと思うんです。また、コロナの影響は自分にも色々あるんですが、もっと若い人たちは大丈夫だろうかと考えたりします。その点では私たちの世代が「なんか面白いことやろう」というゆるい気持ちでできることをやっておかないと、と思うんです。 [m@p]はそのひとつだなと思いますし、3rd以降も楽しみです。
粘土や紙片、木片などの身近な物質に、手による単純な繰り返しの行為を加え、それらを集積することでひとつの時間・空間・痕跡をつくる森太三。『昨日と今日が存在したことを証明するため』に、1日1枚、連続した2日間で描いた線描《昨日と今日のドローイング》を毎回(2枚づつ4回)を送る。一年後、この『同じようで違う日々の集積』に私たちは何を見るでしょうか。
販売価格:
「昨日と今日のドローイング」
このプロジェクトにおいて重要なことは「時間」なのだと思います。
誰もが限りある時間の中を生きている。昨日と今日が存在したことを証明するため、1日1枚、連続した2日間で描いた線描を毎回(2枚)送ります。4回(8枚)を通して見えてくるのは、同じようで違う日々の集積です。
■初回封入内容
「昨日と今日のドローイング」 2枚
合板にドローイング(各B5〜A4サイズ程度、ペン・色鉛筆・メディウム)
販売価格:
「昨日と今日の積層」
このプロジェクトにおいて重要なことは「時間」なのだと思います。
誰もが限りある時間の中を生きている。昨日と今日が存在したことを証明するため、連続した2日間で木片を積層させた彫刻を毎回1点送ります。4回を通して見えてくるのは、同じようで違う日々の積層です。
ステイホームの時期だったので、自宅でできることで、何か新たなことをはじめれたらと思っていたので、ちょうど良いタイミングで声をかけていただけたなあと思いました。
ドローイングは学生の頃から描いてきています。なかなか発表する機会は少ないのですが、自身の中では日常的な制作のひとつなので、今回あえてというよりは、いつもやってることに「昨日と今日」というフレームを付け加えて描くとどうなるかなと、ふと思ったのが理由です
自身のドローイングがそれほど価値があるとも思ってなくて、価格が決まっていたため、A4サイズ1枚では成り立たないなあと感じたのが、正直なところでもあります。1回につき、2枚送りたいなあと。それでどうすれば良いかなという流れで、「昨日と今日」という発想につながっていきました。
ドローイングの作品ですが、絵画というよりは木を削ったり、石を彫ったりというような連続の作業性を意識して制作しているので、彫刻の制作過程に近いように自身では思っています。ですので、描くときの質感や表面の仕上げ方も、手に馴染む画材や支持体を用いています。
今生きている人も、みんないつかこの世界からいなくなる。与えられた時間は限られている。ということを感じることが増えたように思います。決して悲観的ではなく、あたりまえと思っていたことのありがたさを感じることが多くなりました。
はじめてです。昨日描いたものを横に置きながら、描くことにしているので、似通ったものになるのですが、同じものは当然できないので、そのあたりの同じようで違うことや、変化してないようで変化することなど、「昨日と今日」は同じようで全く違うということに、改めて気付けたように思っています。
一つの作品に、時間軸の違う材が集積されているのが面白いと思っているのかもしれません。この問いで今思いました!
ドローイングは制作時間としては1枚1時間くらい。積層の作品は10時間ぐらいで制作できるので、それほど大変なことでもなく、1日の時間でできる範囲だと思います。
藤永覚耶さんと[m@p]について話す機会があって、こんなふうに展開したのだと思って見てました。参加されている各作家それぞれに、いろんな解釈や方法で制作されているのが興味深いです。
異なる色を付けた右手と左手を紙の上で手を合わせてみる。すると2色の絵具は顔料の粒子はそのままに互いに入り込み、交わる。2018年から薬師川が取り組む《右手と左手のドローイング》シリーズを展開させる。[m@p]では、片方の手につける色を購入者から聞き取り、薬師川がそれに合う色を選択して作品を制作する。《右手と左手のドローイング》は「あなたとのドローイング」として届けられる。
- 現在はオンラインストアにて《右手と左手のドローイング》(初回分)を1点ずつ取り扱っております。
販売価格:
〝あなたの好きな色を教えてください〟
初回の作品と共にハガキを同封させて頂きます。 そのハガキにあなたの好きな色を記入してもらい、薬師川に返送していただきます。
好きな色をできる限り詳しく記入していただき、(「青」など色名だけではなく、「真夏の晴天の空の青」などどのようなイメージの色かを具体的に)私がその色を作り、そしてその色に合うもう一色を私自身が選択した『右手と左手のドローイング』を制作させて頂きます。
─右手と左手シリーズコンセプト─
右手と左手に異なる色を付け、画面上で手を合わせる。
古典技法である練り込みテンペラと、粗い粒子の顔料を使うことで、二色の交わる境界線は三色目に変化することなく、互いが互いの粒子へと入り込み、個と個の粒子が共存する中で、混じり合う。
■初回封入内容
・《右手と左手のドローイング》(額なし) 1点
210×297㎜(A4) / 顔料・ケント紙 / 練りこみテンペラ
・好きな色についてのアンケートハガキ
■2回目封入内容
・初回の回答を取り入れた《右手と左手のドローイング》1点
・好きな色についてのアンケートハガキ
■3回目封入内容
・2回目の回答を取り入れた《右手と左手のドローイング》1点
・好きな色についてのアンケートハガキ
■4回目封入内容
・3回目の回答を取り入れた《右手と左手のドローイング》1点
販売価格:
〝あなたの好きな色と、好きな時間を教えてください〟
初回の作品と共にハガキを同封させて頂きます。 そのハガキにあなたの好きな色、好きな時間を記入し、薬師川に返送していただきます。
好きな色をできる限り詳しく記入していただき、(「青」など色名だけではなく、「真夏の晴天の空の青」などどのようなイメージの色かを具体的に)また、生活の中での好きな時間(家族とのんびり過ごす時間、美味しいご飯を食べている時間など)も教えてください。 初回は私自身の選択した色の右手と左手のドローイング(額付き)とアンケートハガキを送らせて頂きます。
2、3回目にはアンケートにて答えていただいたあなたの好きな色を私が作り、そしてその色に合うもう一色を私自身が選択した『右手と左手のドローイング』を制作します。それと同時にとある質問について答えて頂きます。(質問内容は秘密)
4回目には、初回で答えていただいたあなたの好きな時間と、2、3回目の質問をもとに、あなた自身をイメージした色合いの『右手と左手の絵画』を制作させて頂きます。
■初回お届け内容
・《右手と左手のドローイング》1点
額装サイズ:507×659 ㎜/ 顔料・ケントボード/ 練りこみテンペラ
・アンケートハガキ
■2回目お届け内容
・初回の回答をもとにして制作する《右手と左手のドローイング》1点
・アンケートハガキ
■3回目お届け内容
・2回目の回答をもとにして制作する《右手と左手のドローイング》1点
・アンケートハガキ
■4回目
・アンケート初回〜3回目の回答から、あなた自身をイメージした色合いで制作する『右手と左手の絵画』 1点
サイズ未定 顔料・シナベニアパネル/ 練りこみテンペラ
パルクがギャラリーを一旦閉じて、これからどうされるのかなと楽しみにしていました。今まではギャラリーにお客さんが行くという構造だったのを反転させて、作品自らがお客さんのもとに届くかたちになるのがすごく面白いなと思いました。
1stをみていて、「私も声かけてもらえたらいいな」と思ってました。ですので、声かかった時は「ぜひ、やりたい」と思いました。
今までやっていた平面作品でも両手のサイズという起源があるので、それほど変わりはないかなと思いました。A4サイズというのは今までやったことがなかったのですが、それに近いB5サイズだったら試作品を作る時に使っていたので、A4でも十分できそうだなと。
初回は私が指定した2色の作品をお送りします。そこに1枚のハガキを同封します。そこには「あなたの好きな色を教えてください」という質問を書いています。色といっても、単純な青や赤、緑といったような色名だけではなく、どのような青か、どのような緑か、例えば新緑の緑なのか、ビビッドな緑なのか、できるだけ事細かに、購入者の方の思い描く色というのをお聞きして、その1色を私自身が顔料を調合してつくります。その1色に私自身が最も合うと思う色をプラスして、混ぜた状態でお届けする。
それが3回続きます。3回好きな色を聞く機会があり、かつ「青」といった単語だけではなく、どのような色かを伺うので、その方のパーソナルな部分が見えてくるのではと想像しています。例えば青が好きな人でも、青系・赤系といってもいいし、青だけで違うイメージのものを3回送ってくださるかもしれないし、なかなかお客さんとそんなに密に関わることってないので、面白そうだし、難しそうでもありますね。色をつくることを2回3回と繰り返す上で、その人自身を想像しながら、もう1色をあわせていくという感じになると思います。
ですので、ハガキもできれば直筆で書いていただきたいなと思っています。その筆跡などもその方を彷彿させるというか、少ない手がかりかもしれないけれど、そこにヒントを見つけていけたらと思っています。
作品自体は瞬発的にできるので、実際の制作時間としては短いのですが、乾くのに1日かかり、乾いてから若干の色味が変わったりします。それですぐ納得いくものができたらいいのですが、なかなか納得いくものができなかったら何枚か試作するので、それだけの時間がかかります。
そうですね。今回は当初、A4サイズは両手がちょうどおさまるからいい具合になるなと思っていたのですが、実際に初回発送の作品を作っている中で、今までは両手の手首の運動を取り入れて描いていたところ、A4だとかなりせせこましくなるということに気づきました。ですので、今までと違って、指を動かすという行為に重きを置きました。描くという行為が強くなっています。片手で5本、両手で10本ある指を動かすので、今までやっていた右手・左手とはやっているかんじが全然違いました。それが面白かったですね。「どこにどの線がきたらいいか」と考えたり、「描く」要素が強くなりました。現れるイメージは一見はそこまで変わらないのですが、よく見ると今までになかった指の動きの筆跡であったり、例えば「ここに線を自ら入れている」というようなところがあります。今までは偶然的なものが多かったのですが、今回の指を動かして描くことに関しては意図したイメージというものが強く出ているように思います。
スタンダードと構造は同じなのですが、質問がもうひとつ加わります。色に加え、生活の中での好きな時間を教えていただこうと思っています。私としては、好きな色に近い質問かなと思っています。今、自分が何に魅力を感じるか、何を人生において大切にしているか、ということが見えるのではないかと。購入者の方にも少し自分を掘り下げていただくことになると思います。どんな言葉が返ってくるかで購入者の方に対する印象が変わるので、私も緊張します。
そうです。4回目は色の指定はできません。少ないやりとりではあるのですが、その中から購入者の方のことを想像してつくります。右手と左手のシリーズは2色の異なる色が混ざるものですが、市販の絵の具だと2色が混ざった3色目は綺麗な混色になってしまいます。例えば青と赤を混ぜると紫になるように。けれど、古典技法で顔料を自分で練っていると、2色の色は完全に3色目に変化するのではなく、細かな粒子で見た時に、それぞれの色の中に入りこんだ状態で、それぞれがまだある状態で混ざりあいます。そこから、肖像画を描いたりすることもできるのではないかと考えているんです。多くの人が二面性を持っていて、単純に言えば優しい面もあるけれど自分に厳しい面もあるとか、そういう表に出ている部分と見えない部分があると思うんです。それを色に変換した時にその2色が同時に存在するというのが、その人の肖像画にマッチするのではと思っていて、4回目の作品では、私が少ないヒントの中から想像してその人自身を抽象的に描くことを考えています。
[m@p]の枠組みを生かしたプランにしたいなと思ったので。小品を送るシンプルなプランも考えたんですが、作品が出向くというコンセプトや4回送るというシステムがあって、お客様と何度かメッセージを送りあうことができるのだからそれを活用たいなと。
それと、一度親しい友人に作品をプレゼントする機会があり、今回と同じように好きな色を聞いたりして作品をつくったのですが、私だったら使わない色が結構あったので、今回を経て、私自身の色彩の幅が増えたらいいなと思います。
ドローイングを持っているからなのですが、山添さんですね。やはり好きな作家さんのプランは気になります。
日本画家であり東洋絵画修理技術者として活動する山下は、平安~鎌倉時代の優れた和様・かな書の筆跡を観賞用に仕立てた古筆切(こひつぎれ)から着想を得て、「光」をテーマとした「光筆切(こうひつぎれ)」のシリーズをお届けします。初回は平家納経などの装飾経から着想し、旧約聖書の創世記第1章冒頭「天地創造」を万葉仮名混じりで写経した「世以書 彩書経」と「世以書 金銀混書経」の2種類の中からお選びいただけます。
