2019年9月20日〜10月6日  *10月5日[土]は「ニュイ・ブランシュKYOTO 2019」参加につき22:00まで開廊

 

国谷隆志:Multidimensional

 

  美術家・国谷隆志(くにたに・たかし/1974年・京都生まれ)は、『人間の空間への関わりにおいて、自分を取り巻く世界、物事についてのあり方を問うこと、さらに人はそれらとどのように向き合うのか』に関心を寄せ、鑑賞者に身体(肉体・主体)の「位置」への自覚を促すことを主眼に表現を展開させてきました。
 国谷はおもにオブジェや彫刻を中心としたインスタレーションを作品として、展示空間を「場」へと変換します。その「場」は内包する鑑賞者に働きかけ、そこに時間・空間・鑑賞者を分断、あるいは再構築させることを促します。また、近年のネオン菅を用いた一連の作品は、光という現象による空間の変容だけでなく、文字を造形に、言葉を意味に解体・再構築する体験により、展示空間だけでなく、私たちの日常や社会構造をも「場」として眼差し、そこに内包される「私」という因子の座標や振る舞いに思考を巡らせるきっかけを与えてくれます。
 本展「 Multidimensional( =多次元)」は、3フロアにわたる展示空間のそれぞれを、2階をX軸(水平)、3階をZ軸(奥行き)、4階をY軸(垂直)への意識を促す場として構成しています。これらは私たちの三次元による認識を解体・再構築するように展開します。また、変化する外光には、それら空間に流れる時間の存在をも感じることができるでしょう。
 しかし、私たちの認識し得る「場」は、こうした「三次元」「時間」といったものだけなのでしょうか。私たちはこれら比較的認識しやすい次元(dimension)を超えて、より多様で複雑な多次元の場に生きているのかもしれません。また、その多次元は数学的な空間としてだけではなく、私たちの想像や記憶、感性の広がる空間にも及ぶかもしれません。
 それぞれの次元の広がりに眼差しを引き込む国谷の作品を眺める中で、私たちは未だ不可視の異なる次元に触れ、その存在を感じることが出来るのではないでしょうか。

ステートメント

空間と私の距離

 人間と空間は、深く複雑に絡み合った関係である。

 空間というものの存在を考える上で、身体を抜きにすることは難しいだろう。それは、私たち人間の身体が常に空間の中に置かれているのと同時に空間を自らのものとすることによって環境を捉えているためだ。作品が身体の感覚に働き掛けるとき私たちは思考によってそれを把握し、統合する。作品は単なる物質として捉えられるのみではなく、場として身体の一部となる。それは論理や認識のレヴェルではなく、内面的な領域へと思考を拡大していくことである。

 私は、私の作品が観客の意識の中で新たな意味や世界観を創りだす装置のような機能をはたすことができればよいと考えている。観客が作品によって示される空間に立ったとき、身体を通じて観客自身の意識の中に起こる出来事は主体的であるために客観性に欠け、あまりに不確かなものかもしれない。しかし、このような場の感覚によって、「身体が、今、ここにある」ということを強く自覚する事ができると私は考えている。

 私は、人間の空間への関わりにおいて、自分を取り巻く世界、物事についてのあり方を問うこと、さらに人はそれらとどのように向き合うのか、といったことに関心がある。人が占めている位置、身体、空間、時間、物の配置による人の視点や移動。これらは身体を起点とした観客自身の位置であり、場の感覚によって示されるものは、自らの存在を示すことに繋がる。作品の意味は観客の体験によって成立し、観客の参加そのものによって完成する。 あなたの存在と私の存在によって作品を完成へと導くことを、あなたの存在と私の存在の証明とする。


国谷隆志 

*10月5日[土]は「ニュイ・ブランシュKYOTO 2019」参加につき22:00まで開廊いたします。

作家略歴

国谷 隆志  Kunitani Takashi

http://takashikunitani.com/

 

