Exhibition
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 Gallery PARC[グランマーブル ギャラリー・パルク]では、2016年8月19日(金)から9月4日(日)にかけて、谷本 研と中村裕太による「タイルとホコラとツーリズム season3 《白川道中膝栗毛》」を開催いたします。
 京都の街角に今も多く残る地蔵菩薩や大日如来などを奉ったホコラ(路傍祠)。そこからはホコラが地域に受け継がれ、奉られてきた信仰の対象である事を伺い知るとともに、しばしば目にするタイルづくりのホコラには、それらが今日的な都市の様相を取り入れてきた歴史や変遷にも思いを馳せる事ができるものです。
 京都市立芸術大学大学院造形構想専攻修了後、アートとその周縁に関わりながら企画活動を行う谷本研(たにもと・けん/1973年・神戸生まれ *写真右)と、京都精華大学芸術研究科博士後期課程修了し、〈建築工芸〉という視点からタイル・陶磁器などの理論と制作を行なう中村裕太(なかむら・ゆうた/1983年・東京都生まれ *写真左)。2014年、この二人の美術家がホコラの生態系に着目し、「タイル」と「ホコラ」をそれぞれのポイントとして捉え、それらを地域における「ツーリズム(観光)」といった視野で考察する試みとして、ギャラリーをさながら『観光案内所』に変貌させた「タイルとホコラとツーリズム」展。また、この展覧会をきっかけに、本プロジェクトを5年間に渡って展開することを決めた二人は、翌2015年の「season2《こちら地蔵本準備室》」では、“地蔵本”の出版を目標に掲げて、タイルとホコラにまつわる様々な資料・文献を集めた『ホコラテーク』をギャラリーに出現させました。
 本展「season3 《白川道中膝栗毛》」は、その中で出会った書籍『北白川こども風土記』に惹かれた二人が、仔馬とともに白川街道(京都~大津)を歩き、道中に出会うホコラに花を手向けた『キャラヴァン』の記録を中心に構成されます。また、会期中には多彩なゲストをお招きした公開研究会や、白川街道の中間の山中町にある「重ね石」(写真左部分)を訪ねるワークショップを開催します。
 ギャラリー・パルクではお盆の恒例企画となった本展をお楽しみいただくとともに、「タイルとホコラ」への目線をきっかけに、私たちの身近な暮らし中にある、興味深いアレやコレやを発見できる機会になるのではないでしょうか。

展覧会について

谷本研、中村裕太の二人が、京都市内に多く見られる「ホコラ」をキーワードに、それぞれ「タイル」・「ホコラ」の視点や見地から考察・展開するプロジェクトの3回目。本年は、北白川小学校の児童たちが3年間かけて調べた郷土の文化、風俗、歴史をまとめた『北白川こども風土記』(1959年、山口書店)に惹かれた二人が、仔馬とともに白川街道(京都~大津)を歩き、道中に出会うホコラに花を手向けた『キャラヴァン』の記録を中心に構成されます。



関連イベント

①納涼! 公開研究会 「こどもと郷土─『北白川こども風土記』を読む2」

【日時】8月27日(土) 16:00~ 「予習会」(関連映像の紹介) / 17:00~ 「トークセッション」(120分予定) 予約不要・参加費無料
【ゲスト】 池側 隆之 (京都工芸繊維大学 / 映像デザイン)、一色 範子 (佛教大学大学院)、菊地 暁 (京都大学 / 民俗学)、佐藤 守弘 (京都精華大学 / 視覚文化論)、福島 幸宏 (京都府立図書館 / アーカイブズ)
【参加費】無料(生ビール、ソフトドリンク類は有料)
【内容】
北白川小学校の児童たちが3年間かけて調べた郷土の文化、風俗、歴史をまとめた『北白川こども風土記』(1959年、山口書店)は、当時、全国的にも注目され、翌年に短編劇映画としても公開されました。本イベントは今年3月にHAPSスタジオにおいて開催した研究会に続く第2回目にあたります。
昨年の「タイルとホコラとツーリズム season2《こちら地蔵本準備室》」展をきっかけに、以前からこの本に興味を抱いていた研究者や、新たにその魅力に惹かれた者など、様々な視点を持つメンバーが集まり、多角的にその魅力を語り合います。夏の終わりに、生ビール片手の〝おとな〟研究会。納涼気分でお気軽にご参加ください!

