ギャラリー・パルクでは、4月14日[火]から4月26日[日]まで、守屋友樹による個展「gone the mountain / turn up the stone:消えた山、現れた石」展を開催いたします。
2006年に日本大学藝術学部写真学科古典技法コースを卒業、2012年に京都造形芸術大学大学院を修了した守屋友樹(もりや・ゆうき/1987年・東京生まれ)は、写真をおもな表現媒体として、2014年の「KUAD Graduates Under 30 Selected」(京都造形芸術大学 ギャルリオーブ / 京都)、2015年の「TOKYO FRONTLINE PHOTO AWARD#4_NEW VISION#1(入選)」(G/P Gallery / 東京)などのグループ展に出品を重ね、これまでに精力的な活動を続けています。
その作品はおもに「写真の解体・反復・分岐」をコンセプトに、記録と記憶の関係によって起こる認識の差異を顕在化させるかのように構成され、引用・嘘・韻を踏む・編集(切り貼り)といった要素を含むイメージの世界を現出させています。そして守屋はそれらを媒介(境界)として、目の前の図像への認識をズラし、時に写真そのものをイメージ(図像・記憶・記録)から物質へとその認識を揺さぶります。
遠くから眺めるカタチを持った△。近づいて目の前に広がる壁のような△。分け入って雑木林に埋もれた空間としての△。コンパスと地図によって見下ろす鳥瞰図としての△。そこでは目に見える様々な有り様によって△のイメージは常に(再)解体され、そして、常に(再)構築されているといえます。
本展は、山にまつわる守屋の個人的体験に端を発して着想されたもので、写真を鑑賞者における認識のズレや反復を顕在化させることを目論みます。
本展は2012年より3回目の開催を迎える、同時期に京都市内各所で開催されている「KYOTOGRAPHIE 2015」(http://www.kyotographie.jp/)のサテライトイベント「KG+2015」の参加展覧会です。
主 催:Gallery PARC/特別協賛:株式会社グランマーブル
憧れの山はマッターホルン。標高は高く、遠くから眺めてもキリッとした線がすごく良い。
そんな山の写真を見ていると、ふと、山の部分をくり抜いてみたくなった。
くり抜いてみると、ヘンテコな石の塊に見える。
まじまじ見ていると、これはマッターホルンだけど、そうではない石の塊。
それでいて、ペラペラしている。
場所や、遠近感、平面や立体から少し外れてしまった写真、見えていたものが少しズレて形容し難いものとなった。
別なものへと変容したイメージは、何処かへ行ってしまい、再び戻ってくる。
残像のように寄せては返す山のイメージ。まるで自由に泳いでいるかのようだ。
押韻のように、写真もまた表面的なものから二次三次とイメージが増殖し広がりを与えていく。
僕は、写真を使って山を巡るイメージのあやとりを行う。
どうでも良いけど、やっぱりマッターホルンに憧れる。守屋 友樹