プロジェクト『すべ と しるべ 2020』 は、2020年6月末にスペースを閉鎖したGallery PARCが、その活動内容を変更して取り組む最初の展示企画であり、これからの社会状況の中にあって、展覧会における『つくる・ひらく・のこす』の関係性を検証し、現在とこれからに向けた新たな可能性を試行するためのプロジェクトです。
作家による表現(すべ)を社会に向けてひらく場(しるべ)である「展覧会」は、鑑賞者が会場を訪れ、作品の前に立つことでおこる「体験」をともなう場であるといえます。それはまた、空間・時間を限定することで可能なものであるといえ、それゆえに「展覧会」という出力方法は、現在からしばらくの社会状況に応じた変化が必要であるといえます。
本プロジェクトは、展覧会にまつわる『つくる・ひらく・のこす』という一連を、現在の状況において再検証・最適化するとともに、これからに向かう発展的な方法(すべ)を開発することを目的とした試行錯誤です。また、こうした試みが、これからの誰かの創意工夫の足掛かり(しるべ)になることを目指して取り組みむものです。
また、これまで多くの展覧会における記録(写真・映像・情報)が、まず事実を残すことを目的に、実際の鑑賞体験を補完する機能を担っていたといえます。しかし、実際の鑑賞による体験が困難となった現在において、展覧会の記録が果たす役割や機能も変化が必要ではないかと考えます。
そこで、本プロジェクトではとりわけ映像による展覧会の記録について、「のこす」だけではなくそれが「読まれる」時、そこに鑑賞と重なる・異なる、新たな体験を「つくる」ことに目を向けたいと考えます。
「読み物」としての記録、いわば「記録と記述」の狭間に展覧会が意識的に踏み込むことが、そこにどのような体験を「ひらく」ことが出来るのか。表現がこれからの社会に対応しながら、そこで起動するための術を編み出す機会にしたいと考えます。
京都府南丹市八木町にある「旧八木酒造」の築400年を超える酒蔵を会場に、むらたちひろ・友枝望の2名のアーティストが滞在・制作し、それぞれ3日間のみ展示公開します。 また、展示公開終了後には、それぞれの展示を記述した映像記録をオンラインにより公開します。
水を必須とする染織を「時をうつし見るための すべ」と捉える むらたちひろ は、永く水と関わってきた酒蔵に滞在するなかで、場の空気、水や音に触れながら、時とともに現れるもの・揺らぐものを見つめます。
インスタレーションを多く手掛ける 友枝望 は、旧八木酒造と土地の歴史、営為や暮らしに内在する重層的な記憶を拠り所に、現在と過去を多重露光のように重ね留める試みにより、これからの未来に向かうための新たな「すべ」を手探りします。
2名のアーティストがこの蔵で何を感じ・見出し・掴むのかはまだ未知ではありますが、現在の状況において、自身の表現に向けた眼差しを、再びここから先へと向け、手探りながらも前に進むための しるべ(起点)となるのではないでしょうか。
また、空間の中・作品の前に立ち、場の空気を深く吸いこみながら作家の眼差しや手つきを追うなかで、やがて自身の視点を獲得するような鑑賞体験は、鑑賞者にとって「いま/ここ」を確かめ、規程する「しるべ」ともなるのではないでしょうか。
これからに向かう(すべ)を編み直す。
ここから未知への道程に(しるべ)を残す。
これまでもこれからも、この繰り返し。
すべ と しるべ 2020 #01
時の容 / while it goes
むらた ちひろ
■日 時
2020年 10月24日[土] ・ 25日[日] ・ 26日[月] 12時から17時 [予約制による3日間だけの限定公開 ]
■予約方法 「お名前・当日連絡の取れる電話番号・希望日時(おおよその時間で結構です)・鑑賞人数」を記載し、 info@galleryparc.com までメールください。
■会 場
オーエヤマ・アートサイト
〒629-0141 京都府南丹市八木町八木鹿草71「八木酒造」内
■アクセスJR「京都駅」より嵯峨野線(28分)で「八木駅」下車。「八木」交差点を越えて直進5分。突き当たり丁字路を右折1分。「八木酒造」入口より。京都縦貫道「八木東IC」より国道9号線、「八木」交差点を北東1分。
駐車場はございませんので、なるべく公共交通機関でご来場ください。
■料金無料
■特設HP・SNS
facebook :subeshirube
instagram:@sube_shirube
主催・企画:ギャラリー・パルク *京都府文化力チャレンジ補助事業
協力:オーエヤマ・アートサイト[会場提供]、今村 達紀、江島 和臣 / 武田 真彦
問い合わせ:ギャラリー・パルク
TEL 075-231-0706MAIL info@galleryparc.com
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