ギャラリー・パルクでは、2014年の最初の展覧会として1月18日[土]から2月7日[金]まで、大和美緒による個展「 aspect of LUMINOUS RED:ルミナスレッドの容貌 」展を開催いたします。
大和美緒(やまと・みお/ 滋賀・1990~)は、2013年に京都造形芸術大学を卒業し、現在は同大学大学院・芸術表現専攻に在籍する若手アーティストです。2012年より大和は作品として「コトバ(文字)とピクト(図像)」による作品展開に取り組んでいます。
大和は例えば『るんるん』というコトバをひたすらに書き連ねることで、いつしかそこにあるピクトを描き現わします。書かれるコトバはどこかポジティヴなベクトルを持ったものである以外には特に決まりは無く、描かれるピクトは、家のふすまのウラの柄、アルバムのジャケ写、ファッション誌のグラビアの一部、おもちゃにプリントされていたドクロの柄など、どれも日常で目にすることのあるものであり、「見たいカタチ=まったくのオリジナルではなく、見たことあるカタチのすぐソバにあるイメージ」とする大和の感覚に引っかかっているものです。
また、大和が『書く:描く』ものには客観的に密接な関わりがあるわけではありませんが、「音楽に例えるなら、サウンドはキレキレで超絶カッコいいのに、それに反比例して詩の意味が恐ろしくダサかったりする。そのバランス感覚が、最高にカッコいいと思う」というコメントから、その両者を綯い交ぜとするひとつの基準として、異なる属性の要素に在るバランスが意識されているように思えます。
これまでパネルや建築空間に鉛筆でコトバを直接描いてきた大和の作品は、本展において1月初旬より2週間以上の会場制作を経て、ガラス張りによるパルクの空間特性を活かしたカタチで会場にインストールされます。大きな窓面のそれぞれには、ルミナスレッドによるコトバとピクトの一見すると混沌とした容貌が浮かび上がります。それらは「大和美緒という美意識」に従って危うくも緻密に安定させられ、また空間全体においてもそれぞれのバランス(書かれるコトバ、描かれるピクト、その順序など)は常に意識されながら制作されています。また、これまでの「書く:描く」という平面的な行為に加え、本展では「彫る・削ぐ」といった彫刻的な行為が混入し、絵画と彫刻の狭間としてのインスタレーションとしてミクロとマクロに様々な容貌を見て取ることができます。
ここでコトバはピクト、ピクトは空間に展開して一つとなって、鑑賞者の前に「秩序ある混沌」あるいは「ルミナスレッドの容貌」として存在します。鑑賞者はピクトを見て、コトバを読む中でやがて空間に内包されるうち、『書く:描く、読む:見る』といった行為の差異を越えた鑑賞体験をすることになるのではないでしょうか。
言葉の作品で求める構成のバランスは、音楽で例えると、”電気グルーヴ”とか”ゆらゆら帝国”、あと、少し好みはズレるけれど、”きゃりーぱみゅぱみゅ”の曲も構成も、求めている所に近い。サウンドはエッジがキレキレで超絶カッコいいのに、それに反比例して詩の意味が恐ろしくダサかったりするそのバランス感覚が、最高にカッコいいと思う。
大和美緒
作家略歴
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周縁都市の輪郭 / void of edge cityマネキン、蛍光灯、鉛筆 サイズ可変「art award tokyo marunouchi 2013」 @行幸地下ギャラリー、東京、2013年 ©YAMATO MIO |