- 現在はオンラインストアにて4点セットで取り扱っております。
中国雁皮紙、手漉き楮紙、金箔(砂子、切箔、ちぎり箔)、金属泥、本銀泥、墨、天然岩群青、紙染
販売価格:
古筆切(こひつぎれ)から着想した作品を制作します。
古筆とは一般的には古人の筆跡や画のこと。また日本書法史では平安~鎌倉時代にかけて書かれた、優れた和様、かな書の筆跡を言います。それを観賞用に手鑑や掛物に仕立てるために切断したものが古筆切(こひつぎれ)です。
今回、「光」をテーマとした「光筆切(こうひつぎれ)」と名付けたシリーズをm@pで試みます。
■初回封入内容
・古筆切から着想した作品「光筆切」 《世以書 彩書経》または《世以書 金銀混書経》 1点
初回は平家納経などの装飾経から着想を得た作品をお届けします。旧約聖書の創世記第1章冒頭「天地創造」を万葉仮名混じりで写経しました。染色や金箔、金属泥で加飾した料紙を作成し、芦手絵を施しています。
文字を金属泥や天然岩絵具で書いた華やかな「世以書 彩書経」と、文字を本銀泥で書き、経年で輝きが変化してゆく「世以書 金銀混書経」の中から1点お選びください。
■2回目封入内容
・古筆切から着想した作品「光筆切」 1点
・初回作品に対するテクスト
■3回目封入内容
・古筆切から着想した作品「光筆切」 1点
・2回目お届け作品に対するテクスト
■4回目封入内容
・古筆切から着想した作品「光筆切」 1点
・3回目、4回目お届け作品に対するテクスト
*作品は手漉楮紙で2層裏打しています。
*シート作品です。 *額装は別途ご相談ください。
*作品1点毎に台紙、合紙、題箋付きタトウが付きます。
販売価格:
罔両画(もうりょうが)の作品の中から、《松風》 《松風(弐)》 《須磨》 《玄象》 の4点の作品をお届けします。
現行のサイズ300×985㎜とは異なり、300×480㎜のサイズであらたに描き下ろします。
*参考画像の作品はすべて300×985㎜のサイズです。表記は本紙サイズで裏打紙や額のサイズを含んでいません。画像のシートのサイズは本紙サイズ+縦横100~150㎜程あります。
─罔両画(もうりょうが) ─
罔両画(Ghost style painting)は、中国南宋時代に禅僧の余技として生まれた絵画のひとつであり、極度に薄い墨と僅かな筆致で描かれた消え入るような見え方から罔両(魑魅魍魎、精霊)と名付けられるものです。罔両画やその系譜にある牧谿(もっけい/生没年不詳。13世紀後半、中国南宋末元初の僧)の作品は、室町時代の足利将軍のコレクションである東山御物に多く所蔵されるなど、狩野派をはじめ、長谷川等伯、俵屋宗達など、日本の水墨画史上に多大な影響をあたえたものですが、以降600年に渡って主に取り組む作家はいないとされています。私は罔両画を『「幽玄」や「余白」といった日本の美意識を感じることが出来るものであり、東アジアや日本美術史、室町文化やその美意識を再考するうえで、とても重要な絵画』と考え、水や素材の持つ性質や現象を活用して描くオリジナル技法へと展開しています。
封筒で、4回に分けて時間をおいて届くというプロセスが、展覧会とは違ったかたちであり、アーティスト側としても、それを体験する側としても、ひとつの体験として面白いですよね。封筒が届いて、それを開けて、手にしてみるという一連の動きがあり、そこに3ヶ月おきという時間軸もある。そういった流れの中で何ができるのかということは、今のような状況下での一つの興味深い取り組みだと思います。 ただ、難しいと思うこともありましたね。買うとしても実物を見ることができない、言ってみれば先行投資です。作品のひとつひとつの値段で考えるとお得感はあるけれど、見てもいないものを買うというリスクがあります。ただ、私は、ものを買うということだけではなくて、その体験を買うというように捉えたいと思っています。だから、何かそういった体験、手に取れるというサイズやその小ささということが、プランを考える上でのポイントにはなりましたね。
私はどちらかというと制限や制約は、それを機に「では何をしよう」といろんなものを結びつけていくので。むしろこういう条件がある中で何ができるかを楽しんでいます。
古筆切はコレクターアイテムとも言えるかもしれません。いわゆる書や手紙を鑑賞するというのがありますよね。昔の人は、「古筆切帖」というように折本に貼り付けて楽しんでいたんです。「切」とあるように、切断されたものなので数も限られています。例えば元々巻物だったものやお経の中の数行を切り取ったものです。字を読むというよりは文字を鑑賞したり、様々な技法で装飾が施された紙を見て楽しむというもので、掛け軸にするなど、様々な種類があります。
だいたいは数が限られているので、例えば「ここの文字や文章の内容がいい」と選ぶことができる人は幸運なのではないでしょうか。文字を読むのではなく見て楽しむ、そして料紙装飾など美しいものがたくさんあるので、単に文字を愛でるというよりは、文字と紙の装飾技法やその組み合わせを楽しむものでもあります。
中国雁皮紙、手漉き楮紙、金箔(砂子、切箔、ちぎり箔)、金属泥、本銀泥、墨、天然岩群青、紙染
普段の作品でも、影や光をモチーフとして描いているということもあれば、現象的に生かすこともあります。元々コロナ以前から光というテーマを扱いたいと思っていたこともあります。
ポストに投函されるというプロジェクトなので、ふと和歌を送るとか、かな書や料紙装飾のことを思い起こしたんです。昔の人は、かな書で和歌を書いて送るということをやっていたので。 そこから、サイズの小ささも含めて、美しい紙が送られてくるというのがいいなと思ったんですよね。通常の展覧会での鑑賞だと壁にかけてある作品をみることになりますが、[m@p]の場合は手に持ってみるという鑑賞体験なので、封筒を開けて、開いた時に、そこにふわっと光が入ったりする、そういった行為や時間をイメージしながら考えました。
そして、4回に分けて、それぞれ違うタイプの光を描こうと思いました。初回は「世以書」です。これは聖書を万葉仮名で書いています。旧約聖書の天地創造の場面は冒頭の「光あれ」という言葉が有名ですよね。初回なので、その始まりをモチーフにしました。料紙装飾をする際、モチーフとしては平家納経などの装飾経を参考にしたんですけど、平家納経はいわゆる仏教ですが、今回は文章の内容がキリスト教。一生懸命書いているうちに隠れキリシタンのような気持ちになりましたね。以前、興味があって調べていたこともあり、隠れキリシタンの美術、例えば仏像の裏を見るとキリスト像があるといったものなどを思い起こしていました。
2回目以降は、光というテーマは変わりませんが、別のモチーフになります。使う素材も色合いも変わります。宗教的な光の世界から続いていく中でもう少し日常の中にある光であるとか、光自体も表現として変化していきます。料紙装飾技法を起点としていますが、文字や書画という題材は、自分の取り組みの中でも気になっているので、小さいサイズの中ですがいろいろと展開していきたいと考えています。
作品にまつわるテキストも時差をつくって、回をずらして送ります。私の作品は背景に様々な日本美術のコンテクストを含めているのですが、情報で人はものを見たり判断したりするので同時に送らず、しばらく見て「これなんだろうな」というように向き合ったりぼーっとみたり考えたり触ったりしていただきたいですね。触れるというのが今回のプロジェクトの良さだと思いますし、手のひらサイズなので色々な角度で、色々な光のもとでみると表情も変化します。手のうちに作品があるという体験と状況がいいなと思っています。日本画は複合的なマテリアルがあるので、光や影の状況で見え方が変化します。初回のものも金銀泥や箔を使っているので、文字が前に出てきたり、絵が前に出てきたり、状況によって変化します。そういった楽しみ方もできますよね。触覚的なものやマテリアルは画像だとなかなか伝わりにくく難しいところもありますが、距離が発生することも、[m@p]のひとつの特徴だと思います。
300×985mm(額装2) 罔両画、手漉三椏紙、松煙墨、油煙墨
そうです。使っている紙の素材はいつもと同じ手漉きの紙ですが、それを4分割したサイズで描きます。その経験があまりなくて実は難しくもあります。いつも余白の質を考えているので、余白が狭まってくると。どういうものをつくるかが大きく変わりますね。
4点とも自分が住んでいる地域の須磨を舞台とする能の世界、古典文学がひとつのモチーフになっています。ただ、古典の世界でありながら、今僕が日常で生活している世界とつながっています。それぞれのシリーズは何回もモチーフとして描いていますが、その時その時の体験を経たり、ものの感じ方や見え方が変わると、空間や線や色々なことが変化していくんです。 今こういう状況になって外に出られない時に、近くの海であるとか、まさにそのモチーフでもある v風景を散歩する時間がいつもより多くなるんですが、そういった中で海を見ていても違う気持ちが起こってきます。ですので、古典の世界と自分の日常を反映する景色だと思っているんですよ。
今この時期に描き下ろすので、4点まとめて持つことでつながってくる景色や見えてくるものも多いと思います。また4点ですので、春夏秋冬といった季節もめぐるようになっています。
実物は、日によって、ものすごく見える日と今日は全然見えない日というのがあると思います。こんなところに線があったかなと思う時もあると思います。スタジオだと日中は自然光で見ているので、どんどん変化します。同じように見えることはほぼないですね。見方がひらかれているというか、その時々で気になるところの見え方が変わってくるというか。光の状況や見る距離で変化するので、家の中でもどのような状況で見るかによって全然違うと思います。楽しみですね。
林葵衣さんは、購入者と制作者がやりとりをするという、この企画でないとなかなかできないことを考えていることと、この非接触・ソーシャルディスタンスという時代に、接触型の作品を送るということが面白いなと思いました。あとは来田広大さん。外出自粛中に山や海に行っていたこともあり、山に登った体験をどういうふうにアウトプットするのかというのは個人的には興味深いですね。[m@p]の面白さのひとつに、購入者との関係が1年に渡って繋がっていることがあると思います。お二人とも、移動や接触という今難しいことがテーマになっているというのが面白いですね。
2020年5月に個展開催を予定していた美術家・大洲大作は、[m@p]ではこれまで継続的に取り組んできた「光のシークエンス」シリーズをベースに、これからの1年の中で自身が暮らす東京を中心に、そこに見つけたシーンを撮影し、リバーサルフィルム(ポジフィルム)でお届けします。
オリジナルとなるポジフィルムが購入者のお手元にしか残らない本プランでは、最後にお手元のフィルムから1枚を選んでいただき、オリジナルプリントにしてお送りします。三ヶ月に一度の撮り下ろしにより「今」の光と影が写しとられたフィルムは、やがて、これからの未知なる「1年」という時間のシークエンスが記録されたものともなります。そして、それはまた購入者の1年の暮らしのシークエンスの記録・作品ともなるものです。
光のシークエンス – Sliding Films
列車などの車窓にうつろい滲む、営為をうつす光そして影を掬い上げる《光のシークエンス》。実物の車窓をスクリーンに、映像としてうつし出すインスタレーションとして発表する機会が多い作品となっているが、その映像は動画ではなく、写真を一枚ずつ時間軸に並べてゆく形。ポイントとなる写真、それをつなぐ写真、シークエンスは連なるシーンで成り立っている。
今回は、普段のデジタルカメラをプリミティブなフィルムカメラに持ち替え、リバーサルフィルムでの撮影を試みる。三ヶ月に一度届けられるそのひとコマひとコマ=『シーン』は、データではなく一片きりのオリジナル。2020年から2021年へとうつる今=それぞれの『シークエンス』を、自由に編んでいただければと思う。
あなただけの『シーン』と『シークエンス』をお手元に。
三ヶ月に一度、撮り下ろされた1〜2コマの6x7cm判リバーサルフィルム=『シーン』をお届けします。初回の配送にはポータブル型ライトボックスとルーペが付属します。※1
一年間でお手元に届いたフィルム全体=『シークエンス』から、お好きなひとコマを選んでいただき、作家自身の手によるオリジナルプリントとしてお送りします。※2,3
ここでのロットはエディションではありません、一点一点、オリジナルのフィルムをお届けいたします。
■初回発送内容:1〜3コマの6x7判リバーサルフィルム=『シーン』、ポータブル型ライトボックス、ルーペ
※1 初回にお届けするライトボックスは、現在入手が困難なため使用品となります。カメラは付属しません。
※2 キャビネ版サイズ、プリントのみ。同内容の作家分(アーティスト・プルーフ)を制作させていただきます。
※3 ご自身で任意のコマをプリントされる場合、そのプリントの第三者への販売は禁止とさせていただきます。
販売価格:
光のシークエンス – Sliding Films
列車などの車窓にうつろい滲む、営為をうつす光そして影を掬い上げる《光のシークエンス》。実物の車窓をスクリーンに、映像としてうつし出すインスタレーションとして発表する機会が多い作品となっているが、その映像は動画ではなく、写真を一枚ずつ時間軸に並べてゆく形。ポイントとなる写真、それをつなぐ写真、シークエンスは連なるシーンで成り立っている。
