- 本公募に応募した理由
大きな空間の中での展示をしてみたいと思ったから。元々PARC独特の空間(コンクリートに日が当たる表情とか、ガラスからの採光とか)が好きでよく訪れていて「この場所で作品を展示したい」と思った。
- 今回の展覧会について
自分が普段から出会う漠然とした感覚に「湖」という仮の名を与え、様々な繊維素材を使い表現した作品群を展示。
- 本展の目論見・挑戦・希望など
今までは一点の「もの」を作ることだけを考えて作ることが多かったが、今回は「空間」の中でどう見せるのかということを考えながら制作を 進めることに挑戦している。(自分が感じることと異なる感覚でも)鑑 賞する人に対して何かを訴えかけたり、何かしらの言葉を連想させた り、そのような連鎖を生み出す展覧会になればと思う。
- 現在の素材・技法などはどのような理由で選択したものですか。
織る、編む(=糸という素材を使いモチーフや画面の形を一から作る)ことで、自分が感じたことを「画面に写しとる」のではなく「形を作る」、 という意識が生まれる。新しい素材と出会い、作品にすることで、自身の曖昧な感覚を受容し直しているのだと思う。素材を探す、編み、織るなどのプロセスを経て、自分一人の主観にだけおさまっていたものが、思いもよらない物質になって目の前に現れるのは毎回新鮮で面白い。
- これまでの作品に通底する問題意識や興味など
自分の持つ感覚を、技法という言葉を使って「翻訳している」という意識がある。従来からある技法、特に自分が今まで他の作品を通して見てきた技法をそのまま引用し使うことに抵抗がある。物書きが苦心して独自の文体を作り上げるように、ひとつひとつの作品にふさわしい、自分なりのものの作り方を研究し作っていきたい。
- 作品をつくることはどういうことか
生きることのバランスを保つこと、天秤の片方。
- 作品を見せることはどういうことか
それも含めて作品制作だと考えている。
自分一人が受容する感覚だったものが、糸を媒体として形になり、それが他者に鑑賞されることによりある種の感覚を想起させる、という一連のプロセスに面白さを感じているから。
- 魅かれるものは何か
自分がそれまで見たことのなかったものに触れる瞬間は、どんなものであれ大切にしています。初めて見る景色、初めて食べるもの、初めて会う人などに関しては、いつか他の何かと繋がって新しい発見の元になるものなので、頭の中で細かく言語化する癖があるようです。また、マニアックなものに惹かれる傾向があり、鉱物やきのこなど、「何の役に立つんだ」と思うようなものに首を突っ込みたくなる傾向があります。ものを観察して仕組みを理解するというプロセスがとても好きです。織りを学ぼうと思ったのも、そういう性格から来ているのだと思います。あと村上春樹の小説が好きです。
- 見たいものは何か
水のある景色に興味があります。北海道の湿原や、長野の霧など、その場に行って体験したいところはたくさんあります。ほかに、40~50年前のファイバー・アートの作品をもっと見たいと思っています。特にアバカノヴィッチの作品を生で見てみたい。
- 現在の自身の問題点などあれば教えてください。
作品制作に関するストイックさがほしいと思います。また自分の作品に関しての意味付けや、コンセプトから展開していくような「ひろがり」がもっとほしいと感じています。
- 何が美しいか
誠実な仕事とエネルギー。
- 何が醜いか
配慮のなさでしょうか…。
- 何がかっこいいか
自由であること。
- 何がかっこわるいか
必要以上に何かに縛られること。
- 何が気持ちいいか
オープンマインドでいられること。趣味に関しては、逆に排他的になれること。
- 何が気持ち悪いか
自分の嫌いな部分を自分以外のものを通して見てしまうこと。
- 何を望んでいるか
小さな目標と大きな目的。
- 何を望まないか
完全な無目的。
- 何を求めているか
未知との遭遇。
- 何を恐れているか
知っている気になること。興味を持っていることは、その場に行って自分で感じてみたい。
- 楽しいことは
新しいことに出会うこと。
- 苦痛は
不自由だと感じるとき。
- やってみたいことは
作品になるかどうかはわからないが、綴織の小品をたくさんつくってみたい。また限界まで大きな作品を作ってみたい。
- これから何をしたいか
生活と制作を両立できる環境づくり。