Top

Previous page

Exhibition info

『今あなたが「わたし」と指差した方向の行く先を探すことIII』
企画:倉田 翠

Kurata Midori

2014.2.27. 〜 3.2.

Top image

Statement

私は、他者との関係の中でしか「私」というものを認識できないと思っています。というか、色々考えた末に、そう決めました。
一人で居るなら、私は私として存在する必要がありません。その時、他者といる私が、その相手から認識されている私なのであって、本当の自分とは何か、みたいなことは私が決めるべきことではないのです。だから、私が私としてここに居るためには、私を私に仕立ててくれる他者が必要なのです。
その関係というものが、日常的に、ごく普通に行われているというのは、ちょっと凄いことです。私は舞台作品と関わることが多いですが、例えばその舞台というもので、その即興性やスリリングさを作り出すのは、なかなかできないな、と思うのです。
日常に入り込んでいるその劇的な関係性を作品とすることはできないか。それで、この企画は始まっています。正直に言うと、色んなことが混ざっていて、短い文章では全然上手く伝えられないように思います。しかも文字にすると、簡単なことが、変に小難しい。だからやる、ということかもしれないのです。
では、何を見ればいいの? ということです。
当たり前のように通過している日常の中での関係というものに目を向ける。
人はその中でどのように「自分」というものを定義付けているのか、また、関係における虚構と現実の区分のなされ方。今しゃべっている言葉の選択が本当に伝えたいことにあっているのか。それをどのようにジャッジしていけばよいのか。
今回の出演者がこのことに共感しているとか、理解している、ということはまったくありません。相手が何を考えてるかなんて絶対わからない、という「普通」の状態と同じです。

私がこうゆうことを伝え、彼らに参加して欲しいのだとお願いし、四日間拘束させてもらう、そのあと、この作品との関わり方は各自に任せています。その「どうしようかな」という感じは、おそらく、お客様と対等であると思うのです。

企画 倉田 翠

 

企画内では、倉田は展示物に展示のルールを与え、舞台の時間を演出します。そして、それらに参加し出演する8人とともに、展示と舞台のシステムを4日間こなしていきます。ご来場いただいたみなさまには、会場に居続ける8人と、関わっていただければと思います。Tシャツについては、小梶真吾に参加をお願いし、この出来事を留めるための形をデザインしていただきました。本企画は、1日終了ごと、tumblr(http://watashi-saki.tumblr.com/*現在は休止)に、展示や舞台について、紹介していきます。

 

企画運営 宇崎晴香

About

 本企画は、2010年に京都造形芸術大学 映像・舞台芸術学科を卒業し、その後も京都を中心にダンサー・演出家として活動をおこなう倉田翠(くらた・みど り)による展示・公演企画です。2010年、2011年と過去2度に渡って開催されてきた企画の第三弾となる今回は、2010年から本企画に参加してきた島崇(しま・たかし)、仲谷萌(なかたに・もえ)、映像スタッフとして参加してきた山田晃嗣(やまだ・こうし)をはじめ、新たに、劇団「夕暮れ社弱男ユニット」の御厨亮(みくりや・りょう)、ダンスカンパニー「KIKIKIKIKIKI」メンバーの野渕杏子(のぶち・きょうこ)、フリーのダンサーとして活動をおこなう佐藤健大郎(さとう・けんたろう)、バンド「NEW MANUKE」のメンバーの1人であり、舞台音響の方面で活動をおこなう荒木優光(あらき・まさみつ)を迎えた合計8名が「身体」を展示する「展示」と、倉田の演出による「舞台」公演をおこないます。加えて服飾作家として活動をおこなう小梶真吾(こかじ・しんご)は、メンバーにTシャツデザインを提案、会期中に発表します。

 倉田は「見るもの=観客」と「見られるもの=パフォーマー」といった関係を明確として、舞台上でおこなわれる事柄すべてを「虚構」に近いとされる現在の「舞台」の在り方に対し、「どんなに劇的な時間をつくり出せたとしても現実という本物には勝つことができない。実際に人と人が関係する場合に生じるあの対等な緊張感を見せることはできないのか」といった問いをメンバーに投げかけます。

 「展示」では、メンバーがギャラリー空間に滞在し、自宅の家具を持ち込んでくつろぐ、豆を煮る、居合わせた観客と会話をする、時に踊りだすなど、予測不可能な「身体」を示し、そこに鑑賞者を含む「他者」が関わる状況を生みだすことで、観客とパフォーマーの境界を綯い交ぜとします。また「舞台」では、観客とパフォーマーの関係を保ちつつ、「他者」と「わたし」を巡る問いに「舞台作品」として挑みます。
「展示」と「舞台」という構造が綯い交ぜに、あるいは入れ子となってギャラリー空間に交錯する時間をお楽しみください。

 

【協 力】ギャラリー・パルク、京都造形芸術大学

Performance

舞台公演「8人の人が同じ空間にいるという、それだけのこと」

 

演出:倉田 翠

出演:山田晃嗣、倉田 翠、仲谷 萌、荒木優光、御厨 亮、佐藤健大郎、野渕杏子、島 崇

料金:前売り/1800円 当日/2000円

 

日時:
2月28日(金) 18:00〜19:20
3月 1日(土) 13:00〜14:20 / 18:00〜19:20
3月 2日(日) 13:00〜14:20

*上記の4つの日時のみ「舞台公演」として有料。公演時間中は展示をご覧いただくことはできません。それ以外の時間は無料にて「展示」をお楽しみいただけます。