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ふるさかはるか

Furusaka Haruka

作家インタビューを掲載しました。>>こちら

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  • 初回お届け作品《Leaving》 

  • 初回お届け作品《Leaving》部分

  • 初回お届け作品《Leaving》部分

  • この版木を木目に従って割り、その割れた形に沿って2作目以降の作品が展開します。

  • 藍と土の絵具

木版画家・ふるさかはるかは、自然の素材や現象、そこにある人や暮らしなどを眼差し、そこから版画を制作します。一片の木材のカタチや木目を観察しながら丁寧に版を彫り、採集した藍や土絵の具を用いた版画制作は、今度はその版木を木目に従って割り、そこに生まれた新たなカタチを受けて次の版へと繋がっていく。一片の木に森や自然を思い、そこに寄り添いながら手を動かすことで現れてくる木版画シリーズ《ソマの舟》から4つの作品をお届けします。

 

ロット:10

販売価格:¥55,000(税・送料込み)


一片の木から、ソマ*の森、恐るべき自然を思い浮かべることは無謀だろうか。版木を彫っていると、その形や木目から木の育った環境を想像することがある。目が詰まって硬かったり、割れ目がねじれていたり、枝の切られた痕跡が彫り出されたり。一見捉えどころのない木片にも、それが経てきた物語を語る力がある。

一方、手仕事と山の暮らしについて取材したことを思い返せば、山の人は海を、海の人は山を語ることがある。自然のサインを深く読み取ることのできる人は、眼前にある物事の向こう側を見ることができるのだろう。

一片の木は、私たちと自然との継ぎ手となるべく、「向こう側」を示唆するために拾われたのかもしれない。木目に従って木を割り絵をなぞることから、自然と協調して生きることを確めたい。恐るべき自然はいつでもどこにでもあるということ。それをどことなくわかっているのにやり過ごし、生きる感覚を鈍くしてしまわないように。

 

*ソマ = 杣夫・きこり


■初回封入内容

《Leaving》
227x176mm, 木版, 土 藍 紙, 2020
※刷り具合は1点ごとに少しずつ異なります。

 

初回作品《Leaving》は、〈ソマの舟〉のショートエッセイ「禍と移動」を描いた木版画です。

 

■2回目封入内容
・藍と土の木版画(新作)「津軽のマタギと梨の木」について。《梨の木》(仮)

 

■3回目封入内容

・藍と土の木版画(新作)「白山と漁師」について。《常夜灯》(仮)

 

■4回目封入内容

・藍と土の木版画(新作)《火山》(仮)

・作品にまつわるショートエッセイ

 

※タイトルは変更することがあります。

※作品サイズは4回とも共通。市販の額「インチサイズ」に収まります。



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  • 初回お届け作品《夜営》

  • 初回お届け作品《夜営》額装

  • 初回お届け作品《夜営》額装部分

  • 《夜営》版木 (イメージ)

  • ドローイング (イメージ)

  • テキスト(イメージ)

津軽の人びとの「自然から読み取るサイン」を示唆する何気ない言葉を取材し、その言葉と木のもつ自然の形とを協調させるように制作したシリーズ《ことづての声》から、木版画(2点)とドローイング(1点)、その版木を4回に分けてお届けします。津軽で集めた土と、栽培した藍の葉から抽出した絵具を使用しています。

 

ロット:1

販売価格:¥297,000(税・送料込み)

 

シリーズ〈ことづての声〉では、津軽人びとの「自然から読み取るサイン」を示唆する何気ない言葉を取材し、その言葉と木のもつ自然の形とを協調させるように絵を描きました。絵の色には、作者が津軽で集めた土と、栽培した藍の葉から抽出した絵具を使用しています。

シリーズの中から津軽のマタギ(狩人)などのお話を描いた木版画 とドローイング、版木の4点を選びました。最終回には取材した言葉にまつわるテキストが添えられ、4回分の作品を並べれば小さな展覧会が完成します。木版画(2点)とドローイング(1点)は、作品に合わせて誂えた額装(写真参照)をしてお届けします。版木(1点)はいずれかの木版画の版木となります。

 

