ギャラリー・パルクでは、2013年4月2日[火]から14日[日]まで、おもにファイバーワークを手掛ける美術作家・武田梨沙による個展「Keep / Improve / Develop」展を開催いたします。
2010年に成安造形大学・テキスタイルアートクラスを卒業した武田梨沙(たけだ・りさ/福岡・1987~)は、2010年の初個展「far in the distance」(立体ギャラリー射手座 / 京都)以降、これまで毎年個展を開催するとともに、国内外のグループ展などに積極的に参加するなど、活発に制作・発表活動を続けています。
武田は「織り」という行為・状態に着目するとともに、「織り」を縦糸と横糸による構造や関係性から開放し、糸を素材とする立体物への置換を思考しています。その作品は、細やかで丹念な「織り」に起因(構造や糸が持つ特性)する様々なカタチを、展示空間全体を用いたインスタレーションとして大きく展開することで、作品と空間に働く見えない力の存在を可視化するかのような「動き」を持ち、鑑賞者にミクロとマクロの視点の移動を促します。また、様々な素材による構造は、視点や光の変化によって、多様なテクスチャを見せ、空間全体の印象をも大きく変化させるものです。
本展タイトル「Keep / Improve / Develop」は、日本における創造活動(茶道・武道・芸術など)の発展・進化の過程にまつわる、師弟関係の在り方の思想「守破離(しゅはり)」から着想を得たものですが、武田は本来の意ではなく、織りに対する概念的なイメージを当て嵌めたものとして名付けています。そこには「型を守り、型を破り、型から離れる」ことで、「織り」が織りを超えて自在な造形となるような思いが込められています。
2011年のパルクでの個展から2年ぶりとなる本展では、より空間に自立した造形として、会場を横切る大型の作品をはじめ、武田がこの数年に取り組んできた作品を一連でご覧いただけます。
*2011年3月にGallery PARCにて開催された「武田梨沙:neither truth nor fiction」展の詳細はこちらをご覧ください。 http://www.galleryparc.com/exhibition/past/201104-takeda.html
織は「織る」行為を繰り返すことで、時間の経過とともに痕跡によって具現化する。 織り終えた布には表裏があり、糸のはじまりと終わり、経糸と緯糸の関係がそこに現れる。 当然のように扱われてきたその関係を解放させ、「織る」という行為の積み重ねではなく、単純に糸を素材とした立体物へ展開させることを考えている。
武田梨沙