ギャラリー・パルクでは、2013年4月20日[土]から5月5日[日・祝]まで、ヤマガミユキヒロによる個展「little trip」を開催いたします。
本展は2010年にPARCで開催した個展「Sampling Your Memory」、2011年の個展「Sheltering Sky」に続く3回目となるもので、2013年2月末まで開催された「始発電車を待ちながら」展(東京ステーションギャラリー)にて発表された、ヤマガミユキヒロの新作3点を関西初公開する機会となります。また、その新作の一部は、京都芸術センターにて同時期に開催される「re:framing ─ 表情の空間」展にも出展しており、PARC展開催期間中には、京都市内の2会場にてその作品をお楽しみいただけます。
ヤマガミユキヒロは2000年に京都精華大学を卒業して以降、京都を拠点に定期的な発表を続け、2008年には「第11回 岡本太郎現代芸術賞展特別賞」を受賞するなど、その作品はこれまでに高い評価を得てきました。とりわけ「キャンバス プロジェクション」シリーズは、同一地点から見た風景を【絵画】と【映像】によって切り取り、分離したそれぞれを再びキャンバスの上に再構成するもので、異なる技法・メディアの特性を活かした絵画作品として近年に高い評価を得ています。
目と手と鉛筆によって精密に描かれた【絵画】に、同じ場所から撮影した【映像】がプロジェクター投影によって重なる時、モノクロームの世界には光や色彩が溢れ、キャンバスの上にはゆっくりとした時間が流れはじめます。昇る朝日、流れる雲、暮れゆく夕闇、信号の明滅、きらめくネオンサイン・・・。ヤマガミは日常のありふれた光景の中で見落とされる「美しい瞬間」を丹念に探し出し、その表情の「うつろい」を描き出しています。
本展はキャンバスプロジェクションシリーズの新作として、「始発電車を待ちながら」展(東京ステーションギャラリー)にて発表された4点のうち、東京駅中央線ホームからの眺めを描いた作品《platform no1/no2》と、横4メートルに渡って東京駅を描き出した作品《東京駅の眺望》を展示するとともに、最新作として京都を取材した作品などをあわせて展示いたします。また、京都芸術センターにて同時期に開催される「re:framing ─ 表情の空間」展には、新作の一部と旧作をあわせて展示しております。
2会場にわたって展開する作品群をご覧いただくなかで、その作品の魅力をお楽しみいただけます。
「re:framing ─ 表情の空間」
会 期:4月13日(土)-5月26日(日)
会 場:京都芸術センター( 〒604-8156 京都府京都市中京区室町通蛸薬師下る山伏山町546-2)
主催・問合せ:京都芸術センター
【Tel】 075-231-1000 【Fax】075-213-1004
【Mail】 info@kac.or.jp 【 HP 】 http://www.kac.or.jp
出展作家:横内賢太郎・ヤマガミユキヒロ・仙石彬人
当然のように過ぎ去っていく都市の景色を写真やビデオなどでスケッチしてみると、普段見落としていた景色と出会います。
しかしこれは非日常的な一コマではなく、紛れもなく日常的な都市の風景です。サンプリングされた都市の断片の中には、驚くような美しい表情や、神秘的な表情、ぞっとするような瞬間があります。
その中で出会う興味深い瞬間を、僕は掬い上げて「都市の印象」を表現しています。現在はその方法として、「キャンバス・プロジェクション」という独自の手法を用いて作品を制作しています。
これは油彩やアクリル、鉛筆などで描画した絵画にレイヤーを重ねるように、同一視点から撮影した映像をプロジェクターで投影することで、常に「そこにあるもの」を絵画として描き、光や時間の「うつろい」をプロジェクターの映像に描いてもらうというものです。通行する車や電車、往来する人々の動き、日没とともに点灯するネオンや街灯の光、刻々とその色彩を変化させる空の様子などを、ひとつの絵画で表現することは不可能です。しかし、絵画に映像を重ね合わせ、画面に時間や光そのものを描画することで、絵画上には時間と共に変化する都市や自然の表情を重ね合わせることが出来ます。
ヤマガミユキヒロ
作家略歴
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「platform no1/no2 2012 ,tokyo station」 |