ギャラリー・パルクが 2020年より主催するプロジェクト『すべ と しるべ』は、変容していくこれからの社会状況の中で、「展覧会」という機会をよりタフに起動させていくための方法の開発・獲得を目的に取り組むプロジェクトです。2回目の実施となる2021年は、初回に続き京都府南丹市八木町の旧酒蔵「オーエヤマアートサイト」を会場に、田中 秀介(美術家)と守屋 友樹(写真家)による、それぞれ6日間の公開展示と、この展示に取材した麥生田兵吾(写真家・映像作家)と今村達紀(振付家・ダンサー)による映像、野口卓海(美術批評・詩人)の編集・制作、三重野龍(デザイン)による記録物を制作しました。
本プロジェクトは、展覧会を異なる視点、異なるメディアによる自立した記録を「つくる・のこす」ことで、それらが読み出される時に「そこ」に新たな体験を「おこす」ことを目指します。展覧会という体験が、記録によってより広く、より遠くに作品や表現を「ひらく」ことの可能性に目を向け、表現がこれからの社会に対応しながら、より強く起動するための(すべ)を編み出していきます。
「展覧会」とは、アーティストが表現(すべ)を社会に向けてひらく標(しるべ)であり、また鑑賞者は作品と空間・時間をともにするなかで、それぞれにとっての方法(すべ)を発見する「体験」を得る機会・場であるといえます。
しかし、表現と社会、表現と鑑賞者が直接的に触れ、接することによる体験を必然とする展覧会という形式は、それゆえに今日の社会状況の影響を受けやすく、また鑑賞者からのアクセシビリティも低下せざるを得ない状況にあるといえます。
ここで、展覧会を「体験の場」と強く限定してその形式に拘泥することは、結果的に表現へのアクセスの機会そのものを減少させ、またVRなどを活用したオンライン展覧会などの鑑賞機会は、アクセスの容易さに比していまだ鑑賞体験の代替機能としては不十分なものであると考えられます。
パルクでは、現在のこの「展覧会=体験」と「アクセシビリティ」という現実的な矛盾の狭間で立ち尽くすのではなく、ここから先に進むためにの試行錯誤に取り組みます。いま・ここで既存の方法を検証・改良するとともに、これまでとは異なる思考・方法を実践することで、これからの変容する社会の中で、展覧会が起動し続けるための方法(すべ)を身に付けたいと考えます。そこで『すべ としるべ』では、展覧会における記録(映像・写真・言葉)のあり方に焦点をあて、ここに新たな構造を導入することで、記録それ自体による新たな鑑賞・体験の創出を試みています。
すべ と しるべ 2021
会場公開 2021年10月9日[土]・10日[日]・11日[月] / 16日[土]・17日[日]・18日[月]
会場公開 2021年10月30日[土]・31日[日]・11月1日[月] / 6日[土]・7日[日]・8日[月]
【 会 場 】
オーエヤマ・アートサイト
〒629-0141 京都府京都市南丹市八木町八木鹿草 71 [八木酒造]内
【主催・企画】
ギャラリー・パルク(株式会社グランマーブル)
【協力】
オーエヤマ・アートサイト
*⽂化庁「ARTS for the future!」補助対象事業
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