スタンダードは完全に新作で、1回目はフォトフレームの作品を送るのですが、2・3・4回目は写真を額縁に組み合わせていくものを送ります。ただ、まだ自分の中でもまだかたまっているわけではなくて。特に3・4回目はまだ自分の中で 全く想像がついていなくて、どんなものを入れるかはまだ決まっていません。日々のドローイングというか、これからの作品をつくるにあたっての習作的なものになると思うから、まだ結果が見えないというのがあるので。ただ、具体的には何もわかっていない状態の中で手を動かすというプロセスは、ほとんどの作家はやっていることで、今回はまだぐちゃぐちゃと何にもなっていない「プロセスそのもの」を見せるというものになるのかと思っています。内容としては白というものに私自身がこだわってきたというのがあって、そこからまず「White Air」という言葉が先に出てきました。これまでの制作の中で「気配の色」という言葉とかも見つけていたのですが、その中でも「白い空気」というのについて、 もう少し焦点を絞りながらやってみようと思いました。
「白い空気」での白というのは、2019年のパルクでの個展で着目した本来の「素」という意味の「シロ」ではなくて、塗装されたような、プラスティック的な白であったり、死のイメージや人工的なイメージと結びつくような意味合いでの「白」 に焦点をあててやってみようと思っています。 元々はアクリルやガラスの板を使ったイメージが4枚送られてくるというものにしようかと思っていましたが、フォトフレームの形式にして写真の保護アクリルを加工したものに変更しました。そのフレームに写真を入れると、イメージ (写真)の前に必ず加工されたアクリルがくることになり、よく分からないイメージが邪魔してくる、上乗せされる、ということになるのでフォトフレームにしました。 これによりイメージのレイヤー構造をつくりやすいと思ったからです。また、フォトフレームの中に写真を入れるものだという認識もあるだろうし、言葉で説明しなくても想像や体感をしていただきやすいかなと思いました。
個展「白いシロ」で発表した「塗り絵」シリーズに通じています。もともと「間取り図」は「閉ざされたフレーム」というのを 意識して用いていて、その代わりになるものを考えた時に、少女たちが描かれた塗り絵がフレーム化されていて、切り抜くことができるということに気づいてつくりはじめました。 日本的な平面性や閉じたフレームとか、そういうものが日本の社会の中で、何か外側からかたちを与える役割として潜在的に存在しているんじゃないかなと思っていて、例えば忖度とか同調意識とか、フレームからはみ出せない意識とか。そういうものの象徴としてフレームというものが気に なっています。 今回は日本の代表的なキャラクターから引用した線を使って構成しています。2回目以降は写真やドローイングなどを送りますが、写真は過去に撮っている写真もあるのでそこから選択するかもしれません。作品にできていないけれど気になって撮っている写真がいっぱいあるので。前面のアクリルにイメージ(キャラクター)がいるということを前提に組み合わせていく中で、自分のWhite Airというテーマに合いそうなものであったら新旧問わずに作品に組込むと思います。
どちらでもいいと思います。重ねても入れ替えても、それは受け取った方が自由に組み合わせていただいても。
初回は未発表の「間取り図」作品か、「塗り絵」作品の新作かを選択していただきます。2回目以降はスタンダードと同じように「WhiteAir」のシリーズをお送りすることになります。 ただ、スタンダードの方ではひとつのかたまりになっていて、全体でひとつの絵のようにもなっているけれど、それがもう少し大きい画面で、ずらされたりとか、配置されたりとかによって動きを持つような展開を考えています。
取り組みとして面白いと思いますが、作家としては難しいところもあります。封筒のサイズという制限もあるし、それを作品として実現させる上での難しさはあります。ただ、こんなに多くの作家の名前と作品が並んでいるのは、一覧でみてもすごく面白いなと思います。4回届くという仕組みは、受け取り側も2回目、3回目になった時に忘れてるのではないか...と思ったりするので、その時にふっとポストに届いて 「ああ、そういえば」と思い出してもらえたり、そういう時間を過ごしてもらえるというのは、本が届く経験とも違うし、 Amazonとかで注文する経験とも違うのではないかと。 1年を通してずっとやりとりができるし、少なくとも1年のお付き合いになるわけで、それを通じて知り合いになれたとしたら、それを機にまた話をしたりとかするかもしれなくて、SNSで交流しているような関係性とは違う、何か懐かしいやりとりが始まりそうな嬉しさがあります。