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Exhibition info

すべとしるべ 2020 #01

時の容 / while it goes
むらたちひろ

2020.10.24. ~ 10.26.

Exhibition View

3 images

Video:記録映像

About

『すべ と しるべ』 は、展覧会という形式を表現と社会の接点として捉え、現在とこれからの社会状況の中でより有効に起動させるため、新たな可能性を模索するプロジェクトです。


 表現(すべ)を社会に向けてひらく標(しるべ)である「展覧会」は、鑑賞者が作品と空間・時間をともにする「体験」の場であるといえます。しかし、それゆえに展覧会という形式は、これからの社会状況においてアクセシビリティそのものを低下させる側面もあります。また、デジタルによるオンライン展示などは、まだこの体験の代替機能としては不十分であるとも考えます。だからこそ、これからの「展覧会=体験」の創出には、これまでの方法とともに、異なる思考・方法を採り入れた変化が必要ではないかと考えます。


本プロジェクトでは、展覧会を「つくる・ひらく・のこす」の関係性から検証します。体験を直接の鑑賞に限定し、記録(写真やテキスト、映像など)をその補完物として残すのではなく、記録が新たな体験を「つくる」こと、そこに観賞を「ひらく」ことに重点を置き「のこす」ための方法(すべ)の開発を目的としています。

 

2020年、京都府南丹市八木町に残る築400 年を超える酒蔵「旧八木酒造」を会場に、染織作家・むらたちひろ / 美術作家・友枝望の2 名のアーティストが滞在・制作し、それぞれ3日間だけの展示公開を行なった。これをもとに制作した写真・テキストによる記録と、展示をもとに制作した映像を公開します。

 

 

むらたちひろ:時の容 / while it goes

むらたちひろは染織を「時をうつし見るための すべ」と捉え、「染める/染まる」という行為・現象に着目した作品制作に取り組んでいます。本展示でむらたは「水」を媒介とする染織の行為と現象に、「時(記憶)」をうつし見ようとします。その不可視の様相は色によって可視化されることで、私たちに様々な発見を促します。


端だけをあらかじめ濃紺に染めた布を吊り下げ、水に浸すことで再び染料が浸透し、単色に内包されていた豊かな色彩が現れる《 時の容 》。同様の手法によって舟形に折った布が染まっていく様子を撮影した映像作品《 planet 》。酒蔵に残されたガラス窓を什器に、デジタル捺染によりプリントした図像が水によって溶けて滲み、色へ、無へと還元されていく作品《 雫 : Aug.- Oct. 2020, at Yagi / Kyoto 》。コンクリート造りの空間をアトリエとした滞在制作による《 beyond : Aug.- Oct. 2020, at Yagi / Kyoto 》シリーズ。むらたは時が止まったようにも感じる旧酒造において、そこに満ちる見えない時を、「現れ・動き・消える」染色の様子にうつし見せた。


 加えて、むらたは空間を満たす不可視の要素として「音」に着目し、サウンドアーティストである江島和臣・武田真彦に協力を依頼し、空間にまつわる音という不可視へのアクセスを試みている。この試みは本展示ではまだ明確なカタチを伴わなかったが、これからに向けたむらたの眼差しとして、その染色に現れてくるかもしれない。

 

正木裕介(ギャラリー・パルク)

 

 

【 すべ と しるべ 2020 概要 】記録集・詳細はこちら

企画・構成:正木裕介(ギャラリー・パルク)
主催・制作:グランマーブル ギャラリー・パルク
会場:オーエヤマ・アートサイト
助成:京都府文化力チャレンジ補助事業

 

 

#01

時の容 / while it goes 

むらた ちひろ | Murata Chihiro 

会場公開日:2020年 10月24日(土)・ 25日(日)・ 26日(月)

協力:江島 和臣 / 武田 真彦、今村 達紀、オーエヤマ・アートサイト[会場提供]

 

■特設HP・SNS 

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