1974年 京都府生まれ
1997年 成安造形大学 立体造形クラス卒業

個展

2018年 Spaceless Space (Ulterior Gallery / ニューヨーク・アメリカ)
Something Red (京都芸術センター 大広間 / 京都)
2017年 Pink Objects (Ulterior Gallery / ニューヨーク・アメリカ)
2016年 Bai-in (松花堂庭園美術館 / 京都)
2015年 Re- (OZASAHAYASHI / 京都)
Channel 6, Deep Projection (兵庫県立美術館 / 兵庫)
2014年 Momentary Shape (ART SPACE・NIJI / 京都)
2013年 35°0' 31.7"N 135°45' 58.74"E (Gallery PARC / 京都)
Shop Window (Street Gallery / 兵庫)
2012年 Make a mistake in choosing (Gallery PARC/京都)
two passages (京都芸術センター/ニュイ・ブランシュKYOTO 2012)
2011年 MARS (Gallery PARC/京都)
2008年 Untitled Series (Contemporary And Spirits CAS/大阪)
2007年 The Vertical Horizon (大阪府立現代美術センター/大阪)
2005年 国谷隆志展 (Contemporary And Spirits CAS/大阪)
a piece of work : KUNITANI Takashi Exhibition (APS /東京)
2004年 Between Ground And Sky (YAEMON /京都)
What you have known for some time (ギャラリーココ/京都)
2003年 YOUR PRIVATE SURROUNDINGS (YAEMON /京都)
クリテリオム54 (水戸芸術館/茨城)
Sparkle (ギャラリーココ/京都)
2002年 Nothing Like Object (ギャラリーそわか/京都)
Complete your space (ギャラリーSEN/大阪)
2001年 Complete your space (ギャラリーココ/京都)

グループ展

2019年 Medium of Exchange (SHIRLEY FITERMAN ART CENTER (SFAC) at Borough of Manhattan Community College / ニューヨーク・アメリカ)
2017年 ポスト・リビングルーム (SHIBUYA HIKARIE 8 / CUBE 1, 2, 3, / 東京)
SEIAN ARTS ATTENTION VOL.9 UNCOVER (成安造形大学 / 滋賀)
2015年 Light: fixtures and sculptures (LMAK gallery / ニューヨーク・アメリカ)
2014年 twisted parallel code (Gallery PARC / 京都)
COVER 3 (Contemporary And Spirits CAS / 大阪)
2013年 SEIAN ARTS ATTENTION VOL.5 35°6' 29.15"N 135°54' 9.63"E(成安造形大学 / 滋賀)
Pavilion 0 (Signum Foundation Palazzo Donà / ベニス・イタリア)
2012年 アブストラと12人の芸術家 (大同倉庫/京都)
2011年 モトコーART train (神戸元町高架下通商店街/神戸)
2010年 NEW WORKS「接続熱源」(ギャラリーほそかわ/大阪)
2009年 MASSIVE PROGRESSION (ギャラリーアーティスロング/京都)
2008年 LOCUS (神戸アートビレッジセンター/神戸)
Art Court Frontier 2008 #6 (アートコートギャラリー/大阪)
第11回 岡本太郎現代芸術賞 (岡本太郎美術館/川崎市)
2007年 Curator's Eye 2007 (ギャラリーマロニエ/京都)
2006年 Look-in vol. 1 (CUBIC GALLERY/大阪)
2005年 OMOTE-NASHI (YAEMON/京都)
City_net Asia 2005(ソウル市美術館/韓国)
2004年 Premonition -S- (ギャラリーそわか/京都)
2003年 TAMA VIVANT 2003 (多摩美術大学/東京)
NEW GENERATION 3 (海岸道ギャラリーCASO/大阪)
2002年 NEW TOWN ART TOWN (山陽団地/岡山)
2001年 京都府美術工芸新鋭選抜展 ~2001新しい波~ (京都文化博物館/京都)

コレクション

  竹中工務店東京本店、日本ピラー工業株式会社
 
作品画像

Untitled (Recipe #1)
2012
ネオンチューブ、変圧器、ガラス、鉄
サイズ可変

作品画像

Mirror Site (14497)
2012
鏡面仕上げのステンレススティールに罫書き、アクリル絵の具、パネル
109 x 133 x 7.5cm

作品画像
作品画像

《Untitled (NEVER LAND) 》
2018
ネオン管、プレキシグラス、スチール、変圧器、コード
h29.9 × w 50.2 × 24.4(cm)

作品画像

《 Spaceless Space 展示風景》
2018
息、ガラス、アルゴン、変圧器、コード

作品画像
作品画像
作品画像

《Porn_Site#2》
2017
ネオン管、ガラス、スチール、変圧器、コード
サイズ可変

作品画像
作品画像
作品画像

《 Untitled (BUY IT NOW)》
2017
ネオン管、ガラス、スチール、変圧器、コード
157 × 100 × 35 (cm)

 

空白