Exhibition
タイトル画像
 ギャラリー・パルクでは、2014年11月14日[金]から11月30日[日]まで、「high & dry:田中和人 展 」を開催いたします。
 田中和人(1973年・埼玉県生まれ)は、1996年に明治大学商学部卒業後、会社勤務を経て渡米。2004年にSchool of Visual Arts(N.Y.)を卒業後、京都に拠点を移し、写真作品を中心に制作・発表を続けています。2007年に『mio 写真奨励賞』入選、2011年には『TOKYO FRONTLINE PHOTO AWARD 2011』を受賞するなど、写真領域での活動と評価に加え、近年では展覧会企画などにも積極的に取り組むなど、より横断的な制作・展開に取り組んでいます。
 田中はおもに「具象と抽象」あるいは「写真と絵画」の「境界」をテーマとして、これまでの作品はその一貫した興味を明確に示しているといえます。
 色鮮やかな玩具のブロックをボカシて撮影した《blocks》(2008~)のシリーズは、そこに平面的な色面構成の妙とともに、都市空間のようなイメージをも描き出しています。金箔を通して(フィルタとして)風景を撮影することで、そこに青白い光に満ちた世界を描き出した《GOLD SEES BLUE》(2009~)は、写真をドキュメンタリーから解放し、イメージを具象と抽象の狭間にとどめる事で、そこに現実と紐づいた絵画的・抽象的な世界の姿を表出させています。
 《Untitled Composition》(2011~)ではそれまでのフォーカスやフィルタといったアナログ的なアプローチに加え、モザイクや拡大といったデジタルによるアプローチにより、対象を分解・再構成するプロセスを試み、《after still》(2011~)においてはカメラの代わりにスキャナーを用いて、光と色をまるで絵画を描くかのように扱っています。またここに内在している「抽象化・デジタル・分解と再構築・絵画と写真の領域」といった諸要素は、既存の絵画作品の画像をインクジェットによって特殊紙にプリントし、そのインクが乾かないうちに絵筆で直接画面に介入し、そこに絵画と写真、具象と抽象の狭間に起こるモーメントを写真として定着させた《Ghost of Modern Art》(2012~)へと展開しており、田中にとってこれまでの作品に見られる個々の興味と探求は、都度の気付きを次の新たな着眼点としながら、同時期や以後の作品に引き続き指向され、補完的・発展的に展開しているものといえます。
 関西では久しぶりの個展となる本展は、その展覧会タイトルを「high & dry」(=〈船が〉岸に乗り上げて、〈人が〉取り残されて)として、田中の新作《high & dry》を中心に、これまでの13~15にわたるシリーズから100点以上の作品によって構成するものです。
 そのテーマへの探求と可能性を見る本展では、「絵画」と「写真」あるいは「新作」と「過去作」といった「相対」の構造は消失し、すべてはより複雑に、よりシンプルな「総体」となって空間に展開されることとなります。
 ミクロ的には新作《high & dry》において新たに・再び試行されている「具象と抽象」「 写真と絵画」をめぐる探求の差異と進化について。マクロ的には一貫したテーマへの取り組みであるこれまでの作品群において、それらを「同一性の中の揺らぎ」として俯瞰し、その共振により現われた波紋をこそ、田中和人の現時点での「抽象」として示すものです。

ステートメント

「high & dry」
この展覧会では、最新作「high & dry」シリーズが、これまで制作されてきたいくつもの作品シリーズ(未発表作品含む)と混在した形で展示される。これまでの自身の作品を、再構成し、相関の中から、新作への意志を表出させる試みだ。
僕は「抽象」というものに強く魅かれている。とりわけ、新造形主義、抽象表現主義、ミニマリズム。「絵画」のダイナミックな抽象の歴史。「絵画」への限りない憧憬が僕にはある。しかし、新しい「抽象」とはなんなのだろう。
新作「high & dry」は、自ら「wet inkjet painting」と名付けた技法(写真をインクジェットプリンターで乾かない状態で出力し、その表面を手や筆を使ってフィジカルに抽象化する方法)をもとに「絵画」的な「写真」、あるいは「写真」的な「絵画」(もしくは、その両方)を制作、さらにそれを様々な光の環境下で再撮影した作品だ。ここでは、「絵画」と「写真」が等価に、そして、お互いがお互いを照射するものとして存在する。その関係軸は時に「補完しあう関係」であり、時に「欠落させあう関係」であり、それらは、相反するものとしてではなく、揺らぎながら重なり合うものとして提示される。「絵画」と「写真」の差異ではなく、同一性として。僕はその「同一性の揺らぎ」の中に新しい「抽象」を見いだそう。
この「high & dry」を含め10シリーズを超える作品が、ひとつのギャラリー空間に構成される。
ここで、もうひとつの問いが立ち上がる。
「作品」とは、あるいは「新作」とはなんなのだろう。
すべてのシリーズは、互いに影響しあい、シリーズ別でも、年代順でもない、新しい繋がりを示すことだろう。新作が、この相関の中で、過去と現在を自由に行き来するのもいいのではないだろうか?その状況へ開かれていること。
部分としての作品と、全体としての作品が、固定されず、空間を創出すること。予想出来ないアクシデントの予感の中で。
「絵画」と「写真」、あるいは「新作」と「過去作」が対峙するものとしてではなく、その区分けが透明化された状態から浮かびあがってくるもの。
僕が今、求めて止まない現時点の「抽象」がここにある。


