ギャラリー・パルクでは、2013年10月29日[火] から11月10日[日]まで、「此方×彼方:高木智広」を開催いたします。高木智広(たかぎ・ともひろ/岐阜・1972~)は、1992年に武蔵野美術大学短期大学部美術科卒業後、1997年より京都に在住し、これまで京都・東京を中心に発表を続けてきました。
幼少期から動物図鑑を模写するほどの動物好きであり、それらを育む自然にも親しんだ高木は、1994 年にパプアニューギニアを旅し、自然の一部として暮らす人々に触れた際に「現代社会がいかに自然と無縁なものか」痛切に感じたと言います。そこでの自然が人間の営みをも含む「同一」のものであったのに対し、「人間と自然」という関係に「分断」された私たちの暮らしを顧み、そこに「人間」が「自然」を支配・管理する傲慢さをも感じた高木は、以後に自然と人間との関係を強く意識した作品制作に取り組みます。
動物の着ぐるみを纏った少年少女。人間よりも遥かに巨大な動物達。地面に突き刺さり、森となったカワセミ。都会の裏路地を彷徨うカエルや空を飛ぶ平等院鳳凰堂。その画面上には人間と自然がそれぞれ擬人化(あるいは擬態化)されて混じり合ったかのような世界が、コミカルに、ユーモラスに、時にシニカルに描き出されています。それはまるで「人」と「自然」に分たれた世界の境界の物語のようであり、高木の想像する自然のみならず、空想や夢想が織り重なり、地霊や精霊、果ては妖怪やモノノケまでもが「綯い交ぜ」 となった光景が描き出されていきます。
「此方×彼方」(コナタ:カナタ)と題された本展では、会場内に高木のつくりだす絵画とともに「綯い交ぜ」の世界が出現します。 何かを分つ境界線といった明らかなものは無いままに、しかし「こちら」と「あちら」が存在する、不可思議な空間をお楽しみください。
私は、様々な境界を意識して制作してきた。
自然と人間、生と死、現実と非現実。 それらは一見乖離しているようでありながら、互いに地続きである。
人間が自然を抑制しようとしても、やはり人間は自然の一部として、 自然に生かされ、自然に翻弄される。
生と死は、陰と陽のように分離不能であり、生きることは死ぬことでもある。
私は現実と非現実が混ざりあった風景を見て いる。
その時、私は境界に立っている。
この展覧会では私の作品を、此方から、
彼方から、
その狭間から、眺めたい。
眺めていただきたい。
高木智広