幅広いクリエイター/クリエイションへのサポートを目的にした公募・コンペ企画「Gallery PARC Art Competition 2015」についての審査結果を発表いたします。
作家による個展やグループ展など、ご応募いただいた幅広いジャンル・内容による56のプランより厳正な審査を経て、下記の3つのプランを採用といたします。
採用されたそれぞれのプランは、以後にPARCとの協議を重ねながらブラッシュアップし、2015年6月30日から8月9日までの期間において連続開催による展覧会として発表されます。
〈総評〉
本年の審査は、審査員個別に提出されたファイル・資料審査を行ない、その後にギャラリーと審査員2名による討議によって入選プランを決定しました。
今回もファイルを通じて、さまざまな発見や魅力的な作品・言葉との出会いがありました。応募して頂いた方々には心よりお礼申し
上げます。
未来の展示プランを選出するにあたっては、プラン内容はもちろんのこと、過去作の理解・討議に多くの時間を割きました。なぜなら、未来の判断材料は過去にしかないからです。しかし、展示プランとしては実現可能性の懸念や作品とプランのあいだに矛盾・乖離も見られました。前回も感じたことですが、人生において新しいことに挑戦するのはすばらしいことですが、プランには本当に必要でしょうか。もし、何かを変えるのであれば、それは作品ではなく、作者の方なのかもしれません。
家族が親と子では考え方や行動が異なるように、作者と作品は「他者」であり、制作と展示は異なります。まずは、展覧会の展示や鑑賞と同じく、作品を「見る」こと、鑑賞・観察することが必要ではないでしょうか。また、お会いできることを楽しみにしています。
平田剛志(京都国立近代美術館研究補佐員)
〈総評〉
作家にとって切実な問題であっても、鑑賞をする側にとってはそうでもないという状況は案外よくあることだ。
表現しようとする人は、意図していようともしていなくても、自分の何かを他人に晒してしまうことになるし、それをコワイと思うの
は至極まっとうな感覚であると思う。
発表の機会や、発表の仕方が、自由で多様になったからこそ、何をどう選ぶのかは、作家にとっては創作以上に悩ましいことなのかもしれない。
今回の応募プランの中には、作品が魅力的であるのに、創作の動機が希薄、あるいは、作家自身がそれらを掴みかねているというジレンマを感じるものが多かった。それはステートメントの曖昧さや矛盾に如実に表れる。
作ることと考えること。どちらも諦めずに続けてほしい。
山本麻友美(京都芸術センタープログラム・ディレクター)