Gallery PARC[グランマーブル ギャラリー・パルク]では、2016年12月10日(土)から25日(日)まで、「宮田彩加 : 裏腹のいと」展を開催いたします。
京都造形芸術大学(2012年に大学院修了)で染織を専攻した宮田彩加(みやた・さやか/京都生まれ・1985〜)は、手やミシンによる刺繍をベースにしたオリジナルテクニックによる作品制作を手がけています。
目指す図案に向けて、支持体となる布に糸をひと針づつ正確に縫い付けていく「刺繍」は、平面の布に線と面を描くというだけでなく、無数の糸により肉付けをすることによって、平面を立体へと起こしていく行為でもあり、そこでは費やした時間が糸の厚み・質量となって現れます。しかし、それは本質的には「すでに予測され、決定している図案を再現する行為」でもあり、なかでも画像を取り込むことで自動的に刺繍が実行されるコンピューターミシンにおいては、刺繍は予定された仕上がりに向かう「工程」であると言えます。
このことに違和感を覚えていた宮田は、『では、予測された結果に向かう中で、私ができることは何か?』という興味から、その予定調和を崩す行為として、取り込ませる画像データにバグを介入させます。ミシン刺繍が見せる均質な針目によるフラットな仕上がりを崩すために、意図的なバグ(データ上の空白)を含ませた画像を用いることで、予想外に現れる糸の振る舞いを取り込んだ『WARP』シリーズ。刺繍を過剰に集積させることで糸と糸の絡まりによる結び目をつくり、そこに次々と糸を刺しこませることで、刺繍から支持体(布)を排した『Knots』シリーズ。これらはいずれも「集積された時間」を「質量」へと変換される刺繍の特性を持ちながら、コンピューターミシンの特性(プログラムの振る舞い)を逆手に取り、予測不可能なアクシデントを混入させることで、宮田自身も予見できなかったイメージ・物質を生み出しているものです。
宮田は『エラー:失敗の行為によって新たな価値観を生む』ことを大きなテーマに、『生物の形態や、物事の発生や進化の在り方を呼応させた作品づくりをしている。』といいます。作品におけるバグやエラーには、生物進化における特異点を、糸の連なりには多様性と連続性による生命の系譜を見ることができます。また、「プログラムとバグ」による「分かっていること:分からないこと」によってあらわれたイメージは、『見たことのある:未知なるもの』をにカタチを与えたものであると言えます。
本展では、宮田のMRI脳画像の「空白部分」をゼンタングル(幾何学や波形などの簡単なパターンを反復することで、図柄を埋めていくメソッドの一種)により装飾し、そこから刺繍へと展開させた新作や、骨と風景、絨毯と世界地図など、身近な存在のもの同士を組み合わせをモチーフとした作品、『WARP』や『Knots』シリーズの過去作品を一堂に展示いたします。
会場撮影:麥生田兵吾
ステートメント
私が私であると認識するための身体や世界は、身近な存在であるにも関わらず、実際には目視することはできない。
それらを刺繍という物質的な行為で全容を視野に収めようと試みる。
しかし、そうして出来上がったものには本質的な姿はなく、またそれも表象をなぞっただけのものである。
宮田彩加
作家略歴
宮田 彩加/Miyata Sayaka
1985年 |
京都生まれ |
2012年 |
京都造形芸術大学大学院 芸術表現専攻 修士課程 染織領域修了 |
個展
2015年 |
「花を形成するプロット」 (H.P.FRANCE WINDOW GALLERY MARUNOUCHI,東京) |
2014年 |
「生命力の形態と対称性」 (ギャラリー恵風,京都) |
2013年 |
「Sayaka Miyata Exhibition」 (京都造形芸術大学 bixko_kitchen) |
「生命力と形態」 RADICAL SHOW 2013 (渋谷ヒカリエ8/CUBE,東京) |
「WARP×Knots -エルンスト・ヘッケルへのオマージュ-」 (GALLERYGALLERY EX,京都) |
2012年 |
「野菜WARP」 (gallery near,京都) |
「WARP」 (軽井沢ニューアートミュージアム,長野) |
「Knots」 (京都みなみ会館) |
2011年 |
「擬態」 (GALLERYGALLERY EX,京都) |
グループ展等
2016年 |
「琳派400年記念 新鋭選抜展 -琳派FOREVER-」 (京都文化博物館)
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「スピリチュアル・イマジネーション」(LIXILギャラリー, 東京) |
2015年 |
「琳派400年記念 新鋭選抜展」 (京都文化博物館) |
「TERRADA ART AWARD 2015 入選者展」 (T-Art Gallery, 東京)
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「ドクロ展」 (新宿髙島屋美術画廊,東京) |
2014年 |
「京展」 (京都市美術館) |
「KUAD Graduates Under 30 Selected」 (Galerie Aube,京都)
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「THE MIRROR」 (名古屋商工会館,東京)
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「Politics Narcissism」 (ARTZONE, 京都)
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「Transparency」 (Maki Fine Arts,東京) |
2013年 |
「Recto emotion ~刺繍表現に見る今日の作家たち~」 (日本橋髙島屋美術画廊,東京) |
「tokonoma展」 (gallery near,京都) |
2012年 |
「VALCELLINA AWARD」 (マニアーゴ,イタリア) |
「クリスマス・ショウ」 (ラディウムーレントゲンヴェルケ,東京) |
2011年 |
「SPURT展」 (Galerie Aube,京都) |
2010年 |
「日米美術学生展 2010」 (Ise Cultural Foundation,NY,2011/2012) |
「染織の旅に出かけよう」 (同時代ギャラリー,京都) |
2008年 |
「混沌から躍り出る星たち 2008」 |
第一期:京都展 (Galerie Aube) |
第二期:東京展 (スパイラルガーデン) |
受賞入選歴
2016年 |
「琳派400年記念 新鋭選抜展 -琳派FOREVER-」 日本経済新聞社京都支社賞 |
2015年 |
「琳派400年記念 新鋭選抜展」 入選 |
「TERRADA ART AWARD 2015」 入選 |
2014年 |
「京展」 京展賞 |
「KUAD Graduates Under 30 Selected」 KUADオーディエンス賞 |
2012年 |
「Valcellina Award 2011」 入選 |
2008年 |
「京都造形芸術大学卒業制作展」 瓜生山賞・混沌賞・学科賞 |
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《VISION》 2016年 h1300×w1800mm ミシン糸 撮影: 福森崇広
《 擬態 -ナポレオンフィッシュ- 》 2010年 64×92×4.5cm 刺繍糸・ミシン糸・綿布・木製パネル 手刺繍・ミシン刺繍 撮影:中川浩之
《 ジャガーの形態と対称性 》 2014年 80×62cm ミシン糸 ミシン刺繍 撮影: 南竜司
《 WARP×Knots -エルンスト・ヘッケルへのオマージュ- 》 2013年 サイズ可変 ミシン糸・綿布・木製パネル ミシン刺繍 撮影:矢野誠
《 呼応するパターン -サケに情け- 》 2015年 15×37×25cm ミシン糸・綿布・木製パネル ミシン刺繍 撮影:中川浩之
《 WARP -ポピーを形成するプロット- 》 2015年 各直径30cm ミシン糸・綿布・木製パネル ミシン刺繍 撮影:木奥恵三
《 WARPⅡ -エルンスト・ヘッケルへのオマージュ- 》 2013年 158.3×209.4×6cm ミシン糸・綿布・木製パネル ミシン刺繍 撮影:矢野誠
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