2015年6月16日〜6月28日

 

石場 文子・多田 圭佑・横山 奈美:

 

Lagrangian point -パースペクティブカスタマイズ-

 ギャラリー・パルクでは、6月16日[火]から6月28日[日]まで、グループ展「 Lagrangian point -パースペクティブカスタマイズ-」を開催いたします。
 本展はギャラリー・パルク会場提供による協力展として、愛知県立芸術大学油画専攻の在学および卒業生による展覧会として、同大学准教授である美術作家・大﨑のぶゆきのオーガナイズによるもので、昨年に続き2回目の開催となります。
 「ラグランジュポイント=天体力学における円制限三体問題の5つの平衡解。いくつかの力(ベクトル)が釣りあった(打ち消しあった)場所」とする本展は、「いまだ未分化とも呼べる《現在進行形》の若い作家達の視点に注目する」ことを趣旨として、彼らが日本の中間地点「愛知」という場所で思考し、表現しつつあるものを紹介することでその「視点」を考察する試みに主眼を置くものです。
 2回目となる本展では、その副題を「パースペクティブカスタマイズ」として絵画や版画を制作する3人の作家を紹介いたします。
 2014年に京都嵯峨芸術大学造形学科版画分野を卒業後、2015年より愛知県立芸術大学美術研究科博士課程 油画・版画領域に在籍する石場 文子は、日常の中で錯視的に見る「面」に注目し、シルクスクリーンや写真を用いて恣意的にこの視覚に介入するかのような作品を制作しています。2010年に愛知県立芸術大学を卒業、2012年に同大学博士課程 油画・版画領域を修了した多田圭佑は、たとえば壁面に残るテープやステッカーの痕跡を「絵画」として再構築し、これらの存在について思考する絵画を制作しています。同じく2012年に同大学博士課程 油画・版画領域を修了した横山奈美は、生活の中にある「少し悲しいものたち」の姿を大正~昭和初期の「日本の洋画」を想起する重厚な画面として描き出しています。
 彼らの視点とは絵画や版画といったメディウムを基盤に「歴史」「空間」「眼差し」を日々の視点で再構築し、見慣れた風景を新たな風景にカスタマイズして、描くための消失点を見いだそうとする試みでありその未完成さを置いても個々の表現や取り組みには、現在のアートシーンにおける「東京」や「京都」「大阪」といった地の影響の少ない、未だ大きな文脈に位置づけ難い特殊な表現の様相、あるいは様々なベクトルの「中間地点」としての愛知が持つ特性を垣間見ることが出来るのではないでしょうか。

展覧会について

本展は、愛知県立芸術大学油画専攻の在学および卒業生による展覧会として企画したものであり、彼らが日本の中間地点「愛知」という場所で思考したこと、表現しつつあるものを紹介することでその「視点」を考察する試みです。「愛知」にはいわゆる日本のアートシーンにおける「ラグランジュポイント※」として独自の空気感と表現に対する意識が存在しています。
それは「西」と「東」の「中間」に位置するという対比構造や地理的条件などの影響をも含め、様々な引力の中間地点とするベクトルが均衡した特殊な「重力場」のようであるといえ、この特徴はこれまで本大学出身者を含めた愛知をルーツとする多くの作家達が活躍する中で注目されるものでしたが、現在ではあまり触れられることがないように感じます。
2回目となる本展では、副題を「パースペクティブカスタマイズ」として絵画や版画を制作する3人の作家を紹介いたします。横山は大正~昭和初期の「日本の洋画」を想起する重厚な表面を持ちながら、生活の中にある「少し悲しいものたち」を描き出します。多田は壁面に残るテープやステッカーの痕跡を「絵画」として再構築し、これらの存在について思考する絵画を制作しています。石場は彼女の日常の中で錯視的に見る「面」に注目し、シルクスクリーンや写真を用いて恣意的にこの視覚に介入する作品を制作しています。彼らの視点とは絵画や版画といったメディウムを基盤に「歴史」「空間」「眼差し」を日々の視点で再構築し、見慣れた風景を新たな風景にカスタマイズして、描くための消失点を見いだそうとする試みであります。
様々な表現がある中で「絵画」や「版画」を基軸に据え、思考する彼らの方法論の中から「ラグランジュポイント」としての魅力を見る事が出来ればと考えています。

大﨑 のぶゆき



ステートメント

意識しているわけでもないのに、ふっと目を引くものが多々あります。それは誰かの服の模様だったり、道に落ちているモノだったり様々ですが、反射的に目がそれらに向きます。その時は色だけが目に入り、それには物質の厚みや重なり、二次元三次元もありません。色が目に入った後で、厚みや重なりなど まわりが見えて、そこでやっと服だと認識するのです。何かが目を引き、それが○○だ と認識するまでの時間、もしくは目に入った情報(色)とモノそのものに対して、わたしは何かしらのズレを感じています。そのズレとは一体何なのか、そもそも我々は何をもってモノをモノと見ているのか。虚実の入った風景を提示することで自分たちに見えているモノが何なのかを問いていきたいです。

石場 文子

在ることと無いこと、本当と嘘、相反する事柄の間にある曖昧な状態やことに興味があります。フラットなディスプレイの中に広がる情報や現実と見紛う空間壁面に残るテープやステッカーの痕跡、そこに貼られていたポスターを想像すること。そこに在った、存在した、ということが作品を作っていく切っ掛けになっているのです。その関係性を多方から示すことは、” 存在” とは何かを明らかにする手がかりになると考えるからです。

