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Exhibition info

beyond

むらた ちひろ

Murata Chihiro

2022.8.13. ~ 9.4.

水木曜休廊

beyond:むらたちひろ

Statement

染色によって広がる色は、生地の内・外、表・裏を横断的に、あるいは 一体のものとして渉ることができる。 そこに内包される時間的・空間的な揺らぎに、[過去 / 現在 / 未来]、 精神的な[近しさ / 遠さ]、[私たち / 社会]をうつし見る。

 

むらたちひろ

About

Gallery PARC[グランマーブル ギャラリー・パルク]では、『beyond:むらたちひろ』展を開催いたします。
染織作家・むらたちひろ(1986年・京都生まれ)は、「染色」への探究心を始点に、「染める/染まる」という行為・現象に着目した作品制作に取り組んできました。
むらたは『目に見える景色は、変化し続ける世界のごく一部・ある一瞬を切り取ったものにすぎない』として、2015年くらいまでは特に「描くことへの意識」から、染色の滲みや拡がりを用いた染色作品を展開してきました。ここでは日常の中で見つけた描きたい景色を染料によって布に描き、そこに水を与えることで生じる変化(滲み)をもって、変化し続ける流動的な世界を描き出していたといえます。
2015年以降、むらたは自身の技法である「染色そのもの」を眼差し、解体と点検をはじめます。染めるという行為、染まるという現象、染料が持つポテンシャルや布という支持体の特性まで、自身と染色にまつわるそれぞれは作品や取り組みへと切り分けられ、発表の機会を通じて私たちに投げかけられてきました。とりわけ「染める/染まる」を物理的な側面としてではなく、精神的な行為・現象と解釈した展開や、染色が持つ不可視の要素である水や時間を主題に据えた取り組みなどは、むらた自身の染色についての思考を深めるものになったといえます。
染色を行為・現象、あるいはマクロとミクロのそれぞれから眼差し、そこに現れる揺らぎに時間や記憶、精神や社会のあり方などをもうつし見るむらたは、2019年から再び「描く」という感覚をもって「beyond」のシリーズ制作に取り組みます。しかし、ここでの「描く」という感覚は2015年以前のものとは異なるといいます。
画面上の染料が大きな流れや動きを思わせるとともに、細部においては豊かな階調や複雑な様相を見せる「beyond」シリーズ。ここでは、むらたの意思・身体の動きはストロークとなって布にうつされ、直後に水によって滲み、動き、揺らぎ、隣あう色はぶつかり合いながら次第に複雑な色面へと拡がっていく。そうして、むらたによる線は面へと、色は滲みへと変容するなかで、かつてのストロークは気配として残りながらも、細部には様々な様相が生じていく。このプロセスに感じる「遠さ」こそが、本シリーズにおいてむらたの描き出したいものであるといいます。
『同じ時代に生きていても、人それぞれに見ている世界は違う。共感・共有できる近しさだけでなく、「遠さ」のなかにも築ける関係性があるのではないだろうか』とするむらたは、これまでの染色のプロセスにその「遠さ」を見出した体験から本作品の制作に取り組んでいるといいます。そして、「描くこと」が何かのイメージを「明確にする」ことであるなら、自身(染色)は遠く揺らぎ、滲む存在を「そのまま」に現すことができるものであるとも。つまり、本シリーズでは、2015年以前に染色の滲みを使って「変化し、近く遠くに揺らぐイメージ」を描くのと違い、遠ざかるが消えはしない。近づけるがひとつになることはできない。そこにある曖昧ながらも明確な距離を「遠さ」として眼差し、染色の滲みや動きによって「遠さそのもの」を描きだしているといえます。


本展は2020年に巨大な旧酒造を会場に開催した個展「すべとしるべ 2020 #01 :むらたちひろ 時の容 / while it goes 」(オーエヤマ・アートサイト / 京都)において、会場制作として取り組んだ大型作品や、2022年のVOCA展出品作品をはじめとするむらたの『beyond』シリーズ作品を中心に構成いたします。
染色という行為と現象、むらたの体験を起点とする本作品シリーズにおいては、染色によるイメージを描く・見せるのではなく、大型作品による空間によって染色そのものを体験・鑑賞いただく機会として構成します。

 

作家情報について詳細はこちらよりご覧ください。 >Artist info


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