今回は、普段のデジタルカメラをプリミティブなフィルムカメラに持ち替え、リバーサルフィルムでの撮影を試みる。三ヶ月に一度届けられるそのひとコマひとコマ=『シーン』は、データではなく一片きりのオリジナル。2020年から2021年へとうつる今=それぞれの『シークエンス』を、自由に編んでいただければと思う。
あなただけの『シーン』と『シークエンス』、そして世界に一冊だけの写真集をお手元に。
三ヶ月に一度、撮り下ろされたフィルム1巻分、10コマの6x7cm判リバーサルフィルム=『シーン』をお届けします。初回の配送には大型ライトボックスとルーペが付属します。※1
一年間でお手元に届いた、配送4回分40コマのフィルムから、ご自身の『シークエンス』を編んでいただき、作家自身の手によるオリジナル・プリントで構成した世界に一冊だけの写真集 ※1 をお届けします。
■初回発送内容:フィルム1巻分、10コマの6x7cm判リバーサルフィルム=『シーン』、大型ライトボックス、ルーペ
※1 表紙含む16ページ。同内容の作家分(アーティスト・プルーフ)を制作させていただきます。
※2 初回にお届けするライトボックスは、現在入手が困難なため使用品となります。カメラは付属しません。
※3 ご自身でプリントを行なうことも可能です。その場合のプリントの第三者への販売は禁止します。
2019年
京成電鉄の車窓を撮影した写真(3チャンネルHDビデオ)/京成電鉄列車運行図表(平成7年4月1日改正)/プロジェクター
300x300x150cm
©️大洲 大作
「光のシークエンス」というシリーズは長い間続けています。シークエンスという言葉があまり耳慣れないかもしれませんが、いわゆるみなさんがシーンという言葉で想像されているものが実はシークエンスです。簡単にいうと「シークエンス」が一番大きな括りで、その中に「シーン」があり、シーンはさらに割っていくと「カット」といった捉え方になっていきます。自分自身の定義として考えているのは、時間軸の流れの中である程度の時間を持ったシーンの連続を「シークエンス」と考えています。写真の場合どうしても「瞬間」が1コマや1カットというものとして定着するのですが、僕はそれに若干の不自由さを感じていて。その瞬間の前後の時間・瞬間というものも見ていきたいし、見せることができたらということを常々思っていました。そこから、ひとつのシーンの「前後のシーン」も含めて、「シークエンス」として作品を組み立てていきたいと考えて制作しています。
三ヶ月に一度、撮り下ろした1~2コマの6×7cm判リバーサルフィルムを『シーン』としてお届けします。また最後の4回目では一年を通じてお手元に届いたフィルム全体を『シークエンス』として、その中からお好きなひとコマを選んでいただき、作家自身の手によるオリジナルプリントとしてお送りします。写真って複製やエディションがあるものとして捉えられると思うんですが、フィルムの一コマというのは現在は複製方法が非常に限られている状況で、その点ではフィルムのカメラが撮ったフィルムというものは世界で一点・一コマだけのオリジナルになります。今まではそのフィルムからつくったプリントをオリジナルとしていましたが、今回は試みとして、フィルムそのものをオリジナルの作品としてお手元に届けてしまう、ということを考えました。
普段、光のシークエンスのシリーズを見せている時は実際の車窓を使って、プロジェクターにより後ろから光をあてる、つまり透過光で見るということを体験していただいているんですね。これは、結局車窓を実際に見ている時というのも向こうから光がやってくる、それをもう一度、そのままのかたちで体験することができるというものになるんです。これが紙のプリントとなった途端に反射光で見るもの、向こうから光がやってくるものを見るわけではない、そのプリントに光が当たって跳ね返ってくるものを見る、という構造になるんですね。フィルムでできることというのはこの透過光で見るということをそのまま体験できるということです。もうひとつはどうしてもフィルムは小さいのでルーペを使って見ていくということが必要になりますが、ディテールを見つけていく、自分で車窓を見るように、もう一度そのフィルムの中の世界に入っていって、自分の見たいディテールを見つけていくということも可能になります。そういう構造としてのプリントではできない、フィルムだからこそできる透過光で見るという体験をしていただく、しかもそれは1点1点がオリジナルであるということを今回は試みとしてやってみたいと思っています。
大事なことがもうひとつあって、このプロジェクトは1年を通して見てもらう、1年を通して作家と関係性がつくられることだと思うんですね。なので、これから先の2020年から2021年というシークエンスを作家と一緒に見ていく、つくっていくことができるというのがコンセプトにあります。1コマ・1カット、あるいは1シーンではあるけれど、それがお手元に届いた時には購入者の方のシークエンスになっています。それを体験として1年間通して一緒にやっていただくというのは普段の展覧会ではできることではないので、それこそオリジナルの体験だと思っています。また、今回使うリバーサルフィルム、ポジフィルムというのは元々は印刷用の原稿に適したものとして、過去数十年間使われてきたものですが、現在では商業印刷の殆どがデジタル印刷であることから、フィルムは必要とされなくなっています。要するにリバーサルフィルムというシステムそのものがほぼ終焉していく状況にあって、その中でこういう試みができるのはタイミングとしてほぼ最後だろうと思っています。そういう意味でも2020年という時期を反映できればというところは副次的にはあります。
フィルムの大きさに限りがありますし、それをルーペだけで楽しんでもらうだけではなく、スタンダードの場合では1年間でおそらく10コマ程度のフィルムの中からお好みのものを選んでいただいて、1点はプリントしようと考えました。
撮影をはじめたのは5月ぐらいなので、初回発送分には5~7月くらいに撮ったものが届きます。車窓を中心としたものになりますが、今後の状況では公共交通機関に乗れなくなるということもあるかもしれません。その時にはどこかで自宅の窓は出てくると思いますが、それが2020年から2021年の僕が目で見ているもののシークエンスであるということです。また、途中でフィルムの現像が終了してしまう可能性もゼロではないですし。
僕が使っている今回のカメラの場合はフィルム1巻で10コマ撮ることができます。スタンダードはこれをバラバラにしたうちの数コマをお届けしますが、プレミアムではこの一連の10コマを丸ごと、4回お届けしようというものです。実はこれはすごく怖い行為で、フィルムはデジタルカメラと違うので、任意に「ここ失敗したから消そう」ということが一切できない。撮った順番そのままが全部残ります。だから、フィルムを見ると、その人が何を考え、どこをどう動いて、何の次に何を撮ったのかということがわかる、それが包み隠さず出てしまう。それはハードルが高いところではありますが、それをあえてやってみるということも面白いんじゃないかなと。もちろん失敗したり、なんやこれというものが出てくる可能性はあるけれど、それも含めて自分が撮っているプロセスなので、そのプロセスそのもの、僕が撮影している体験に近い体験をしてもらうことが、フィルム1巻なら可能になります。また、最後に4回分40コマのフィルムから、ご自身の『シークエンス』を編んでいただくことで、オリジナル・プリントで構成した世界に一冊だけの写真集をつくります。
今回、PARCを一旦閉めるということになって最初に中止となった展覧会が自分の個展でした。DMも出来ていたぐらい直前で中止を決めました。ただ、展覧会という同時代性はとても重要だと思うけど、そういう意味では今回のプロジェクトは、時間軸を入れられるという点では、展覧会とは違った同時代性、コンテンポラリーであるということが意識できて、それはすごく面白いと思っています。
蝋燭の灯りだけで絵画を鑑賞するなど、意欲的な個展を開催した日本画家・菅かおるは、四季の花を描いた絵扇子を4回に渡ってお届けします。
日本の気候風土の中で洗練されてきた日本画は、多様な四季の表現を可能としながら、画材や支持体においても柔軟かつ強靭でもあります。それゆえに日本画は私たちの暮らしの中の品々を「表現領域」として、そこに絵を「開く」ことができます。
菅により届けられる季節を感じる絵画とともにこれからの1年を過ごしてみてはいかがでしょう。
販売価格:
本企画のために描きおろした扇子をお送りします。
菅かおるが水と四季をテーマに、身近な植物や風景、
あるいは生き物をモチーフにして扇子に日本画の手法で描きます。
※2回目以降、扇子のサイズや種類は変わる可能性があります。
■初回封入物:
1. 絵扇子(夏 / 水に咲く梅花藻とめだか) 日本画 / 和紙に墨と岩絵の具・金泥
2. 題名紙
3. 扇子立て(初回のみ)
4. 作者からの手紙
5. 作品小冊子2018
■第2回封入物:
1. 絵扇子(秋)日本画 / 和紙に墨と岩絵の具
2. 作者からの手紙
■第3回封入物:
1. 絵扇子(冬)日本画 / 和紙に墨と岩絵の具
2. 作者からの手紙
■第4回封入物:
1. 絵扇子(春)日本画 / 和紙に墨と岩絵の具
2. 作者からの手紙
販売価格:
絵画(日本画)3点と扇子1点をお送りします。
幾何学的な線や曲線で構成された絵画シリーズ「Origin」「AQUA」
この作品に描かれている線やフォルムは主に
海の生物から参照しています。
曲線も、法則的な直線も、等しく有機的に包み込まれた
ひとつの世界を創り出そうとしており、日本画の技法と素材による
可能性を探求して制作しています。
※画像は過去作によるものでイメージです
◯△□(まるさんかくしかく)の変形0号サイズを3点+絵扇子
※お届けの順番はお任せ頂きます。
技法は和紙に岩絵の具と箔/日本画。4回を通じて同じテーマで制作します。
■初回封入内容:
1. 日本画 変形0号 額付き
2. 作者からの手紙
3. 作品小冊子2018
■第2回封入内容:
1. 日本画 変形0号 額付き
2. 作者からの手紙
■第3回封入内容:
1. 日本画 変形0号 額付き
2. 作者からの手紙
■第4回封入物:
1. 絵扇子・扇子立て
2. 作者からの手紙
3. 絵蝋燭(和蝋燭に絵付けをしたもの。飾ってお楽しみ頂けます。)
・参考作品(掲載画像)
《AQUA(shell and stars)》
雲肌麻紙に岩絵の具・金箔 2019年制作 334×334mm
《Origin (二つの螺旋と二重のジグザグ線)》
雲肌麻紙に岩絵の具・金箔 2018年制作 410×818mm
四季を描いた扇子を4回に渡ってお送りします。
[m@p]は1年間・4回に分けて送るというところが一番大事なところだなと思ったので、毎回の季節感を出したものにしたいと思いました。また、四季とか季節感というのは日本画の武器、特徴でもあるかなと思って、スタンダードではそれを入れたいと思いました。
4回という形式でそれぞれ何を入れようかということも難しくて、アイデアは出るけれどひとつに絞らないといけないので、自分の代表として何を出せばいいのか悩みました。
これでお客さんが喜んでくださるだろうか、何が届くかわからない状態でまず買ってもらわないといけないので心配でした。
その中でA4サイズというサイズの制限を考えた時に、すでにある既存の「扇子」というカタチが一番シンプルだけど、やはり自由度があると思って。また、日本画家とはいっても、普段はなかなか日本の様式を倣って描くということが減っているから、扇子というもの、その扇型に四季を入れ込むというのをいい機会なのでやってみようかなと思いました。
扇子はあおぐものという意識があると思うのですが、飾れるように組み立て式の台も送ります。拡げて置くだけで、洋室にも和室にも置けるようなものとして考えています。
お茶の扇子はほとんど開いて使ったりすることは少なくて、たまに何かを乗せるということはあるけれど、自分のために持っておくみたいで、それと同じように、飾っても、自分のために持っても、使ってもいいかなと思っています。
扇子の大きさとか形も、調べてみたら茶扇子は小ぶりだったり、絵扇子はちょっと大きかったり、とサイズも少し違うので、毎回同じ大きさではないものにしようと思っています。扇子のつくりもそれぞれ少し違うので、調べて、試しながら変えてみようと思っています。
そうですね、気軽に飾りかえていただきたいです。
手紙も同封するのですが、毎回個展の時などはお客さんと話したりするように、手紙を通してつながりを少し強くすることができればと思っています。
自分の近況を伝える新聞のようなもの...になるかわかりませんが、手書きで書いたものを入れると面白いかなと思っています。
深海を描いた「AQUA」や「Origin」というこれまでのシリーズの小品で、3回の発送で『○ △ □』のカタチが揃うパッケージを予定しています。4回目は扇子をお送りします。
『○ △ □』は世界の成り立ちにおける基本のカタチなんですが、幾何学的な模様を意識して描いている「AQUA」や「Origin」のシリーズを、パネルのカタチを『○ △ □』にして描いたら面白いかなと思いました。もちろん額付きです。
