1997年より映像作品の制作を手がける林勇気(1976年・京都生まれ)は、2011年の個展「あること being/something」(兵庫県立美術館)、2014年の個展「光の庭ともうひとつの家」(神戸アートビレッジセンター)、「窓の外、恋の旅 -風景と表現」(芦屋市立美術博物館)、2016年の「PAT in Kyoto 京都版画トリエンナーレ」(京都市美術館)、個展「電源を切ると何もみえなくなる事」(京都芸術センター)、2017年の「彼方へ Shizubi Project 6」( 静岡市美術館)など多くの美術展への参加のほか、「FILMS D’ANIMATION #1」(MAISON POPULAIRE / フランス・2013年)、「アンカラ国際映画祭」(トルコ・2015年)、「京都国際映画祭」(京都・2016年)など、国内外の多くの映画祭へ作品出品するなど、幅広い領域で活動しています。
これまで林は、自身(あるいは他者)の撮影した膨大な量の写真をデジタライズし、それらを切り抜き・重ね合わせることで制作されたアニメーションを 多く発表しており、「その制作プロセスと映像イメージは、インターネットやテレビゲームを介しておこなわれるコミュニケーションのあり方を想起させる」としています。これらの作品においては、「私 / 世界」に紐付いていた「何処かの / 誰かの / 何か」だったモノ・コトが、写真、デジタル写真へと物質から引き剥がされ、また背景や状況から切り抜かれることで個々の関係や記憶から分断された、膨大な「個(点)=データ」の集合で満ちる「デジタル世界」のあり様をヴィジョンとして提示します。
わたしたちは「せかい」を、手と目で触れ、言語で捉えることのできる具体的なモノ・コトと、言語と視覚によるイメージや概念の両極によって捉えているのではないでしょうか。そして、その「個」と「膨大」の両極を「私」が繋ぎ・補完するなかに「世界」を認識しているといえるのではないでしょうか。林勇気の提示する、膨大なモノ・コトが漂うようにスクロールしていくヴィジョンは、確かに世界を「個」と「膨大」といった両極のによって捉えたものであるといえ、同時に私たちはそのヴィジョンそのものを「風景」として眺め、あるいは膨大に漂う孤立した点を再び結び、そこに「世界」という物語の「存在」をも感じることがあります。その鑑賞の中では「わたし と せかい と 『私と世界』」は常に領域の曖昧なメタ構造を形成していることを、つかの間体験することができるのではないでしょうか。本展では「デジタル画像」の在り方を問う《 IMAGE DATA 》の最新作とともに、林の近年の興味対象である「AI(Artificial Intelligence)」を「わたし(たち)」の鏡写しとして、その振る舞いを注視することで「認識そのもの」の在り方を問いかける新作によって構成されます。
「私は猫を猫として認識する」
I recognize a cat as a cat.
2012年にgoogleの開発したAIが約1000万枚の画像を見続け、人から教えられる事なく猫を猫として認識した。人の思考や知覚が電気信号であるならば、AIに無数のデジタル画像はどのようにみえたのだろうか。もっと多くの事が出来るようになった時に、世界をどのようにみるのだろうか。また、人の視覚やデジタル画像との関係性、現実との関係性はどのように変化していくのだろうか。AIとAIに不可欠な膨大な量の画像データを通して現在と未来の像の在り方について考えていきたい。
本展ではデジタル画像の在り方を問う「IMAGE DATA」の最新作と、様々な動物のドローイングをAIが組み込まれた画像生成プログラムによって猫のイメージへと変換させアニメーションを制作した新作「Chimera」などを展示する。
林勇気
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1997年 | 映像作品の制作を始める。国内外の展覧会や映画祭に出品。自身で撮影した膨大な量の写真をコンピュータに取り込み、切り抜き重ね合わせることでアニメーションを制作している。そのプロセスと映像イメージは、デジタルメディアやインターネットを介して行われる現代的なコミュニケーションや記録のあり方を想起させる。 |
2016年 | HIROBA (京都) |
京都芸術センター (京都) | |
2015年 | Gallery TRI-ANGLE (宝塚大学 / 兵庫) |
安治川倉庫 FLOAT (大阪) | |
ギャラリーほそかわ (大阪) | |
trace (京都) | |
HAPS 東山 アーティスツ・プレイスメント・サービス (京都) | |
2014年 | シアターカフェ(愛知) |
神戸アートビレッジセンター(神戸) | |
2012年 | 南山城村AIR 青い家 (京都) |
柏プラネタリウム (千葉) | |
2011年 | E&Cギャラリー(福井) |
sample white room (奈良) | |
兵庫県立美術館(神戸) | |
2010年 | ギャラリーヤマキファインアート (神戸) (‘16) |
ギャラリー名芳洞 blanc(愛知) | |
2009年 | neutron tokyo(東京) (‘12) |
2008年 | 世田谷ものづくり学校 IID gallery(東京) |
ギャラリー揺(京都)(‘13) | |
2007年 | gallery neutron(京都)(’08、’09) |
2004年 | ギャラリー三条(京都)(’05、’06) |