多田 圭佑
 

中学生の時にブリトニース ピアーズに、高校生の時はキルスティン ダンストに憧れていました。いつも憧れは外国人で、濃い化粧をしてウィッグを被れば、そうなれると思っていました。休日は街へ出てギャルショップに行き、緊張しながらお小遣いでミニスカートとチューブトップを買いました。ゴシップ雑誌を見て化粧を練習しました。頑張りましたが、ブリトニーにもキルスティンにもなれませんでした。鏡を見て、なれないのに憧れ続ける自分に何度も落胆しました。現在は、絵画制作をしています。どうしようもない自分と重なり合う、少し悲しいものたちを日常から見つけ出し、それを描いています。そのモチーフが、ただの悲しいものから壮大なものや風景に見える瞬間があります。その瞬間をずっと留めておくために描いています。

横山 奈美




作家略歴

石場 文子|ISHIBA AYAKO

1991年 兵庫県生まれ
2014年 京都嵯峨芸術大学造形学科版画分野 卒業
2015年 愛知県立芸術大学 美術研究科博士前期課程油画・版画領域 在籍

個展

2013年 「House」 KUNST ARZT、京都

主なグループ展

2015年 「4つの咀嚼」 愛知県立芸術大学学食2階
「INDIRECT’15」 愛知県立芸術大学サテライトギャラリー
2014年 「図らずもあったこと」 京都嵯峨芸術大学
「京都嵯峨芸術大学第42回制作展」 京都市美術館
「~2014」 愛知県立芸術大学資料館
「交差する版画 D×PRINTS」 名古屋造形大学
2013年 「one room」 京都嵯峨芸術大学
 
作品画像

《ソファと□とクッション》 
写真(シルクスクリーン、ミクストメディア) 594×841mm  2015年

 

多田 圭佑|TADA KEISUKE

1986年 愛知県名古屋市生まれ
2010年 愛知県立芸術大学 美術学部油画専攻卒業
2012年 愛知県立芸術大学 美術研究科博士前期課程油画・版画領域修了

主な個展

2014年 「HE TRACE」 愛知県立芸術大学サテライトギャラリー
「カヤバコーヒー 壁プロジェクト」 カヤバコーヒー、東京
2008年 「independence by mind」 カフェパルル、 愛知
2007年 「多田圭佑 個展」 名古屋造形芸術大学

主なグループ展

2014年 「Some Like It Witty」 Gallery EXIT、香港
2013年 「relational map」 STANDING PINE、愛知
「TRICK-DIMENSION」 TOLOT heuristic SHINONOME、東京
「CIRCLE 3」 ターナーギャラリー、東京
2011年 「トーキョーワンダーウォール公募 入選者作品展」東京都現代美術館
「DREAMING THE WORLD」 女木ハウス、香川
2010年 「物語りの伏線 part2」 ギャラリーMoMo ryougoku、東京
「CIRCLE 2」 愛知県立芸術大学サテライトギャラリー
「都市の断片」アーバンリサーチギャラリー、愛知
2009年 「CIRCLE」 愛知県立芸術大学旧教員官舎
2008年 「SEPTEMBER」 市民ギャラリー矢田、愛知
「ART×ART」 愛知県美術館
 
作品画像

《exists/wood #1》
 綿布にアクリル 
652mm×530mm × 45mm 2015年

 

横山 奈美|YOKOYAMA NAMI

1986年 岐阜県生まれ
2010年 愛知県立芸術大学 美術学部油画専攻 卒業
2012年 愛知県立芸術大学 美術研究科博士前期課程油画・版画領域修了

主な個展

2014年 「それは山であり、川でもあった。昨日は私自身でもあり、夫でもあった。」 HARMAS GALLERY、東京
「風景」 GALLERY M contemporary art、愛知
2013年 「1=∞の証明」 JIKKA 実家、東京
2012年 「横山奈美 個展」 Hidari Zingaro、東京
2011年 「軽快ないたずら、歪んだ風景」 名古屋市民ギャラリー矢田

主なグループ展

2015年 「VOCA展2015」 上野の森美術館、東京
2014年 「After History」 NADiff a/p/a/r/t、東京
「手探りのリアリズム」 豊田市美術館
2013年 「CIRCLE 3」 ターナーギャラリー、東京
「Draw the world-世界を描く」 アートラボあいち
「武藤江美奈 横山奈美展」 ギャラリーM、愛知   
2012年 「扉を開けたり閉めたり」 TALION GALLERY、東京
2011年 「ワンダーシード2012」 トーキョーワンダーサイト渋谷
「petit GEISAI#15」 東京都立産業貿易センター7F
「わくわくSHIBUYA」 トーキョーワンダーサイト渋谷
2010年 「1000hinten」 hinten、愛知
2009年 「スーパー・ナチュラル・パワー」 名古屋市民ギャラリー矢田

受賞

2012年 愛知県立芸術大学2012 作品優秀賞/学生優秀賞
  petit GEISAI#15 審査員 桑久保徹賞

パブリックコレクション

  愛知県立芸術大学資料館
 
作品画像

《柱》 
麻布に油彩  
455mmx380mm 2015年

 

 

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