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[m@p] Artists Interview
初回お届けイメージ
─[m@p]のプランを考えるにあたり考えたことは?

何を目的にするのかというのを定めるのが迷ったところはありました。コロナによる状況が変わっていく中で、手が動かないという時期もありました。展覧会のためだけに作品をつくっているわけではないですが、やっぱり展示して、こういう空間でこう見て欲しい、こういう視点に立ってもらえるだろうかということを考えていたので、単純に出口が止められたら止まったしまったという感覚があったんです。
ただ、封入しているものは無理やり手を動かしたわけではなく、いろいろ考えているうちに自然に手が動き出したもので、[m@p]に取り組むことが何かを進めるきっかけになっていると思います。また社会や状況により手が止まったりすることもあるかもしれませんが、その時々で考え、自然に出せばいいかなと思っています。

《 planet 04C 0200 ’18, 2.18 AM9.45 2.19 AM9.21 》 展示風景
─ 実際の封入物は?

スタンダードでは普段作品になる前の「これなんだろう?」と思っているものを一緒に体験していただけるようなものをお送りしようと思いました。
普段の制作の中では、布を染めて実験したりとか染めながら考えることが多いので、例えば実験した布のハギレを送るということも考えたのですが、届けた物だけ見て伝わるものにしようと考え直しました。ただ、試作そのものは手放せないので、共有できるかたちを探してお送りしようと思っています。
初回にお送りするものは、5月に取り組んだ作品 《 planet 04C 0200 ’18, 2.18 AM9.45 2.19 AM9.21 》の延長として制作しました。布の舟がだんだん染まっていく様子を撮影した数分の映像にまとた作品なのですが、染まった舟を「標本カード」というかたちにして10種ほどお送りします。また、4回にわたってお送りするものを収める「収納ケース」をお送りします。収納ケースも染色したもので、普段の仕事、作品の一部として考えています。開いた状態で全長1mほどになります。1m幅の布をそのまま使っています。
「テストピース」ではなく「標本カード」としているのは、「テストピース」だと何か目標にするものがあって、それに向けたテストのようになってしまうけれど、私の場合はそれとは違うと思ったからです。布を折ってつくった舟が、舟底からだんだん染まっていく作品のテストといえばテストだけど、それをそのまま作品として発表する可能性もあるので、染まった舟を両面からスキャンし、両面印刷したカードにしました。1枚のカードに表面と裏面が対応して見えるようにしています。印刷物ではあるけれど、1枚の紙の中で表と裏から見ることができるものなので、「標本」と名付けています。

「標本カード」 参考画像
─10種ということは10種の舟の作品ということですか。

標本カードのうちの1枚はちょっと別のカットになるかもしれませんが、舟の作品は9種入ります。1つにつき、半日~1日かけて染まっていくのですが、今回お送りするのは、今年(2020年)5月4日から5月29日の間に染まった舟の中から9種を「標本カード」にしました。
残り1種のカードで、染まる過程が想像できるような仕組みを考えています。また、1つの舟に対して、日付と数字が記録されているのですが、それは布の種類と染料の種類を番号で振ったものです。同じ条件でやっているものもいくつかあるのですが、番号からそれを読み解くこともできます。2回目以降は、布の状態で何か見てもらえるような、制作の断片をお送りします。

参考作品 《ひろがるまる》シリーズ
─プレミアムについては?

プレミアムについては、これまでの作品シリーズにまつわる制作の断片的なものと小作品をお送りします。1~3回目は《ひろがるまる》シリーズ、写真を用いた作品シリーズ、去年から取り組んでいるシリーズという3つのシリーズからお送りします。4回目は3つの中で気になるものがあれば、そこから作品をつくることもできます。ご希望をうかがって新しく制作します。もちろん、既存の作品でご希望があればそれでも構いません。あわせて、その作品にまつわるもの、作品になる前のものなど、作品の断片のようなものも送るつもりです。

─同封される手紙は?

何を考え・思って制作したのかということを書いた手紙です。染まっていく作品は、2年前からやっている作品の延長ではあるんですけれど、こういった時期の日常生活とリンクしながら染まっていくということとか、時間が流れること、時間を過ごすことについて考えた上での制作ではあるので、そういったことも共有できたらと思っています。
初回に送るものは全部、5月頃に家で過ごす時間で制作したものです。今後、色々な場所に行けるようになったら、もしかしたらそれを利用するものになるかもしれないけど、今決められるものではないし、ずっと自宅での制作かもしれません。それでも、できることが増えていたり変わっていたりするかもしれないし、そういったものを自然に出したらいいと思っています。また、そうしたことも作品を制作する、見せるということに緩やかに繋がっているのだなと思っています。なので、どの部分を見せるのかという違いだけで、「ここが面白い」とか「こういうこと感じる」とかを出していく点では、今まで発表していた作品とたぶんあまり変わらないし、割と自然にできるかなと思っています。

参考作品《thickness of times》
─これから先(未知)の展開については?

[m@p]のプランで、はじめは作品を4回に渡って送るとしたアイデアもあったのですが、私の場合は面白くないなと思って。あるいはハンカチなどの実用的なものを届けるということもできますが、良いもの・サービスが世の中に溢れているので、自分がやらなくてもよいなと。では、そこから私のスタジオを訪問していただくような体験を何かのかたちでお届けすることを考え始め、その方のご自宅で体験していただき、そして一緒に所有してもらうものとして考え直しました。2回目以降、布をお送りすることになるかもしれませんが、何か「所有してもらうかたち」というものを考えて、そのために制作します。テストピースをバラバラ送るなど、生っぽく制作現場をお届けするということよりは、一緒に所有してもらうということを考えて新たに制作するものです。ですので、それはそれで作品ではないかと考えていて、今後もしかしてどこかで展示するということになるかもしれません。ただ、つくる方向が違うというか、展示する前提でつくるものではなくて、誰かの家に届けるものとしてつくっていこうと思います。
そして、その都度、考えていること、制作しているものと一緒に3ヶ月ごとに進んでいけたらいいなと思っています。