2016年7月19日〜7月31日  

 

Gallery PARC Art Competition 2016 #02

 

寺脇 扶美:紫水晶からの手紙

Gallery PARC[グランマーブル ギャラリー・パルク]では、2016年7月6日から8月14日にかけて「Gallery PARC Art Competition 2016」として3つの展覧会を連続開催いたします。本展は様々なクリエイション活動へのサポートの一環として、広く展覧会企画を公募 し、審査により採択された3名(組)のプランを実施するコンペティション「Gallery PARC Art Competition 2016」に応募された56 のプランから、平田剛志(京都国立近代美術館研究補佐員)、山本麻友美(京都芸術センタープログラムディレクター)の2名の審査員を 交えた厳正な審査を経て採択された湯川 洋康・中安 恵一、寺脇 扶美、嶋 春香の3組による展覧会を実施するものです。

その第二弾として、寺脇 扶美「紫水晶からの手紙」を開催します。

 

会場撮影:麥生田兵吾

展覧会について

Gallery PARC Art Competition 2016 #02


寺脇 扶美 Terawaki Fumi
紫水晶からの手紙 Letter from amethyst

 

 本展覧会は紫水晶をモチーフに、言葉にならないその声や対話をビジュアルで翻訳する試みです。紫水晶とは水晶の一種で、異方向に光を放つ六角柱状の美しい結晶です。また2月生まれ、私の誕生石でもあります。 

  私は日常のなかで見つけた美しいものを写生してきました。モチーフを見つめ、向き合う時、彼らは言葉にはならない多くのことを語りかけてくれます。その声を可視化するかのように絵を描いてきました。写生画は、私とモチーフとの貴重な対話の結果です。しかしそれは、あくまでひとつの視点によるひとつの結果に過ぎません。では、私は何を見ていたのでしょうか。また私の視点からこぼれ落ちたものは何だったのでしょうか。そこに端を発し、見ることを考え、近年は自身の「見出す力」を探求するため、写生画をもとに視点の分解と構築を繰り返す絵画、crystalシリーズを制作しています。

  今回の展覧会では、そのような絵画展示を中心に構成し、歴史・神話・化学・精神世界など異なる分野からの紫水晶にまつわる視点も取り入れ、資料なども提示する予定です。様々なパースペクティブから捉えられた紫水晶が同時にそこに存在する。一つの物を見つめることで立ち現れる世界の広がりを見られる機会になればと考えています。

  紫水晶の言葉にならない声は、あなたに届くでしょうか。

 



ステートメント

 写生やデッサンをする過程で見ることに関心を持ち、人の視点や認識、意味付けについて考察し、主に絵画を描いてきました。
 写生というあるがままに生を写し取る行為は、私による視点の固定が必要であると同時に多角的な視点も要求され、また我を捨て素直に受け取る器量も必要です。相反するものも含めた、多数の視点が同時に存在することで成り立つものと言えます。これは私にとって、混沌と美しい世界のありのままを理解し、享受するような行為でもあります。
 近年モチーフとして扱っている水晶は六角柱状の結晶で複屈折を生じます。異なるベクトルに放たれた光は美しい反面、その実体を掴みにくくします。岩絵具は光に乱反射し、形態把握を難しくします。また、モチーフの描写で色の明彩度などのバランスが崩れると、それと認識しづらくなります。これらは人の感覚を揺さぶると同時に、新たな発見を誘発します。その認識(実体)と認識の揺らぎを、画面に混在させたいと考えています。
 そのために、水晶の写生画をもとにエンボス加工と日本画技法を用い、幾つもの工程を経ながら制作しています。工程ごとに分解と構築を繰り返すことで、私自身の「見出す力」を探求し、新しい視点や新鮮な出会いを獲得しようとする試みです。
 物事を分節し、意味を見出し構築・享受する。それをまた分節して構築・享受する。止まることのない個人のその行為にこそ、先入観や既成概念に捉われずに新しいステージへ進んでいく力が潜んでいるのかもしれません。作品はそのひとつの結晶であり、より良い世界への私の希望が込められたものでもあるのです。

 

 

