ギャラリー・パルクでは、2013年7月23日[火]から8月4日[日]まで、小林麻弥による個展「mix tex」を開催いたします。
京都の文化・創造活動の更なる活性化への支援のひとつとして、芸術系大学への会場提供により展覧会やイベントを開催する「PARC_美術・芸術系大学サポートプログラム」の一環として実施される本展は、京都造形芸術大学のコーディネーションによるもので、本展に先立ち、大学内でおこなわれた公募・審査により選ばれた作家・プランをもとに開催されます。
小林麻弥(こばやし・まや/兵庫・1987~)は、現在、京都造形芸術大学大学院においておもに染織テキスタイルを中心に学んでいます。
これまで小林は、軽く・透過性の高いオーガンジーに熱を加える(焼く)事で、縮みによりその表面に有機的な凹凸を与え、それらを色とりどりに染め上げたオリジナル・テキスタイルをひとつの作品としてきました。
本展は「布に触れ、布から触れられることによって生の感覚を感じて欲しい」とする小林の目論見から、その独特の手ざわりを持つテキスタイルを用いて、透過によるレイヤーとしての効果を最大限に活かし、ギャラリー空間そのものを変容させる大規模なプランを基に展開されます。
自然光を採り入れた会場には、鮮やかな発色によるテキスタイルが織りなす色彩の豊かさ、有機的に歪んだ表面と透過光による視覚効果などが混合(ミクスチャー)されたひとつの空間が創出されます。鑑賞者はその空間の内部を、時に布の手ざわりを確かめながら彷徨い、「見ること・触れること」を等しく体験できる機会になるのではないでしょうか。
「目で触る、手で見る」 ちょっと変な日本語です。
見えるものと見えないもの。
触れられるものと触れられないもの。
見ることによって感じること。
触れることによって感じること。
その2つが重なった時に生まれる感覚。
言葉にできない感覚と、感覚を伝えるための言葉。氷を触ったときに熱かったら
火を触って冷たかったら
マシュマロが硬かったら
ダイヤモンドが柔らかかったら「見る」を「触れる」と信じない。
「見る」と「触れる」のそれぞれの行為につながること。
布に触れること。それは生まれてから死ぬまで私たちのそばにある、
とても人に近いもの。
気づいたらそこにあって、特別ではないけれど大切なもの。私は言葉にできない感覚を、見て・触れて確かめていきたい。
それはとてもリアルで、それでいて触れた瞬間に私の想像を遥かに超えるものかもしれないから。
小林麻弥