2020年3月13日〜3月29日

 

林葵衣:Playing body / 遊動躰

 *会期中の3月15日に予定しておりました林葵衣 × 今村達紀によるパフォーマンス・イベント「 躰の延長 」は、諸般の事情により中止することになりましたが 、非公開によるパフォーマンスとして会場で実施し、24日[火]より展示作品・映像として会場でご鑑賞いただけるようにいたします。その他最新情報は、ギャラリー・パルクのweb・SNS・メールニュースなどでお知らせしますので、引き続きご注視いただければ幸いです。

 2013年に京都造形芸術大学修士課程を修了した林葵衣(はやし・あおい / 1988年・京都府生まれ)は、学部在学中より現在まで、オブジェや平面、映像やパフォーマンスなど、多様なマテリアルやメディアを用いた作品制作・発表に取り組んでいます。しかし、これまでのおもな作品を見返した時、その多くに「文字・言葉」を要素としたものがあることに気づきます。

 

 たとえばアルファベットスタンプによって「R・E」の文字が無数に複製・反復される「RE」シリーズ作品は、身体が起こす反復のズレによる秩序と混沌が綯い交ぜとなった画面が現れるもので、「RE(繰り返し)」が繰り返されることでその「文字・言葉」としての意味が解体・消失されていくとともに、そこに新たなイメージが再構築されます。「C・M・Y・K」や「R・G・B」がそれぞれの色で一文字ずつスタンプされたガラス板は、その組み合わせによりそれぞれ言葉・意味・イメージに再構築することができますが、同時にそれらはひとつに一元化されることなくズレ続ける関係を見せます。とりわけこれらの作品は、文字と言葉の狭間にある「記号」という性質に着眼したものであり、記号はそこに意味とイメージを残しながらカタチとしても扱われることで、鑑賞者に分解と再構築を促します。また、場や人に紐づく記憶から起こしたテキストを、口紅を塗った唇を支持体に押し当てて発話し、そこに運動の痕跡を記録する《唇拓》は、「文字・言葉」を「書く:読む:聞く:見る」という身体・行為へと分断・還元することで、そこに起こる伝達と変容の体験を鑑賞者に促します。

 

 林は「文字・言葉」への興味を始点に、現在は身体や記録、行為に注目した作品に取り組んでいます。また、これまでの作品はこの一連の流れの中で、都度の興味や好奇心を寄せて制作されたものであり、これらの作品は制作された時の林の身体・行為の記録でもあるといえます。本展は2008年から2020年までの林の作品に、新作を加えた展示となります。これは、「現在」の作品を始点に、過去作品をその時々の自身の記録として、それらを「譜面のようなもの」として、今一度読み直してみる機会として設定されます。

 

 過去の作品を一旦は意味や文脈からズラし、現在の身体でなぞることでそこから何を取り出すことができるのでしょうか。これまでの林の作品を概観するだけでなく、現在とこれからへの眼差しを伺い知ることができるこの機会をぜひお楽しみください。

 

展覧会の様子

 

 

 

パフォーマンス「躰の延長」林葵衣×今村達紀 記録映像

 

ステートメント

生体は解体と構築をくり返す。


2008年頃の初期作から現在までの作品を改めて見返したとき、作品を作る過去の自分の手の動きや息遣い、声、体の動きが譜面のようにそこにあった。
譜面をもう一度読みなおし、作品がまとう遊んでいるような躰の気配、様々な像として浮かぶ “わたしだったもの” と対話をする。

身体のつづきへの想像力

声・行為・視線

これらをキーワードに、2008年から2020年までの12年間に林が制作した作品、最新作をあわせて展示する。

 

アルファベットスタンプを使用し身体が起こす反復のずれを確認する「RE」シリーズ

発声を出す際の口の形板ガラスにルーターで彫る《tongue score》

直線を引く手のストロークや腕の動きを金属粉で描く《Playing Body》

他者が話す言葉を自身が再度発話しなおす様子を記録した映像作品《lip synch》

 