最後の扇子は季節感を描いたスタンダードとは違って、抽象の扇子にしようと考えています。扇子のカタチをとっているけど画面は抽象、という試みでもあります。絵蝋燭も送るので、ぜひ、○ △ □の作品と扇子、絵蝋燭を飾っていただきたいです。
最初聞いた時は、難しいだろうなと思ったんですが、そういった機会が与えられるのが嬉しいから絶対やろうと思いました。実際、考えていくうちに難しくなってきたのはサイズや厚みでした。モビールとか、色々考えたんですが、最終的に原点に戻ろうと扇子になりました。
色々やりたいことはあったのですが、日本画家であれば、まずはこれを出したほうがいいのではと思って扇子にしました。
他のみなさんはほとんど四季、季節を取り入れないというのは意外でしたし、そういう意味では日本画家としての役割を与えられたとも思いました。
最初は実際の作品を見てもらうことなく、写真と言葉だけで説明するだけで、残りの3回は全く何が来るかわからない状態というのは、お客さんにとっても不安じゃないか、大丈夫だろうかと心配したのですが、展覧会に行く時だって、お客さんは実物をまだ見ていない状態で訪れるわけだし、作家もお客さんが喜んでくれるか、どう思うかなとかを想像しながら描くわけだし。よく考えると普段やっていることと似ているかなと思います。
『自分がどう生きていくか、どう生きていけるか』を考え続ける中で、『豊かさとは何か』についての興味から、これまで様々な場所・土地を訪れ、多くの人々と出会うことに積極的に取り組んでいる小出麻代。異なる土地に赴くことが困難となった現在、小出はこれまでに訪れた土地の記憶の断片として写真と、家を模したフィギュアを同封することで、購入者それぞれに遠くの風景を想い、想像の風景をつくる体験を提供します。
「風景と共にあるもの」をテーマに制作した2つのシリーズから毎回数点ずつお送りします。
シリーズ「snap」は2015年-2020年に訪れた様々な土地で撮影したスナップショット12点からなる作品。
シリーズ「my small scenery」は自分の風景をつくるための作品。スタンダードでは掌に収まる小さいサイズを、プレミアムでは、机上や棚上に飾ることのできるサイズをお届けします。毎回増えていくパーツを組み合わせて、好きな場所で好きなように並べ変え、自分だけの風景を作ってください。
「スタンダード」
写真シリーズ「snap」全12点から毎回3枚ずつ、
「my small scenery-tiny ver.-」全4点から毎回1点をお届けします。
■初回封入内容:
シリーズ「snap」より3点 (写真:インクジェットプリント/和紙/各210mm×297mm)
シリーズ「my small scenery -tiny ver.-」より1点 (水性樹脂、鉄
粉/30mm×30mm×25mm)
「風景と共にあるもの」をテーマに制作した2つのシリーズから毎回数点ずつお送りします。
シリーズ「snap」は2015年-2020年に訪れた様々な土地で撮影したスナップショット12点からなる作品。
シリーズ「my small scenery」は自分の風景をつくるための作品。スタンダードでは掌に収まる小さいサイズを、プレミアムでは、机上や棚上に飾ることのできるサイズをお届けします。毎回増えていくパーツを組み合わせて、好きな場所で好きなように並べ変え、自分だけの風景を作ってください。
写真シリーズ「snap」全12点から毎回3枚ずつ、
シリーズ「my small scenery」から、毎回数点お届けします。
■初回封入物:
シリーズ「snap」より3点 (写真:インクジェットプリント/和紙/各210mm×297mm)
シリーズ「my small scenery」より3点 (水性樹脂、鉄粉/60mm×60mm×50mm、
50mm×50mm×75mm、240mm×240mm×10mm)
「スタンダード」も「プレミアム」も同じことを考えて制作しています。今まで色んなところに行って、そこに関わりのある人、関わりのあるものをモチーフに作品をつくってきましたが、今そういったことが難しい状況の中で、作品の方法論を変えないといけないのではと思ったりしています。それで「じゃあどうしよう」となった時に、自分が今まで色々なところに行って撮っていた写真、それは別に作品にしようと思って撮った写真ではないのですが、それをもう一度見返してみようというところから始まりました。そこから「風景と共にあるもの」をテーマに制作を進めました。
私が言う「風景」というのは、人がいて、その人が何かしらの事をしているということが含まれているんです。写真も、消えそうな、何かの影とか何かの光のあれとかばかり撮っているから、もうその場に行っても見ることが出来ないもの。例えば、それが私の個人的な経験だったりするけれど、それを見ることとか、それがあの時・あそこにあったとか、もしかしたら今もあるかもしれないということ、そういった外の世界のことを考えるということはなにかの希望だなと思うんです。普段は外に出て、そういう風景を見て家に帰ってくるんだけど、今はなかなか出来ないので、そういうことを想像する、自分でそんな風景をつくることが出来るとかが、どこかに行かなくても楽しくできるように。今回の作品は、自分のためにやってみようところから始まっていると思います。
全部で12枚の写真を毎回3枚ずつ送ります。その組み合わせは、それを送る季節に撮ったものにしようと考えています。また、それを「何年何月何日にどこで撮った」というクレジットを別紙で入れようと思っています。写真そのものに書いてしまうと、その場所と時間が限定されるけれど、別紙になることで写真に直接紐づかなくなって、見る人が自分で想像してもらったり、広がりが出やすいかなと思っています。初回は12枚の写真を収納するケースもついてきます。
家の作品はこれまでシリコンでずっとつくってきたのですが、少しもろいので販売には不向きだと思い、水性樹脂を使っています。鉄粉が入ってるので、雨や水がかかるとだんだん色が変わっていって、持ち主によってちょっとずつ変化していきます。1回目は家のかたち、2回目は台座のようなもの、3回目はまた違うかたちの家...というように考えています。2回目が送られて来るまでの3ヶ月間は風景が変わらないけれど、そこに大地が加わって、また風景が変わって、そこにもうひとつ加わって風景が変わって...と自分の家の中で、自分の好きな風景を見ることができるのではと。「風景をつくる」ことをしていただきたいなと思っています。その家は袋に入れてお届けします。茶器の道具が全部袋に入っているのでそれがいいなと思って。家で愛でていただくものだから袋に入れようと思って、手作りしました。
誰でも見に来ることができる展覧会ををつくるのと、誰かにお手紙みたいなものを届けるという違いが、作品と私とそれを見てくれる人、買ってくれる人との距離感が全然違うなと感じました。今回の[m@p]で、は万人に開かれていなくても、知っている人にお手紙書くようなことを出来たらと思っています。また、「ものに触れる」ことによる素材感や、自分が作品に関わっていけるということなど、そういった普段はできないことをやりたいと思っています。
「プレミアム」の方は写真は同じものを、家の作品は大きくなり、数が増えます。毎回台座と家が2つ。台座は正方形のもので、台座としてもいいし、そのまま置いてあってもいいし、壁に立てかけてあってもいいし、自分で配置を変えて遊ぶという、展覧会ではできないことをしていただければ楽しいのではと思っています。
大きいところに開いていかなくていいという感じがあると思います。個人に届ける、その人ひとりのためにつくっているという感覚があります。その人と手紙をやりとりするように作品をつくるというのは普段、万人にみてもらう展覧会とはちょっと違うという感覚があります。そして写真も家も、普段の展覧会であれば触れられないのがほとんどだけど、私の作品はそこが一番の肝なんです。私は触っているし、質感も全部知っている。作品の中では重要視しているんだけど、見た人はそれを触ることはできないという変なことになっていて。今回はベタベタと触ってもらうことができる、自分で育ててもらうことができるというのは一つの可能性な気がしています。[m@p]がなかったら、私、この企画、自分でやっていたと思うんですよね。今まで作品や展覧会を見てくれた人が買ってくださると、今まで足りなかった部分が補完されるような作業が起こり得るんじゃないかなと思っています。
田中秀介さん。元々、作品が面白いなと、手に入れたいなと思ってたりするけど、大きい絵画作品を買うには金銭的に難しいので。自分のアトリエの壁に、色んなポストカードをはっている場所があって、そのコレクションの中に入れても違和感がないなと思っています。私にしかわからないと思うけど、私の変な美意識の中にはいってもおかしくないし、入れたいなぁと思います。あと、山添潤さんの作品も触ってみたいです。
2019年に続き2020年10月にも個展開催を予定していた写真家・田中和人は、[m@p]の「A4サイズ・4回発送」という条件からの発想として、これまでに取り組んできた自身の代表的なシリーズに再解釈を加えた作品をお届けします。いずれのシリーズも「写真による抽象表現の探求」を主題とする田中の代表作がリミックスされた作品群は、これまでの田中の取り組みを手に取って理解できるとともに、新たな魅力の発見の機会としても魅力的です。
今まで発表してきたシリーズから代表的な4シリーズを選び、それぞれのシリーズを自身で再解釈を加え、再制作する。
音楽で言うところのRemixの概念を自作の写真作品に応用することで、作品の新しい可能性を引き出します。
■初回封入物:
《 pLastic_fLowers (Self-Remix 2020) 》
Year: 2020
Size: 254x203mm (Sheet size)
Medium: Analog chromogenic print (手焼きしたカラー写真)
Edition: 10 (Each edition is unique)
近年取り組んでいるシリーズ「pLastic_fLowers」のリミックス。
「pLastic_fLowers」は、花の像と、ドローイングが一体となった写真作品。
今回は、暗室で手焼きした印画紙の表面の乳剤面をスクラッチする(削る)ことで、
花の像に呼応するあらたなレイヤーを出現させた作品。
エディション10ですが、それぞれのエディションひとつひとつに違ったスクラッチが入るため、すべてがユニークピースとなります。サイン入り。
■第2回封入物:
《 blocks (Self-Remix 2020) 》
Year: 2020
Size: 203x254mm (Sheet size)
Medium: Analog chromogenic print(手焼きしたカラー写真)
Edition: 10 (Each edition is unique)
キャリア初期の代表的なシリーズ「blocks」のリミックス。
「blocks」は、構成された積み木をフォーカスをずらして撮影した作品シリーズ。今回は、それを、暗室でのプリント時に、引き伸ばし機のフォーカスを変動させながら印画紙に焼き付けるというイレギュラーなプリンティングをすることで、時間を内包したボケを伴った像を現前させた。
エディション10ですが、手動での操作による手焼きのため、すべてがユニークピースになります。サイン入り。
■第3回封入物:
《 PP (Self-Remix 2020) 》
Year: 2020
Size : approx 297x210mm
Medium: Acrylic and analog chromogenic print (color photograph) on paper
Lot : 10 (Each is Unique)
最新のシリーズ「PP」のリミックス。
「PP」は、抽象絵画の表面上に、暗室で露光させた色面としての印画紙を貼ったシリーズ。
今回は、より軽やかな画用紙上でPPを展開。まるでPPの設計図のような、実験的、かつ作品コンセプトが明確に凝縮された作品。
1点1点が異なるユニーク作品となります。サイン入り。
■第4回封入物:
未定。お楽しみにお待ちください。
田中和人の新作が、1点ずつ4回、計4点届きます。
面白そうだと思ったんですけど、4回で5万円という設定が絶妙に難しいなと思いました。普段の価格の設定があるからそれとの兼ね合いもあるし。だから、せっかくなので、普段の作品を出すのではなく、少しひねった作品を出して、自分の今後のヒントになるようなことをやろうと思いました。もちろん5万円という価格は安いものではないので、購入者の方に満足感を持ってもらえるように...と考えると、価格設定はそれほど考えずに、普段の作品制作のプロセスからこぼれ落ちた、実験的な要素を入れようということになりました。そこで、これまで色々なシリーズをつくってきた中から代表的なものをピックアップして、「今考えたら作品の構造や要素はこうだったかもしれない」という別の展開を実験的にやってみることにしました。購入者だけでなく、自分にとっても新しい発見があるようにしたら、おのずとモチベーションも上がりますし。そうしたことから、普段の展覧会で出す作品とは違うけれども、ちゃんと自分にとっても新しい発見があることができたと思います。
そうです。自分の作品を後から自分でいじるということ。
