Gallery PARCでは、京都の文化・創造活動の更なる活性化への支援のひとつとして、 若いアーティストに発表の機会を提供し、未知数の表現と多くの皆様との接点となるべく取り組みを続けています。
この度、美術家・山本雄教による作品展「し・てん:山本雄教展」を開催いたします。
山本雄教(やまもと・ゆうきょう 京都・1988~)は、成安造形大学日本画クラスを卒業後、2011年より京都造形芸術大学大学院美術表現専攻日本画領域に在籍しながら、日本画の画材・技法だけにとらわれない作品制作を続けています。
一見すると霧の立ちこめる竹薮のようにも見える【1】《どこへ行く-竹林図的図-》は、よく眼を凝らせば「交差する点字ブロック」が無数に描かれ、また幾何学模様のような【3】《system》は、画面を無数の「エスカレーター」が隙間無く埋め尽くしています。
「対象は、普段とは違う姿に転じていく。それは別物になっていくわけではなく、普段見えていない面が見えたり、ある面が強調されたものである。その結果、どういうものが生まれるのか。」と語る通り、山本の取り上げる「点字ブロック」や「エスカレーター」、
「電柱」や「テレビモニター」などのモチーフは、いずれも我々が日常に目にする対象ばかりですが、それらが姿はそのままに、すこしの視点の転換により描かれることで、そこに違和感や曖昧さに満ちた見慣れない世界がつくり出されます。
本展では、5mを超える《どこへ行く-竹林図的図-》や、【4】《inside=outside》、【5】《outside=inside》などの作品に加え、PARCの展示空間を活かした新作を含むおよそ6点により構成します。
山本の描き出す、見慣れた風景・見慣れない光景をお楽しみください。
日常の中で、何気なく見過ごしているもの。
認識はしていても、当たり前すぎて日々の中に埋もれているもの。
そういったものの存在にふと気づかされ、意識する瞬間がある。
それはまるで新しい出会いのような、新鮮な感覚である。
それまでは景色の一部でしかなかった対象に、
気づいた瞬間から違和感のようなものが生まれる。
そしてそれは、自分自身の日々の生活の中の、
言葉に出来ない違和感に重なっていく。
それらを平面上に描くことで、その違和感は形となっていく。
対象は、普段とは違う姿に転じていく。
それは別物になっていくわけではなく、
普段見えていない面が見えたり、ある面が強調されたものである。
その結果、どういうものが生まれるのか。
私自身が楽しみにし、制作している。
山本雄教