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Exhibition info

air scape / location hunting 2017
ヤマガミユキヒロ

2017.10.10. ~ 11.5.

Exhibition View

4 images

Statement

時間とともに移ろい過ぎ去っていく目の前の風景を写真やビデオでスケッチしてみると、普段見落としていた景色と出会います。これは非現実的な一コマではなく、紛れもなく現実の風景です。カメラでサンプリングされた景色には、はじまりと終わりは無く、脚本やストーリーもありません。そこにあるのは、ある瞬間に訪れた風景の断片だけなのです。その断片を重ね、混ぜ合わせ、再び繋がった景色は、鑑賞時に記憶や想像の追記がされ、ひとつの風景画へと、完成していくのです。


ヤマガミ ユキヒロ

About

 2000年に京都精華大学美術学部を卒業したヤマガミユキヒロ(1976年・大阪府生まれ)は、「キャンバス・プロジェクション」という独自の手法による作品を展開しています。その作品は、綿密なリサーチにより選び出したロケーションから、建築や構造物を鉛筆で丹念に描画した風景画(絵画)に、同一視点から撮影した風景(映像)をプロジェクターにより投影するものです。幾度も取材を重ねて撮影した朝昼夜や春夏秋冬の光と色彩の変化、流れる雲や行き交う人々などの「時の流れ」が重ねられたとき、ある一瞬を描きとどめたモノクロの世界にうつろう時間が流れはじめます。

 

 2003年よりこの手法による作品展開に取り組んでいるヤマガミは、これまでに東京・大阪・兵庫・京都などをはじめ、作品制作・発表の機会ごとに訪れた各地で、対象となるロケーションを選び出し、おもに大作として作品化してきました。しかし、それぞれの作品化にあたっては、現地で様々な場所を巡り、ドローイングを制作し、また実際にカメラを回してその場所の時間経過によるうつろいの様を観察するという、膨大なロケーション・ハンティングの段階があります。

 

 本展では、「location hunting 2017」として、2012年に発表したヤマガミの代表作のひとつでもある《 東京駅の眺望 》をはじめとする一連の「キャンバス・プロジェクション」作品に加え、各地を取材する中で制作したドローイングを含むおよそ25点を一堂に展示いたします。ひとつのテーマに集約されることのない風景の断片が集積され、プロジェクションによってそれぞれにうつろう時間が重ねられることで、個別の風景・個別の物語が「時間」によって繋がる体験を創出します。また、これは近年のヤマガミの活動にともなうロードムービー的な側面を持ったスピンオフ作品の展示であり、2015年でのGallery PARCでの展覧会「Noises,Crowds,and Silent Airs」や、2016年でのあまらぶアートラボ A-Labでの展覧会「まちの中の時間」で試みた展示のブラッシュアップバージョンとなります。

 

 また、2階と4階を展示スペースとする新たなGallery PARCの構造を活かし、4階には「air scape」として《 六甲山からの眺望 》や《 Noises Crowdsand Silent Airs 》など、「空の表情」に着目した過去作品を構成します。それぞれの作品(風景)が見せるうつろいを眺めるうち、いつしかそれらが「空」で繋がり、より大きな風景を想うことができるのではないでしょうか。