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Exhibition info

Gallery PARC Art Competition 2019 #02

アンバー・ランド / Amberland
洪亜沙

2019.7.26. ~ 8.11.

Exhibition View

10 images

Statement

現実と虚構の境目を曖昧にしていくような作品を制作している。人種や習慣などからくる、人々の見方の違いや、時代による変化に着目し、物事を多視点的に捉えるように心掛けている。
私の作品の中には私の空想の物語がある。その物語を、長らく美術の主題であった「歴史」や「宗教」と結びつけ、現実の空間から切り離された舞台装置のようなものを作っている。
矛盾を含んだ現実と虚構を同時に捉えた世界を表現することに渇望を抱き、制作している。


 フランスの小説『日々の泡』の前書きから引用する。


その例証がここに展開する数ページで、お話は隅から隅まで想像でつくりあげたものだからこそ全部ほんとの物語になっているところが強みだ。物語のいわゆる現実化とは、傾斜して熱っぽい気分で、ムラ多くねじれの見える平面上に現実を投影することだ。

(ボリス・ヴィアン著 曾根元吉訳『日々の泡』新潮文庫)

洪 亜沙

Q&A

-本公募に応募した理由について

 3フロア使用できることに魅かれたからです。


-今回の展覧会について簡単に説明ください

 アルベルティの窓の隠喩を誤読した世界と男女の痴話喧嘩を、絵画・立体・テキストを用いて物語ります。テーマパークやミュージアムといった俗世間的な空間から、フロアを上がることで、礼拝堂のような神聖な空間へ到達できるという演出をしています。


-今回の展覧会(作品)について、目論見・挑戦・希望など自身にとってのポイントを教えてください

 「西洋美術史」のパラレルワールドをつくるという挑戦をしました。また、それをキッチュなロマコメとして表す目論見があります。テーマパーク感をうまく出せたらいいなと思ってます。


-現在のメディア(素材や技法、表現方法など)はどのような理由で選択したものか

 手軽で使いやすいこと、適切であること。


-現在までの作品に通底する問題意識や興味など

 「本当のこと」や「本物」はあるのだろうか、という疑問。


-今後の活動の中で目指したい、取り組みたいポイントなど

 もっと生(なま)の表現ができたらいいなと思う。

 

-作品をつくることはどういうことか

 私個人にとっては、自身に課す義務であり、理由や意味はなく、ただつくるということです。一般的には、人間の欲望の1つだと思います。


-作品を見せることはどういうことか

 作品の存在を確認すること。また、存在させること。

 

About

 本展は広く展覧会企画を公募し、厳正な審査により選出されたプランを展覧会として実施する、コンペティション「Gallery PARC Art Competition 2019」の採択プランによる展覧会です。2014年から毎年開催により6回目を迎える本年は、応募総数64プランから、平田剛志(美術批評)、勝冶真美(京都芸術センタープログラムディレクター)の2名の審査員を交えた厳正な審査により、採択された3つの展覧会を前期・後期に渡って開催いたします。

 

 3フロアに渡る展示室を持つPARCの空間を活かした展開として、本年は前期となる7月5日から7月21日までの[#01]では、2階展示室で加藤舞衣による個展「部屋と外」を、4階展示室で坂口佳奈・二木詩織による展覧会「キャンプができたらいいな。」を同時開催することで、2つの個展を構成します。また、後期となる7月26日から8月11日までの[#02]では、パルクの全フロアを会場に、洪亜沙による個展「アンバー・ランド」を開催いたします。

 

 

展覧会について:洪亜沙

【 展覧会コンセプトやテーマ 】

 私たちは常に何かの社会や時代に繋がれているが、それらには必ず外部がある。その外部が見えた時、自分が立つ土地は急に脆くなる。同じことはこの世界そのものについてもいえる。世界の外部を少しでも想像しようとすると、この世界が存在しているのかわからなくなるときがある。
 この浮遊するような感覚は、テーマパークに来たときの感覚と似ている。来場者はしばしば、テーマパークの外側を知っていながら、内側の世界に没入してしまう。
 今回の展覧会では、架空の歴史や宗教をつくりあげるが、それは別の現実をつくるということではない。テーマパークでの夢うつつなのである。

 

【 プラン採択、実施にあたってのコメント 】

プランが採択されとても嬉しく思っています。個展は初めてなので不安も多くありますが、なんとか切り抜けてその先が見えたらいいなと思います。PARCはホワイトキューブであるのにわざわざ「美術」の「台座」を設けようとしているので自分で少し笑いそうになるのですが、そういうところは楽しんでいきたいと思います。また鑑賞者にとって、単純に面白いこと、興味深いと思えるような仕上がりにできればと思っています。