本展「high-light scene」は「ハイライト」をテーマに、3人のアーティストの作品を通じて光と風景について考察する展覧会です。
「ハイライトシーン」とは、映像や放送番組で最も重要な、または感動的な部分や場面を指す言葉として使われています。映画やドラマ、演劇やコンサートからスポーツまで、ハイライトシーンには一瞬間の見どころが凝縮されています。私たちはこれら「ハイライトシーン」を見ることで、本編をすべて見なくても映像の抜粋、部分、断片を通じて、物語や試合などの内容や結果を理解することができるのです。
「ハイライト」とは、もともとは光のあたった最も明るい部分を白や黄色の絵具などで浮き立たせる技法を意味する絵画用語です。そう、「ハイライトシーン」とは映像よりもすでに絵画や写真などのメディアにおいて表わされていたと言えるでしょう。そこで本展では、大洲大作、竹中美幸、中島麦の3人の作品に見られる「ハイライト」に着目します。
三人の作品は、絵具という物質によって造形化された「光」であり、写真やフィルムに刻印された「光」です。しかし、そこに現われる「光」は、表象・記録された「光」でありながら、断片的、部分的、抽象的な形象へと還元された光でもあり、絵具や紙、フィルムや印画紙の光沢など、メディウムがもつ「光」と溶け合ってもいます。どうやら「ハイライト」には、フォルムとアンフォルム、再現性と物質性という二面性があるようです。本展では、このようなハイライトが有する二面性を3人の作家の作品により「ハイライト」シーンを編集・構成する空間となるでしょう。
平田 剛志 プロフィール
Hirata Takeshi
1979 東京生まれ
2004 多摩美術大学美術学部芸術学科卒業
2014 立命館大学大学院先端総合学術研究科修了(専攻:近現代美術史、視覚文化論、吉田初三郎の鳥瞰図)
2006.4.~2009.3. 学校法人了徳寺大学 芸術学部美術学科 助手
2008.11.~2011.11. 株式会社テラカロン カロンズネット事業部編集長
2012.4.~ 独立行政法人国立美術館 京都国立近代美術館学芸課 研究補佐員
主な企画
2013
SlideShowStudies(SSS) vol.1 Next Slide...「中島麦:ドーロムービー」(つくるビル / 京都)
2014
SlideShowStudies(SSS) vol.2 Next Slide...「山口和也:光の対話」(trace / 京都)
SlideShowStudies(SSS) vol.3 Next Slide...「宮本博史:M家の場合」(つくるビル / 京都)
2015
「光路 今村遼佑・大洲大作・前谷康太郎」(サイギャラリー / 大阪)
SlideShowStudies(SSS) vol.4 Next Slide...「大洲大作:光路」(サイギャラリー / 大阪)
2013年にスライドショーを新たな作品発表の形式として模索・研究するためにスタディーイベント「SlideShowStudies(SSS)」を開始。これまでに中島麦、山口和也、宮本博史、大洲大作によるスライドショーイベントを行った。2015年には、スライドショーから派生する「光」について、写真、映像、インスタレーション作品を通じて考察する展覧会「光路」を開催した。