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Exhibition info

すべ と しるべ(再)2021-2022 #01

蛇が歩く音
only the voice remained
守屋 友樹

Moriya Yuki

2022.6.11. ~ 7.3.

蛇が歩く音 / only the voice remained:守屋友樹

About

展覧会概要

Gallery PARC[グランマーブル ギャラリー・パルク]では、『すべ と しるべ(再)』として、守屋友樹(2022年6月11日[土]から7月23日[日])・田中秀介 (2022年7月9日[土]から7月24日[日])による2つの展覧会を連続開催いたします。
「展覧会」とは、アーティストが表現(すべ)を社会に向けてひらく標(しるべ)であり、また鑑賞者は作品と空間・時間をともにするなかで、それぞれにとっての方法(すべ)を発見する「体験」を得る機会・場であるといえます。
『すべ と しるべ』は、ギャラリー・パルクが2020年より取り組むプロジェクトで、変容していく社会状況の中で「展覧会」という体験の機会をよりタ フに起動させていくため、その方法の開発・獲得を目的に、とりわけ展覧会における「記録」に焦点をあてて取り組むものです。展覧会を異なる視点・ 異なるメディア(映像・写真・言葉)による自立した記録によって「つくり・のこす」ことで、それらが読み出される時に新たな体験を「おこす・ひらく」ための(すべ)を編み出していくものです。

 

2021年、京都府南丹市八木町に残る築400年を超える旧酒造を会場に、田中秀介(美術家)と守屋友樹(写真家)のそれぞれは6日間の展示公開を行なうとともに、その記録として麥生田兵吾(写真家・映像作家)と今村達紀(振付家・ダンサー)による映像、野口卓海(美術批評・詩人)の編集と三重野龍(グラフィックデザイナー)のデザインによる記録物を制作。これらは、ひとつの展覧会を起点にそれぞれが自立した眼差しから作品や表現を発見・解釈し、それぞれの媒体の特性をもって「つくる・のこす」ことに取り組むことで、記録を展覧会の補完物としての関係からズラし、それ自体が観賞体験を「おこす」ものとなるよう企図したものです。

 

本展『蛇が歩く音:only the voice remained』は、2021年に京都府南丹市八木町に残る旧酒造を会場に開催した、守屋友樹(もりや・ゆうき)による展覧会「蛇が歩く音:walk with serpent」を、パルクの空間に(再)構成・(再)起動させるものです。

およそ10年前の偶然の体験を出発点に、現在までに幾度もリサーチを重ねて準備された本展は、『蛇』をモチーフとしながらも、いわゆる写真そのものを展示するのではなく、にまつわる様々な要素を横断的に展開するインスタレーションとなります。ここで守屋は「目の前に見えるものしか写せない」という写真の「解体」と並行して、物語化・象徴化された『蛇』を物質化・抽象化させることで、鑑賞者の内にイメージの「生成」を促し、「目には見えないけれど確かに見えている」という体験を発生させています。

また、旧酒造という特徴的な空間を手がかりに制作・展示された作品群を、異なる空間・時間に持ち込んで(再)展開させる本展では、かつて(2021年)の展覧会に取材して制作した記録映像・記録集をあわせてご覧いただけます。これにより、記録が、過去と現在・記録と記憶の曖昧な重なりに自立することで、鑑賞者の発見や想像を促し得ること、そこに作品や表現を「ひらきつづける」ことの可能性を体感いただけるのではないでしょうか。

 

「蛇が歩く音|only the voice remained」 守屋友樹

凍結した諏訪湖の湖面が割れる音を聞いたことをきっかけに「蛇が歩く音」という作品を作り始めました。氷が割れているはずなのに目視できず、音だけが延々と響いている状況に、僕は心地よさと不気味さを感じました。また、目には見えないからこそ想像できることに興味を抱きました。以来、その音を聞こうと冬の湖を繰り返し訪ねています。あの音はどのようなものだったのか、どうして心に揺らぎを起こしたのか。刹那的で一度きりの体験のあとに、音の不在(記憶にしかない音)から湖や水辺が表象する伝承や実際に起きたことに関心が広がり、リサーチするようになりました。「かつて聞いた音」という既に失われてしまったものを始まりとして、その場所や歴史、話を聞いた人たちの声が、湖面が割れる音から外へ外へと僕を連れ出してくれるようでした。不在について考えることは水鏡を覗くようなもので、水面に写る自身とその背後に広がる景色を映し出すと思っています。もっと端的に言えば死から生を見返すようなものと言えるかもしれません。

 去年の秋に南丹市八木町内にある元酒蔵でこの作品を発表をした際、副題を「walk with serpent」としていました。作品内に出てくる蛇という象徴が目には見えない形となって共に時間を経ていくことを暗示としてつけたものです。今回、目には見えないもの、聞くことができない音を想像してみた時、不在の周辺から物語るいくつもの声があることを意識していました。展示会場や八木町内で出会った人たちから蛇にまつわる話を聞き、パソコンで文字起こしした際、肉体から離れた声がモニターに表示されていることに気がつき 「only the voice remained」(声だけが残った) と変更しました。

 

守屋友樹の過去の展示情報等はこちらよりご覧ください >Artist Info

 

 

Statement

僕は、自然と文化における表徴の変遷などをリサーチやフィールドワークをし、その際に撮影した写真や映像、オブジェを用いたインスタレーション作品を制作しています。見知らぬ土地に訪れ、そこで起きた話や民話のような話を住民から聞くことが増えてきた。語りというものが、土地の歴史や性質を語り継ぐ手立てとしてでもあり、個人の感受を残すことでもあるように思うようになった。語り継ぐことには、歴史性を帯びつつも他者の感受を受け入れて内面化していく作業とも言えるだろう。僕が出会った人から聞いた話のなかで、あらすじのみであったり、欠落していて終わりが無いものなどが印象に残っている。不完全な話となってしまっても生々しさを感じさせるし、感情の揺らぎが見えてしまう。僕は、語りを通して目の前にある時間や空間をありのままに扱うことを試みたいと思うようになった。

守屋 友樹

Video:映像

■ プロデューサー:正木 裕介

■ 監督:麥生田 兵吾

■ 出演:今村 達紀
■ 撮影補助:岡田 美久・村田 ちひろ

展示作品 / Works