2019年7月5日〜7月21日  4階展示室

 

坂口佳奈・二木詩織:キャンプができたらいいな。 / I wish I could camp.

 本展は広く展覧会企画を公募し、厳正な審査により選出されたプランを展覧会として実施する、コンペティション「Gallery PARC Art Competition 2019」の採択プランによる展覧会です。2014年から毎年開催により6回目を迎える本年は、応募総数64プランから、平田剛志(美術批評)、勝冶真美(京都芸術センタープログラムディレクター)の2名の審査員を交えた厳正な審査により、採択された3つの展覧会を前期・後期に渡って開催いたします。 


 3フロアに渡る展示室を持つPARCの空間を活かした展開として、本年は前期となる7月5日から7月21日までの[#01]では、2階展示室で加藤舞衣による個展「部屋と外」を、4階展示室で坂口佳奈・二木詩織による展覧会「キャンプができたらいいな。」を同時開催することで、2つの個展を構成します。 また、後期となる7月26日から8月11日までの[#02]では、パルクの全フロアを会場に、洪亜沙による個展「アンバー・ランド」を開催いたします。

ステートメント

新しい景色を絵画で表現できないかと考え制作しています。 私は、空間のずれや絵の具の重なりによって私たちが普段生活している現実とは異なる時間を表現できるかもしれないと考えています。なぜなら、それらは別々な時間を共有して存在していると思うからです。そのずれや重なりをきっかけにものごとを新しい目線で捉えもっと柔軟に世界と関わりを持ちたいと感じています。

 

坂口 佳奈

自身の体験をどう切り取るか、また編集するかというのが作品のテーマです。 例えば友達と旅行に行ったことを思い出しながら地図を描くパフォーマンスをしたり、それを映像にしたりしています。その中で、自分しか知らない情報を作品に盛り込んだり説明を省いたりすることもあります。当然そうすると作者である私と観客の間に情報量の差が生まれます。最近、飼っている犬を見て、この犬には言葉が通じないんだと思って驚きました。この犬に何かを伝えることはできない。でも犬は撫でてほしそうにこちらを見てくることもあるしひざの上で寝ることもあって、その時私は犬の気持ちを察しようとしたり思い込みで接します。 「この犬に何かを伝えることはできない」けど言葉があるからといって人間同士はコミュニケーションを取れている、何かを伝えていると断言できるのでしょうか?お互いの情報量に差があることが当たり前なのだということを考慮し、観客と自分の間の距離を作品にしたいと考えています。

 

二木 詩織

展覧会について

【 展覧会コンセプトやテーマ 】

旅、距離、時間をコンセプトの作品制作をしたいと考えています。 私たちが住んでいる土地から京都に到着するまでの距離や道中も記録にとり作品として発表したいです。そのために、まず京都へ行くこと計画します。それに基づいて出発し、道中記をつけていきます。

 

 

【 プラン採択、実施にあたってのコメント 】

Gallery PARC Competition 2019 に選んでいただき、ありがとうございます。 京都へ訪れるまでに起きる出来事がいつ、どうして作品となっていくのか制作することで考えることができればと思います。予想外なことが起こっても楽しみながら進めていきたいです。(坂口)

時間や距離のついての作品を作ってみたいと思っているので、自分が住んでいる土地から約 450 キロも離れた京都で展示する機会を与えていただいてうれしいです。新幹線で 2 時間、車で 5 ~ 6 時間、歩くと 100 時間以上の距離です。 いろんな手段で移動して作品を作りたいと思います。(二木)


Q & A

-本公募に応募した理由について

A.坂口と二木、2人で展示を企画したいと考えていたことがきっかけでした。そのとき、たまたま友人にgallery parcさんのコンペ情報を教えてもらいました。東京から京都までの道中記を作品にしてみたらどうかという話が持ち上がり、今回の公募の応募につながりました。

 

-今回の展覧会について簡単に説明ください
A.私たちの住んでいる土地から京都に到着するまでの距離や道中を記録にとり、旅、距離、時間を共有のコンセプトとして作品を発表します。

 

-今回の展覧会(作品)について、目論見・挑戦・希望など自身にとってのポイントを教えてください
A.メディアの違う2人ですので初めての挑戦ばかりです。旅をコンセプトにすることも初なので
作品にどのように反映され、思考が変化するのか楽しみです。想像することはできても、実際には多くのハプニングがあると思うので、それを楽しめたらと考えています。
時間というコンセプトは2人の共通する問題でした。二木による「時間を行き来する映像とパフォーマンス」と坂口の描く「描くという手法によって時間を可視化する絵画」の作品が、今回の展示によって、お互いに刺激を受けながら新しい形で発表できたらと思います。

 

-現在のメディア(素材や技法、表現方法など)はどのような理由で選択したものか
A.もともと絵を描くのが好きで、油絵を選択しました。大学に入り、少しの間だけインスタレーションをしていた時期もあったのですが、自分が楽しみながら作品を作れる方法は描くことだと自覚してからは油絵や水彩で作品を作っています。

 

