Gallery PARC[グランマーブル ギャラリー・パルク]では、2012年4月17日から29日まで、「branch / forest:大村 大悟 展」を開催いたします。
大村 大悟(おおむら・だいご / 1984~)は、これまでおもに土や木といった自然物、鉄やガラスといった無機的な素材を用い、それらの「もの」と「空間」が持つ要素に最小限の手を加えることで、新たな「もの:状況」をつくり出すかのような作品展開を試みています。
大村は、そのための方法として「もの」の意味や在り方、「空間」の持つ特性、「鑑賞者」の知識・経験・固定概念など、それぞれの要素や背景を丁寧に観察・収集します。そうして抽出された要素は、少しばかりの手を加えられることで際立ち、「もの」に小さなズレや違和感をつくりだします。
異なるものが持つ同一の要素を際立たせたり、不可視なある要素を可視化させるなど、それは「モノ」の価値や見え方に変化をもたらすような「仕掛けづくり」とも呼べる行為であり、それらは「鑑賞者」と「もの」と「空間」に新たな関係の「はじまり」を促すかのようです。
「木を見て森を見ず」の諺からイメージした本展タイトル「branch / forest(枝 / 森)」は、「知覚(目に見えるもの)」と「認識(イメージするもの)」との間にある幅をまず再認識する目論見からのものです。しかし、それは木(枝)と森といった「対比」のみを目的とするものではなく、そこにある幅こそが鑑賞者の「想像」が入り込む余地であり、提示されたひとつの「もの」が、鑑賞者それぞれの記憶・経験などの影響を受けながら、多彩なイメージへと枝分かれし、多様な価値観の存在に目線を向けさせる目論見からのものでもあります。
会場には、「道具の話(木の枝で作った棒)」「invisible hand(透明な手)」「ガラス(細長い擦ガラス)」と名付けられた、約7点の作品が配されます。
それらは一見するとただの「もの」にしか見えないもしれません。
しかし、それぞれが微かに放つ違和感を頼りに、目の前の「もの:状況」に目を凝らす中で、鑑賞者自身がそこに新たな価値や視点を生み出せるのではないでしょうか。
どこだったかの南の島国には夜這い棒という道具があるらしい。
夜這いとは、男性が女性の元へ夜な夜な忍び寄るという、あの夜這いのことなのだが、その島の男達は日中いつも各々が独自の彫刻を施した、人の丈ほどもある夜這い棒を持ち歩いている。
夜になるとから萱葺き高床式の女性達の建物へ行き、意中の女性の居る所の床や壁に夜這い棒を突き刺し合図するのだ。起こされた女性は、好きな男だったら(その気があったら)夜這い棒を引っ張ってOKの合図を出し、こっそり家から出る。
こういった話をしていたら、日本にも昔はあったという話を知人からきいた。
年配の人達の話では、「何本か見たことがある」「もっと細くて短かった」「家の中で使うはず」「今も夜這い祭りで使う」と。
現代の一般的価値観から言えば想像しにくい話だが面白みのある話ではある。
人によって違う、価値観やものの見方について考えたいと思います。
私は選択するという行為が、条件に合ったものを取り上げるということだけでなく何か他の意味を含んでいるように感じている。
選択を繰り返すことで、自分のなかに漠然とある可能性のようなものを分類し整理しているのかもしれない。
大村 大悟
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《道具の話》 本展展示作品 「MASSIVE PROGRESSION」展示風景 「time・point of view 」展示風景 「Eutectic-Eutectoid」展示風景 「Art Camp 2008」展示風景 |