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Statement

私たちの世界は、波打際が海と陸地の境界線を変化させるように、常に ゆらいでいる。

そのゆらぎは、私たちに何をもたらすのか。

そのつかみ所のない境界が持つ意味を見つけていきたいと思う。

 

展覧会について

 

行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。
よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとどまることなし。
世の中にある人とすみかと、またかくの如し。(鴨長明「方丈記」)

 

本展では、鉄や鏡といった日常で見かける素材を水のイメージに重ねた作品をギャラリーに意識的に配置していきます。その行為によって生まれる変化は、とても微かなものかもしれません。しかしその変化は、鴨長明が記すように私たちの社会に通じるものであるのではないでしょうか。鑑賞者にとって「この世界の曖昧さや不安定さ」を再認識するきっかけを促すものになることを期待しています。

近藤洋平

Q&A

- 本公募に応募した理由

展示の機会を得るため。また、2012年に参加した展覧会「うつせみ」に出展していた作家さんが、このギャラリーで展示していることもあり(勝手に)親近感を感じたため。

 

- 今回の展覧会について

今回の展覧会は、日常的に見かける金属などの素材を水のイメージに重ね、既存の空間に意識的に配置していきます。水は雨や川や海などその場所の状況にあわせて形を変える様は、絶えず変化していく社会の中に身を置く私たち自身に重なるように感じています。展覧会を通じて、私たちの世界を再認識するきっかけになることを願います。

 

- 本展の目論見・挑戦・希望など

今回は、京都(関西方面)で初めての展覧会、ギャラリーでは初めての個展となります。私の紹介の意味も込めて、インスタレーションだけではなく小作品(平面作品や立体)なども展示し、少しでも多くの方と繋がりがうまれることを期待しています。

 

- 現在の素材・技法などはどのような理由で選択したものですか。

もともと私が美術に興味を持ったのは2005年に国立国際美術館でおこなわれた「もの派ー再考」に衝撃を受けたことによります。当時建築を学ぶ大学生だった私は、「もの」の持つ力に圧倒されました。美術の出発点がもの派だったこと、建築を学んだことが、今の素材(鉄や鏡や紙などを未加工あるいはわずかに加工した)を扱うことにつながっているのだと思います。また、インスタレーション作品が多いのは、もともと建築を学んできたことから、無意識に(意識的にかもしれませんが)空間との関係性を考えてしまうからだと思います。最近は、作品の幅を広げたいとの思いから、平面作品や立体(小作品)なども制作しています。(実際には作品の置かれる場所や状況によって作品の見え方が変わるのでインスタレーションと言えなくもないですが)

 

- これまでの作品に通底する問題意識や興味など

私たちの日常には、様々なものや情報に溢れています。それらは、決して確かなものなどではなく、曖昧で不確かな存在だと思っています。何かの拍子で、価値観がガラリと変わっていくことに対する恐れや不安感が、作品にあらわれていると思います。


- 作品をつくることはどういうことか

社会や日常の中で感じるモヤモヤした言葉にならない感情を形にすることだと思います。


- 作品を見せることはどういうことか

作品を通じて、社会や日常の中で感じるモヤモヤした言葉にならない感情に共感して欲しいと思っているからなのかもしれません。


- 魅かれるものは何か

(日本以外も含めて)街並みや建築、遺跡や巨石など長い年月の中で作られてきたものや残されているもの。普遍的な美しさ(空や海や星など自然界に存在するもの)


- 見たいものは何か

・(日本以外も含めて)街並みや建築、遺跡など
・(勉強の意味も含めて)展覧


- 現在の自身の問題点などあれば教えてください。

・自身の作品、コンセプトなどを自己分析し言語化できていない。
・作品と十分向き合えているか。

 

- 何が美しいか

自然界に存在するもの(空や海や星など)

 

- 何が醜いか

人間同士の争いごと


- 何がかっこいいか

ブレない芯を持っていること

 

- 何がかっこわるいか

優柔不断、実行力がないこと

 

- 何が気持ちいいか

(美術作品に限らず)潔い状態のもの

 

- 何が気持ち悪いか

(美術作品に限らず)中途半端な状態のもの

 

- 何を望んでいるか

作家活動を続けていくこと

 

- 何を望まないか

作家活動をやめること

 

- 何を求めているか

展覧会などが定期的にある状態と(生活に困らない程度の)収入

 

- 何を恐れているか

様々な状況で、作品がつくれなくなること

 

- 楽しいことは

作品が完成した瞬間

 

- 苦痛は

作品を生み出す時

 

- 行ってみたい場所は

ヨーロッパ各国(特にアイルランド、スコットランド)、アメリカ、メキシコなど

 

- やってみたいことは

レジデンス、海外研修、Air bnb(HOTEL ANTEROOM KYOTOや KYOTO ART HOSTEL Kumagusukuのように私の作品で構成された部屋に滞在できる場所をつくりたい)

 

- これから何をしたいか

作家として活動の幅を広げていきたい、日本に限らず様々な場所で発表したい

 

 

 

About

本展は、Gallery PARCが2014年から毎年に取り組んでおりますコンペティション「Gallery PARC Art Competition 2017」に応募された31のプランから、平田剛志(美術批評)、勝冶真美(京都芸術センタープログラムディレクター)の2名の審査員を交えた厳正な審査を経て採択された3つのプラン、近藤洋平「whereabouts」(7/4~7/16 彫刻・インスタレーション)、松宮恵子「湖/畝を旅する」(7/18~7/30 染織)、井上裕加里「堆積する空気」(8/1~8/13 映像・インスタレーション)を、各2週間の会期で連続開催するものです。