田中 和人 

作家略歴

田中 和人|Kazuhito Tanaka

 

1973年 埼玉県生まれ
1996年 明治大学商学部卒業
会社勤務を経て2000年渡米
2004年 School of VISUAL ARTS( ニューヨーク)卒業
2005年 帰国
現在、京都を拠点に活動中

個展

2013年 「 (ZOO) 」Maki FIne Arts( 東京)
「blocks」SUNDAY(東京)
2012年 「Untitled Composition」Maki Fine Arts( 東京)
2010年 「GOLD SEES BLUE」Gallery Antenna( 京都)
京都国際舞台芸術祭 「KYOTO EXPERIMENT」企画展
「GOLD SEES BLUE _ KYOTO」Gallery PARC( 京都)
2009年 「青い絵を見る黄金の僕」Port gallery T( 大阪)
2008年 「link」Port gallery T( 大阪)

グループ展・アートフェア

2014年 「Summer Show」Maki Fine Arts( 東京)
「NEW INTIMACIES / ニュー・インティマシー 親密すぎる展覧会」
Hotel Anteroom( 京都)
2013年 「のせでんアートライン 2013」(兵庫)
「light and blindness」Maki Fine Arts(東京)
「TSCA Rough Consensus」Hotel Anteroom(京都)
「レッド、ブルー、グリーン」Maki Fine Arts(東京)
2012年 「アブストラと12人の芸術家」大同倉庫(京都)
2011年 「PROMISED LAND」Maki Fine Arts( 東京)
「KYOTO APERTO」open studio( 京都)
「multiple」PRINZ( 京都)
「THE PHOTO / BOOKS HUB, TOKYO」表参道ヒルズ スペースオー(東京)
2010年 「Sunworld Dynasty Hote」( 台北)
「Photo Taipei 2010」(Maki Fine Arts booth)
「西宮船坂ビエンナーレ」(兵庫) 
「Cabinet library」(二人展)Port Gallery T( 大阪)
2009年 「京都現世美術館」建仁寺(京都)
2008年 「DOOR 2008」Port Gallery T( 大阪)
「Cabinet library」Port Gallery T( 大阪)
2007年 「DOOR 2007」Port gallery T( 大阪)
「mio 写真奨励賞2007」 ミオホール(大阪)
2006年 「トーキョーワンダーウォール2006」 東京都現代美術館
2004年 「AAF Contemporary Art Fair」 ピア92( ニューヨーク)
「MENTORS」 VISUAL ARTS gallery( ニューヨーク)

展覧会企画

2014年 「NEW INTIMACIES / ニュー・インティマシー 親密すぎる展覧会」
Hotel Anteroom( 京都)
2013年 「レッド、ブルー、グリーン」Maki Fine Arts(東京)
2012年 「アブストラと12人の芸術家」大同倉庫(京都)

賞歴

2011年 TOKYO FRONTLINE PHOTO AWARD 2011 受賞
2007年 mio 写真奨励賞 入選
2006年 トーキョーワンダーウォール 入選

パブリックコレクション

amana photo collection
 
作品画像

《blocks》
2008~
courtesy of Maki Fine Arts

作品画像

《GOLD SEES BLUE》
2009~
courtesy of Maki Fine Arts

作品画像

《Untitled Composition》
2011~
courtesy of Maki Fine Arts

作品画像

《Ghost of Modern Art》 2012~
courtesy of Maki Fine Arts

作品画像

《after still》
2011~
courtesy of Maki Fine Arts

作品画像

《(ZOO)》
2013~
courtesy of Maki Fine Arts

   

 

空白