Gallery PARC[グランマーブル ギャラリー・パルク]では、2012年3月20日から25日まで、「MAJESTIC:いん ともみ」展を開催いたします。
これまでおもにイラストレーションの分野で活動してきた いん ともみ(1984~・福岡生まれ)は、「生きる事の一部として絵を描き、生活している」としながら、これまでの「何かのために絵を描く」ことから、現在は発表することを前提としない中で絵を描いています。
その絵には、それまでの絵筆や線によるイラストレーション的な作画は無く、絵具を指で叩き付け、擦り付けたかのようなタッチや、色彩が画面上で大胆に混色されている様子、中央に大きく浮かび上がる抽象的で不確かなカタチ(おもに「まる」)などは、まるで絵具を手にした子どもの遊びの中から生まれたような絵に見えます。また、具体的なモチーフやタイトルなども明らかでは無いその絵は、何か特定のイメージを再現するためや、メッセージを伝達するために描かれたものではないと分かります。
『日々の問題に向き合った時に、自分に必要な力を身につける為に、描かざるをえない』と語るとおり、その絵はまず、「生きることの一部」として、極めて私的な「自身との対話」として「描かざるをえなかった」ものであり、他者に伝えることを目的としないその絵は、都度の感情や衝動さえもありのままに描きつけられた、まるでコトバになる前の「音」による対話の痕跡であるかのように思えます。しかし、その対話を重ねる中で、次第に『何かに描かされている感覚』がわき上がり、絵は外に向かって開かれたものとして描きあげられると言います。
本展のタイトル「MAJESTIC」は、本来の『堂々とした,雄大な』の意に加えて『自然そのもの』の意として選ばれたものです。 「絵画」や「イラスト」といった曖昧な名付けを捨て、ただ「描く」という行為の結果としての「絵」を、様々な痕跡とともに開示いたします。
およそ10点の絵を中心に構成した本展で、その堂々とした絵を前にした時、絵と鑑賞者との間にまったく別の対話が生まれるような、そんな機会となれば幸いです。
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762×543 297×420 297×420 270×380 |