手工芸は大抵、それを使う環境に合わせて身近な天然素材で作られ、その土地の人と自然を関係付ける道具となる。北極圏に住むサーミの人びとの場合、古来遊牧してきたトナカイから取る毛皮は、時に-40度にもなる厳しい冬の寒さから身を守るための衣服となった。身近な自然の形を借りて作った道具で、その環境から身を守るのだ。そんな手工芸にまつわる会話をきっかけに、厳しい自然と共に生きる知恵をサーミや津軽の人びとから取材してきた。
(エッセイ「積層の器 ことづての声」より引用)

 

初回作品《夜営》は、津軽のマタギが熊を待つお話から着想を得た木版画です。

 

■初回お届け内容
・《夜営》
 版画: 298x237mm, 木版, 土 藍 紙, 2018 
 額サイズ:314x252x28mm

 

※2回目以降の木版画と額はこちらと同じサイズになります。
※ドローイングはこちらよりも大きめ、版木は直径約100~140mm程度の予定です。

 

 

■2回目お届け内容

・藍と土の木版画(新作・額入)《ことづての始まり》(仮)

 

■3回目お届け内容

・ドローイング(新作・額入)《雪踏み》または《ことづての声》(仮)

 

■4回目お届け内容

・版木1点(箱入) 《夜営》または《ことづての始まり》(仮)

・テキスト

 

※タイトルは変更することがあります。


作家情報

ふるさかはるか|Furusaka Haruka

 

[ アーティストステートメント ]

 

─ 「トナカイ飼い達にとってトナカイの毛皮は、厳しい冬の寒さから自分たちを守る一番大切な手工芸よ。」とトナカイ飼いの娘は答えた。 *1


手工芸は大抵、それを使う環境に合わせて身近な天然素材で作られ、その土地の人と自然を関係づける道具となる。北極圏に住むサーミの人びとの場合、古来遊牧してきたトナカイから取る毛皮は、時に-40度にもなる厳しい冬の寒さから身を守るための衣服となった。身近な自然の形を借りて作った道具で、その自然の厳しさから身を守るのだ。自然を受け入れ作る思考は、私達の心身を守る術となる。私は手工芸にまつわる会話をきっかけに、厳しい自然と協調して生きる人々の言葉と手仕事を取材し制作に取り組んできた。

 

手仕事の取材は、当初木版画の技術を学ぶために必要に駆られて始めたことだった。木や和紙、自然素材の扱い方を学ぶために、思えばたくさんの人びとから話を聞いてきた。身近な自然素材を用い、時と共に収斂されてきた日本の木版画は、絵にその風土が映し出される絵画だと考えている。取材と土地々々の自然素材を結びつけて実験を繰り返すうちに、土を拾い、藍を育てて絵の具にすることにたどり着いた。

 

サーミの「自然と協調する」手工芸のあり方にならって木版画を作ろうとするとき、土や木の持つ色・形と私の思い描くイメージをすり合わせるように絵を描いていく。木の固有なシルエットを版画に写し取るには、その一枚の版木のみを使って、複数の色を刷り重ねなければならない。そのため一色を刷り終えるごとに版木の一部を彫り、今度は異なる色を刷り重ねることになる。彫っては刷るのを繰り返して木版画が完成した時には、版木は彫り・刷りの痕跡を残してその役割を終える。《葉隠れ》の版木には、彫り去った部分に土を埋め込み、版木としての役割を終えた木を埋葬して「自然に返す」という意味を込めた。



─ 「蚊の軍隊が私たちのマーツェ(村)を守っているの。」とエレン・アンナ・ヘッタは言った。 *1


新型コロナウィルスの流行期に、展覧会準備のために浅間山の麓を訪れた。雪に覆われた煙くすぶる山頂を見上げながら、いつ噴火するかしれない火山の麓で暮らす人の心情とはどのようなものだろうと想像してみた。コロナ禍に直面し、予想のつかない現象にどう対処すれば良いのか、都会で熟考と無力感を繰り返してきた私は、火山という予期できぬ脅威についても考えずにはいられなかった。山の姿を見ているうちに、張り詰めた心の糸がプツンと切れる音を聞いた。浅間山はきっと、古来恐るべき自然の象徴として瞭然とそこにあり、畏怖を忘れてはならぬと麓の人びとを戒め、その暮らしの、人びとの生の純度を研ぎ澄ませてきたのではないだろうか。いつ自然に飲み込まれるかもしれないと意識することができる、それが浅間山の麓で生きることの真意なのではないだろうか。たとえ今はそんな畏怖の念から離れて人びとが暮らせているとしても、目に見えないウィルスとは違い、火山は眼前にある。忘れようがない。

