1998年に成安造形大学洋画クラス研究生を修了した木内貴志(きうち・たかし/ 京都・1973~)は、1997年の初個展となる「木内貴志大回顧展」(1997・VOICEギャラリー/京都)以後、「キウチアニュアル2000・言葉と美術」(2000・夢創館/神戸)、「キウチトリエンナーレ2004・名前と美術」(2004・GALLERY wks./大阪)などの個展をはじめ、関西を中心に数多くのグループ展に参加。また、「After School 放課後の展覧会」(2009・元 立誠小学校/京都)などの自主企画展、2016年には20年に及ぶ作家活動の回顧展ともなる「木内妄想芸術大学作品展-独りホームカミング-」(2016・成安造形大学【キャンパスが美術館】/滋賀)を開催するなど、多彩な活動を続けています。
木内は「キウチズム」なる個人イズムの確立・追及を制作姿勢として、表現内容にあわせて絵画や立体、映像やパフォーマンスなど、手法や素材を限定することない多様な作品展開に取り組んでいます。その多くは、自身を取り巻く社会や美術の問題や矛盾、その滑稽さなどを、あくまでも個人の興味や疑問、執着や妄想を膨らませて指摘するもので、いわばそれは木内から社会へのシニカルな「ツッコミ」であるのですが、同時にその多くは「駄洒落」「庶民感覚」「ベタ」「自虐ネタ」といった要素を含むユニークな「ボケ」でもあり、鑑賞者の笑いやツッコミを誘うことで、そこに問題点への気づきを促します。
本展「琳派401年記念 リンパなキウチ展」は、「琳派400年記念」と銘打たれて多くの関連展覧会やイベントなどが開催されることとなった2015年の京都の動静から着想を得て計画されたものです。その実態は曖昧ながら、まるで多くの人たちの関心事として、当たり前のように関連展覧会が開催され、翌年には水を打ったように静まり返ったこのムーブメントに、「誰かが上手くやっている」感を嗅ぎ取った木内は、2016年にひとりで「琳派401年記念」を開催します。
会場にはかまぼこ板に風神雷神図を焼き付けた《風神雷神図蒲鉾板》や《銹絵染付金彩薄文蓋物(乾山)写し画》、《燕子花図ウコンの力》など、琳派を木内流に解釈した作品をはじめ、2015年に木内が参加した「京・焼・今・展 2015」で披露したかのうたかお氏との合作《色絵攻撃二十五文角皿》などを展示。
折しも「伊藤若冲生誕300年記念」で盛り上がる京都で、ひとり琳派な木内の個展をお楽しみください。