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Exhibition info

noh play

林 宗一郎
ヤマガミユキヒロ

Hayashi Yoichiro, Yamagami Yukihiro

2014.6.18. 〜 6.29.

Exhibition View

10 images

About

 【noh play】は、室町時代に誕生した「能」を現代の表現と位置づけ、新たなクリエイションへの素材として捉えることで、同時代(いま)の様々な表現と接触し、現状(ここ)を検証し、あらたな進化(ここから)の可能性を探るもので、観世流能楽師・林宗一郎が毎回様々なジャンルのクリエイターと対峙し、コラボレーションするシリーズとして企画しました。ギャラリーにおいて実際に公演をおこなうのではなく、様々なクリエイターと交わり、そこに成された「作品・展示」を通して新たな能の魅力や可能性を模索する本シリーズのタイトルは、能の英訳である『noh play』の意とともに、『no play(演じない)』の2つの意味が重なるものです。
 そのVol.1となる本展は、現代美術家・ヤマガミユキヒロとのコラボレーションによる作品を発表します。風景を細密に描き出したモノクロの鉛筆画に、同一視点から撮影した映像をプロジェクター投影し、画面上に色鮮やかな自然の姿や光のうつろいを写し取るヤマガミの「キャンバス・プロジェクション」作品の中で、林宗一郎が静かに、幻想的に舞う時、そこに新たな「能のある時間・空間」が現出します。
 創建およそ1300年前とされる京都・貴船神社。ヤマガミは今回のコラボレーションを思考するにあたり、数々のロケハンを重ねた結果、その奥宮にある拝殿をモチーフに選びました。これには「神事などでの舞い以外、普段あまり目にする機会の少ない拝殿だらこそ、絵画の上だけでも能が奉じられ、神の使いが降臨したかのような光景を見てみたい」ことに加え、拝殿が自然豊かな屋外にあったことが大きな理由となりました。「その場にある光のうつろい」を描き出すヤマガミにとって、舞台が屋内ではなく屋外にあるロケーションは魅力的であり、作品には一日の時間の変化とともに、雪の残る冬から初夏にかけてのうつろいが描かれました。また、林宗一郎は暗幕を背景に、通常より一回り小さな拝殿の舞台空間を意識しながら、「高砂・野守・松風」をあたかも実際に貴船神社で能を奉じるかのように舞い、その美しさを表現しています。
 林の静から動への優雅な所作やその舞いの美しさは、ヤマガミの独自の視点や手法との相乗効果により、元来「神に奉じる舞い」であった能を彷彿とさせるかのように画面上に独特の時間を持った幻想的な情景を描き出します。そしてまた、画面上には本殿に手を合わせる人やカメラを向ける参拝客の姿など、日常の貴船神社の光景も映し出され、そこに幻想と日常の時間が交錯します。
 ヤマガミの視点で捉え、描き出された能は、その所作に見る「静と動」といった時間だけではなく、「神に近い場所」と「人に近い場所」という異なる「能の在り様(=時空)」が画面上で交錯し、そこに潜む幻想的な美しさや妖しさといった、能そのものの魅力が際立たせられているといえます。
 本展は貴船神社に取材したそのキャンバス・プロジェクション作品とともに、3点のドローイング作品や映像により構成されています。それらはまた、同一の時間(タイムライン)を持ちながら、一つの空間を構成し、ここに「能」による一つの時空をつくり出します。

 

観世流能楽師:林宗一郎

1979年生まれ。十三代続く京都の伝統的な家に生まれた能楽師。父である十三世 林喜右衛門および二十六世観世宗家 観世清河寿に師事。各地で公演活動をおこなうとともに、多くの人々に能の素晴らしさを伝えるべく入門レッスンや講演などに取り組むなど、能の様々な側面を解き明かす試みを精力的に続けている。林家一門による年間6回の林定期能の運営のほか、京都・観世流の定期公演や企画公演等への出演、美術館での企画公演などにより、能楽の可能性を模索するとともに、2013年より『宗一郎の会』を主催、能楽を京都から世界へ発信するべく活動を展開している。

林宗一郎ウェブサイト>http://hayashi-soichiro.jp

 

 

【主 催】ギャラリー・パルク

【協 賛】株式会社グランマーブル

【協 力】京都芸術センター

Event

アーティストトーク:林宗一郎 × ヤマガミユキヒロ

6月19日[木]18:00 ─ 19:00(予約不要・料金無料)
林×ヤマガミが、能と現代美術それぞれの視点から見た互いの表現の魅力や特徴、コラボレーションの可能性など、作品制作にまつわるエピソードを交えてトークします。

 

トークセッション:林宗一郎 × 木ノ下裕一(「木ノ下歌舞伎」主宰)

6月22日[日]18:00 ─ 20:30(予約不要・料金無料)
歴史的な文脈を踏まえた上で、歌舞伎演目を現代演劇として新演出し、古典演劇の現代性を探求している「木ノ下歌舞伎」主宰:木ノ下裕一氏をお招きし、能を歴史や伝統を踏まえて分かりやすく読み解きながら、これからの可能性をトークセッションにより模索します。
木ノ下歌舞伎ウェブサイト>http://kinoshita-kabuki.org