 

私がサーミの人びとに惹かれたのは、そんな恐るべき自然と共に生きる術を知りたかったからかもしれない。彼らとトナカイの暮らしについて都会の人に話した時、「なぜ人間はそんな過酷な北へと移り住んだのだろう」と聞かれたことを思い出す。そして「サーミ人というのは…鼻の頭に風が吹き付けていないとダメなのです」*2というヨハン・トゥリの言葉も脳裏によぎる。過酷な環境に暮らすのには当事者にしか知りえない辛さがあるに違いないが、厳しさの中で感覚を研ぎ澄まし、生きた心地を確かめながら行動することに真価がある。そう思えば、恐るべき自然と協調して暮らすことの方が都会にいるよりも居心地が良いということを、多くの人は知らない。

 

しかし私の住む大阪でさえも、目には見えずとも本来恐るべき自然がいつだってそこにあるはずで、そのことを私たちは忘れてきたのか、見ないふりをしてきただけなのだろう。人が密集する環境に適した新型コロナウィルスに遭遇し、人びとは右往左往してしまう。いつ噴火するかわからない浅間山の元に生きることと比べ、都会は安全であるというわけでもないのだ。大切なのは、どこにいようと抗えぬ自然の厳しさの中にあると想像し、その自然に依って自らの身を守る術を持つこと。その術は私にとって芸術であり、同時にそれは生きる術なのだろう。私はコロナ禍の都会で移動や収入を絶たれてもなお、作品制作においてやることが尽きないのを目の当たりにし、そう再認識した。そうして今年も庭に藍の種を蒔き、土を水で漉し、絵の具を作る。


─ 彼ら(サーミ)にとって前に進みながら知識を得るという考え方は、第二の天性だった。動くことによって知るのではなく、動くことこそが知ることなのだ。*3

 

 


*1 木版画シリーズ《トナカイ山のドゥオッジ》より引用
*2 出典:『サーミ人についての話』ヨハン・トゥリ著, 吉田欣吾訳, 東海大学出版会, 2002
*3 出典:『メイキング』ティム・インゴルド著, 金子遊+水野友美子+小林耕二訳, 左右社, 2017

 

 

harukafurusaka.net
kucyusansou.com

 

作家略歴

1976年 大阪府生まれ
1999年 武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業
2010年〜 木版画アトリエ空中山荘 主宰

主な展覧会

2020年 「The future is in nature」 (ルオムの森 / 群馬)
2017年 「土のことづて」(国際芸術センター青森 / 青森)
2015年 「Due North/Snow」(C. R. Ettinger Studio / アメリカ)
2014年 第2回国際木版画会議 「Group Projects "The Contents"」(東京藝術大学 / 東京)
個展「トナカイ山のドゥオッジ」(Gallery PARC/ 京都)
2013年 eno-co-labo vol.1「木版風景:木はわたしの鏡」(大阪府立江之子島文化芸術創造センター / 大阪)
2012年 個展「Twinkles on Mountains」(Cafe by the Ruins / フィリピン)
2009年 国際版画会議 IMPACT 6「Surimono / international」 (University of the West England / イギリス)
2007年 国際版画会議 IMPACT 5 「A Time and a Place」(Deco Gallery / エストニア)
「USM International Print Exhibition」(Universiti Sains Malaysia / マレーシア)
2004年 個展「FROZEN BUSH」(ギャラリーなつかb.p / 東京)
2002年 個展「Freezer」(ヴァーサ市立図書館 / フィンランド)

アーティスト・イン・レジデンス

2017年 国際芸術センター青森(青森)
2007年 アーティスト・イン・レジデンス・アット・伊賀2007(三重)
2003年, 2005年, 2011年 Art center in Máze, (ノルウェー)
2002年 Ateljé Stundars(フィンランド)

