Top

Previous page

Exhibition info

宮原野乃実

Miyahara Nonomi

今日へと旅する

Journey to today

2023.8.5. ~ 8.27.
水・木曜休廊

Exhibition View

11 images

Statement

今日へと旅する
Journey to today

 

私はこれまで、連続する過去からの繋がりや、自らが内包するナショナリズムを薄すぼんやりと自覚しているようで、でも具体的な実感もないまま、ふわふわとした感覚を抱えて生きてきました。

私という存在や置かれた環境が過去の歴史や出来事とどう繋がっているのか、それらを具体的に想像し実感するために、私は様々な場所へリサーチの旅へと出かけました。歴史家でも学者でもない私の旅は、正確性も欠けていて、史実のみを追い求めたものではありません。私が見つけた事実と誰かにとっての事実が違っていることもあるでしょう。思い込みも多い恣意的な旅では、完璧な結論に辿り着くことも有りません。それでも、自分自身の腑に落ちる何かを探して手探りで過去を尋ねる旅路は、巡り巡って今日の自分のいる場所へと繋がっていきます。

今日の私が立っている場所の輪郭が今までよりも確かなものになるように、私は近くて遠い過去をなぞりながら、今日に向かって旅を重ねていくのです。

宮原野乃実

About

 本展作家である宮原野乃実さんは、2020年のGallery PARC主催の公募展Gallery PARC Art Competition 2020においてプランを採択し、2020年7月に発表を予定していたアーティストでしたが、Gallery PARCがその開催を前に活動を中断したことで発表が延期となっていました。本展はその内容において当時の採択プランの忠実な再現ではありませんが、延期させていただいた宮原さんの発表の機会として実施いたします。公募展として募集・採択したにもかかわらず、発表延期・活動中断の申し出を受け入れていただいたこと、そしてその展示を3年越しに再開できたことについて宮原野乃実さん並びに公募にご尽力いただいた各位に感謝いたします。

 

 Gallery PARC[グランマーブル ギャラリー・パルク]では、2023年8月5日(土)から27日(日)まで、宮原野乃実による個展「今日へと旅する:Journey to today」を開催いたします。
 宮原野乃実(みやはら・ののみ / 東京・1992~)は、ある地域の川原に大量に捨てられていた陶製手榴弾(第二次世界大戦末期まで日本で作られていた)の上に、周辺の住宅街の街並みをジオラマとして組み合わせた《ざくろ》、海岸に流れ着いたどこかの国の陶片や人工物と、積み上げられていく海上輸送コンテナの風景を重ね合わせた《DRIFT》、海岸沿いに残る戦争遺構のコンクリート片に、その場に投棄・漂着した現代の生活ゴミをミニチュアで再現した《誰かの基地》など、時間や歴史(来歴)を語る陶磁器と、身の回りの日用品などを組み合わせた作品を制作・発表しています。
 『私という存在や私が置かれた現在が、過去の歴史や出来事とどう繋がっているのか、実感を持てずにいることがあります。「私」や「現在」が、過去や歴史、あるいは「日本」といった共同体からも切り離されて突然存在しているような感覚です。』と語る宮原にとって、これらの作品(行為)は、過去の出来事や歴史を自分なりに追体験してみることであり、「現在の私」との関係を見出そうとするものであるといえます。
 とりわけ宮原は「第二次世界大戦」という歴史的史実と自分自身との距離感をより具体的に扱うため、積極的にリサーチやフィールドワークにも取り組みます。小笠原諸島へのリサーチをきっかけに抱いた「歴史や情報を通して見る景色はどう見えるのか」という問いは、組み合わせた素材とオーガンジーによる《幽霊のいる島》。映像作品として制作された《砂糖王国旅行記》は、1920年代に「シュガーアイランド」と呼ばれていた南大東島とサイパン島を「生き別れの双子のような島」と捉えた上で、「過去の歴史を参照しながら恣意的な眼差しで物語を編むことはできるのか」について考え、現在では全く似ていない2つの島の風景を結びつけようと目論んだものです。
 陶磁器と日常品を組み合わせる宮原の作品は、どこか呼び継ぎ(割れたり欠けたりした器の足りない部分を異なる陶片で埋める技法)に似ていると言えるかもしれません。呼び継ぎには、欠けた器に対して陶片のカタチや径、厚みや色、土の種類などを合わせることで、欠損を補完するようなものもあれば、異なる素材、異形や異質を半ば強引に組み合わせるものもあります。宮原はとりわけ異なる要素を組み合わせる手法によって、ひとつの存在の中でそれぞれの違いが明確に意識されるとともに、そこに新たな見立てや見所を発見し、目の前の景色を確認するかのようです。
 『現在に私が立っている場所の輪郭が今までよりも確かなものになるように、近くて遠い過去をなぞりながら、今日に向かって旅を重ねていく』と語る宮原にとって、本展「今日へと旅する:Journey to today」は、《ざくろ》や《DRIFT》などの陶磁器作品から、映像作品《砂糖王国旅行記》までの取り組みを一堂に展示し、これまでの軌跡とともに、現在の自分の位置を確認する機会となります。

Works

CV

Biography

1992 東京都生まれ
2015 京都造形芸術大学 美術工芸学科 総合造形コース 卒業

 

Selected Exhibition

2023
「CERAMIX」(西武渋谷店美術画廊 / 東京)
「Kyoto Art for Tomorrow 2023―京都府新鋭選抜展―」(京都文化博物館 / 京都)

 

2022
個展「海辺の輪郭」(3331 CUBE shop&gallery / 東京)
「KAIKA TOKYO AWARD 2022」(KAIKA 東京 by THE SHARE HOTELS / 東京)

 

2021
「Collectors’ Collective vol.4 Osaka」(テヅカヤマギャラリー / 大阪)

 

2020
個展「透けるレイヤー  結んだ景色」(広島芸術センター / 広島)

「Collectors’ Collective vol.4 Osaka」(テヅカヤマギャラリー / 大阪)

 

2019
個展「YESTERDAY'S GHOST」(谷居 GuJu / 台北・台湾)
個展「YESTERDAY'S GHOST」(CLEAR GALLERY TOKYO Viewing Room / 東京)
「群馬青年ビエンナーレ」(群馬県立近代美術館 / 群馬)


2017 
個展「ここは昨日の塵の上|今日是建構在昨日之上」(居藝廊 G.Gallery / 台北)
個展「どっかで誰かが見た景色」(GALLERY ART POINT bis. / 東京 )
「シブヤスタイルvol.11」(西武渋谷店 美術画廊 / 東京)
「“FOCUS” UNKNOWN ASIA GROUP SHOW」(DMORATS / 大阪)


2016
「TDW art fair 2016」(神宮外苑 / 東京)
「同じ窯の位相」(ARTZONE / 京都)
「UNKNOWN ASIA ART EXCHANGE OSAKA 2016」(ハービスホール / 大阪)
「SICF17」(スパイラルホール / 東京)


2014 
個展「かわるかもしれない」(ギャラリーマロニエ / 京都)
「1mm」(ギャラリーマロニエ / 京都)


2013
「京都同時代学生陶芸展」(元立誠小学校 / 京都)

 

Art fair

2019
「ARTISTS’ FAIR KYOTO」(京都文化博物館 別館 / 京都)


2017
「ART OSAKA」(ホテルグランヴィア大阪 26階 / 大阪) 
「ART in PARK HOTEL TOKYO 2017」(PARK HOTEL TOKYO / 東京)


2016
「art fair sapporo 2016」(CROSS HOTEL SAPPORO / 札幌)