ギャラリー・パルクでは、2013年2月19日[火]から24日[日]まで、「Midnight:山﨑 鈴子 展」を開催いたします。
山﨑鈴子(やまざき・れいこ)は、2011年に京都造形芸術大学大学院[日本画]修士課程を修了。現在は同大学大学院の博士課程に在籍(千住博氏に師事)しながら積極的に制作・発表を重ね、2011年には「第26回国民文化祭京都2011 美術展 日本画部門」文部科学大臣賞、「京都花鳥館賞奨学金2011」優秀賞を、2012年には「公募ー日本の絵画2012ー」大賞受賞など、高い評価を得ています。
これまで水面におちる花びらや現われた波紋、凛と立つ花や舞い散る花びら、木々や深い森の情景をおもなモチーフとして描いてきた山﨑鈴子。とりわけ墨による「闇(黒)」を背景に、一筋の光により鮮やかに照らし出されたかのような「花(蓮)」を凛と描き出した作品は、静けさと劇的さをあわせ持ったコントラストに目を奪われるとともに、日本画材による繊細で豊かな色彩・階調の妙は、透明感と揺らぎをも感じさせます。それは、ひとつの画面上に「闇の中の色・光に照らされた闇」という矛盾する景色を絵画空間へと統合し、そこに儚くゆれる世界の一瞬の姿を描き出しているかのようです。
山﨑の描き出す絵画には、これまでにもおよそ相対する要素(光と闇、明と暗、静けさとざわめき、喜びと悲しみなど)がどちらも削ぎ落とされる事無く描かれることで、それらが交錯あるいは共鳴するかのような作品が見られます。本展のタイトル『Midnight』は「真夜中」の意であり、それは一日の終わりと始まりを意味する瞬間として、明と暗・光と闇・昼と夜などが不安定に交錯あるいは融合する瞬間として捉えられています。
PARCでは2011年開催の二人展「オクト」以来2年ぶりの展覧会であり、キャリア初個展となる本展では、新作を中心に、風景や蓮をモチーフにした絵画作品およそ10点をご覧いただけます。山﨑の描き出す画面を通じて、その視線の先にある儚くもうつろう世界の断片を垣間見れるのではないでしょうか。
《Midnight》、それは一日の終わりと始まりを意味する。
その狭間には何か特別な時間が存在している。
それは光と闇に存在する目には見えない“何か”をつかみとる感覚、
あるいは不安定な感覚を覚えるミステリアスな瞬間だ。
「夜でもあり、昼でもある。明るくもあり、暗くもある。」
つまり、見方によって希望にも絶望にもなりうる。
そのどちらとも言えない、またはその両方が融合した瞬間が
《Midnight》を意味するのかもしれない。
私にとって世界は儚く、柔軟に変化し漂いながらバランスを保つものである。
山﨑 鈴子
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《子夜》 《天高く》 《時運》 |