主なワークショップ&レクチャー

2017年 国際芸術センター青森(青森)
2016年 兵庫県立美術館(兵庫)
2015年 滋賀県立近代美術館(滋賀)
2014年 Hapao Elementary School, Baguio City High School(フィリピン)
2013年 滋賀県立近代美術館(滋賀)
2012年 江之子島文化芸術創造センター(大阪)
Lagan Elementary School, Namatec High School(フィリピン)
2007年 University of South Carolina, Columbia Museum of Art(アメリカ)
2004年 Mason Gross School of the Arts, Moore College of Art & Design, Philadelphia University, the University of the Arts, Tyler School of Art(アメリカ)

コレクション

Svenska Österbottens Förbund(フィンランド)
University Sains Malaysia(マレーシア)
 
作品画像

《Night Scene from a Height》

2013

紙 土 水彩, 木版,

44.0x71.5cm

作品画像

《水鏡》

2013

版木 土, 水彩

46.0x43.3x4.0cm

作品画像

《葉隠れ》

2014

紙 土 水彩, 木版

84.5x44.0cm

写真:©️国際芸術センター青森 

撮影:西川幸治

作品画像

《葉隠れ》

2014

版木 土, 水彩

86.5x33.0x2.2cm

写真:©️国際芸術センター青森 

撮影:西川幸治

作品画像

《夜営》

2018

紙 藍 土, 木版

29.8x23.7cm

作品画像

《湧き起こる》

2019

紙 藍, ドローイング

18.0x13.5cm

作品画像

《ことづての声》

2020

紙 藍 土, ドローイング

112.0x87.0cm

作品画像

《積層の器》(部分)

2020

紙 藍 土, ドローイング

112.0x87.0cm

 

 

作家インタビュー

 

─[m@p]について

Gallery PARCがスペースとして6月末で一旦閉じるというのを知ってから、割とすぐに[m@p]というプロジェクトを開始するというアナウンスをみて、『次のアクションとして、このスピードで、こういうことを考えているんや』と思いました。また、プロジェクトの「ポストで未知と出会う」というコンセプトについては、木版画でも戦前に「創作版画誌」というものがあって、郵便を使ってポストで作品をやりとりするという歴史があったので、私も何かできそうと思っていて、[m@p]参加の打診をいただいた時は、水を得た魚ではないですが、すごくいい機会もらったと嬉しかったです。

 

 

─参加についても即答で、プランもかなり早い段階から出していただきました。

2014年のPARCでの個展の後、2017年に国際芸術センター青森で展覧会やワークショップをしたのですが、その時に取材したことをもとに、それを反芻しながら作品構想をずっと練っていて、去年の暮れあたりからかたちになり始めていたんです。実は、それが固まってきたので、どこかで展覧会の話をしにPARCに行こうと思っていた矢先のコロナ、閉鎖だったんですが。いずれにせよ、青森でやってきたリサーチの断片みたいなものをアウトプットしたいと考え、助走していた部分があったので、[m@p]には取り組みやすかったです。スタンダードとプレミアムでできることも違うから、そこでリサーチしてきたことの違いを出したいなとも思いました。自分がやってきたことがもともと重層的で、いろいろ調べたり、想像したり。フィクションとノンフィクションを同時並行でやっている感覚があるので、それをスタンダードとプレミアムで分けて扱おうかなと思いました。

 

 

─ふるさかさんの仕事の重層的な部分が「4回に分けて発送する」という構造の中で整理され、活かされているような印象があります。

そうですね、すごく整理できたんです。一つひとつの絵は脈絡がなかったりするんですけど、時間軸も4回に分かれているということで、ひとつのシークエンスみたいなものがあると考えています。本を読み進めるようなページの展開としても捉えられるし、版画のレイヤーのようにも捉えられる。絵画はやはりレイヤーでつくっていくという点でも、仕組みと絵がフィットしやすかったというのがあるかもしれないです。私が作品を物質的側面でも扱っている作家だからそう思うのかもしれませんが。スタンダードは予算も限られているので材料費を絞らないといけないということもあり、今回はひとつの木を割っていくというコンセプトになっているのですが、材料を一つに限ってみるとか紙のサイズをA4に限ってみるとか、コンパクトにできることを考えてみました。

 


─スタンダードについて

スタンダードでは、4回とも同じひとつの版木を使います。参考写真で出ているのは割る前の木ですが、次は割ったかたちと私が書いているエッセイと自分の考えをすりあわせて、絵を描いて、刷って、その次も割って…だから徐々に木が小さくなっていくんですけど、そこから一本の木が変化していく様を観察してもらえるような絵にしたいと思っています。

 

 

─イメージは小さくなっていくけれど、シートサイズは全部同じ?

