2006年に日本大学藝術学部写真学科古典技法コースを卒業、2012年に京都造形芸術大学大学院を修了した守屋友樹(もりや・ゆうき/1987年・東京生まれ)。その作品はおもに「写真の解体・反復・分岐」をコンセプトに、記録と記憶の関係によって起こる認識の差異を顕在化させるかのように構成され、引用・嘘・韻を踏む・編集(切り貼り)といった要素を含むイメージの世界を現出させています。そして守屋はそれらを媒介(境界)として、目の前の図像への認識をズラし、時に写真そのものをイメージ(図像・記憶・記録)から物質へと置き換え、鑑賞者の認識を揺さぶります。
・・・この繰り返し、寄せては返すイメージのあやとりは、祖父の墓を見ている時と似たものだった。墓は「石であり、祖父である」と指し示してはいるが、目の前にある事とそこでは見えないの実体の無さが同一にある事は、山や写真を見る事と重なって感じた。僕は、山での見え方を「石をたてる=写真にする」行為をもってあやとりしたいと思う。
山。遠くから眺めた時の三角のカタチを持った▲。近づいて目の前に広がる壁のような▲。分け入って先の雑木林に埋もれた空間としての▲。コンパスと地図によって見下ろす鳥瞰図としての▲。そこでは目に見える様々な有り様によって▲のイメージは常に(再)解体され、常に(再)構築されているといえます。
本展は、山にまつわる守屋友樹の個人的体験に端を発して着想されたもので、「写真にする/写真がある」ことにより、鑑賞者の認識(解体/構築)にあるズレを顕在化させ続けることを目論むものです。
*同時期に京都市内各所で開催されたKYOTOGRAPHIE 2015のサテライトイベント「KG+2015」の参加展です。
【主 催】Gallery PARC
【特別協賛】株式会社グランマーブル