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Exhibition info

Gallery PARC Art Competition 2018 #01

ママ、きいてちょうだい
森岡 真央

2018.7.6. ~ 7.22.

Exhibition View

8 images

Statement

近年制作を続けている《Component of..》シリーズは、ドローイングで描いた線と、線を始点にそこから着想される面によって制作しています。 「線から面・面から線」への変換を繰り返しながら、いつしか線とも面とも言える(言えない)“イメージ”が出来上がり、そこから必要なラインを転写します。
また、イメージはそのままに、転写後も線と面の往き来は続き、いつしか面は絵の具の厚みによる“マッス”に変換していきます。 私は行為の繰り返しと事象の転換に注目しながら、日本画を制作しています。


森岡 真央

Q&A

-本公募に応募した理由について

 単純に展示する場が欲しかったことと、PARCが移転して今のスペースになったことが大きいです。個人的に以前よりも展示空間が想像しやすかったです。


-今回の展覧会について

 これまでの私の制作は個々の作品はバランスや相性では関連付けられても、イメージの羅列で終わっていたと思います。なので作品タイトルもナンバリングするのみでした。しかし、今回ははじめて展覧会として作品を制作しました。私自身も見えてこなかった作品同士の物語が少し現れてきたんじゃないかなと思います。


-今回の展覧会(作品)について、目論見・挑戦・希望など

 「新しいことをしている」という自覚をもって制作したことです。シリーズ作品なのでベースはあります。それは制作する上で安定に繋がりますが、そんなのつまらないですし、また「こいつ変わった」と思わせたいです。その方が私自身が楽しいので。私はやっぱり子どもなんです。だから「楽しい」はかなり大きな原動力です。


-現在の素材・技法はどのような理由で選択しましたか

 オープンキャンパスで初めて岩絵具を見ました。絵の具になる前の原材料の状態も。これまで絵の具はチューブに入った状態のものという認識が変わりました。「なぜ日本画なんですか?」とか「なぜ岩絵具を使うんですか?」という質問に、色々それっぽい理由はつけれますがやっぱり単純に面白いし綺麗だと思うからです。


-これまでの作品に通底する問題意識や興味は

 絵を描くこと全般に対して興味はあります。でもその中で「もの」を見て描くことが制作のキーワードでもある「同一性と差異」に繋がっています。私は「もの」を見てしか絵が描けないですが、それは日本画を学ぶ中で取り組んできた写生の影響が強いと思います。その中で想像で絵を描くことに対してリアリティや実感が持てなくなりました。けれど、それは悪いことではないと思っています。むしろ現在の制作につながる手がかりとして、私にとって良い方向に繋がったと思います。また私は対象の再現率(再現性)を問うてはいません。「見て描いてもずれる」ことこそが絵の醍醐味かなと思います。


-作品をつくることはどういうことか

 時間が形になることだと思います。

 

-作品を見せることはどういうことか

 空間をコーディネートすることです。


- 魅かれるものは何か

 ミーハーなので何でも惹かれるんですけど、私の勝手な解釈になりますが誠実なものに惹かれます。

 

-見たいものは何か

 もっと広くて遠いところに行きたいです。どこかはわからないですけど。

 

-現在の自身の問題点などあれば教えてください。

 たくさんあります。私は知らないことが多いです。美術においても普通の生活においても。私の中にあるものを増やしたいです。

 

-何が美しいか

 誠実なもの

 

-何が醜いか

 無責任なもの

 

-何がかっこいいか

 わくわくできるもの

 

-何がかっこわるいか

 なよってした感じです

 

-何を望んでいるか

 作品が残ること

 

-何を求めているか

 求められること

 

-何を恐れているか

 感覚が鈍くなること

 

-これから何をしたいか

 もっとたくさん制作したいです。

About

本展は様々なクリエイション活動へのサポートの一環として、広く展覧会企画を公募し、厳正な審査により選出されたプランを展覧会として実施するコンペティション「Gallery PARC Art Competition」の採択プランによる展覧会です。
2014年から毎年開催し、本年で5回目となる「Gallery PARC Art Competition 2018」は、応募された66プランから平田剛志(美術批評)、勝冶真美(京都芸術センタープログラムディレクター)の2名の審査員を交えた厳正な審査を経て採択された、森岡真央「ママ、きいてちょうだい」、平野泰子「呼びかけられる」の展覧会を連続プログラムにより開催いたします。

 

 

展覧会について|森岡真央

本展覧会のタイトル『MAMA! KIITE CHOUDAI.』は、『きらきら星変奏曲』の副題『Ah, vous dirai-je maman』から引用したものです。この楽曲は主題のメロディの変奏を繰り返すことによって構成されています。その様は私の現在の制作(『Component of..』シリーズにおける展開)に近いものを感じました。おそらく私の主題は絵を描くことにあたり、今もその渦中にいます。

また、この「ママ、きいてちょうだい」のフレーズは、私がまだ子供であることを示唆した部分でもあります。初めて絵を描いた日のことは覚えてはいませんが、あの頃に感じた描くことの楽しさや喜びがずっと続いていて、私はまだその頃のままだということを指しています。

 

現在、画材や東洋美術の魅力に惹かれ、日本画を描くようになりました。日本画の画材は天然の岩や宝石、貝殻などを元に作られています。塗り重ねることによって現れてくる物質感は、元の素材に戻っていくような、近づいていくような感覚があります。また、接着剤に使われるのは動物の皮膚や骨、腱から抽出されたコラーゲンです。昔から変わらない素材や技法は、現代にある描画材に比べると煩わしいことが多いです。しかし、結果としてその煩わしさは制作行為の一部であり、表現に繋がっているように感じています。 本展覧会では近年制作を続けている『Component of..』シリーズの新旧作品を展示します。2Fには本シリーズの初期の作品を、4Fには新作にあたる作品を展示することで、作品と取り組みへの理解を促せればと考えています。