2017年 | 「港都KOBE芸術祭」(神戸空港駅、他 / 兵庫) |
「未来への狼火」(太田市美術館・図書館 / 群馬) | |
「彼方へ Shizubi Project 6」 (静岡市美術館 / 静岡) | |
2016年 | 「MOVING 2016」(クラブメトロ / 京都) |
「カサブランカ・インターナショナル・ビエンナーレ」(モロッコ) | |
「京都国際映画祭」(西本願寺 伝道院、他 / 京都) | |
「Japanisches Kulturwochenende」(CinéMayence/ドイツ) | |
「Art Basel Hong Kong, Film sector」(HongKong Art Center, agnès b. cinema / 香港) | |
「PAT in Kyoto 京都版画トリエンナーレ」(京都市美術館) | |
「美術と音楽の一日 rooms」(芦屋市立美術博物館 / 兵庫) | |
2015年 | 「Transient Visions: Festival of the Moving Image」(spool.mfg / アメリカ) |
「アートでつなぐみんなの実験場 えのこじま仮設映画館」(大阪府立江之子島文化芸術創造センター/ 大阪) | |
「みんなのアート それぞれのらしさ」(みんなの森 ぎふメディアコスモス / 岐阜) | |
「NIPPON CONNECTION」(ドイツ) | |
「アンカラ国際映画祭」(トルコ) | |
「映像芸術祭 MOVING 2015」(HAPSで個展、京都芸術センター / 京都) | |
2014年 | 「窓の外、恋の旅。-風景と表現」(芦屋市立美術博物館 / 兵庫) |
「あなたがほしい i want you 」(大阪府立江之子島文化芸術創造センター / 大阪) | |
「HOME PARTY 02」(みずのき美術館 / 京都) | |
2013年 | 「あなたがほしい i want you」(WELTKUNSTZIMMER / ドイツ) |
「Human Frames showcase at Nuit Blanche 2013」(パリ市街地 / フランス) | |
「FILMS D’ANIMATION #1」(MAISON POPULAIRE / フランス) | |
「歩く男」(CAS / 大阪) | |
「溶ける魚 つづきの現実」(精華大学 ギャラリーフロール, Gallery PARC /京都) | |
2012年 | 「モニターとコントローラーの向こう側 -美術とテレビゲーム -」(neutron-tokyo/東京) |
「アートラインかしわ」(柏プラネタリウムで個展 柏市内、他 / 千葉) | |
「高尾小フェス」(旧高尾小学校 / 京都) | |
「映像芸術祭 MOVING」(Social Kitchenで個展、他/ 京都市内) | |
「恵比寿映像祭 映像のフィジカル」(BYTで参加 東京都写真美術館 / 東京) | |
2011年 | 「PARIS FESTIVAL OF DIFFERENT AND EXPERIMENTAL CINEMAS」(COLLECTIF JEUNE CINEMA / フランス) |
「Drawing Exhibition ドローイングの距離」(CAP STUDIO Y3 / 神戸) | |
「BETWEEN YESTERDAY & TOMORROW」 (webで公開) | |
「Human Frames」(Kunst im Tunnel/ドイツ、Substation/シンガポール) | |
2010年 | 「松代現代美術フェスティバル Asian Art Film Program」(碌山美術館研成ホール、樋口邸 / 長野) |
「ふれて / みる」(中京大学 Cスクエア / 愛知) | |
2009年 | 「白昼夢 Daydream」(愛知県美術館ギャラリー H, I 室 / 愛知) |
「migratory - 世界に迷い込む - 」(アートコートギャラリー / 大阪) | |
「Re:membering Next of Japan」(Doosan art center, Gallery loop / 韓国) | |
2008年 | 「Art Court Frontier 2008 #6」(アートコートギャラリー / 大阪) |
2007年 | 「新進アーティストの発見 in あいち」(愛知芸術文化センター / 愛知) |
「トランスメディアーレ」(ドイツ) | |
2006年 | 「トロント・リール・アジアン国際映画祭」(カナダ) |
「AMUSE ART JAM」(京都文化博物館 / 京都) | |
2005年 | 「裏・アートマップ」(京都芸術センター / 京都) |
2004年 | 「透過する音楽」(京都芸術センター / 京都) |
「アウト ザ ウインドウ」(国際交流基金フォーラム / 東京、Project Space ZIP / 韓国) | |
2003年 | 「ナッシュビル国際映画祭」(アメリカ) |
「アジアン・アメリカ国際映画祭」(アメリカ) | |
「香港国際映画祭」(香港) | |
「STARTART001」(細見美術館 / 京都) | |
2002年 | 「高尾国際映画祭」(台湾) |
「バンクーバー国際映画祭」(カナダ) | 「イメージフォーラムフェスティバル」(新宿パークタワー / 東京、横浜美術館 / 神奈川、他) |
IMAGE DATA
2016
SD-Video, モニター
京都芸術センターでの展示風景
撮影:表恒匡