一見するとそれぞれは個別のテーマをもとに作られた作品だが、制作年代をもとに一本の糸を辿るように構成することで、 それらの再接続を試みる。

 

 


林 葵衣



関連イベント

パフォーマンス「躰の延長」林葵衣×今村達紀


* 会期中の3月15日に予定しておりました林葵衣 × 今村達紀によるパフォーマンス・イベント「 躰の延長 」は、諸般の事情により中止することになりましたが 、非公開によるパフォーマンスとして会場で実施し、24日[火]より展示作品・映像として会場でご鑑賞いただけるようにいたします。


3月15日[日] 17:00~ 予約不要・入場無料
3フロアに渡る会場を舞台に解体・再構築をキーに「新作を展示する」パフォーマンス。  
*パフォーマンス中、会場内をご自由に移動いただけます。またパフォーマンスの模様は会期中に映像展示いたします。

今村達紀|Imamura Tatsunori
ダンサー、振付家、パフォーマー、役者として、BRDG、Monochrome Circus、akakilike、contact Gonzo、KIKIKIKIKIKI、したため、多田淳之介、桑折現、Sung Yong kim、白井剛、小金沢健人、村田宗一郎、飯名尚人、塚原悠也、などの作品に参加。 関節の音を鳴らすサウンドパフォーマンス”関節話法”呼吸の止まった先でどう踊るのか考える”無呼吸”祖先の記憶と死と生にまつわる”もけもけしたものがはみ出してくる”などの作品をつくっている。

作家略歴

林 葵衣|Hayashi Aoi

https://hayashiaoi.tumblr.com

 

1988年 京都府出身

個展

2019年 詩の復唱(KUNSTARZT / 京都)
対話の時間(黄金4422bld / 愛知)
2018年 しつらえ(AWOMB / 京都)
2017年 声の痕跡(KUNSTARZT / 京都) 
2016年 水の発音(アートスペース虹 / 京都)

グループ展

2019年 京都府新鋭選抜展(京都文化博物館 / 京都)
チャリティ&オークション展 小さいわたしたち Who are we ? (+1art / 大阪)
A stop by on a whim (INCLINE / 兵庫)
第六回アラタパンダン展(名村造船所跡地 / 大阪)
2018年 VOCA展(上野の森美術館 / 東京)
第五回アラタパンダン展(名村造船所跡地 / 大阪)
2017年 アート/メディア - 四次元の読書(国立国際美術館 / 大阪)
非在の庭 最終章(アートスペース虹 / 京都)

受賞歴

2015年 芦屋市展 |芦屋市立美術博物館/吉原賞

舞台美術

2019年 擬娩|THEATRE (E9 KYOTO/京都・アトリエ銘苅ベース / 沖縄)
2018年 文字移植(こまばアゴラ劇場 / 東京)
2017年 ディクテ(アトリエ劇研 / 京都)
2016年 文字移植(アトリエ劇研 / 京都・ぽんプラザホール / 福岡)
 
作品画像

《声の解体/scrap of voice 》

2019

木枠・糸・口紅

22×27.3cm・27.3×27.3cm

作品画像

《Monophony》 制作記録画像

2018

口紅

サイズ可変

作品画像

《路面電車》

2017

口紅

サイズ可変

作品画像

《水の発音》

2016

板ガラス、 ルーター

188×180cm

作品画像

《かさねる-白-》

2014
キャンバス、シャチハタスタンプインク、 アクリルガッシュ、サンビーエンドレススタンプ
200×300 cm

作品画像

《OVER LAY》
2013 

スライドガラス、プロセスインク

サイズ可変

作品画像

《かさねる》
2011

キャンバス、シャチハタスタンプインク、 アクリルガッシュ、サンビーエンドレススタンプ

200×300 cm

 

 

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