そういう部分はあるかもしれないですね。例えばこれが10回だったらアルバムみたいになるかもしれないけれど、アルバムというと新作をレコーディングするようなイメージになるから、どちらかといえばコンサートやライブかもしれません。コンサートだと新旧の曲を混ぜるし、アレンジもするじゃないですか。今回は4回なのでミニコンサート、ミニライブという感じでしょうか。
「4回に分ける」という必然性は自分のコンセプトにはあてはまらないのであまり考えていなくて。たとえば日本画の作家であれば4回で四季をめぐるというようなことがあるのかもしれないけれど、僕の場合は大きく関わりません。それが4回ではなく10回だったら、扱うシリーズが10シリーズになるという具合です。実際、3作目まではもうつくっています。4回目はまだ何も考えていないですが。
今回、制作するロットを10にしてますが、ひとつひとつはユニークピースです。写真だから同じようにはできるけれど、わざとひとつひとつ違う感じにしています。エディションだけどユニークピースみたいにしようと思ったので。暗室で自分で写真を焼くということから、すでにユニークピースではあるのですが、たとえば1回目に発送を予定している作品《 pLastic_fLowers(Self-Remix 2020)》の場合は、印画紙に実際にスクラッチを入れて、表面が削れている状態というものもやっていて、それぞれの個体差が出ています。はじめは写真の上にドローイング、と思ってやっていたけど面白くなくて、色々やっているうちにたまたま削れていたのが面白かったんです。元になった本来の作品ではそういうことやっていないのですけれど。
《 blocks(Self-Remix 2020)》は暗室に入るまでは何も決めてなくて、全く違う色で焼いてみるとか、複数のネガを多重露光にして焼こうかとか、色々やっていたけれどあまり面白くなくて。それで、元々は撮っているときにフォーカスをズラしていて、それをただプリントしているだけなんだけど、それを焼く時にもう一回ピントをずらす、二重にずらすということをやってみようと思って。それをやってみたら面白かったんです。
新作が1点ずつ4回届きます。まぁ、こちらも実際のところ難しいなと思いました。今まだこの世にないものをつくりたいなと考えたり、やりたいこともあるのだけれど、できるまでに10年かかるかもしれないので、それを出すのも難しいなと思いますし。実際は、価格やサイズなどの条件(制限)があるほうが考えられるんですが、自由と言われると難しいなと思っていました。
これがあったからやった、これがなきゃ生まれなかったな、というのが自分にとってもいいなと思っているので、制限があったほうが色々とできるなと思います。実際に注文があったならば、それをきっかけに何かを考えるかもしれませんが。
2020年の最後を締めくくる展覧会として12月に個展開催を予定していた田中秀介。日常への眼差しを絵具と筆の動きに置き換える田中はまた、《 空っぽの突っぱり 》《 一刻の主役 》など、ユニークな作品タイトルもまた作品にまつわる要素としてあつかってきた。[m@p]ではこのふたつの要素を画面上に突っ込んだ新たな取り組みを展開します。言葉は文字・ストローク・色となり、絵と交わってまた新たなイメージを滲ませます。初回は7点の中から選択。3回目の発送では購入者から頂いた言葉を折り込んだ作品を制作してお届けします。
販売価格:¥55,000(税・送料込み)
・画面上での描くことと、書くことの両立を図る。
・1作品を1コマと捉え、4コマを通して一つの意味合いを成立させる。
・初回作品は末コマとなる(文で捉えると文末)回を追うごとに、初回コマへ進む。
・3回目(10月下旬)発送の1ヶ月前までに購入者から一言を頂く。その一言は3回目の作品、文字部分に反映される。
■初回封入物:
紙に絵と文字をしたためたもの1点(絵の部分は水彩絵の具、文字の部分はカルナバ蝋を使用)
※作品は下記より1点を封入。選択可能です。ご注文の際に、ご希望の作品タイトルをお知らせください。
《お前のまつわり》
《凹凸のまつわり》
《うつつのまつわり》
《木曜のまつわり》
《いずこのまつわり》
《うろうろのまつわり》
《最寄のまつわり》
いずれも2020年制作 / 23×17㎝ / 紙、水彩絵の具、カルナバ蝋
販売価格:¥330,000(税・送料込み)
・画面上での描くこと、書くことの融和を図る
・描くものは空模様を発端としたものとする
・書くものは描かれたものを発端とした文章とする
・1作品ごとに内容は完結する
毎回、キャンバスに絵と文字をしたためたもの1点(絵、文字、共に油絵の具を使用/作品サイズ 53×45.5㎝)
参考作品(掲載画像)
《分かつ暮らしぶり》 / 67×60cm / キャンバス、油彩 / 2019年
中止は残念でしたが、今を前向きに捉えてます。もうね、何がおこってもしゃあないなって思いますけどね。今もう前よりも今をほんとにやるっていう。和歌山の展示も明日おわるかもしれないし、そういう風に考える、受け止めるように心がなってる。展覧会っていうものはそういうものだってなってます。突発的に始まり、突如終わるかもしれない行い。だから、「今をやる」って考えて取り組んでいきたい。
お話をいただいて内心焦ったっていうのは事実ですが、焦りと楽しさがありました。実際、絵画教室も閉まったし、展覧会もなくなったし、単純に経済的なダメージはありました。でも不思議と悲観はしていなくて、なにか新しいことへと自分の考えが浮かんでいたので、それを順番にやっていくしかないと思っていました。そうしてドローイングを描いたり、言葉を書いてたりと試行錯誤をしていて、そんなタイミングでパルクから話をいただいて。それをきっかけに僕が僕としてやらせもらうとともに、誰かと関わりを持って何かを進めれることが嬉しく思いました。
ちょうど油彩ではないものの作品を出したいっていうのはずっとあって、紙に水彩で絵を描くことはちょっと前から積極的に取り組んでいて。その上で、一年4回という関わりを持つこと、いわゆる絵画1枚を販売するいうのではなく、封筒を使ったやりとりのなかで出来ることが魅力的だと感じました。だから普段通りの作品を送っても面白くないので、蜜蝋で文字を描くっていう考えに至りました。ただ、正直にいうと、描く・書くということから作品をつくることは前から考えとしてあって、今回のプランはずっと頭のどっかにあったんですね。ただ、ずっと時間やきっかけがなかったところがあって。だからそれをやってみようと。なのでプランとしては1時間もしないうちに浮かびました。
絵を描くことと文字を描く(書く)ことの両立を図ろうと思いました。普段は絵によってある場面を描くことが多いのですが、今回の文字っていうのは風景としては立ち現れないんですが、頭の中に浮かんでいるものというか、頭の中にあるものも風景っていうものに収めることによって、何を指し示すかわからないものを、あるいは何かを指し示すことができるんじゃないかと思いました。加えて、4回の発送を「連続したコマ」として捉えることで、その連続性がより何かをつくりだせるように考えました。ただ、この連続は「逆」で、最初の発送の絵は連続の中でいうと最後のコマ、4回目の発送の絵が最初のコマ、といった構造になっています。これは、購入者の方とのやりとりを考えた時に、4つの連続の最初から始めてしまうと、最後のコマ、4回目に絵が届いたら、その関係が終わるっていうのが嫌で。あと、文章でも、一番最後の言葉や節から冒頭に向かって読むと、いろいろな印象が変わったりすることに面白さを感じていて、それを絵でやってみようと。
3回目にお客さんからいただいた言葉を取り入れて絵を描くこともやります。これは、たとえば《お前のまつわり》には、4回分のイメージはあるのですが、どれもまだ具体的なものはないのです。なので、その3回目にお客さんの言葉を取り入れることで、そうした流れにも予期しない影響が出たりして、それが自分でも面白そうだと思って。たぶん、すべての絵が「~のまつわり」というタイトルになるとは思うのですが。これは展覧会という構造では絶対にできないことでもあるので、何が起こるかわからない楽しさがあります。
プレミアムの方は材料や色材、描くものは一緒なのですが、画面に描かれた文字と絵が融和してるというか、どちらかというと絵を描くような感じで文字を描く感じになると思います。文字が途中で山並みに隠れてたり、浮き出してたりとか。これも今までやったことではないけどずーっと頭のなかにあったことです。これはまったく新しい試みなので、もし購入いただけたら、自分の一番の最新作品を持っていただくことになります。
今、この状態の中でストレートに印象に残ってる作家さんはベリーマキコさん。みなさんすごく構造を考えたりしておられる中で、扇子に描かれたシンプルな絵がすごくパーンって見れたっていうのが。あぁ、それもあるよねって。そういうシンプルなのもやっぱり良いよねって。そういう形を作家が求められないんじゃないかっておもったりしてる中で、扇子に描くっていうストレートさが目に入りました。
2019年に個展を開催したベリーマキコは、自分自身の意識や無意識、経験や感性を出発点に、おもに日本画材を用いた絵画を制作しています。山や川に近い環境で制作を続けるベリーは、身近な木を素材にした彫刻やオブジェ、版画なども手掛ける。その作品はいずれも自然に目と手で触れ、自然と遊ぶ中で生み出された柔らかさと可笑しみに満ちています。[m@p]では初回には扇子、2回目以降は木彫りの作品や彩色した箱、版画が届けられます。折々の季節ごとにベリーが手で触れ、可笑しみを感じたものが、まるでお裾分けのように届きます。毎回おまけされる付属するベリーの絵を元にした消しゴムハンコも楽しい。
販売価格:
豊かな自然をテーマにした彩色桐箱、木彫り作品、モノプリント(版画に絵画的要素を併せた1点ものの作品)と消しゴムはんこ2個(毎回)です。
■初回封入物:扇子1点、消しゴムはんこ2個
販売価格:
毎回、小作品1点とドローイング。購入者との対話を大切にご希望に合わせて制作します。
「こういうのんよく考えはるなぁ」と思いました。展覧会をやりながらこれをやるということではなくて、完全にシフトしたというのがすごいなと思いました。私はたとえ発表する機会がなくなったとしても、絵を描くと思います。なんか知らへんけど『今それを描いておかないともったいない』ではないけれど、今、その時にしか描けない絵があると思っているので。なので、発表が出来るにしろ、出来ないにしろ、今できることを何かしておきたいと思い、[m@p]もぜひやってみようと思いました。
私は子供たちを対象とした教室をしているのですが、その中でいつも、1ヶ月の予定を立てて課題を決めるということをしています。子供たちに対しての課題は自分に対する課題でもあるので、条件に対して考える癖がついています。
[m@p]の条件もそれと同じようなものなので、特に大変ではなかったです。
例えば今月は紙版画です。ただ、バレンでこするんではなくて足で踏んでやろうと思って。「踏み版画」って勝手に名付けてやってるんですけど。まずはざっくり考えて、そこから細かいところを詰めていくということを11〜12年ぐらい、常にやっているので、自分の考え方に影響を与えているかもしれません。
私は絵だけをやっているとつまらないなと思うので、色々出せたらいいなと思ったので。例えば、自粛の期間にオーブンで焼く陶の粘土を作り始めたりしたんですが、そんなふうにいつも色々やっていて、何をやっても楽しいんです。そうして、その時に面白いと思ったもの、楽しいことを季節ごとにお裾分けするような。
そうですね。私にとっては遊びというものも重要ですから。
やはり、季節の移り変わりが影響してくるので、自然とともに生まれてきたものをお送りしたいと思います。ただ、m@pのために考えたつもりではあるけれど、おそらくわりと自分が普段からやっていることだと思います。
そうですね。NYにいた時に版画をやり始めて、その時はエッチングをやっていました。エッチングだとプレス機が必要で、大がかりになるのでお手軽なものとして、消しゴムでやってみようと始めたものです。お芋のハンコも多用しています。
ほぼないですね。今回は扇子型の紙に描いて扇子屋さんに仕立ててもらいました。
扇子として使えるというところも、絵はなかなか「使う」ということができないので、面白いです。
購入者の方となるべく対話したいと考えています。そして、その対話の中から出来てくる作品・絵にしたいと思っています。例えばその方が好きな花を入れたりとか、好きな色を使ったりとか、楽しく相談しながらできたら面白いなと思います。普段はそういう機会もあまりないので。額もその方が欲しかったらつけますし、臨機応変に対応いたします。
そうですね。だからどこで完成かというところは難しいんですけど、あるポイントがきたら終わることができるんです。
「Artificial S」という主題に取り組む麥生田兵吾は、2010年より写真活動「 pile of photographys 」をweb上で発表し続け、2014年から5年連続で個展を開催するなど、写真・映像・インスタレーションなどによって鑑賞者の身体・体験に表現が働きかけることに取り組んでいます。2019年からはこの「 Artificial S 」を「本」という空間に展開させる取り組みを始めており、[m@p]ではこの「本づくり」を「Artificial S BOOK -prototype-」として展開します。毎回、あるテーマや目論見によるボリュームを「本の習作」として届けるこの取り組みは、麥生田の進行形の本づくりを知る機会でもあります。