版画を売る時に「額どうしよう」と聞かれることも多いし、額装して売ることもありますが、角2の封筒で送ろうとするとシートになってしまうので、額をご自分で用意いただかないといけません。一番小さい「インチサイズ」という額があるので、その額でおさまりがいいサイズで考えました。ひとつ額を買ったら届くたびに入れ替えてもいいし、同じ額を4つ買って全部並べてもいいし。

 

 

─ スタンダードの構成内容について、エッセイとあるのは?

一つひとつに対してエッセイを書こうと思っています。そのエッセイは2年前に書いたものもありますが、これまでに聞いたこと、面白いなと思ったことを短い文章でメモしておいて、それを並べて、この並びなら繋がるかなと断片的に聞いたことを文章化して、シークエンスとして並べていきます。最後にそのフィクションのような、私の妄想のようなショートエッセイをお届けします。私の制作は聞き書きした言葉とかを作品に起こしていくのですが、鑑賞の時に言葉があると絵が言葉の説明になっていると思われてしまうこともあったりして、絵を純粋に楽しめない。なので、絵と文章を見せるタイミングをずらして、テキストは未知のものとして一番最後に見せるということにしました。

 

─プレミアムについてはいかがですか?

私は版木を見せたり、絵具自体の素材を見せたりということもよくあるので、ドローイングから、木版画、版木があって、テキストがあるというような、ひとまとまりの空間として捉えてもらえるようなセットにしたいなと。額もつけて、すぐに展示してもらえるようにして。4回に分けて作品の過程をお見せしながら、ひとつの小さな展覧会というかたちで見ることができるパッケージにしてみました。プレミアムは自分が青森で足を使って聞いた話を交えたノンフィクションのようなエッセイを最後にお届けします。

 

 

─土絵の具は前から使われていましたが、最近は藍の葉も使われているんですね。

藍を使うようになったのは青森に行ってからなんです。青森でこぎん刺しという刺繍の手工芸があるのですが、ベースになる麻の布を藍で染めたところにこぎんを刺していくんです。土絵の具では青い色がないので、自然のもので青ができないかなと思っていたところだったので、藍を絵の具にする方法を調べて、育てて、実験を繰り返して、青い絵の具をつくれるようになったんです。藍を使うようになってよかったと思ったのが土と違って植物なので、季節がすごくはっきりしていることです。今日も育てた藍の葉を採っていたんですが、おそらく気温としても最後じゃないかなと思って『今日やらなくては』と。そうすると農家のように、1年の制作にまつわるサイクルができそうだなと思っています。 9月半ばでほぼ収穫は終わりでしたが、来年の種をとるために少し残したり。そういう季節ごとのサイクルに関わりながら制作が進められるというのも、この年齢になるとちょうどいいなと。また、庭には桜の丸太がごろごろ転がっていたりするのですが、今年、北軽井沢で展示した時にチェーンソーの使い方を教えてもらったので、この秋は丸太をチェーンソーで切り続けるという作業をします。冬は刷るのに向いているので刷る、ということを考えています。

 

 

─他の作家のプランで気になるものはありますか?

『なるほど、いいアイデア』と思ったのはヤマガミさんです。4回でやっていることの意味もわかるし、言葉からも想像できるなと。山岡さんのプレミアムも面白いと思います。そもそも[m@p]はアーティストが考えたことがフラットに並んでいますよね。買う人と提供する人もリスクや楽しみにおいてフラットですし。このラインナップの自由さ、フラットさが関西っぽいし、その自由さがちゃんと担保されているのがすごいと思います。私は大阪にいますが、このフラットな自由さ、ある種のカオスな感じが減っているなと思っていて。こういった「楽しいことやろう」というのも必要だと思うんです。また、コロナの影響は自分にも色々あるんですが、もっと若い人たちは大丈夫だろうかと考えたりします。その点では私たちの世代が「なんか面白いことやろう」というゆるい気持ちでできることをやっておかないと、と思うんです。 [m@p]はそのひとつだなと思いますし、3rd以降も楽しみです。

 

 

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