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Exhibition info

光と海 “LIGHT AND SEA”
菅かおる

2019.10.11. ~ 10.27.

Exhibition View

13 images

Statement

蝋燭の灯で絵を鑑賞するという個展をしたことがある。

日本画という伝統技法を使って作品を描いているからには、古来からの光で自分の絵を見る試みをしてみたいというのが始まりだった。2014年の Gallery PARC での個展では、16曲の屏風に見立てた両面絵画を並べ、ギャラリー空間のスポットライトで部分的にカラーフィルターをあてて展示した。

今回、長性院では蝋燭で2日間の展示。その日どのような天気になるかわからないし、お寺という特別な空間が絵をどう見せるのか。昔の人にとってお寺はどういう場所だったのか、今よりもっと身近で救いを求める空間だったのか、など考えながら制作している。Gallery PARCでは、長性院で展示した作品に新作を加えて展示する予定。Gallery PARCはギャラリーという、作品を展示する為にこしらえられた空間だが、4階では自然光の入る、面白い空間がある。そこで蝋燭、人工の光と 移り変わる自然光と様々な実験をしたいと思っている。私のアトリエで作った作品が、置かれる環境でどのような変化をみせるのか。

ひとつの展示が終わればそこで終わりではなく、その試みが新たな創作のアイデアを生む。そのような機会を与えて頂けることに感謝してこの個展に挑みたい。


菅かおる

About

 菅は「水」をおもなモチーフに、伝統的な日本画の画材や技法を用いて「水に見る景色」を描き出します。しかし、その作品は日本画の写生に基づく精密な描画によるものだけでなく、自らの興味や好奇心を出発点とする絵画的な探求が重ねられた独自の世界として現れています。たとえば菅は偶然性を借りて画面に様々な色面を生じさせ、そこに見出した平面性・空間性を手がかりに線を描きますが、この線はいわゆる輪郭を描画するためだけのものではありません。運動の軌跡や光跡として伸びやかに、あるいは幾何学形態などとして描かれた線は、茫漠とした色面と前後左右に関係することで、そこに透明度や奥行きといった空間性を出現させています。
 私たちが水面を覗くとき、そこに見えるものは光の届かない水底・水・水面・映る空・空気・降り注ぐ光の反射など、様々な要素であると言えます。これらはいわゆるレイヤーといったもので整理・整合されるものではなく、ひとつの塊(空間)としてすべて在り、私たちの目の焦点や動き、光の変化によって「見える・見えない」の狭間を揺らぎます。これは水をモチーフとして、そこに在る空間・事象を描こうとする菅にとって、周囲の光や鑑賞者の動きに呼応して浮かび・沈む日本画材の特性は、まさにこの感覚を再現するにあたり適切なものであったといえます。
 古来より日本画は、自然光や蝋燭などの限られた光源のもとに鑑賞されることを前提として、その画材や技術を深化させてきました。菅もこれに倣い、かつて蝋燭の灯のみで作品を鑑賞する機会などに取り組んできましたが、本展はこうした探求をさらに進化させ、様々な光と空間に作品を展開することで、絵に内在する様々な魅力を発見する機会として取り組まれます。
 2期構成となる「光と海」は、第1期に真宗佛光寺派長性院、第2期にギャラリー・パルクを会場に展開します。宗教空間とギャラリーという属性の異なる空間に対して、作品はどのように作用し、空間は作品鑑賞にどのように作用するのでしょうか。またギャラリー・パルクでは通常の美術照明とは異なる光源を用いることで、作品と光の関係性についても考察を深めます。