ギャラリー・パルクでは、2015年の最初の展覧会として1月10日[土]から1月25日[日]まで、安田祥による個展「 partial 」を開催いたします。
安田祥(やすだ・さち/1987~・大阪)は、2012年に京都造形芸術大学大学院・修士課程を修了し、現在も京都で作陶をおこなう、若手作家であり、これまで個々の「陶」による造形物を集積させ、それらを建築の一部として提示するかのような作品群を手がけてきました。
建築における「陶」は、美しくも堅牢で丈夫さを備えた機能的・装飾的な資材として、「タイル」「陶版」「レリーフ」といった名称と形態によって用いられ、都市のあらゆる場所で見受けられる身近なものであるといえます。私たちの目の前のタイルは立体物であり、陶です。それらは集合体となれば幾何学的な規則性を持つタイルとして、また有機的な意匠を表現するレリーフとして建築の一部を成し、あるいは建築のすべての表面を構成しています。そして、それらは個々においては具象でも抽象でもないただの素材として、多くは「建築物の一部を成すもの」として認識されています。
では、たとえばタイルで覆われた建築物を「陶の集合体」とする事は可能でしょうか?
安田は「陶でタイルを表現する」といいます。それはタイルというオブジェではない。それがタイルである以上、ある程度の規則性を持った集合体として存在する。それはタイルとして壁や床あるいは柱といった建築を支持体とし、そこに壁や柱を成し、空間をも成す。
そして、それは陶でタイルを、その集合体として壁を、床を、柱を、建築を「表現」する事になり得るのではないでしょうか。
本展覧会は、タイルらしくないタイル(立体)の形状でギャラリー空間の壁を成し、そこに平面でもなく、立体でもなく、空間でもない。タイルでもなく、陶芸でもなく、インスタレーションでもない、陶による表現を展開するものです。
ギャラリー・パルクの2015年最初の展覧会となる本展をぜひご高覧下さい。
会場撮影:守屋友樹
集合体≒一部
タイルらしくないタイル(立体)の形状で壁をうめた、いわゆるレリーフの様な構造をつくる。
個で見れば立体として成立する陶の造形物は、複数で捉えることによって一つの集合体になる。
その集合体は、壁であり、建築物の一部でもあり、空間の一部でもある。
またそれは、平面でもなく、立体でもなく、空間でもない。
言い換えると、タイルでもなく、陶芸でもなく、インスタレーションでもない。
その一つの造形物から始まり、集合体になって、建築物の一部としての壁となる。
建築物の一部として存在するそれらは、ここで完結するものではなく、一部であり、部分的なものになる。安田 祥