②ワークショップ 「山中町・重ね石を訪ねる路線バスツアー」 

【日時】9月3日(土) 11:00~14:45頃(ギャラリー・パルク集合後、「三条京阪」よりバスにて山中町に。山中町散策後にバスにて「三条京阪」着後解散。) 予約不要・参加費無料(但しバス代700円程度実費必要)
【行程】
【11:00】Gallery PARC集合、会場見学後【11:30】出発 → 徒歩 → バス停「三条京阪」より【12:00】発「京阪バス56A 比叡平行き」乗車 → バス → 【12:24】バス停「山中」着、重ね石にて昼食後【13:10】山中町散策→ 徒歩 → バス停「山中上」より【14:02】発「京阪バス56 三条京阪行き」乗車 → バス → 【14:30】バス停「三条京阪」着後解散
【参加費】無料(但し路線バス代として往復700円程度必要)
【持ち物】弁当、飲み物、歩きやすい服装、雨具など
【内容】
京都と滋賀を結ぶ白川街道(志賀越道、山中越とも)のちょうど中央には、県境の印として大きな岩に磨崖仏が彫られた〝重ね石〟があります。かつては地元の方が地蔵盆もおこなっておられたそうですが、今では人知れず旧道にひっそりとたたずむのみです。そんな重ね石を路線バスを使って訪ねましょう。



展示風景

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出展作家略歴

谷本 研 |Tanimoto Ken

1973年 神戸生まれ
  京都市立芸術大学大学院造形構想専攻修了

アートとその周縁に関わりながら企画活動を行う。主な展覧会に「デカダン秘宝館」(1996/ギャラリーココ)、「当世物見遊山」(1999/お宿吉水)など。2002年からは大津市仰木をフィールドに「地蔵プロジェクト」を展開中。
デザインや漫画も手掛け、「ブリコラージュ・アート・ナウ 日常の冒険者たち」(2005/国立民族学博物館)や「Dan Graham: Beyond」(2009/MOCA)図録などに漫画を執筆。2014年には装丁を担当した「フランスの色景」(港千尋・三木学著/青幻舎)が出版された。観光ペナントの収集研究家として知られ、著書に『Pennant Japan』(PARCO出版)がある。

 
作品画像

(c)谷本 研
撮影:表恒匡

出展作家略歴

中村 裕太|Nakamura Yuta

http://nakamurayuta.jp/

1983年 1983年東京生まれ
2011年 京都精華大学芸術研究科博士後期課程修了

博士(芸術)。博士論文「郊外住居工芸論―大正期の浴室にみる白色タイルの受容」。〈民俗と建築にまつわる工芸〉という視点からタイル、陶磁器などの理論と制作を行なう。
最近の展示に「六本木クロッシング2013展:アウト・オブ・ダウト―来たるべき風景のために」(森美術館、2013)、「知らない都市―INSIDE OUT」(京都精華大学ギャラリーフロール、2015)、「THE 8TH ASIA PACIFIC TRIENNIAL OF CONTEMPORARY ART」(クイーンズランド・アートギャラリー / ブリスベン近代美術館・オーストラリア、2015)、「20TH BIENNALE OF SYDNEY」(キャリッジワークス・オーストラリア、2015)など。また工芸を作り手の視点から読み解き、その制作方法を探っていく〈APP ARTS STUDIO〉 というプログラムを運営。

 
作品画像

(c)中村裕太
撮影:表恒匡

 

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