「 twisted parallel code 」、直訳すると『ねじれた平行な コード』という撞着語法によるタイトルの本展は、ネオンによる光で場を変容・律することで『、見る』を通して鑑賞者に「空間:時間:身体」への自覚を促す作品を制作する美術家・国谷隆志(くにたに・たかし)と、作曲・演奏による旋律で、『聴く』を支配し、「空間:時間:身体」の概念を奪い去る若手作曲家・中野公揮(なかの・こうき)のライブ・パフォーマンスをギャラリー・パルクの空間で重ねるものです。
本展はふたつの異なる表現活動がひとつの目的を目指したコラボレーション・ワークによるものではなく、「光と音」の平行な2つの線(表現)がひとつの空間を共有しながら走り出した時、それらが時に鑑賞者の上に時に重なるとともに、そこに新たな何かを創りだす可能性を検証するものです。国谷と中野は空間をそれぞれ「光」と「音」で律し、互いに、互いを、空間を、時間を、鑑賞者を、それぞれの表現で支配しようと試みます。
自ら吹いた歪なガラスによるネオン管を用い、その構成により空間を支配する国谷の代表作《Spaceless Spaces》。ガラス管に封入されたガスの中の放電現象により自ら光を放つネオン管は、外光の変化によってうつろいながらも、確かに空間を光で支配します。しかし夕刻になるにつれ、ガラスに映り込んだネオンは、次第に奥行きや位置を不覚とさせ、そこに「空間」を規定しない、はるかな奥行きを持ち始めます。
外光のうつろいにより空間への支配率を変化させ、るこの《Spaceless Spaces》に満たされた空間で、10月24日・25日には中野公揮(ピアノ)とレネ ヴァン ムンステル(チェロ)による『チェロ・ピアノ デュオ』を、10月31日・11月1日には中野公揮による『ピアノソロ』によるライブ・パフォーマンスをおこないます。また中野公揮は上記ライブ以外の会期中にも会場に滞在し、時にピアノを弾き、作曲するなどをワークインプログレスとして進め、音によって空間を常に変化させ続けるアクションを仕掛けます。
それらはまったく異なる取り組み(ノイズ)として併存し、鑑賞者の身体(五感)を支配しようと変動し続けるかのようです。しかし、光の満ち引き、音と旋律の波は時に重なり、会場に立つ鑑賞者の内にひとつのハーモニーをつくりあげる可能性をも有しています。
鑑賞者の皆様には会期中、光による国谷の作品と、音による中野の演奏のそれぞれをお楽しみいただく機会とともに、「空間:時間:身体」を舞台に異なる表現の間にある緊張感や支配関係を体験し、あるいはその両者が奇しくも合流した瞬間を体験いただけるものとなるのではないでしょうか。
国谷 隆志【作品展示】
2014年10月24日(金)- 11月09日(日) 11:00~19:00
月曜日休廊 / 金曜日20:00まで / 最終日18:00まで
中野 公揮【ライブ】
■チェロ・ピアノデュオ
中野 公揮(P.)+ レネヴァン ムンステル(Vc.)
10月24日(金) 19:00 ~ 20:00 / 10月25日(土) 19:00 ~ 20:00
■ピアノソロ
中野 公揮(P.)
10月31日(金) 19:00 ~ 20:00 / 11月01日(土) 19:00 ~ 20:00
ずれも予約不要・入場無料