販売価格:
写真集制作のための試験的なプロトタイプの本を4種作品化いたします。
4種の本は、写真集を制作するにあたって一つに統合される以前の、それぞれ異なる表現方法をテーマにした試作です。
初回は、展覧会「Artificial S 5 心臓よりゆく矢は月のほうへ」で作りだした空間を本の形式へ変換した試みを作品化したものです。
■初回封入内容(全4回同様)
●作品 本
●作品タイトル 「Artificial S BOOK -prototype 01-」
●作品素材 インクジェットプリント、レーザープリント、他
販売価格:
プレミアムで使われる作品は、スタンダードで販売される作品のイメージ内容と同様となり、本の種類も販売されるスタンダードの作品に準じます。
「Artificial S BOOK -prototype-」の素材をすべて高画質出力(インクジェットプリント)したものを、特注の額に納めた作品。本ではなくタブローとして鑑賞するものになります。開かれるページは任意で決定いたします。
染織の「染まる現象/染める行為」に内包される「時間」や「曖昧さ」に興味を寄せ、そこに見つけた気づきを染織のみならず写真や映像をも用いた作品により展開させるむらたちひろ。m@pではむらたがアトリエで取り組む試行錯誤や実験のサンプリングを都度にお送りするなかで、染織や作品への理解を深めるとともに、作家が「いま何を眼差し、そこから何を求めて手を伸ばすのか」について共有していただける機会ともなります。これからの一年に渡り、まるで作家のアトリエに訪れ、その目と手の動きを追うような体験をお届けします。
- 現在はオンラインストアにて関連作品として《標本カード》を取り扱っております。
販売価格:
私は染織の「染まる現象/染める行為」に内包される「時間」や「曖昧さ」に対峙することで制作を進めてきました。
染液が広がる、繊維に浸透する、そのうつろいがどのような軌跡を描くのか。その様相に現実の世界が重なって見えるという体験が、制作の原動力になっています。 世界が急激に変化する最中、制作の手は一旦止まってしまいましたが、再び動き始めました。
「m@p:スタンダード」は、今とこれから取り組む制作の過程を、購入者の方と共有する機会にしたいと考えています。 些細な気づきが、新しい景色を生み出していく。その兆しが感じられるものにしたいと思っています。約一年間、お付き合いいただけるとうれしいです。
初回は、綿布で折った「舟」を染液に浸けることで、舟底から色が吸い上がっていく過程を写真・映像に収めている制作から、染まった「舟」の“標本カード”約10種をお送りします。2回目以降はどのような形でお届けするか未定ですが、何に引っかかり、何を求めて取り組んでいるのかお伝えする手紙を各回同封します。 また初回に、4回分を収納するケースをお送りします。
■初回封入内容:“標本カード”10種程度+収納ケース
カード: 19.7×26cm
収納ケース:麻布・染色 / 29.5×23cm ※開いた状態29.5×105cm
販売価格:
初回~3回目:サンプルピースとそれに関係するシリーズから小作品1点ずつ
4回目:ご希望の作品シリーズから1点制作。
3回目のお届け後、ご希望があれば4回目にお送りする作品シリーズをお伝えください。
何を目的にするのかというのを定めるのが迷ったところはありました。コロナによる状況が変わっていく中で、手が動かないという時期もありました。展覧会のためだけに作品をつくっているわけではないですが、やっぱり展示して、こういう空間でこう見て欲しい、こういう視点に立ってもらえるだろうかということを考えていたので、単純に出口が止められたら止まったしまったという感覚があったんです。
ただ、封入しているものは無理やり手を動かしたわけではなく、いろいろ考えているうちに自然に手が動き出したもので、[m@p]に取り組むことが何かを進めるきっかけになっていると思います。また社会や状況により手が止まったりすることもあるかもしれませんが、その時々で考え、自然に出せばいいかなと思っています。
スタンダードでは普段作品になる前の「これなんだろう?」と思っているものを一緒に体験していただけるようなものをお送りしようと思いました。
普段の制作の中では、布を染めて実験したりとか染めながら考えることが多いので、例えば実験した布のハギレを送るということも考えたのですが、届けた物だけ見て伝わるものにしようと考え直しました。ただ、試作そのものは手放せないので、共有できるかたちを探してお送りしようと思っています。
初回にお送りするものは、5月に取り組んだ作品 《 planet 04C 0200 ’18, 2.18 AM9.45 2.19 AM9.21 》の延長として制作しました。布の舟がだんだん染まっていく様子を撮影した数分の映像にまとた作品なのですが、染まった舟を「標本カード」というかたちにして10種ほどお送りします。また、4回にわたってお送りするものを収める「収納ケース」をお送りします。収納ケースも染色したもので、普段の仕事、作品の一部として考えています。開いた状態で全長1mほどになります。1m幅の布をそのまま使っています。
「テストピース」ではなく「標本カード」としているのは、「テストピース」だと何か目標にするものがあって、それに向けたテストのようになってしまうけれど、私の場合はそれとは違うと思ったからです。布を折ってつくった舟が、舟底からだんだん染まっていく作品のテストといえばテストだけど、それをそのまま作品として発表する可能性もあるので、染まった舟を両面からスキャンし、両面印刷したカードにしました。1枚のカードに表面と裏面が対応して見えるようにしています。印刷物ではあるけれど、1枚の紙の中で表と裏から見ることができるものなので、「標本」と名付けています。
標本カードのうちの1枚はちょっと別のカットになるかもしれませんが、舟の作品は9種入ります。1つにつき、半日~1日かけて染まっていくのですが、今回お送りするのは、今年(2020年)5月4日から5月29日の間に染まった舟の中から9種を「標本カード」にしました。
残り1種のカードで、染まる過程が想像できるような仕組みを考えています。また、1つの舟に対して、日付と数字が記録されているのですが、それは布の種類と染料の種類を番号で振ったものです。同じ条件でやっているものもいくつかあるのですが、番号からそれを読み解くこともできます。2回目以降は、布の状態で何か見てもらえるような、制作の断片をお送りします。
プレミアムについては、これまでの作品シリーズにまつわる制作の断片的なものと小作品をお送りします。1~3回目は《ひろがるまる》シリーズ、写真を用いた作品シリーズ、去年から取り組んでいるシリーズという3つのシリーズからお送りします。4回目は3つの中で気になるものがあれば、そこから作品をつくることもできます。ご希望をうかがって新しく制作します。もちろん、既存の作品でご希望があればそれでも構いません。あわせて、その作品にまつわるもの、作品になる前のものなど、作品の断片のようなものも送るつもりです。
何を考え・思って制作したのかということを書いた手紙です。染まっていく作品は、2年前からやっている作品の延長ではあるんですけれど、こういった時期の日常生活とリンクしながら染まっていくということとか、時間が流れること、時間を過ごすことについて考えた上での制作ではあるので、そういったことも共有できたらと思っています。
初回に送るものは全部、5月頃に家で過ごす時間で制作したものです。今後、色々な場所に行けるようになったら、もしかしたらそれを利用するものになるかもしれないけど、今決められるものではないし、ずっと自宅での制作かもしれません。それでも、できることが増えていたり変わっていたりするかもしれないし、そういったものを自然に出したらいいと思っています。また、そうしたことも作品を制作する、見せるということに緩やかに繋がっているのだなと思っています。なので、どの部分を見せるのかという違いだけで、「ここが面白い」とか「こういうこと感じる」とかを出していく点では、今まで発表していた作品とたぶんあまり変わらないし、割と自然にできるかなと思っています。
[m@p]のプランで、はじめは作品を4回に渡って送るとしたアイデアもあったのですが、私の場合は面白くないなと思って。あるいはハンカチなどの実用的なものを届けるということもできますが、良いもの・サービスが世の中に溢れているので、自分がやらなくてもよいなと。では、そこから私のスタジオを訪問していただくような体験を何かのかたちでお届けすることを考え始め、その方のご自宅で体験していただき、そして一緒に所有してもらうものとして考え直しました。2回目以降、布をお送りすることになるかもしれませんが、何か「所有してもらうかたち」というものを考えて、そのために制作します。テストピースをバラバラ送るなど、生っぽく制作現場をお届けするということよりは、一緒に所有してもらうということを考えて新たに制作するものです。ですので、それはそれで作品ではないかと考えていて、今後もしかしてどこかで展示するということになるかもしれません。ただ、つくる方向が違うというか、展示する前提でつくるものではなくて、誰かの家に届けるものとしてつくっていこうと思います。
そして、その都度、考えていること、制作しているものと一緒に3ヶ月ごとに進んでいけたらいいなと思っています。
2020年6月に、パルクでは2017年以来4度目の個展を開催予定だった山岡敏明。「あるべきもの」の姿を求める試行錯誤・その結果としてあらわれるフォルムを『グチック』と呼び、その捉えようのない存在を捉えようとする行為として、山岡はこれまで多くのアプローチを試みている。[m@p]ではそのアプローチの異なるシリーズの新作をお手元にお届けします。何かのようで、何でもない。けれどそんな線やカタチに目を奪われる体験を通して、山岡の眼差すカタチに触れて欲しい。
- 現在はオンラインストアにて絵画作品1点ずつ取り扱っております。
販売価格:
グチック描画における手法が異なる5種のシリーズを、順に4回に分けて送付します。
第1回目送付のchimeraドローイングは、Web上のカタログより指定可。
2回目以降は、サンプル画像に載っている作品”以外”の同シリーズから1点が届きます。
■初回封入内容:「GUTIC MORPHOLOGY P35」(Blu-rayディスク/Youtube限定公開URL)、「GUTIC chimera」(1点)
「GUTIC MORPHOLOGY P35」
Unlimited Drawing 2020年最新作
画面上であるべきカタチを探して、描いては一部を消し、また描いてを繰り返し、イメージを定着させず変化し続けるドローイングをインターバル撮影で記録した映像作品。
Blu-ray ディスクとYoutubeで見られる限定公開URL付き(URLはEメールで届きます)
「GUTIC chimera」
Unlimited Drawingシリーズで記録されたデジタルイメージを複数組み合わせ、プリントアウトしたものに加筆修正したドローイング
29.6×23.5cm 額別 2020年
アルシュ紙にインクジェットプリント、顔料インク、修正ペン
※「GUTIC chimera」については、お好きな作品を選択可能。下記より作品番号をご確認の上、ご注文の際にお知らせください。
https://www.gutic.com/chimera05kakuni.html
■第2回目封入物:
GUTIC MORPHOLOGY sシリーズ
画面上であるべきカタチを探して、描いては一部を消し、また描いてを繰り返し、一つの可能性としてのグチックを定着させたオリジナルシリーズの小品。
22.1×22.1 cm 2020年
板にアルキド塗料、ダーマトグラフ、オイルパステル
※作品はお選びいただけません。
■第3回封入物:
GUTIC MORPHOLOGY Fシリーズ
顔料ペンによる一発描きで明瞭なカタチを描いたドローイング。
一つの画面に描かれたカタチは枠からはみ出して、同シリーズの別作品のカタチと、パズルのピースのようにつながっている。
18.0×18.0 cm 2020年 パネルに綿布、アクリル絵具、顔料インク
※作品はお選びいただけません。
■第4回封入物:
GUTIC MORPHOLOGY Umシリーズ
あらかじめ画面に施したモヤモヤの模様からカタチを見つけ出し、地と図に分けて立体感を強調させたシリーズの小品
18.0×18.0 cm 2018 パネルに綿布、鉛筆、アクリル絵具
※作品はお選びいただけません。
販売価格:
「Unlimited Drawing Limited Edition」
画面上であるべきカタチを探して、描いては一部を消し、また描いて、と変化し続けるアンリミテッドドローイングを、m@p限定で期間中新たに1点制作します。 (この1点におけるドローイング過程は、作家、ギャラリー側からは一般”非公開”とし、購入者の許諾なくWebや展覧会等で発表されることはありません)
m@p送付1回目から4回目まで、各回の時点で現れてきた画面を高精細スキャンし、パネルと同サイズのジークレープリント(パネルマウント)にして送付します。
4回目送付時に、ドローイングを終了し、”描画線を消した跡のみ”が残るパネルの実物も送付します。