-現在までの作品に通底する問題意識や興味など
A.最近は生活と記憶をテーマに描くことで、それらの関係を結び合わせられないかと考えています。
これまでは色や形、ものの存在について興味が高かったのですが、今はもっと身近な経験を元に、見過ごしている経験や景色を描いてみたいです。

 

-今後の活動の中で目指したい、取り組みたいポイントなど
A.大学を卒業した今、積極的に作品を発表していきたいと考えています。
自分の思考を深めるためにもインプットアウトプットは継続していくことが今の目標です。
絵を描くことも大事なのですが、楽しむことやアイディアを大事にしていくことが活力だと思っているので、いろいろなことに興味を持てるよう常にアンテナを張っていこうと思っています。
また、現在地方の小中、養護学校を中心にワークショップ活動も行っており、そちらも作品制作と共に継続していきたいです。ワークショップ活動は大学在学時の仲間と共に行っていて、土地や風土をテーマにしたワークショップなどを企画しています。その土地だから見つかるアートを、ワークショップを通して自分たちも参加者と一緒に探していけたらと考えています。

 

-作品をつくることはどういうことか
A.特に特別なことはなく、例えば毎日誰かと話をしたり、本を読んだりすることと同じだと思っています。

-作品を見せることはどういうことか
A.作品を見せることで自分の世界がプラスにもマイナスにも広がると思います。同時に作品を見た人も、自分と同じように世界がプラス、マイナスどちらにも広がって、考えたり、対話するきっかけが生まれればいいなと思っています。

 

作家略歴

 

坂口 佳奈|Sakaguchi Kana

1991年 熊本県生まれ
2017年 武蔵野美術大学 造形学部油絵学科Aコース 卒業
2019年 武蔵野美術大学 造形研究科 修士課程 美術専攻油絵コース 修了

グループ展

2019年 武蔵野美術大学卒業・修了制作展(武蔵野美術大学 小平キャンパス / 東京)
2018年 克服展(サンクトペテルブルク・ ロシア)
Slide, Flip, and Turn (武蔵野美術大学 図書館 中央大階段 / 東京)
2017年 武蔵野美術大学卒業・修了制作展(武蔵野美術大学 小平キャンパス / 東京)
東京五美術大学連合卒業制作展(国立新美術館/東京)
アタミアートウィーク2017(ツイキレンタルスペース/静岡)
理化学研究所展示プロジェクト 2017(理化学研究所 横浜キャンパス / 神奈川 )
2016年 Sound of Silence (武蔵野美術大学 課外センター / 東京)
2015年 GOLDE NAGE(武蔵野美術大学 / 東京)
2013年 トリアグラム展(武蔵野美術大学/ 東京)

受 賞

2017年 武蔵野美術大学卒業制作展 優秀賞
 
《リビングルーム》

坂口 佳奈

《リビングルーム》

2018

2000×3000mm

油絵の具、カンヴァス

《リビングルーム 2 》

坂口 佳奈

《リビングルーム 2 》

2018

1620×1303mm

油絵の具、カンヴァス

《Flat1》

坂口 佳奈

《Flat1》

2016
2273×1818mm

油絵の具、カンヴァス

《Flat2》

坂口 佳奈

《Flat2》

2016
1620×1303mm

油絵の具、カンヴァス

《Flat3》

坂口 佳奈

《Flat3》

2016
1620×1303mm

油絵の具、カンヴァス

 

 

二木 詩織|Futatsugi Shiori

1993年 神奈川県生まれ
2017年 武蔵野美術大学 造形学部油絵学科Bコース 袴田クラス 卒業
2019年 武蔵野美術大学 造形研究科 修士課程 美術専攻油絵コース 修了

グループ展

2019年 武蔵野美術大学卒業・修了制作展(武蔵野美術大学 小平キャンパス/東京)
2017年 青春スリーポイント計画(Art Center Ongoing /東京)
武蔵野美術大学卒業・修了制作展(武蔵野美術大学 小平キャンパス/東京)
2015年 個人的な生活 緩やかな断絶(ギャラリーmonogram / 東京)
変な話なんだけど(武蔵野美術大学 課外センター / 東京)
私たちが偽りのない何かに出会うための方法(武蔵野美術大学オープンキャンパス/東京)
小東京☆銀河 vol.8 品出し(府中卸売センター/東京)
2013年 ヤマニキ展(武蔵野美術大学/東京)
 
《untitled》

二木 詩織

《untitled》(武蔵野美術大学修了制作)

2019

映像、観葉植物等のインスタレーション

撮影: 加藤 健

《untitled(部分)》

二木 詩織

《untitled(部分)》( 武蔵野美術大学修了制作)

2019

映像、観葉植物等のインスタレーション

 

《犬にあげる氷》

二木 詩織

《犬にあげる氷》( 武蔵野美術大学卒業制作 )

2017

映像5分

《地図を書く - 近所》

二木 詩織

《地図を書く - 近所》

2017

パフォーマンス 約10分

《地図を書く - 沼津》

二木 詩織

《地図を書く - 沼津》

2017

映像 約16分

 

 

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