「FLASH MATTER フラッシュマター
光や影を触れることができる立体物として目の前に引きずり出すこと、それが私と玉山に共通する試みである。光や影は、「空想」の中にある具象的なイメージ(例えば夢)として現れるかもしれないし、日常の中にある抽象的な「空間」(例えば穴)として現れるかもかもしれない。「空(スペース)」があるところには光か影がある。光か影があるところにはスペースがある。
私も玉山も空間に興味を持ち、インスタレーション形式の作品を得意としている。この展覧会の最初のアイデアは、一つの展示室に二つのインスタレーションを入れ子状に配置することであった。私が作る、人気のない荒涼としたインスタレーションを外側に、玉山の「部屋」のような構造を持つイメージ豊かなインスタ レーションをその内側に、といった具合である。外の空間を指向する作品と、内の空間を指向する作品ならば、一つの展示空間に共存できるのではないか…。ここで考えていたことは二次元平面上での「住み分け」のアイデアであった。
しかし私たちの描くドローイングを見てみれば、私たちが考える「空間」は、私たちを取り囲むものだけではないことに気付く。大きさも素材も決定されないまま、アイソメトリック図やコラージュによって描かれるそれは、脳内からプロジェクションされるようにして描かれた、触れることができる空間=「四次元立体」の設計図である。四次元立体の影(切断面)は三次元の立体とされる。三次元の立体であっても、それが「影」ならば、ぶつからずに重なることができる。そうしたときに、初めの「住み分け」のアイデアは、実は「影の重ね合わせ」であったことに気付く。
私は4次元は自分の外側にあると考える。玉山はどう考えるだろうか。スクリーンの上に光や影が自由に現れ重なるように、ギャラリーパルクは作品の無数の観測位置を持つだろう。それがどの方向から、どれぐらいの速さや大きさで、どのような色であるかはまだ不明である。
松延総司