また4回目終了後に、インターバル撮影により記録された全過程のBlu-rayディスク(エディション限定1のみ)と、Youtubeで見られる”非公開”URL(URLはEメールで届きます)が送られます。
※ドローイング本体 素材:パネルに綿布、アルキド塗料、ダーマトグラフ、オイルパステル。サイズ:53x53cm。
※参考:過去のUnlimited Drawing (時間トリミング、低解像度版)
https://youtu.be/stBE48ea-fQ
いろんなアプローチで「グチック」という存在を探すということをやっているので、各シリーズの小品で主要な作品を楽しんでもらおうと考えました。[m@p]は買ってくださる人とのやりとりがあるということから、最初はひとつの作品を描く過程で現れたグチックをスキャン・印刷したものを3回に分けてお送りし、最後にオリジナルをお渡しすることで、最終的なひとつの作品が持っていた変遷やプロセスを楽しんでいただこうというプランを考えていました。ただ、それで試作をしてみたら、良い作品ができちゃったんです。「この状態で止めておきたい」というのが出来てしまって、その状態の作品を持ってもらいたいという思いが出てきたんです。魅惑的なものが出来てしまって...しかもそれで新しいシリーズが出来てしまったんです。出来ちゃったんで、スタンダードは、やりとりの中で作品が仕上がっていくということをやってみようとした試みの結果として、やっぱり1点1点持ってもらいたいということになりました。
参考写真として出しているのは、前につくったものですが、お送りするのは全部新作です。1回目をお選びいただいて、その後にお送りする作品の選択は、購入者のことを考えながら僕のこだわりで決めます。これが来て、次にこれが来たら楽しいかなと思って、押し売りのようですけど。2回目以降は「この作品いいでしょ?」という僕のレコメンドです。
こちらについても、最初に送った作品を購入者の方に送り返してもらって、それに描き直していくということも考えたのですが、それだと作品が最後の1点しか残らないという矛盾があるので、途中経過はジークレープリントを毎回送ることにして、最後はジークレープリントと描いたものを消してしまった実物のキャンバスを送ります。イメージとして残る作品はジークレーと最後に送る映像だけで、実物のキャンバスにはイメージは残りません。ひとつの作品の過程を手にしていただくというものです。
そうですね、買っていただいた方の許可がない限りは公開しないし、その人のためだけにつくったものになります。
最初は作品を選ぶことができないというのが、不安にさせる要素になるのではないだろうかと思いました。ただ、それもまた考えが変わって、スタンダードについては、1回目は作品を選んでもらうので、2回目以降はレコメンドするというか、作品の選択は任せてもらえればと思っています。プレミアムについては自分でも何が出てくるかわからない作業がずっとあるので、まだ1回目のかたちも「今のやつどうかな、まだ描こうかな、どうしようかな」という状態なんで、自分の中でずっと未知でやっている部分を一緒に体験してもらえたらと思います。一本線を足すか、引くかでどうなるかわからないという緊張感が作品には常にあるので。最後に制作の過程を10秒単位で記録し、映像化したものも送ります。これにより大きく4回に分けた過程の追体験とともに、さらにその狭間にあった過程のすべてを10秒単位で見ることができる。その人だけがプロセスを所有してもらえます。普段の展示でも同じことを見せているつもりですが、やはり画面の向こう側の出来事として見えてくるということがあるので、それを今回のプレミアムに関しては、より強く、よりダイレクトに僕の作品を体験してもらえればと思っています。
一年で4回送る中で、今こうなっているんだというもの、かたちが勝手に変わっていっていくのを見ていただき、1年後に実はその4回の間にもこれだけのことがあったんだというのを体験してもらえるのではないかと。実は、本来そういうかたちで発表することが正しい作品なんじゃないかと思うぐらいなんです。実際は、過程の中でいろんなかたちが現れては消えていくんで。たとえば展覧会では、結果・結論が展示されていて、そこから過程を想像してもらうことになるのですが、実際は途中でいっぱい出てくるんです。本来であれば6月に個展を開催する予定でしたが、1回の展示で一気に見せるよりも、ひとつひとつを手元で見てもらうことや、プロセスという時間を見てもらうであるとかは、もしかしたら本来の僕のつくりかたや出来てくるものに合ってる方法かもしれないと思います。もちろん、今後も展示はしたいですけど、今回は新シリーズも出来たし、良い作品が出来てきていると思います。
ヤマガミユキヒロさんはいいなと思いますね。徐々に描き重ねていくというのは、今回の[m@p]にはまっているなと。そして、みなさん、普段と違う小さい作品としての完成度が高いものが手にはいるので面白いなぁと思います。
鉛筆によるモノクロームの風景画の上に、同じ場所から撮影した映像をプロジェクションする独自手法により、絵画に光や時間のうつろいを描きだすヤマガミユキヒロ。[m@p]ではプロジェクションによるレイヤーを「加筆する」ことに置き換えた表現に取り組みます。「郵便で送る」という[m@p]の特性を活用し、購入者と一枚の風景画を「往復」するなかで、画面に次第に風景の断片が加えられるこのプランは、ヤマガミ作品の制作プロセスを段階的に体験するようであり、映像を用いることなく時の流れを購入者と共有するものとなります。
販売価格:
僕の作品の多くは、鉛筆や墨などモノクロで描画した絵画にレイヤーを重ねるように、プロジェクターによって同一視点の映像を投影した「キャンバス・プロジェクション」という独自の手法によるものです。常にそこにあるものを絵画で、移ろいゆく光や時間をプロジェクターで描く、というものです。今回のm@pプロジェクトでは、鉛筆画に加え、今まで映像によって表現していた移ろいゆく時間を「加筆」というアプローチで表現します。
スタンダード版の作品構成はベースとなる鉛筆画のジークレープリント1枚と、時間や季 節の痕跡である「加筆」となります。スタンダードでは作品を加筆加工するため、期日が 来ると僕の元へ作品を返送していただく必要があります。5つのエディションはあります が、同じシーンが無いユニークマルチプルです。 作品は今までロケハンで訪れた京都や東京、佐賀県など各地の風景です。どこの風景がお手元に 行くかはお楽しみにしてください。
作品タイトル:location hunting (sketch)
作品サイズ:19cm x 25cm(額入り)
マテリアル:ジークレープリント、ほか
*額代込み、加筆時の輸送費込(北海道、沖縄、離島は別途いただく場合もあります)
*お手元に残る作品は1点です。
販売価格:
プレミアム版の作品構成はベースとなる「絵画」(鉛筆画)1枚と時間の痕跡である「加 筆」となります。プレミアムでは実際に作品に加筆していくため、期日が来ると僕の元へ 作品を返送していただく必要があります。 作品はお花を描く静物画です。1年をかけてお花が枯れるまでを加筆していきます。作品 が進化していく姿を体験してください。
作品タイトル:still life
作品サイズ:46cm x 46cm(額入り)
マテリアル:紙に鉛筆、ほか
*額代込み、加筆時の輸送費込(北海道、沖縄、離島は別途いただく場合もあります)
*お手元に残る作品は1点です。
僕たちはつくることはできるんです。ライブや興業がひとつの完成形であるような音楽や舞台系の人たちとは少し違って、造形美術の場合は作品の完成はアトリエでもできる。となるとほとんどの人が、大きく制作スタイルは変わっていないのかなと思います。ただ、僕たちにとって一番大事なアウトプットである展示・展覧会をすることができない。つくることはできるけれど見せられない、という中で、どのように新しい発表のスタイルや機会をつくるかということを考えてました。その中で[m@p]の話を聞いた時、最適解だなと思いました。現状ですぐ出来るし、オンラインビューイングよりも作品鑑賞の体験に近いのではないかと。もちろん規模が小さいし、インスタレーションにはしづらいけれど、見たときの感動は、オンラインよりもはるかに情報量が多いので、いいなと思いました。
自分が今までやってきた作品というのは、絵画に映像プロジェクションを使っていろんな風景の移ろいを見せるというものなのですが、それは、朝昼晩、春夏秋冬全部描きたいということからなんです。でも描けないから映像を使っています。そこからの展開で、[m@p]では映像は使えないけど1年間という時間があるので、それだったら1年を通して加筆しながら、いろいろな光景をお見せすることができるのではないかと思いました。
最初の3ヶ月間、まずは鉛筆画だけの状態を見ていただき、3ヶ月後には僕のところに返信用封筒で戻していただきます。それにどのようにするのかはまだ思案中ですが、アトリエで加筆してまたお送りして、最終的にどうなるかは僕もまだわかりませんが、一枚の絵が変化していく過程を楽しんでもらえたら。これは通常の作品販売だと絶対にできないことですが、[m@p]だとそれができます。加筆の方法は今の時点では色鉛筆でしようかなと思っています。
スタンダードと同じく加筆していくプランですが大きな違いがあります。僕が主にやっている「キャンバス・プロジェクション」のシリーズでは、移り変わらないものを僕が描いて、移り変わるものを映像にするというように分けてやっていたのだけれど、今回のプレミアムでは移り変わるものを描きます。プランでは一番綺麗な状態の花から、それが枯れるまでを僕が描く、一枚のキャンバスに加筆して行きます。ジャコメッティみたいに油彩で下の絵を覆いながら加筆するというやり方ではなくて、あくまでも鉛筆で上に上に重ねていくという形で描いていきます。絵画は通常、一番最後(表面)に乗った絵具が見られるのですが、今回はその途中段階を誰かに見てもらうことができます。
スタンダードは上から重ねるので、実験しながら、戻ってくる時に向けて用意ができるけれど、プレミアムは大変で、少なくとも1週間は加筆の時間をもらいたいなと。もちろん戻ってくるまでに練習はしますが。描く時にならないとどうなるかわからないので。
実物の花が枯れていく様子をすでに撮影していて、一番綺麗な段階のものはすでに描いていてそこで止めています。水を入れてお花が枯れるまでだいたい1ヶ月ぐらいかかったので、膨大な量の写真があります。
はい。ただ買ってもらった人にはSNSにアップしてもらってもいいと思っています。「あの時の方が良かったのに」とその人から言われるかもしれないけれど、それでもいいのかなと思います。そんな感じで真面目に、楽しみながらやっています。
そうです。京都、佐賀県、オーストラリアとこれまで僕が仕事で訪れた場所で、描いたけれど発表できていないものばかりです。そういうものをこの[m@p]の中で発表できたらと思いました。京都のよく知られた鴨川の風景も、佐賀やオーストラリアという行ったことがないかもしれない場所も、絵葉書の旅のように散歩したり、旅行しているような感覚になってもらえればと。
これまで、割と大きなサイズの作品をつくってきたのですが、今回の[m@p]のA4サイズはそれはそれでいいなと思いました。額に入れてみたけれどとても良いし、デスクの横に置いておきたいと思いました。また、ちょうど今、これまでの作品の中で一番大きい8m以上の作品を同時に制作していて、一番大きいものと一番小さいものを同時にやっているのも面白いです。大きい方は身体感覚としては絵画というか壁画のようなんです。[m@p]の方はこちらが、小さくなっていくようなバーチャルな世界観。今まで自分が小さくなってその世界に飛び込むというような感覚を考えたことがなくてつくっていなかったけれど、それがまた楽しい。大きな作品を毎日眺めて「まだまだ全然描けていない」とため息ついては、A4のスケッチブックに描いていくのが楽しくて、気晴らしになっています。
田中秀介さんの作品です。山添潤さんのも気になるけれど、僕は平面をやっているので平面の作家が気になります。
1990年代半ばから一貫して石を素材としてきた山添潤の彫刻作品の多くは、自然や建築空間に対峙しうる大きな塊を持つものであったが、今回の[m@p]では「角2封筒に入れる」という条件から、「小さな」石の彫刻作品と、石彫とともに制作を続ける『刻の環』シリーズのドローイング作品をお届けしました。 小さいとはいえ手に持つとズッシリとした重量感を伝える石という存在、細部と全体のフォルムを繋ぐ無数のノミ跡の手触りなどは、見るだけではなく「触れる」ことのできる鑑賞の楽しみとして、特別な体験をお届けすることになりました。
- 現在はオンラインストアにて、石彫作品・ドローイング共に1点ずつに取り扱っております。
販売価格:
素材:石。
4回を通じて手の平にのる大きさの石の彫刻を送ります。
触ったりなでたり眺めたりして楽しんでいただければ幸いです。
販売価格:
2004年から現在、そして未来に続く私の仕事を4つの作品で知ってもらいたいと思っています。
■初回お届け内容
石彫 1点
■2回目お届け内容
ドローイング 1点
■3回目お届け内容
石彫 1点
■4回目お届け内容
ドローイング 1点