寺脇 扶美 / Fumi Terawaki




作家略歴

寺脇扶美/Fumi Terawaki

1980年 愛知県生まれ
2007年 金沢美術工芸大学大学院 美術工芸研究科絵画専攻日本画コース 修了

個展歴(抜粋)

2015年 寺脇扶美個展, Gallery TEN, 石川
2013年 come and go, gallery near, 京都
2003年 ゆう, 犬山アートドラッグ・センター, 愛知

グループ展歴(抜粋)

2015年 こころを打つDM, +1art, 大阪
きょうとカレント展, 京都市美術館別館2階, 京都
漂流飛翔, 白白庵, 東京
ZONE#1, Gallery TEN, 石川
ZONE#2, Gallery TEN, 石川
ENGIMONO2015~the exhibition of mascots & lucky charms~, 白白庵, 東京
2014年 TAKE OUT ART!-アートをお持ち帰りする小作品展-, gallery near, 京都
2013年 小作品合同展覧会, Gallery2, 兵庫
TAKE OUT ART!-アートをお持ち帰りする小作品展-, gallery near, 京都
ABEND vol.2, 京都リサーチパーク町家スタジオ, 京都
tokonoma展 -Japanese “TOKONOMA” Style Exhibition-, gallery near, 京都
日韓現代アート交流展, HEIS GALLERY, 福岡
TAKE OUT ART!-アートをお持ち帰りする小作品展-, gallery near, 京都
KYOTO STUDIO, 京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA, 京都
fitting room vol.2, Gallery Ort Project, 京都
2012年 あいちの現代美術2 GALLERY GOHON 活動紹介, アートラボあいち, 愛知
ごほんでにほんのごにん, GALLERY GOHON, 愛知
ABEND vol.1, Galley Ort Project, 京都
せいかつのなかに, 同時代ギャラリー, 京都
2011年 complrelation vol.4-カオスモスのさかなもぐら-, 渋川市美術館市民ギャラリー, 群馬
2009年 ワクラバ, gallery b.TOKYO, 東京
2008年 complrelation’08, マキイマサルファインアーツ, 東京
第三の途, 山越ビル, 石川
2006年 complrelation-日常のカオスモス-, 金沢駅, 石川
2005年 complrelation-関係によって完成し続ける-, 金沢美術工芸大学内グラウンド,石川

参考文献

2013年8月 GALLERY GOHON PROJECT2010.11-2012.10 活動記録,GALLERY GOHON
2013年4月 KYOTO STUDIO, 京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
2012年8月 SHAKE ART! gallery, SAHKE ART! VOL.9

受賞

2016年 BIWAKO大賞展, 入選
第2回「藝文京展2016」, 入選
2014年 第2回小泉淳作記念鎌倉芸術祭日本画公募展, 入選
京都国際映画祭クリエーターズファクトリー, 入選
2012年 第17回2011公募:ふるさとの風景展in 喜多方, 入選
2005年 臥龍桜日本画大賞展, 入選

アートフェア

2016年 ART NAGOYA 2016, THE WESTIN NAGOYA CASTLE, 愛知
20154年 アートフェア札幌 2015, クロスホテル札幌, 北海道
ART NAGOYA 2015, THE WESTIN NAGOYA CASTLE, 愛知
ART OSAKA 2015, ホテルグランヴィア大阪, 大阪
2014年 ART NAGOYA 2014, The Excelsior, 愛知
2013年 Hong Kong comtemporary 2013, The Excelsior, 香港
2012年 Daegu Art Fair2012, EXCO, 韓国, 大邱
 
作品画像

紫水晶からの手紙(一部)
岩絵具, 水干絵具, 胡粉, 麻紙
エンボス加工
273×410mm
2015

作品画像

紫水晶からの手紙(展示風景)

作品画像

it placed a crystal
岩絵具, 水干絵具, 胡粉, 麻紙
エンボス加工
1620×1300mm, 1620×700mm, 700×1620mm
2015

作品画像

crystal#18
岩絵具, 水干絵具, 胡粉, 麻紙
エンボス加工
430×530mm
2016

作品画像

crystal#13
岩絵具, 水干絵具, 胡粉, 麻紙
エンボス加工
182×257mm
2016

作品画像

crystal#10
岩絵具, 水干絵具, 胡粉, 麻紙
エンボス加工
900×900×80mm
2015

 

 

空白