2012年11月3日〜11月18日

 

国谷隆志:make a mistake in choosing

ギャラリー・パルクでは、11月3日から18日まで、「make a mistake in choosing:国谷隆志展」を開催いたします。

 京都を拠点に活動を続ける国谷隆志(くにたに・たかし / 京都・1974~)は、これまでおもにオブジェや彫刻を中心としたインスタレーションによる発表を続けており、作品の在る空間の性質を顕在化し、変容させるサイト・スペシフィックな作品展開は、これまでに多くの注目を集めています。とりわけネオンを用いた一連の作品は、作品と鑑賞者を取り巻く空間に「ある環境や状態」を創出するとともに、空間に内包される鑑賞者の身体感覚により強く働きかける試みとして展開しています。

私たちが毎日のように目にするネオン(サイン)。その多くは広告物として「絵や文字」の意味を持ち、それらが「見られ・読まれる」ことでその役割を果たしているといえます。多くの人にとってネオン(管)そのものを間近で見る事は少なく、その鮮やかで鮮烈な光の正体は不明のままに、それらは既知のものとして認識されています。

昨年のPARCでの個展「Mars」に続く本展は、そのタイトルを「make a mistake in choosing」(選択に失敗する)として、モノ・空間・鑑賞者の間にある認識・理解にまつわる予定調和を撹拌し、そこに交わされるすべてを「ディスコミュニケーション」として指し示すものです。
会場に並べられたネオンは、不自然な光を放つ抽象的なオブジェクト(モノ)として鑑賞者の目の前に存在します。認識・理解のためのプロトコル(相互の規定・手順など)不在の場にあって、鑑賞者はそれぞれの身体の位置や目線(知覚)によって、目の前の状態・自身を内包する空間への再認識を必要とするのではないでしょうか。また、その過程でオブジェクトは、ある瞬間には曲げられたガラス管として、また、ある瞬間にはテキストという意味を取り戻しながら、鑑賞者の認識の中に変化し続けます。
会場内に展開する光のオブジェクトを前に、見ることと読むこと、知覚と認識、形状と意味などが「常にズレ続ける」感覚を体験いただければ幸いです。

 


ステートメント

空間と私の距離

人間と空間は、深く複雑に絡み合った関係である。

空間というものの存在を考える上で、身体を抜きにすることは難しいだろう。それは、私たち人間の身体が常に空間の中に置かれているのと同時に空間を自らのものとすることによって環境を捉えているためだ。作品が身体の感覚に働き掛けるとき私たちは思考によってそれを把握し、統合する。作品は単なる物質として捉えられるのみではなく、場として身体の一部となる。それは論理や認識のレヴェルではなく、内面的な領域へと思考を拡大していくことである。

私は、私の作品が観客の意識の中で新たな意味や世界観を創りだす装置のような機能をはたすことができればよいと考えている。観客が作品によって示される空間に立ったとき、身体を通じて観客自身の意識の中に起こる出来事は主体的であるために客観性に欠け、あまりに不確かなものかもしれない。しかし、このような場の感覚によって、「身体が、今、ここにある」ということを強く自覚する事ができると私は考えている。

私は、人間の空間への関わりにおいて、自分を取り巻く世界、物事についてのあり方を問うこと、さらに人はそれらとどのように向き合うのか、といったことに関心がある。人が占めている位置、身体、空間、時間、物の配置による人の視点や移動。これらは身体を起点とした観客自身の位置であり、場の感覚によって示されるものは、自らの存在を示すことに繋がる。作品の意味は観客の体験によって成立し、観客の参加そのものによって完成する。

あなたの存在と私の存在によって作品を完成へと導くことを、あなたの存在と私の存在の証明とする。


国谷隆志 

作家略歴

国谷 隆志|Kunitani Takashi

http://takashikunitani.com/

1974年 京都府生まれ
1997年 成安造形大学 立体造形クラス卒業

個展

2012年 two passages (京都芸術センター/ニュイ・ブランシュKYOTO 2012)
2011年 MARS (Gallery PARC/京都)
2008年 Untitled Series (Contemporary And Spirits CAS/大阪)
2007年 The Vertical Horizon (大阪府立現代美術センター/大阪)
2005年 国谷隆志展 (Contemporary And Spirits CAS/大阪)
a piece of work : KUNITANI Takashi Exhibition (APS /東京)
2004年 Between Ground And Sky (YAEMON /京都)
What you have known for some time (ギャラリーココ/京都)
2003年 YOUR PRIVATE SURROUNDINGS (YAEMON /京都)
クリテリオム54 (水戸芸術館/茨城)
Sparkle (ギャラリーココ/京都)
2002年 Nothing Like Object (ギャラリーそわか/京都)
Complete your space (ギャラリーSEN/大阪)
2001年 Complete your space (ギャラリーココ/京都)

グループ展

2012年 アブストラと12人の芸術家 (大同倉庫/京都)
2011年 モトコーART train (神戸元町高架下通商店街/神戸)
2010年 NEW WORKS「接続熱源」(ギャラリーほそかわ/大阪)
2009年 MASSIVE PROGRESSION (ギャラリーアーティスロング/京都)
2008年 LOCUS (神戸アートビレッジセンター/神戸)
Art Court Frontier 2008 #6 (アートコートギャラリー/大阪)
第11回 岡本太郎現代芸術賞 (岡本太郎美術館/川崎市)
2007年 Curator's Eye 2007 (ギャラリーマロニエ/京都)
2006年 Look-in vol. 1 (CUBIC GALLERY/大阪)
2005年 OMOTE-NASHI (YAEMON/京都)
City_net Asia 2005(ソウル市美術館/韓国)
2004年 Premonition -S- (ギャラリーそわか/京都)
2003年 TAMA VIVANT 2003 (多摩美術大学/東京)
NEW GENERATION 3 (海岸道ギャラリーCASO/大阪)
2002年 NEW TOWN ART TOWN (山陽団地/岡山)
2001年 京都府美術工芸新鋭選抜展 ~2001新しい波~ (京都文化博物館/京都)

コレクション

  竹中工務店東京本店
作品画像

Untitled( Yellow)  2011
ガラス、アルゴン、水銀
「MARS」・Gallery PARC 2011
photo : 草木貴照

作品画像

Spaceless Space 2011
ガラス、アルゴン、水銀
「MARS」・Gallery PARC 2011
photo : 草木貴照

作品画像

Untitled( tricolour)  2012
ガラス、アルゴン、水銀
「ニュイ・ブランシュKYOTO 2012」・京都芸術センター
photo : 草木貴照

 

空白