正直に言うと最初は「めんどくさい」なと思ったんですよ。石をやっている人間からすれば制約が多いので。でも、特別なこと、奇をてらうようなことはしたくないし、そういう時間もあまりなかったので、とりあえず(封筒の)厚み3センチ以内で出来ることといえば小品になるので、その方向で考えていきました。もともと、あまり小品を作らないタイプなんですよ。小品を作るとしたら大きい作品をつくるための試し、みたいなところがあるのと商売っ気がないものですから。その点でも、今回は商売っ気を多少出さなければいけない、つまり買ってもらうために、売るためにつくるというのが前提になってくるので、その点は、普段自分がやっていることとはズレるんですけど、あえて挑戦したいなと。
手のひらサイズの石彫の作品を4回に渡って送ります。3センチの厚みで手で持つことが出来るものを考えて、置物というよりは手で持って愛でるものになりました。その物と自分の関係、実際に持って重さを感じつつ撫で回す...そういう接し方が出来るものにしようと。実物をつくっていっている途中でそう考えました。
実は、それほど重くないですよ。1kgも無いと思う。物の重さの基準は先入観というか、「石 = 重い」と思ってるんですよね。量ったら思ってるより軽いはずです。むしろ厚み3センチという制限の方が難しかったですね。石の作品でいうと3センチというのはそれほど薄くなく、もっと薄くすることも出来るのですが、自分が今やっている「石を刻む」という仕事で3センチの厚みでしっくりくる感じに仕上げようというのが。でも、ものと自分との関係というところで、意外とその制限の中で遊べたかなぁと。普段、3センチの厚みでものを作ろうとは思わないですが、これはひとつ選択肢が増えたなと思っています。なんかいいですよ。これ。
参考写真として載せているものとは少し違うものが届きます。つくってみると他に気に入るものができたので。その時の気分で変わってしまうところはありますね。どれに対しても愛情はあるんですが。初回はこのタイプで。次回は売れてから考えようと思っています。同じ厚みの中で違うことをやろうかなと。今回は平たいタガネでつくったけれど、次回は違うものを使うなど、考えているところです。初回の作品も、2日以上かかってますからね。とりあえずつくってみて、なんか違うなと思ってまたいじって、何日か置いてまた見るというように。3個つくるのに1週間以上かかりました。全部ひとつひとつ違いますし。
分身みたいなものだと思います。もっと小さいものもつくることが出来るし、もちろん大きいものもつくることが出来る。ただ、これ以上大きいと部屋においた時に邪魔になってしまうかなと心配で。実際、買いやすい・売りやすい大きさを考えた時にこれぐらいがいいのかなと。
基本、手に持つとことはしないですよね。買ったら持てるけれど、それもある程度の大きさの作品が多いから手に持つという感じではない。これに関しては手に持ってひっくり返したりとか、いろいろ触ってみてほしいです。
道端に落ちている石とかあるじゃないですか。それとこれを持った時の違いはありますね。私が加工している・彫っている、彫られたものとしての石と、自然に落ちている石と、重さは一緒としても、全然、質が違う。それもまた楽しめるのではないかと思います。前から思っているのが、違和感があるけれど不自然じゃないものを作りたいということです。加工している以上、決して自然ではないけれど、不自然でもない。そういうものを小さくても大きくてもいいからつくりたいなぁと。
そうですね。最近知人の作家の方が亡くなったのですが、その方に作品を買っていただいたことがあるんです。それってどうなってしまうのかなぁと思っていて。本当に漬物石みたいな作品。
作品と思われずに捨てられてしまう可能性もありますよね。
石とドローイングはいつも並行してやっているので、それぞれを交互に送りたいと思っています。ドローイングは2種類あって、スクエアのものと、最近やっている放射線状に外側に広がっていくものと、それぞれ送ることで私の仕事を見ていただければと。それに、普通に「石を4つ」となると心配になってしまいますよね。自分の家にすら4つ置いてないので...
10センチぐらいでしょうか。それほど大きくないと思います。ですが、それなりに重いと思います。4キロぐらいはあるでしょうか。家に置くのは大変ですよね......。家に置くという尺度で石彫や石のことを考えることってほぼないですよね。これまではあくまでも展示というかたちでしか考えてこなかったけれど、今回は自分の実体験・実空間に即して考えざるをえない。「石がくる」、「石を(自分の生活の中に)置く」。そういう価値観で作品や物を見てこなかったので、面白いなと思います。
2019年の個展が記憶に新しい山本聖子は、[m@p]で『White Air』という新しいシリーズを展開する。これは先の個展でアプローチした「社会の中に可視/不可視の状態で存在するフレーム化された空気」に焦点を充て、ここから山本の取り組む新シリーズとなるものです。制度としてのフレーム(=額)をマテリアルに展開するこのシリーズは、1年・4回に渡る発表ごとに、作家自身も予期しない進化を見せることになるだろう。それは、何よりこれからの1年が「変化する/しない」の狭間に私たち自身が揺らぐことになるだろうから。現在進行形だからこそ、購入者自身の体験が重ねられるこの新シリーズは、ギャラリーでの作品体験とは違った鑑賞の魅力を知ることができる。
販売価格:
White Air
私が育ったのは1970年の大阪万博に前後して建設されたニュータウンだ。
あらゆるものが完備され人々が何不自由なく生活できる、いわば当時の理想都市でありながら、そこで感じていた空気は、なぜか漂白されたように白く、それによって私の身体はいつもどこか不自由だった。
この原体験から、私は訪れる先々で、自分の身体を取り巻く空気を、色によって直感的に捉えるようになり、これを「気配の色」と名付けた。そしてその色について、歴史や地理、文化、宗教など様々な角度から調査し思考することで、自分と異なる人々や社会の中の “潜在的な知覚”を探り、その背景にあるものの多様さを見つめている。
m@pプロジェクトでは、新たに取り組む「White Air」という新しいシリーズの習作を展開する予定である。
これは素材に“物件の間取り図”を用いたシリーズと同様、社会の中に可視/不可視の状態で存在するフレーム化された空気に焦点を当てたものである。
初回は写真にあるようなフォトフレームをお届けするが、2回目以降は、ドローイングになるのか写真になるのか、まだ私にもわからない。
これから始まる全4回をとおして、変化する/しない社会に呼応するように作品は展開されるだろう。
■初回封入内容:《 White Air 》のための習作(内容:アクリル付きフォトフレーム|外寸170mm × 220mm ※内寸127mm × 178mm/アクリル板、木製フォトフレーム、紙/2020年)
2回目以降は「《White Air》のための習作」として写真、ドローイング、詩などを封入予定。
販売価格:
White Air
私が育ったのは1970年の大阪万博に前後して建設されたニュータウンだ。
あらゆるものが完備され人々が何不自由なく生活できる、いわば当時の理想都市でありながら、そこで感じていた空気は、なぜか漂白されたように白く、それによって私の身体はいつもどこか不自由だった。
この原体験から、私は訪れる先々で、自分の身体を取り巻く空気を、色によって直感的に捉えるようになり、これを「気配の色」と名付けた。そしてその色について、歴史や地理、文化、宗教など様々な角度から調査し思考することで、自分と異なる人々や社会の中の “潜在的な知覚”を探り、その背景にあるものの多様さを見つめている。
m@pプロジェクト・プレミアムの初回では、素材に“物件の間取り図”を用いたシリーズの新しい展開である「幾何学の倍音」というシリーズもしくはぬりえを素材に用いたシリーズのどちらかから1点をお届けする。「幾何学の倍音」はタテヨコの無機質な線の連なりとなった世界に、世界が多様なことで奏でられる「倍音」を感じられたらと思い、制作したものである。ぬりえのものは有機的な線ではあるが、フレーム化され、空洞化したイメージが連なったものである。
そして2回目以降は、今年から新たに取り組む「White Air」という新しいシリーズの習作を展開する予定である。これは “物件の間取り図”のシリーズと同様、社会の中に可視/不可視の状態で存在するフレーム化された空気に焦点を当てたもので、スタンダードコースとコンセプトは同じである。
■初回:15万円程度の間取り図もしくはぬりえの作品(ご購入者のご希望に応じてお送りします)
■2回目〜4回目: 《White Air》のための習作(サイズはスタンダードよりも少し大きいものになります)
スタンダードは完全に新作で、1回目はフォトフレームの作品を送るのですが、2・3・4回目は写真を額縁に組み合わせていくものを送ります。ただ、まだ自分の中でもまだかたまっているわけではなくて。特に3・4回目はまだ自分の中で 全く想像がついていなくて、どんなものを入れるかはまだ決まっていません。日々のドローイングというか、これからの作品をつくるにあたっての習作的なものになると思うから、まだ結果が見えないというのがあるので。ただ、具体的には何もわかっていない状態の中で手を動かすというプロセスは、ほとんどの作家はやっていることで、今回はまだぐちゃぐちゃと何にもなっていない「プロセスそのもの」を見せるというものになるのかと思っています。内容としては白というものに私自身がこだわってきたというのがあって、そこからまず「White Air」という言葉が先に出てきました。これまでの制作の中で「気配の色」という言葉とかも見つけていたのですが、その中でも「白い空気」というのについて、 もう少し焦点を絞りながらやってみようと思いました。
「白い空気」での白というのは、2019年のパルクでの個展で着目した本来の「素」という意味の「シロ」ではなくて、塗装されたような、プラスティック的な白であったり、死のイメージや人工的なイメージと結びつくような意味合いでの「白」 に焦点をあててやってみようと思っています。 元々はアクリルやガラスの板を使ったイメージが4枚送られてくるというものにしようかと思っていましたが、フォトフレームの形式にして写真の保護アクリルを加工したものに変更しました。そのフレームに写真を入れると、イメージ (写真)の前に必ず加工されたアクリルがくることになり、よく分からないイメージが邪魔してくる、上乗せされる、ということになるのでフォトフレームにしました。 これによりイメージのレイヤー構造をつくりやすいと思ったからです。また、フォトフレームの中に写真を入れるものだという認識もあるだろうし、言葉で説明しなくても想像や体感をしていただきやすいかなと思いました。
個展「白いシロ」で発表した「塗り絵」シリーズに通じています。もともと「間取り図」は「閉ざされたフレーム」というのを 意識して用いていて、その代わりになるものを考えた時に、少女たちが描かれた塗り絵がフレーム化されていて、切り抜くことができるということに気づいてつくりはじめました。 日本的な平面性や閉じたフレームとか、そういうものが日本の社会の中で、何か外側からかたちを与える役割として潜在的に存在しているんじゃないかなと思っていて、例えば忖度とか同調意識とか、フレームからはみ出せない意識とか。そういうものの象徴としてフレームというものが気に なっています。 今回は日本の代表的なキャラクターから引用した線を使って構成しています。2回目以降は写真やドローイングなどを送りますが、写真は過去に撮っている写真もあるのでそこから選択するかもしれません。作品にできていないけれど気になって撮っている写真がいっぱいあるので。前面のアクリルにイメージ(キャラクター)がいるということを前提に組み合わせていく中で、自分のWhite Airというテーマに合いそうなものであったら新旧問わずに作品に組込むと思います。
どちらでもいいと思います。重ねても入れ替えても、それは受け取った方が自由に組み合わせていただいても。
初回は未発表の「間取り図」作品か、「塗り絵」作品の新作かを選択していただきます。2回目以降はスタンダードと同じように「WhiteAir」のシリーズをお送りすることになります。 ただ、スタンダードの方ではひとつのかたまりになっていて、全体でひとつの絵のようにもなっているけれど、それがもう少し大きい画面で、ずらされたりとか、配置されたりとかによって動きを持つような展開を考えています。
取り組みとして面白いと思いますが、作家としては難しいところもあります。封筒のサイズという制限もあるし、それを作品として実現させる上での難しさはあります。ただ、こんなに多くの作家の名前と作品が並んでいるのは、一覧でみてもすごく面白いなと思います。4回届くという仕組みは、受け取り側も2回目、3回目になった時に忘れてるのではないか...と思ったりするので、その時にふっとポストに届いて 「ああ、そういえば」と思い出してもらえたり、そういう時間を過ごしてもらえるというのは、本が届く経験とも違うし、 Amazonとかで注文する経験とも違うのではないかと。 1年を通してずっとやりとりができるし、少なくとも1年のお付き合いになるわけで、それを通じて知り合いになれたとしたら、それを機にまた話をしたりとかするかもしれなくて、SNSで交流しているような関係性とは違う、何か懐かしいやりとりが始まりそうな嬉しさがあります。